2020年10月17日土曜日

閑静な住宅街で起きた路上で首を掻き切られる陰惨なテロ事件発生 18歳のテロリスト


         Neuf personnes interpellées dans le cadre de l'enquête sur l'assassinat d'un professeur d'histoire vendredi à Conflans-Sainte-Honorine dans les Yvelines.


 閑静な住宅街で突如起こった陰惨な事件にフランスは、震撼としました。金曜日の午後5時頃、パリ近郊のイブリンにあるコンフラン-サンテ-ホノリンで中学校の歴史の教師が路上で首を掻き切られて殺されたのです。

 犯人は犯行に使った長さ数十センチのナイフを手に、通りすがりの通行人を人質にとり、逃げようとしていたところを数分後、ヴァルドワーズの隣の町エラニーで警官に射殺されました。

 殺された教師は、表現の自由に関する講義を行っており、授業中にモハメッドの風刺画などを引用したことから、その講義がイスラム教徒の生徒やその家族などの間で、物議を醸しており、その様子などがSNSで取り上げられていたようです。

 授業には、イスラム教徒には、特に出席を促されており、かなり挑発的であったことも確認されています。だからと言って、殺す理由には、なりませんが・・。

 この授業に関しては、教育顧問(CPE)と校長との話し合いの時間が持たれたりしましたが、今週初めに喧騒は落ち着いたように見られていました。 

 犯人の18歳の青年は、その教師の講義を直接に受けていたではなく、さっそく、彼がこの凶行に及んだ経緯の捜査が始まり、関係したと見られる9名(犯人の家族が中心)が拘留されました。

 この青年は、警察も全くノーマークだった人物で、新たな背景が調査されています。

 政府はこの事件をテロと認定し、当日、ベルギーに出かけていたマクロン大統領もその日の夜のうちに現場に駆けつけ、現場から非常に厳しい面持ちで、国民に向けて、「このようなテロ行為を放ってはおかない 国民の安全を守る」と宣言しました。

 フランスでは、今年に入ってからのテロ事件は5回目で、つい3週間前もパリ11区にあるシャルリー・エブド(風刺週刊紙)の元本社前で、休憩中であった数名がナイフで襲われ、うち2名が重傷を負うテロと思われる事件が起こり、パリ11区は俄かにロックダウン状態になりました。

 あの時も凶器はナイフで、被害者は、顔を切りつけられており、数時間のうちに逮捕されています。

 共通するのは、18歳という年齢と、前回の犯人もパキスタン出身だったり、アルジェリア出身だったりの移民で、今回の犯人もロシア出身のチェチェン国籍、彼ら個人だけの犯行とは考え難く、背後にいる人間の存在が認められることです。

 フランスでは、18歳は成人ではありますが、まだほんの大人の入り口に立っている若者、前回の犯人たちは、逮捕されていますが、今回の青年は、命を落としています。

 まだ、人生において、経験も少なく、未来があったはずの18歳の青年たちが、自分の人生を台無しにしてまで、人を傷つけ、命を奪うほどの怒りや恨みにかられて凶行に及んでしまう背景は何なのでしょう?

 今回の犯人は、射殺されてしまいましたが、彼がどのように育ち、何を考えていたのか?なぜ、このような凶行に及んだのかを知ることができないのは、とても残念です。

 18歳という年齢は、血気盛んな年齢ということもあるのかもしれませんが、ある意味、純粋に思い込む年齢と考えることもでき、また、移民ということで、その虐げられた生い立ちなどにも原因があるかもしれません。

 彼らは、加害者ではありますが、別の観点からすれば、被害者でもあるかもしれません。特に、イスラム教という宗教がらみだと、闇はなおさら深いのです。テロ行為が宗教のもとでは、正当化されるのも恐ろしい現実です。

 そして、しかも、実際に凶行に及ぶのが、まだ大人になりきっていない若者であることにやり切れなさを感じるのです。

 今回のテロは、到底、事件とは、無縁と思われている住宅街で起こったことがさらに衝撃を大きくしていますが、National Antiterrorist Prosecutor's Office(PNAT)は、「テロに関連する暗殺」と「刑事テロ協会」のために開設された調査を直ちに開始したと発表しました。

 しかし、この事件をテロと認定して抑えつけるだけでは、この種の事件は、永遠に続きます。彼らが犯行に及ぶ背景を詳しく知ること、そして、これを正しく報道することも何らかの解決の糸口になるのではないかと思っています。


<関連>

「シャルリー・エブド元本社前でのテロ事件でパリ11区、俄かロックダウン」

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2020年10月16日金曜日

フランスの新規感染者3万人超えの中の医療介護者のデモ

    Manifestation des personnels de santé, du social et du médico-social à Avignon ce jeudi 15 octobre pour demander des moyens et de meilleurs salaires


 とうとうフランスの1日の新規感染者数が3万人を超え、30621人を記録してしまいました。そんな中、この状況下に、最も深刻なデモが行われています。

 さすが、デモの国、フランス・・夜の外出禁止令が敷かれ、夜間ロックダウンの状態になるという時に、しかも、感染拡大を一番、身近に感じている医療介護者によるデモが起こり始めています。しかし、さすがに全員がマスクをしています。

 フランスでは、デモは日常茶飯事で、中には、理解できないデモも少なくありませんが、この医療介護者の訴えは、気持ちは十分に理解できます。

 3月のロックダウン時から、非常事態を迎えているフランスの医療機関で働く人々は、まさに命がけで働き続け、慢性的な人出不足、医療物資不足、低待遇に身体的にも精神的にも疲労や不満がマックス状態に達しています。

 そして、今、コロナウィルス感染の第2波を迎え、再び、医療崩壊が心配されるような状況で、黙っていられないのも当然です。

 コロナ以前から、問題になっていた病院の労働環境や労働条件の悪さは、コロナウィルス感染拡大によって、さらに深刻化し、介護者の57%が燃え尽き症候群、40%が転職を希望していると報告されています。

 人手不足や医療物資不足は、犠牲者も出しながら、さらに感染しても症状のない人は働き続けなければならない悲惨な状況を生んでいるのです。

 フランスの介護者の賃金は、ヨーロッパの中でも、数ある国々の中でも平均以下、介護者の賃金の低さは悪名高く、物価との対比を考えても、納得がいかないのも当然です。

 しかも、労働条件のキツさやリスクを考えれば、リスクが少なく、割のいい仕事に転職したいと思うのもわかります。それなりの志を持って勉強し、介護士という仕事を選択し、経験を積みながら、働いてきた人々が離職しようとしているのは、とても残念なことです。

 実際に離職してしまった人も少なくありません。

 政府は、医療介護士の訴えに対し、昇給のために82億ユーロを割り当て、15,000人の追加雇用を提示していますが、これでも到底、ヨーロッパの平均賃金には及ばず、また多くの人が離職したい職に新たにこれだけの人がこの仕事に着くことは、考えにくい状況です。

 また、政府は、病床は、まだまだ増やす余裕があると言っていますが、実際に、慢性的な人手不足のために現在すでにある病床も常に5%は使用できていない状況だと言われています。どうにも、政府の見解と現実には、隔たりがあるようです。

 現在のところは、それでもまだデモだけで?済んでいますが、これがさらにエスカレートして、ストライキ・・なんていうことも、フランスではあり得ない話ではありません。

 フランスは、デモだけでなく、ストライキの国でもあるのです。

 コロナウィルス感染の第2波をまっしぐらに突き進んでいるフランスで、ただでさえ医療崩壊か?というところに、医療介護者のストライキ・・なんてことになったら、目も当てられません。


<関連>

「ストライキ大国・フランス」

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2020年10月15日木曜日

パリ、イル・ド・フランスをはじめとするフランス8都市での夜21時以降の外出禁止

                      

          Emmanuel Macron lors de son interview télévisée, dimanche 15 octobre sur TF1.


 フランスのコロナウィルス感染が爆発的に拡大していることを受け、さらに厳しい制限を敷かなければならないと発表していたマクロン大統領が、水曜日の夜に記者会見を行うというので、一体、どんな制限が敷かれるのだろうか?と、ここ数日、フランスのマスコミは、ああでもないこうでもないと大騒ぎでした。

 結果から言えば、感染状況の最も深刻な状況のパリ・イル・ド・フランスをはじめとするグルノーブル、リール、リヨン、エクサンプロバンス・マルセイユ、モンペリエ、ルーアン、サンテティエンヌ、トゥールーズなどの8都市での夜21時以降の外出禁止が発表されました。

 この措置は、10月17日(土)午前0時から最低でも4週間施行されます。

 つまり、夜間のみのロックダウンです。これに違反した場合は、135ユーロ(約1万7千円)の罰金が課せられます。(2回目200ユーロ・約2万5千円、4回目以降は3750ユーロ・約47万円及び6ヶ月以下の禁固刑)

 この取り締まりには、1万2千人の警察官が動員されます。

 可能な限り、経済を止めず、多くの人が仕事を続け、学生生活を送る社会生活を続けるために取れる措置には、選択肢がたくさんあるわけではありません。

 夜9時からの外出禁止となれば、レストランの夜の営業は、絶望的、(フランス人の夕食の時間は、20時あたりが普通で夕食の時間は遅いのです)、その他、映画館、劇場なども夜の営業ができなくなります。

 フランス人の食事は、(特に夕食、特に外食の場合は、)さっと食べるだけ食べて帰るというものではないのです。

 この夜間外出禁止によって、打撃を受けるレストラン等の損失に関しては、政府が保証することも同時に発表しています。

 しかし、このマクロン大統領の会見は、どうにもスッキリしないもので、現在のコロナウィルス感染の第2波は、ヨーロッパ全体で起こっているものだとし、その中でも特にフランスの状態が悪いことにも言及しないばかりか、「ドイツなどもさらなる厳しい制限を取っている」などと説明し、これでは、他の子を引き合いにして言い訳をする子供のような言いようで、しかも、感染状態が悪化しているとはいえ、フランスよりは、圧倒的にマシな状況のドイツのような国を引き合いに出す意味がわかりません。

 しかも、驚くことに、「週末から始まるトゥーサンのバカンスでの地域間の移動は禁止はしないので、節度を持って行動してほしい・・」「学生に対する特別な指導はしない、ただでさえ、困難な状況が続いているのに、これ以上、厳しいことは酷だ・・」と無駄に物分かりがいい発言。

 行動制限をしなければ、バカンス中は、パリを脱出して、夜間外出ができる地域に移動する人たちが絶対に現れ、また別の地域で感染を拡大させるのです。フランス人に節度を持って行動してほしい・・などという呼びかけは通用しません。

 コロナウィルス対策に対して、政府がコントロール不能の状態になっているのでは?というジャーナリストからの質問にも、妙にきっぱり、「我々は、コントロールを失ってはいない」と断言しています。

 コントロールできなかったから、今の状態になっているのではないのでしょうか? 国民が節度を持って行動できないから、制限をしなければならないのではないのでしょうか? 現実をハッキリとは認めずに夜間のみのロックダウンを行う、なんともスッキリしない会見です。

 コロナウィルス感染が長引き、少なくとも来年まで持ち越しそうなことから、コロナウィルスと共に生活しなければならないと強調し、テレワークもできる限りとは言わず、週に2〜3回、家族や友人の集まりも6人までなどと言っていますが、特に現在は、一日の感染者が2万人〜3万人近い状態、ウィルスと共に生きるなどと言っている時期は過ぎています。

 夜間の外出禁止をすることで、一時的に、感染は減るとは思いますが、今、フランスで最も肝心なのは、検査と隔離の問題です。

 政府は、検査をしてから検査結果が出るまでの2日間の期間を問題にしているようですが、これに対して、数分で結果が出る検査が使われるようになるとし、問題が解決されたように話していますが、実際には、検査結果が出た後、陽性であることがわかった人に対しての隔離ができておらず、パリ在住の日本人で、検査の結果、陽性と診断された人が、検査機関の人から、「マスクをすれば外出していい」と言われて、逆に困惑した・・という話も聞いています。

 陽性患者が出歩いているのでは、なんのための検査かわかりません。

 一先ず、この夜間の外出禁止措置を最低でも4週間、もしくは6週間を行い、感染状況が改善されれば、元に戻すとしていますが、このままでは、この外出禁止と解除を繰り返すのみです。

 今回のマクロン大統領の会見は、夜間のロックダウンという厳しめの発表をしたにも関わらず、フランスの現状を明確に認めず、負けず嫌いでプライドばかりが高い、いかにもフランス人なところ、しかし実のところは、あまあまなところが全面に表れている先行き不透明な印象が残る会見でした。

 

<関連>

「フランス人のプライド」

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2020年10月14日水曜日

無料で受けられるフランスのインフルエンザのワクチン

  


 数日前に、セキュリテ・ソーシャル(Sécurité Sociale・国民健康保険)から、インフルエンザのワクチンへのご招待の通知が届きました。これは、いつ頃からだったか? 毎年、送られてくる「インフルエンザのワクチンを受けましょう」という案内です。

 フランスでは、この案内状を薬局に持っていけば、無料でインフルエンザのワクチンを受けることができます。

 毎年、フランスでは、200万から600万人がインフルエンザウィルスの影響を受けており、特に肺炎を発症したり、既存の慢性疾患が悪化する可能性の高い虚弱体質の人々は、インフルエンザは深刻な病状に陥るケースが多いのです。

 昨年のインフルエンザのシーズン中に、フランス公衆衛生局が重症インフルエンザの症例の統計をとったところ、集中治療を受けた人の4分の3がリスク要因(年齢、慢性疾患、妊婦、肥満)に当てはまる人であり、そのうちワクチンを受けていたのは、3分の1未満でした。

 ワクチンが推奨され、優先されるのは、65歳以上の人、慢性的な疾患(呼吸不全、心不全、糖尿病、腎不全、喘息、閉塞性肺疾患など)を持つ人(大人と子供)、肥満の人、妊娠中の女性、6か月未満の乳児および免疫力の低い人々の側近としています。

 今年は、コロナウィルスの感染状況が悪化していることもあり、昨日、インフルエンザのワクチンのサービスが始まるとともに、薬局には、ワクチン希望者が例年より多く、殺到し、薬局では、ワクチンの再注文に追われています。

 私のところにも、この案内状は、毎年、欠かさず送られてきていますが、私は、これまでワクチンを受けたことはありませんでした。

 私は、以前、アフリカに行く前に、アフリカに行くために義務化されていた黄熱病のワクチンを打った際に、死ぬほど怠く、辛い思いをしたために、それ以来、ワクチンというものが恐ろしくて、ずっと避けて通ってきたのです。

 あのいいようもない、身の置き場のないだるさは、忘れられません。

 しかし、今年は、一応、私には、心疾患もあり、さすがにちょっと打っておいた方が良いかもしれないと迷っています。

 さすがに黄熱病のワクチンとインフルエンザのワクチンとでは、違うとは思いつつ、私にとっては、ちょっとしたトラウマです。

 現在のパリでは、集中治療室の40%以上がコロナウィルス患者で占められている状況、この上、インフルエンザにかかって、重症化した場合にインフルエンザ用の病床が残っている保証はありません。

 今年は、感染に気をつけた生活を送っているために、いつも以上にインフルエンザも回避できている可能性も大きいのですが、万が一、かかってしまった場合のことを考えると、ワクチンを打っておいた方がいいのかも・・とも思っています。

 政府もこのインフルエンザの季節を迎えるにあたって、コロナウィルスの患者に加えて、インフルエンザの患者が医療崩壊を起こすことを恐れ、ワクチンも例年の20%増の生産体制を敷いていますが、早くも生産が間に合わない状態が起こっています。

 今年ばかりは、10人に4人が希望していると言われているインフルエンザのワクチン、コロナウィルスの恐怖がインフルエンザへの恐怖をも煽っています。

 我関せずで、相変わらず感染対策をリスペクトせずにいる人々も多数いるフランスには、同時に、コロナ禍の中、両方のウィルスを恐れて、インフルエンザのワクチンに群がる人もいることに、なんともわりきれない、もどかしい思いがするのです。


<関連>

「絶対に入院したくないフランスの病院」 

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2020年10月13日火曜日

フランス人は、マスクさえしていればいいと思っている・・フランスで感染が拡大する理由



 

 ここ1ヶ月ほどで、コロナウィルスが急激に感染拡大しているフランス、もはや、一部では、コロナウィルスの話題は、流行遅れ・・とでも言いたげな風潮もあります。「いつまで、コロナウィルスのニュースを一喜一憂して見ているのか?・・」「まあ、頑張ってみてれば・・」みたいな感じです。

 新規感染者が1万人〜2万人といっても、もはや、その数字に慣れてしまったのか? まるで、その驚異的な数字がほとんど彼らには、響いていないことを街の人の様子に感じます。

 一体、どこからそんな、余裕が生まれるのか? 余裕と言うよりは、現実から目を逸らしたいのかもしれません。

 バーやジムが閉鎖されたとはいえ、マスク着用が義務化されているだけで、ほぼほぼ、普通の生活を送ることができていることから、緊張感がまるで感じられません。(マスク着用の取り締まりもほとんど見かけることはありません・・次々と他に起こる凶悪事件などで、警察もそれほど暇ではないのです)

 検査数も拡大され、検査の陽性率が11%を超えたとはいえ、その11%の人々には、症状のない人も多く、陽性者の隔離生活が徹底されておらず、「マスクさえしていれば、いいでしょ!」とばかりに検査で陽性になった人も普通に外出している例が少なくありません。

 これでは、何のための検査なのか?わけがわかりません。フランスで感染が拡大するのも当然です。マスクを嫌悪しているくせに、マスクさえしていれば、それで全てが解決するかのような安直なご都合主義には、閉口してしまいます。

 マスクさえしていれば、外出してよい・・と自分で判断して、そのとおりに行動してしまうところが怖いところですが、これには、フランス人の仕事に対する認識の仕方にも起因していると思われます。

 例えば、フランスでは、学校の先生の仕事は、学校で勉強を教えること、それ以外の私生活の指導などは、しません。学校を一歩出れば、あとは、生徒が何をしようと先生は知ったことではない・・と言うのが、フランス人の仕事に対する認識です。つまり、フランスには、金八先生は、いないのです。

 生徒にも掃除当番や給食当番なるものもなく、学校の掃除には、掃除の人がおり、学校のキャンティーンには、給仕の人がいるので、生徒が掃除をしたり、食事を配ったりすることもありません。

 それと同じように、検査機関の人は、検査をして、検査結果を通知しますが、その結果によって陽性となった人に対しても、その後の生活に関する特別な指導はしないのです。検査機関の仕事は、検査をして、結果を通知するまでなのです。

 陽性者の隔離生活を管理、指導するのであれば、それは、また別の人の仕事で、検査機関の関知することではないということです。検査後の陽性者の管理が今のフランスのコロナウィルス対策には、抜けているのです。

 普通の仕事をしていても、フランス人はよく、「それは私の仕事ではない」と言います。ですから、余計な仕事を抱え込むことはありません。

 せっかく検査をしているのに、これではザルで水をすくうような状態で、マスクさえしていればいいと、陽性になった人も街を出歩いているのです。

 現在、海外在住者の多くが、日本に一時帰国するのを断念しているのは、日本に入国後、公共交通機関を利用することもできず、その上、2週間の隔離生活を強いられることから、滞在予定プラス2週間の予定を取らなければならないことを考えると、二の足を踏んでしまうのです。

 たとえ、検査で陽性にならなくとも海外から入国した人は、外出できない日本と比べたら、陽性になっても大腕を振って普通に外出するフランスのコロナ対策は、ザルです。

 夏の間と比べるとコロナウィルスが活発に動き、一度付着したコロナウィルスが生存する期間も長くなっています。

 CSILO(Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation)の研究結果では、携帯電話に付着したコロナウィルスの生存期間が気温30℃の状態では、7日間だったのが、気温20℃に下がると、少なくとも28日間は生存し続けるという研究結果を発表しています。

 今朝、出かけたら、もう吐く息も白く、気温もどんどん下がっているフランスです。フランスの病院関係者は、10月末には、かなり深刻な状況になることを危惧しています。

 今週半ばには、新たな感染対策がマクロン大統領から発表されることになっているそうですが、この陽性者が自由に動ける状態をなんとかしなければ、それはザル対策に違いありません。


<関連>「フランス(ヨーロッパ)でコロナウィルスが広まる理由」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_19.html

2020年10月12日月曜日

マスクの功罪 マスクのおかげでハンサムな男の子が増えた

 

                北斎柄の生地のマスクをしている女性


 フランス人の挨拶には、スキンシップが伴うことが多くて、見ず知らずの人はともかく、少し親しい人とは、ビズーといって、左右の頰を相互に合わせて、チュッチュッと挨拶をします。ビズーの習慣には、いつまでも慣れなくて、今もあまり好きではないものの、親しみを表す挨拶であることには違いなく、ある程度、その人との距離感の判断基準の一つにもなっています。

 また、仕事で人に会う時などでも、初めて会う人などでも、ビズーとまではいかなくとも、少なくとも握手をしたりすることで、少し打ち解けるアクセルになったりもするので、私は、まず最初の挨拶をするのに握手をすることが多いです。

 背筋を伸ばして、握手をしながら挨拶をしている人の様子は、なかなかスマートで、私は、フランス人の習慣の中で、なかなか気に入っている習慣のひとつです。

 ところが、現在は、ビズーどころか握手もできず、おまけにマスクをしているために、相手の表情を見るのが難しく、自ずと相手の目をしっかりと見て会話をすることが増えました。

 目は口ほどにものを言いと言いますが、相手の眼差しだけで表情を読み取り、また目だけで感情を表現するのですから、日頃、スキンシップや、ともすると、フランス人の大げさとも思える表情に助けられていた人との関わりが希薄になった気がして少し寂しい気がするくらいです。

 今は、あまり初めて会う人と接する機会もないのですが、スタージュを始めて、新しい職場で働き始めた娘は、初めて会った時からマスク姿の人ばかりで、逆にマスクを外すと誰だかわからなくなる、人と親しくなりにくい、という少々、新しい環境に打ち解けるのに難しい状況を余儀なくされています。

 マスクを忌み嫌っていたフランス人も、現在は、さすがに公の場では、ほとんどの人がマスクをするようになりましたが、基本的にマスク嫌いであることに変わりはありません。フランス人にとっては、マスクは病気を予防するものというより、病気そのものを連想させるイメージをもつもので、いわゆる普通の白いサージカルマスクではなく、別の色の布のマスクをしている人も少なくありません。

 むしろ、マスクを利用して、今の季節は、コートやマフラーの色と上手に合わせて、おしゃれを楽しんでいる人もいます。

        

               マスクも洋服とコーディネート


 しかし、このマスクも悪い事ばかりではありません。

 ここのところ、メトロに乗っていると、何やら最近は、ハンサムな若い子が増えたな・・とぼんやりと思っていたら、それは、どうやらマスクのおかげ?だったことに気がつきました。鼻から下が隠されただけで、人の印象がこれほど変わるのには、ビックリです。

 フランスに来た日本人観光客の人と接する機会があると、「ご主人は、フランス人ですか? えっ??フランス人!!ステキ!!」などと言われることが多いのですが、決してステキでも何でもなく、正直言って、私は、フランスに来て、20年以上、「うわっ!ステキ!ハンサム!」と思った人に出会ったのは、たった1度だけ・・(これは、私の生活環境が恵まれていないこともあるかもしれませんが・・)、通勤途中に、ほんの一瞬すれ違った人だけで、その後、その人とも二度とすれ違うこともありませんでした。

 フランスでも、ステキな人は、なかなかいないものなのです。

 それが、ここのところマスクのおかげで、ハンサムな男の子を結構な頻度で見かけるようになったのです。実際のところは、別として、なかなかその場、その瞬間は、楽しめるもので、最近のメトロの中では、新しい密かな楽しみになっているのです。

 いい年をして、ハンサムな男の子を見てニコニコしている私の表情は、マスクに隠れて、私のこの密かな楽しみは、バレることがありません。


<関連>「・・・フランス・マスク論争ふたたび」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/07/blog-post_17.html 

2020年10月11日日曜日

1日の新規感染者数2万6千人突破 感染拡大が止まらないフランス


 ここ数日、夜に発表される1日の新規感染者数は、毎晩、想像を上回る数字で、これでもかというくらい驚かされます。まさに思わず息を呑んでしまう・・そんな感じです。

 もう1万人を超えたあたりから、だんだん、もう驚かないな・・などと思っていたのですが、先週の水曜日に1万8千人を超えて、さすがにビックリしたと思ったら、みるみる数字は上がっていき、一昨日は、とうとう2万人を突破・・と思ったら、昨日は、26896 人と、ほぼ2万7千人です。

 もはや数字に対して麻痺してきたと思いつつも、これが1日(24時間)の感染者数ですから、もう、ちょっとどう受け止めたらいいかわかりません。

 他の国と見比べてみても、ヨーロッパでは、もちろん、ダントツ1位、フランスの上を行くのは、もはや、インド(60686人)とアメリカ(31990人)だけです。(1日の感染者数)

 しかし、実際には、アメリカの人口は、フランスの5倍もあり、インドにあたっては、20倍の人口を抱える国で、人口に対する1日の感染者数を見れば、フランスは、事実上、世界一、感染が拡大している国なのです。

 こうして見ると、私は、なんて恐ろしい国に住んでいるんだろうと思います。

 先週から、フランスでは、パリをはじめとする数都市が最大警戒地域に指定され、バーやスポーツジムの閉鎖や大学などに対する制限を強化していますが、そんなそばから、60平米のアパートで若者150人がパーティーで大騒ぎしているニュースが流れたり、バーを閉店しただけでは、追いつかない意識の低い人々の存在が感染を拡大させているのです。

 しかも、こんなに深刻な状況にも関わらず、まだまだ政府の対応も国民の意識も低く、逼迫してきている病院の状況にも、ICU(集中治療室)は、1万床以上拡大できる準備があるなどと発表しています。

 しかし、実際の病院の状況は、すでに入っていた手術の予定を延期するなどの措置を取りながら、病床を開け始めている状況で、他の病気の人を押し退けなければ、病床を増やせない事態。

 昔の日本の映画で、「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」というセリフがありましたが、政府と病院の実態のズレは、まさに、そんな感じなのではないか?と思います。

 実際に、ベッドや機械だけが用意できても、それを活用するには、人手が必要であり、3月から続いているこのコロナの対応で、医療従事者の疲労も不満も募りまくり、慢性的な人手不足の状態。

 その上、日本に住んでおられる方は、「また??」と呆れ返るかもしれませんが、フランスは、あと一週間もすれば、またバカンス(Vacance de la Toussaint)に突入し、現在のところ、政府からは、都市間移動制限の話は、出ていません。

 制限しなければ、必ず、バカンスに出かけるフランス人。何も制限をせずにいれば、今後も感染者記録を3万人、4万人と増やしていくことになりかねません。

 同時に、フランスで、感染回避のために行なっていると思われることでも、間違っていると思われることも、生活のあちこちで見当たります。

 先日、行った歯医者さんでも、診察の際に身につけさせられたプラスチックのガウンや頭につけるキャップが使いまわしだったり、手を洗った後に使うハンドドライヤーが未だに使用されていたり(菌の拡散に繋がる)、地べたに座り込んだり、荷物を平気で地べたに置いたり・・日頃の衛生観念の欠如と緊張感のなさが目につきます。

 今回の感染拡大は、間違いなく、すでに感染拡大の第二波に乗ってしまい、波は上昇を続けていますが、第一波と違って、対処の方法がある程度、わかっているから第一波のような悲惨な状況に陥るとは考えにくい、と政府は発表しています。

 しかし、逆に、第一波がある程度、限定した地域のみの感染拡大であったために、比較的余裕のある地域から応援部隊が飛んで行ったり、患者を移送したりすることが可能だったのに比べて、今回の感染拡大は、広範囲に渡っているため、他の地域から応援に行くということも不可能で、呼吸器等の機械があっても、人手不足のために稼動できません。

 最大警戒地域などを指定しても、実際のところ、社会が動いている状態でのロックダウン時のような緊張感をフランス国民が感じるのは、とても難しいことで、今から思えば、フランスは、ロックダウン解除の仕方を大きく間違えていたと思います。

 今となっては、一度、緩んでしまった緊張感がフランスに戻ってくるのは、本当に医療崩壊を起こすような状況になるか、軍でも出動して、再び取り締まりを行うか、罰則をもっと厳しくするか・・どちらにしても、当分、明るい兆しは難しそうなフランスの雲行きです。


<関連>「コロナ禍中のフランスの歯医者」

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