2020年12月18日金曜日

マクロン大統領コロナウィルス感染

                                                                                                                                   


 

 「マクロン大統領がコロナウィルス陽性」まさかの衝撃的なニュースが流れたのは、17日の午前10時半頃でした。

 フランスは、ロックダウンが解除され、バカンス前の学校2日間は、学校に行かずに、感染回避をしましょうなど、ノエルに向けてのコロナウィルス感染への警戒が盛んに呼びかられ始めたばかりの出来事にフランス中が大騒ぎになりました。

 国民も驚きましたが、誰よりも驚いたのは、きっとご本人に違いありません。

 マクロン大統領は、16日の夜に、咳、鼻水、極度のだるさ、身体の痛みなどのコロナウィルスの症状と思われる兆候が現れたために、翌日朝に、PCR検査を実施、結果、コロナウィルス陽性と診断されました。

 コロナ禍中、忙しく動き回っているマクロン大統領が一週間以内に接触した人の数は、計り知れないず、接触人物をリストアップするだけでも、大変なことです。

 日本でも菅首相の夜の会食が問題になっていましたが、マクロン大統領も15日に、エリゼ宮で12人と昼食会議を行っていることが取り上げられています。

 ノエルの会食には、1テーブル6人以内に抑えましょうと言っているのに、12人・・・しかし、一般家庭とは違って、エリゼ宮の食事は、テーブルの大きさも桁違い、隣の人との距離も充分に離れており、部屋の天井も4〜5メートル以上はある空間で、一般的なケースとは、比較にはなりません。

 (ちなみに、関係ないけど、この日のエリゼ宮の昼食のメニューはポトフとシュークリームでした)

 とはいえ、この時期に、昼食を取りながら、会議をする必要があるのかどうか?という点については、疑問は残りますが、政府はあくまでも、充分な衛生管理が取られた上での昼食会議や夕食会議は、国で許可されているものであるとしています。

 また、それを正当化するためなのか? マクロン大統領のコロナウィルス感染に関して、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、「マクロン大統領は、エリゼ宮での食事会ではなく、恐らく、数日前(10日)にベルギー・ブリュッセルで開催された欧州評議会で感染したと思われる」と発言しています。

 実際のところ、彼がどこで感染したのかは、わかりませんが、とりあえず、彼が仕事を共にしている政府要人の多くは、1週間の隔離が必要となりました。

 中には、症状がなく、接触したものの感染の危険は考えられないとして隔離を拒否している人もいるようですが、とりあえず、カステックス首相は、1週間の隔離、リモートワークに切り替える宣言をしています。

 また、彼の妻もPCR検査の結果が陰性でしたが、1週間は隔離生活を送ります。

 マクロン大統領は、これまでコロナウィルスに感染した国家のトップであるアメリカのトランプ大統領やイギリスのボリス・ジョンソン首相、ブラジルのボルソナロ大統領のように敢えてマスクをせずにいたわけでもなく、感染には、一般人以上に気遣っていたはずです。

 彼はペンの一本一本までもきれいに消毒していたそうなのです。

 そんな彼が感染したことは、「リスクはどこにでもある」という警鐘を鳴らしたことになります。

 マクロン大統領は、1週間、ベルサイユ近くのラランテルンの大統領官邸で隔離生活を送りながら、リモートで仕事を継続する予定になっています。

 同日の夕刻には、国民の不安を払拭するために、マクロン大統領は、リモートで珍しく紺のハイネックにマスク姿でテレビ出演し、自分がコロナウィルスに感染したこと、1週間の隔離生活をしながら、リモートで仕事を継続することを発表しました。

 彼の症状が悪化することがなければ、1週間後には、ちょうどノエルを迎えます。

 彼のコロナウィルス感染が、感染のリスクとしてフランス国民に少しでも響いてくれれば、こんなに大きな警告はないと思います。

 彼が感染していても症状がなかった人から感染したことは明白です。なんといっても国家のトップとしては、群を抜いて若い42歳の大統領。

 翌日には、Twitterの映像を通して、自分の病状を毎日、報告することを約束し、国民にメッセージを送っていましたが、その姿は、いつもはエネルギッシュな彼とは違うものでした。感染して症状もあるのですから当然ですが・・

 早く順調に回復して、これから恐らく第3波を迎えるフランスのために頑張って欲しいと思っています。


<関連>

「フランスのロックダウン緩和へのステップ マクロン大統領の会見」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/11/blog-post_25.html 







2020年12月17日木曜日

パリから車も人も消えていく パリ絶対伝説の崩壊!?

 


 ロックダウンが解除された代わりに、フランスに戻ってきた夜間外出禁止令。夜20時から朝6時までは、外出禁止になりました。取り締まりもあり、罰金(135ユーロ)付きということもあって、今のところ、夜になると街はシンと静まりかえっています。

 ノエルを控えているということもあるのか、予想以上に皆、この夜間外出禁止の規則を守っているようです。(といっても、まだ2〜3日しか経っていませんが・・)

 むしろ、外出証明書さえあれば、外出できたロックダウン中の方が夜も人がいたような気がするのは、皮肉なことです。

 いつもなら、ノエル前の人出は、相当なものですが、静まりかえって、車さえ、まばらな、イルミネーションだけが輝く夜のシャンゼリゼなどを見ると、やたらと美しいだけに、かえって今年の異常さを改めて感じます。

 3月のロックダウンの時に、家のアパートの駐車場が空っぽになったのには、驚きましたが、(多くの人がロックダウン中をセカンドハウスや故郷の両親の家で過ごしていました)一度目のロックダウンが解除になった5月になっても、車は、あまり戻ってきませんでした。

 私とて、そんなに頻繁に駐車場のチェックをしているわけではないので、詳しい出入りはわかりませんが、一度は、パリに戻ったものの、再び、バカンスに出てしまったのかと思っていました。

 ところが、バカンスが終わっても、車はやっぱり戻ってきませんでした。現在、駐車場のスペースは、半分も埋まっていません。

 うちの駐車場を見る限り、コロナウィルス感染が始まって以来、車を手放したと思われる人がかなりいます。経済危機はもちろんのこと、こう度々、ロックダウンや外出制限があっては、使わない車のための維持費(税金・保険料・駐車場料金・燃料費)もバカにならないのでしょう。

 倹約家のフランス人、当面は、車はあまり使えないとなれば、早々に車を手放すことを考えるのもわからないでもありません。

 もともと、我が家は、大きなコマーシャルセンターがすぐ近くにあるため、買い物などにも車は必要なく、小さい子供がいるわけでもなく、とっくの昔に車を手放しています。車がどうしても必要な時は、レンタカーかタクシーを使います。最近は、結構な距離でも、もっぱら自転車です。

 パリからは、車が減るだけでなく、住居や事務所も移転する人も 増えています。

 仕事がリモートワークが中心になり、これまで首都にいることが必須であった人たちも、リモートで仕事が済ませられることが定着し始めたこともあり、TGVで1〜2時間以内でパリを行き来できる範囲内に移転すれば、家賃が半分以下で、もっと広くて快適な暮らしができる庭付きの物件などに乗り換え始めているのです。

 以前、メトロの駅の広告で、パリの不動産物件を扱うポスターに、「買うなら、パリのアパートに限る!そこは、パリであり、値段は決して下がることはない・・」というようなコピーのポスターを見かけて、「さすがのスゴい、パリのプライドに満ち溢れた余裕のコピーだ・・」と思った記憶があります。

 コロナ禍の今、神話に近いパリ絶対伝説は壊れようとしています。そもそも、フランス人にとって、パリは憧れの地であると同時に嫌われ者でもある場所。ましてやこの経済危機にやたらと高い家賃に狭い空間のアパートに見切りをつける人が増えているのです。

 来年には、ワクチンも広まり始めるようですが、本格的に経済が復興するのは、まだまだ先のこと、収入が減ったり、失くなったりする人が増える中、パリの家賃や車の維持は重くのしかかっているのです。

 フランス政府は、自動車業界支援のために、新車購入のための特別控除・援助などを行っていますが、一般市民にとっては、新車購入どころか、アパートの家賃や車の維持費に頭を抱えている人の方が多いのです。

 今のところ、2024年パリで開催予定のオリンピックの話題は、全く上がっておらず、それどころではない状況のフランスですが、パリに人が戻ってくるかもしれないとしたら、そんなタイミングなのかもしれません。


<関連>

「パリはフランス人に嫌われている」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/12/blog-post_9.html


2020年12月16日水曜日

ロックダウン解除初日のフランス バカンス前の二日間は学校を休んでもいい


 


       

 フランスは、ロックダウン解除の第2段階に入りました。今朝、買い物に出かけようとして、思わず、携帯を手に取り、外出証明書をダウンロードしかけて、「ああ〜今日から、いらないんだった・・」と出かける時も何か忘れものをしているような、心許ない気分になりました。

 習慣というものは、恐ろしいものです。まあ、楽な方にはすぐに慣れますが・・。

 外出が自由になった代わりに、夜の外出禁止(夜20時までに家に帰らなければなりません)が義務付けられるようになりました。個人的には、夜は出歩かないので、関係ないのですが、20時以降も営業していた店舗にとっては、痛手になります。

 逆にロックダウン中には、時間帯の制限はなかったので、外出証明書さえあれば、夜も買い物に行けたわけで、お店は夜の時間帯も営業できていたのです。


20時閉店と朝8時から営業のお知らせ

 そんな状況を受けて、カーフールなどは、20時に閉店する代わりに、朝の8時から、時間を前倒しにして、営業するというフランスらしからぬ措置に出ています。

 これもひとえにノエルのなせる技、フランスが、寸暇を惜しんで営業するなど、通常ではあり得ないことです。

 ノエルがもうすぐそこまで近付いてきて、今週末からフランスの学校はノエルのバカンスに入りますが、ここへ来て、フランスの文部省は、ノエルを家族と過ごすために(祖父母と過ごすために)、ノエルのバカンスの2日前からは、学校を休んでもいいという通達を出しました。

 これは、「24日のクリスマスイブからちょうど一週間前から、自主隔離をして感染を防ぎましょう!」ということです。

 これは、あまりに急な通達で、ただでさえ、遅れている授業がさらに遅れることや、子供を学校に行かせないとなると、親も仕事に行けなくなるわけで、ノエルから年末にかけては、すでに、休みの予定にしている人が多い中、スケジュール調整は大人にとっても簡単ではありません。

 中には、学校側の衛生管理を信頼してもらっていないと怒り出す学校関係者などもいるのがフランスらしいところで、終いには、「これは、個人の判断で!この二日間は、学校を休む権利があるということです!」などと、若干キレ気味の対応。

 この二日間の学校を休みにする対策は、急なこともあり、混乱の元を増やしたような印象です。

 ここ数ヶ月で、○○日からロックダウン、これは、営業許可、これは禁止、それに加えて、時間の制限なども加わり、ただでさえ、規則を守ることが苦手なフランス人にとって、あまり細い規則の提示は逆効果になりかねません。

 しかも、半端な自己規制を行ったことで、家族と過ごすノエルの日、当日に気が緩む要因にもなりかねません。

 ロックダウン解除の初日、ノエルの犠牲になって、ロックダウンが解除にならなかった劇場、映画館関係者は、同日、オペラ・バスティーユに集まり、デモが行われました。

 移動制限が解除されたことから、TGV(新幹線)も通常運転に復活し、乗車率は、70%程度で、さっそくにスキーを担いで移動する人も見かけられ、(フランス国内はスキーはできないはずなのに・・)23日には、国内大移動のピークを迎えることが見込まれています。

 11月初旬のフランス国会で、「今後のスケジュールは、すべてのフランス人がクリスマスを家族と過ごすことができるように調整しなければならない」という野党の意見が大多数だったことに仰天していましたが、結果的には、全てノエルを照準に当てたスケジュールになっているフランス、間際になって、学校を二日間休みにするという付け焼き刃的な措置もまた、間違いなく、ノエルファーストなフランスの、それでも不安を隠しきれないジタバタした様子が浮き彫りになっています。


<関連>

「フランスの国会を騒がせる「フランス人のクリスマスを迎える権利」」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/11/blog-post_5.html

2020年12月15日火曜日

フランス税務当局、カルロス・ゴーンに追徴課税金と財産差し押さえ

  



 思い起こせば、2020年の年明けは、カルロス・ゴーンの日本からの逃亡劇から始まりました。シャンゼリゼのカウントダウンの様子をテレビで見ていた時に、カルロス・ゴーン逃亡のニュースが流れ始めたのです。

 それからしばらくして、年明け早々、カルロス・ゴーンがレバノンに世界中の記者を集めて、会見を開き、彼自身の行動の弁明と正当性を訴えました。

 しかし、間もなくして、世界は、コロナ禍に飲み込まれ、カルロス・ゴーンどころではなくなりました。

 日産とルノーにまたがる彼の事件は、日本とフランスの両国での追跡で、両国の対応の仕方を見比べられる意味でも、興味深い事件でもありました。

 カルロス・ゴーンの逃亡先のレバノンでは、今年の8月初めに比類のない湾岸倉庫の爆発事件が起こり、30万人が住む家を失ったことから、国民の45%が貧窮生活を送る経済危機状態にあります。

 レバノンは、一部の特権階級が支配する腐敗した政権に反発する動きが高まり、レバノンと関係の深いフランスは、翌日には、マクロン大統領が現地に赴きました。

 フランスでは、経済危機、混乱状態にあるレバノンに所有しているカルロス・ゴーンの資産価値が1億2千万ドルから7千万ドルに目減りしたなどと報道されていましたが、(彼は、レバノン北部にあるワイン畑の40%を保有しているほか、スキーリゾートやレバノン市内に広大な土地を所有しています)コロナウィルスを初め、次から次へと起こる事件に彼の存在も埋もれているかに思われていました。

 しかし、ここへ来て、フランス紙リベラシオンがフランスの税務当局が追徴課税金として、カルロス・ゴーン夫妻の資産、約1300万ユーロ(約16億4000万円)を差し押さえたことを報じています。

 彼は、税法上の住居を2012年にオランダに移していますが、これは、税金回避のためのもので、日本とフランスを行き来していた彼の生活の本拠はフランスにあったとフランスの税務当局が判断したものです。

 彼は、彼の収入に対しての税金は、オランダで支払っていることになっていますが、フランスの税務当局は、この動きは架空のものであると考えているようです。

 逃亡後、彼がレバノンで行った記者会見の際に、フランスの記者からの、「フランス政府に期待することはありますか?」との質問に、「全くありません」と即答していたカルロス・ゴーンですが、まさかのフランスでの資産差し押さえに、フランスも彼を容赦しない態度が公になったことになります。

 私のささやかな日常生活でも、日頃から、公的機関が円滑に回らず、トラブルの多いフランスですが、なぜか税務署だけはキッチリしていて、「ちゃんとできるところもあるんだ・・」と感心しているのです。

 この際、日本の分の恨みも募って、カルロス・ゴーンからも、キッチリと取り返すものは取り返して欲しい、「頑張れ!フランス!」という気持ちになっています。

 それでも、あれほどのことをしてきた彼が、あっさり引き下がるわけはなく、今日から、カルロス・ゴーンは1月18日に開かれる予定の公聴会の準備に入るようです。

 それにしても、世界各地に分散されている彼の資産や、あの有名なベルサイユ宮殿での結婚披露パーティーを見るにつけ、彼の強欲さと、ここまでして、一体、何が欲しいのか?と嘘だらけの人生を必死に生きている彼を虚しく感じるのです。


<関連>
「カルロスゴーン会見に見るフランス人流の自己主張の仕方」

「100年に一度くらいのことが立て続けに起こる年 レバノンでの湾岸倉庫爆発事件」










2020年12月14日月曜日

他国の感染悪化を余裕で語るフランスに唖然とする

 


 フランスでは、ドイツをはじめとする他国の感染悪化の様子を盛んに伝えています。

 特に、ドイツは、これまでにない感染悪化から、13日、メルケル首相が会見を行い、1月10日までの「学校の閉鎖、生活必需品以外の店舗の営業停止 」のロックダウン(部分的)を発表しました。

 メルケル首相の会見からもいつになく、必死な感じが伝わってきます。このクリスマスの前の時期に学校やお店を閉めざるを得ないことは、大変な決断です。

 これまでドイツは、ヨーロッパ全体がコロナウィルス感染が拡大し、苦しんできた中、強固な医療体制と、先んじたテストや隔離の実施から、感染が広まりつつも、常にフランスなどよりは、遥かに余裕の優等生の状況で、フランスからの患者も多く受け入れてくださり、助けの手を差し伸べてくれていました。

 ここへ来て、ドイツは11日には一日の新規感染者数が2万9千人を超え、死者数も598人に上り、これまでにない第1波以上の感染の拡がりを見せています。

 スイスでも、第1波の際には、一日の感染者が数百件であったにも関わらず、現在は、5,000件を超える勢いになっています。ほんの少し前までは、スイスでは、このノエルのバカンスにリゾートで食事もリゾートも楽しむと豪語していたばかり・・バーゼル、ベルン、チューリッヒ、ローザンヌ、ジュネーブの5つの大学病院は、厚生大臣に向けて、病院の逼迫状態から、感染拡大を警告する書面を提出しています。

 また、スウェーデンのストックホルムでは、病床の占拠率が99%にまで達し、集中治療室の飽和状態が起こっています。

 フランスのニュースでは、これらの国々に加えて、日本まで例にあげて、一日の新規感染者数が3千人に迫る勢いで第3波が加速している様子を伝えています。

 フランスの新規感染者数は、ここのところ、1万2千人前後、決して良い状態ではないにも関わらず、なにせ、一時は、6万9千人まで上昇した時期があったばかりに、現在の状況を甘く考えているような気がしてなりません。

 これから、ロックダウンに入るというドイツも、フランスが2回目のロックダウンに突入した時(新規感染者数6万9千人)ほど状況が悪化しているわけではありません。

 たしかに現在のドイツの状況は深刻な状態ですが、かといってフランスの状況が改善しているわけではありません。ドイツやスイス、スウェーデンなどの状況を見ると、第2波は第1波の状況を上回っているのです。

 ましてや15日から、ロックダウン解除に向けて動き出すフランスは、次の波を迎えれば、一層深刻な状況を迎える可能性大な、危険極まりない状況なのです。

 そんな中、ノエルが近づき、ロックダウン解除を控えて、気も緩んでいるのか、一昨日は、マルセイユで500人を超える人が集まるパーティー、(マスクなしの上に大量の麻薬まで押収された)ロワール沿いのナント、ストラスブールでは、100人超えのパーティーが警察の介入により、解散させられたという事件が起こっています。

 第2回のロックダウン開始以来、私は、一度も外出制限の巡回を見かけたことはなかったのですが、実に290万件以上のチェックが行われており、そのうち違反として罰金を課せられたのは、28万5千件以上にのぼるとの報告が上がっています。

 これだけのパーティーやあれだけのデモが毎週のように行われている中、この数字が多いのか少ないのか、もはやよくわかりません。

 隣国の感染悪化に加えて、日本の新規感染者が3千人に迫る勢いで第3波を迎えているなどと伝えていることに私は、唖然とするのです。もし、今、フランスで1日の新規感染者数が3千人まで下がれば、あたかもコロナウィルスは消えたかの如くの扱いになることでしょう。

 自画自賛が得意なフランスは、第2回目のロックダウンをよく乗り切った、自分たちは、うまくやってきたと、現在、余裕をこいて、他国の感染悪化を伝えていますが、これから年末年始にかけてのフランスのロックダウン解除による結果は、火を見るよりも明らかなのです。

 他国の感染拡大に関する、どこか上から目線の報道に、「お前ら、余裕こいてる場合かよ!?」と、ため息が出るのです。


<関連>

「コロナウィルス第2波 制限を緩和していくフランスと手綱を緩めないドイツ」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/11/blog-post_27.html

「ヨーロッパのコロナウィルス感染拡大 国の対策の取り方で明暗を分けた理由」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_20.html


2020年12月13日日曜日

驚異的な数の警察・治安部隊を配置してでもデモをする権利を守るフランス

  Image


 金曜日の夜に、翌日のデモを知らせる通知が来て、「またか・・まだやるのか・・」とうんざりしていました。先週、先々週と続いて、パリ市内のデモは暴徒化し(デモ自体が暴徒化したというよりも、デモに乗じて暴れる集団・ブラックブロックの犯行)、多くのものが燃やされたり、破壊され、街がめちゃくちゃにされたからです。

 この前歴があるにも関わらず、まだ、デモを許可するのか?とちょっと呆れた気持ちになったのです。

 ところが、今回のデモには、一般の警察、憲兵隊だけではなく、先週までの3倍近い数のBRAV(Brigades de répression des actions violentes)(暴力行動抑止団)やCRS(Compagnies républicaines de sécurité)が動員されていました。

 デモの際に、これほどの驚異的な数の治安部隊が登場することは、珍しいことで、デモ開始時のシャトレ近辺の街路は、ギッシリと治安部隊でガードされていました。

 これらの治安部隊は、ポイントごとに武器が行列に持ち込まれることを防ぐために、デモ参加者の持ち物チェックを実施し、DIYツールなどの武器になりうる持ち物が多数、押収されました。

 結果、デモ開始後、1時間以内には、すでに81人が逮捕され、午後7時には、合計142人が逮捕されました。

 それでも、いくつかの暴力行為に走る人と治安部隊との間に衝突が起こり、放水車などが出動したりしていますが、先週までのような街が破壊されるような事態には、発展しませんでした。

 最終的にデモ隊の行列は、治安部隊にガードされる形で進み、最終目的地に辿り着いた時には、警察車両のブルーの回転灯がレピュブリック広場を囲む異様な光景になりました。

 今のフランスは、そこまでしないと暴力を抑えられないことも、深刻ですが、ここまでしてでもデモをする権利を守ろうとすることにも驚かされます。

 一日の終わりのニュースでは、デモ隊が訴えている内容ではなく、「今日のデモは、警察の勝利で終わりました」と報道していることに、勝ち負け? 何と戦っているのだろうか?と、ちょっと微妙な気持ちになりました。

 しかし、とりあえずは、今回は、警察、治安部隊の作戦勝ちのような形、まだまだノエルのバカンスに入るまでには、土曜日がもう一回あるので、この戦い?は、続くと思われます。

 デモは、パリだけでなく、リール、モンペリエ、ボルドー、ディジョン、リヨンなどフランス全土で起こっています。今回のパリの厳重な警戒により、このブラックブロックの集団が主な標的をパリ以外の都市に変更することも充分に考えられます。大規模な治安部隊を全国規模に拡大する必要が出てくるかもしれません。

 それにしても、そこまでしてでも物申す権利を守るフランスにもなかなか底知れぬものを感じるのです。


<関連>

「フランス人のプライド」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_6.html

「カルロスゴーン会見に見るフランス人流の自己主張の仕方」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_9.html

2020年12月12日土曜日

ノエルに向けて治安の悪化するパリ

 

Image


  常日頃から、決して治安が良いとは言い難いパリも、ノエルが近づく頃になると、一段と治安が悪くなります。

 先日は、パリ6区のブルバード・サンジェルマンの高級衣料品店(モンクレール)に黒づくめの11人の男がお店になだれ込むように入店したと思ったら、大量の商品を持ち去るという強奪事件が起こりました。

 防犯カメラに映った犯行の様子は、万引きというには、あまりに堂々としていて、暴力などは、一切なかったのですが、大人数の黒づくめの集団に店員も圧倒された様子で、いささかの抵抗もしておらず、なだれ込んだ人々が商品を持ち去るのを遠巻きに眺めている様子が残されていました。

 一般的に高級店は、セキュリティーがキツいのですが、店員は、このような事件が起こった場合は、「犯人を捕まえようとしたり、抵抗したりはしない、犯人には接触しない」という教育がなされています。これもまた、フランスらしいところですが、「それは、セキュリティの仕事であり、店員の仕事ではない」ということです。安全性の面からも、これはあながち間違いでもないかもしれません。

 お店の方も当然、商品には、保険がかけてありますから、無駄な抵抗をして、暴力を振るわれたりするよりは、良いかもしれません。しかし、売れるはずの商品が失くなってしまうのですから、1カ月間、ロックダウンのために営業できなかったお店にとっては、ようやく営業再開したところにこの被害は、大きな痛手には違いありません。

 白昼堂々の犯行ながら、犯人は捕まっていません。まことに物騒なことで、こんなことが横行しては、たまったものではありません。今は、皆がマスクをしているために、このような人が街にいても目立ちにくいのかもしれません。

*犯行の様子

https://twitter.com/BFMTV/status/1337477830209376259


 年末の治安の悪さも、身近なところでは、郵便物の紛失、盗難が多くなり、日本からの荷物は特に狙われます。日本の郵便局では、「こちらの方が安全ですよ!」と勧められるらしいクロノポストは、フランスで一番、盗難に遭う可能性が高いのです。

 クロノポストの小包は、配送状況の追跡ができるようになっていますが、いざ、追跡をしてみると、届いていないのに配送済みなどとなっていることも少なくありません。配送済みとされてしまえば、それ以上、追跡の仕様がありません。

 また、知人がこちらから日本へ送った荷物がいつまでも届かないので、おかしいと思っていたら、郵便局の窓口の女性が素知らぬ顔をして、彼女が送ったはずのマフラーをしていたのを見つけ、(限定商品であったために、同じものが出回っていないことから発覚)大騒ぎになったこともありました。

 スリ、置き引き、強奪なども、この時期になると、一段と多くなります。この手の?仕事をしている人もノエルに向けて、お金が必要な時でもあり、12月は、犯罪者にとっては、かき入れ時です。今年は、観光客がほとんどパリにはおらず、例年に比べると、街にもずっと少ないので、スリも随分と収入が少ないかもしれません。

 また、空き巣の被害も少なくありません。空き巣は、定期的に巡回を行っており、留守にしている家のポストなどには、(バカンスで長期間、家を空ける家庭も多いため)留守であることを確認した印として、小さなテープが印に張られていたりします。

 フランスの空き巣は、かなり大掛かりなものも多く、家の中身をごっそりと引っ越しのように持っていかれてしまうこともあり、家に帰ると家の中がからっぽだった・・などという話も聞きます。金目のものを狙うのではなく、かなりダイナミックです。

 自転車の盗難の様子などを見ていると、頑丈な鍵で繋がれた部分だけを残して、タイヤからサドルまで盗まれて、無惨に鍵で繋がれた部分だけが残っている様子を見ると、こんなものまで盗んでどうするの?と思うようなものも、何から何まで持ち去る空き巣がいることも頷ける気がします。

 コロナウィルスだけでなく、犯罪も蔓延するパリ、無事に生活できていることが奇跡のような気さえしてきます。


<関連>

「パリの盗難被害 パリの泥棒は、なかなか捕まえてもらえない」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_6.html