
サン・ジャン・ド・リュズ(バスク地方)の高校で、授業中に16歳の少年が教師を刺し殺すという衝撃的な事件が起こりました。 事件は、まじめで穏やかな校風で知られる静かな私立のカトリックの高校のスペイン語の授業中に起こったことで、事件を起こした少年は、授業中、突如として席を立ち、おもむろに出入口であるドアを塞いだのち、無言で教師に近付き、紙に包んで用意していた刃渡り20㎝ほどの大きなナイフを胸に突き刺したと言われています。 現場にいたクラスメイトの証言によると、事件を起こした本人は、ひどく落ち着いていたものの、教室内はパニック状態になり、悲鳴が響き渡り、この少年がドアを開けるまでは、どうしたらいいかわからず、凍りついていたものの、彼がドアを開けるとともに、みんなが我先にと逃げ出し、慌てて、窓から飛び降りて逃げようとする生徒までいた模様です。 彼は警察に身柄を拘束される前に学校で、「何ものかに憑依され、とりつかれて犯行に及んだ」というようなことをつぶやいていたそうですが、同時に、「これで人生がめちゃくちゃになってしまった」というようなことも話していたと言われています。 少なくとも、これまでに、このスペイン語の授業の間にこの教師と生徒の間に問題が起こったことは一度もなかったと言われているため、ますます不可解な事件であるとも言えます。 この少年は、明らかに知的で勤勉な少年で成績もよく(スペイン語以外)、いわゆる警察や学校からマークされるような不良少年ではなく、ビデオゲームや友人との外出など、同年代の若者として典型的な行動をしていたとクラスメイトは証言しています。 しかし、一面では、他人との関係がぎこちなく、精神的に不安定な傾向にあり、うつ病の病歴があり、昨年10月に薬物による自殺未遂の、抗うつ剤を服用していたようです。 このような、未成年、異常な行動による犯行の場合は、精神鑑定により、その責任能力が問われることになりますが、身柄拘束後の検察による1回目の精神鑑定によると「統合失調症型の精神疾患は認められず」、「急性精神疾患による脱力感も認められない」と診断されているものの、1年前からうつ病の要素があることも判明しています。 どちらにしても、彼が自分自身で用意して、犯行に及んでいることは、明らかなことで、計画的な殺人事件として、捜査が進められていきます。 この少年がいわゆる常日頃から素行の悪いいわゆる不良少年ではないことは、かえって事件を複雑にしているようなところがあり、犯行動機というものは、成績優秀な彼が唯一苦手な教科がスペイン語であったということくらいしか見当たらないのですが、まさか苦手な教科の教師だから殺すということも考え難いことでもあります。 しかし、多くの人の目の前で行われた殺人は、冷静に、なんのためらいもなく、ひと突きのみで確実に致命傷をおわせたものであることはなおさら、恐ろしく感じられます。 こうなると、被害者の53歳のスペイン語の教師の人となりが注目されるのですが、これまたちょっと聞いたことのないような評判のよい先生で、「並外れて献身的な人・・」、...