2023年1月27日金曜日

フランスの刑務所は超満員、受刑者数はちょっと減少したらしいがその理由が怖い

 


 幸いなことに、全くご縁のない刑務所という施設ですが、フランスでは犯罪に遭遇(といっても、スリとかひったくり、せいぜい強盗??・・くらいですが・・)する機会はやはり日本よりは多く、しかも、簡単な窃盗の類では、ほぼ、事情聴取、調書を取られるくらいで釈放されてしまうので、フランスで刑務所に収監されるということは、よほどの場合なんだろうな・・という認識がありました。

 一度、万引き集団(若者たち)に出くわしたことがあって、お店の人が警察に通報して。お店に警察官の一団がやってきて、抗う若者たちを取り押さえて、後ろ手に手錠をかけたりしているのを目にして、なんだか殺伐としていて、やることが派手だな・・と思っていました。

 その時に、同行していた警察官に「この子たちはどうなるんですか?」と尋ねたら、「身元を確認して、調書を作って、家に帰します」と言われて、「えっ?それだけ?」とビックリしていたら、逆に警察官にビックリし返され、「あなたはそれ以上にどうしてほしいの?」と言われて、ダブルに驚いたことがありました。

 なので、変な話、フランスで刑務所に入るには、かなりハードルが高いと思われるのですが、にもかかわらず、刑務所はいつも超満員で、2023年1月1日現在の受刑者数は72,173人(日本の受刑者の約2倍(フランスの人口は日本の約2分の1))で若干減少した・・と言われています。

 しかし、フランスでの犯罪が減少しているはずはなく、2022年11月、12月と過去最高記録を更新し続けた挙句の若干の減少で受刑者数がかなり高い人数であることに変わりない中での若干の減少ということらしいです。

 そして、前述したように、フランスでの収監は狭き門?でありながら、刑務所は常に不足状態であり、全体の刑務所密度は119%、150%を超える刑務所は56ヶ所あります。6つの刑務所では稼働率?が200%以上に達しているそうです。

 フランスは3年前に欧州人権裁判所(ECHR)から、慢性的な刑務所の過密状態を指摘され、歴史的ともいえる非難を受けました。この記録的な稼働率を改善するために、政府は新しい刑務所の建設と仮釈放の延長による効果を期待しているのだそうです。

 1月1日以降、これによって懲役2年以下、刑期3カ月未満の受刑者の早期釈放が可能になりました。2021年4月からの試算では、6,000人の受刑者がこの仕組みの影響を受けるとされています。

 新しい刑務所の建設はともかく、早期釈放が刑務所の過密回避の対策というのは、どうにも恐ろしい話で、「それは、あまりに安易で、解決策ではないだろ!」・・と思います。

 以前、パンデミックが始まったばかりの頃に、刑務所内での感染拡大のために、一部受刑者を釈放・・ということがあり、「ちょっ・・ちょっ・・と待ってよ!」と思ったことがありましたが、今回もまたそんな気持ちです。

 特に性犯罪者、DVなどの暴力犯に関しては、マスコミを騒がすような重大事件などでも、よく「つい数ヶ月前に出所したばかりだった・・」とか、釈放後、追跡用のプレスレット(電子タグ)の監視が充分にできていなかった・・などという話が浮上することが多い気がするので、一般市民の安全が脅かされる可能性があるのです。

 そもそも、犯罪者にもかかわらず、収監に至るケースが日本などに比べるとかなり低いうえに、懲役2年以下、刑期3カ月未満の受刑者の早期釈放というのは、全く理解しがたいことです。

 ここで、チラッと日本の刑務所問題を見てみたら、一般社会同様、刑務所内の受刑者の高齢化が問題になっているようで、下手をすると、介護施設?と思われるようなところもあるようで、それはそれで、ため息が出てしまう感じです。

 また、一時、カルロスゴーンの逮捕の際にフランスにも日本の刑務所内の受刑者への厳しい扱いは常軌を逸しているとフランスでも話題になりました。

 フランスの刑務所と日本の刑務所、それぞれのドキュメンタリーを見たりすると、それぞれ全く別の恐怖にかられます。

 しかし、とりあえず一般社会の生活を脅かす人について、少なくとも刑務所のキャパの問題で解放してしまうことは、やめていただきたいと思うのです。


フランスの受刑者数


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2023年1月26日木曜日

PICARD(ピカール)の日本食メニュー開発の努力と微妙なズレ

 


 フランスの冷凍食品メーカー・ピカール(PICARD)が日本に上陸して久しくなりますが、日本に一時帰国したりした際には、わざわざピカールに買い物に行くことはありませんが、たまたま出かけた先でピカールの店舗を見かけたりすると、日本のピカールには何が売っているのだろうか? いくらくらいで売っているのかな?と、思いつつ、ちょっと、ひやかし半分に覗いてみたりもします。

 いつだったか、青山あたりを歩いていて、ピカールのお店を見つけて入ってみたら、フランス人の店員さんがいて、なんだか日本のピカールでフランス語で話ができたことがちょっと嬉しい妙な気分を味わったこともありました。

 ピカールはフランスの冷凍食品専門のお店ですが、一般的にスーパーマーケットで売っている冷凍食品よりも若干、高めの価格設定ですが、それなりにクォリティーも高く、まあまあ、そんなにハズレもない印象ですが、さすがに日本のピカールの値段を見ると、フランスでの値段にプラスアルファのせられているので(輸入品だから仕方ないとは思うけど・・)、ちょっと驚きの値段で、これでも売れているのか?とビックリします。

 私が、普段、フランスのピカールで買うものは、どちらかというと野菜や魚などの素材の方が多いのですが、その定番メニューともいうべく、お料理されたものやお菓子類なども、フランスのメーカーにしては、新製品が登場する割合が高いので、けっこう興味深く、行くと必ず店内を一回りして、新製品やセール品などをチェックします。

 そんな中でも特に興味深いのは、日本食メニューで、日本食ブームと言われてからは特に、かなり日本食メニューの開発には力を入れているのだろうな・・という印象です。

 しかし、日本人の目からしたら、努力はわかるが、「惜しい」!というか、「ちょっと、どこかがズレている感じ・・」と思うものが多く、だいたい値段に見合う内容とも思えないので、ほとんど買ったことはありません。

 さすがに本家フランスのピカールの商品でも日本のピカールでは絶対、販売しないであろうフランスのピカールの日本食メニューをここで少しご紹介します。


チーズの牛肉巻き串焼き


 このチーズを牛肉の薄切りで巻いた串焼きは、かなり前からピカールにある商品ですが、これは中国人がやっているチェーン展開のお寿司屋さんには必ずある焼き鳥の盛り合わせの中に混ざっているもので、焼き鳥のタレで味付けてありますが、ほぼ、肉というよりもチーズですが、フランス人には人気のようです。

 

スープ ラーメン

 「スープ ラーメン」という名前はスープ扱いなのか、ラーメン扱いなのか、疑問ではありますが、醤油とショウガのブイヨンと書いてありますが、このどうにもふやけた様な麺には、どうにも食欲をそそられません。

 

鶏そぼろ丼


 「鶏そぼろ丼」肝心の鶏そぼろがあんまりのっておらず、そう言われてみれば鶏そぼろ?という感じ。鶏そぼろに添えられていることが多い炒り卵が人参になっていて、青物に枝豆が使われているところは、不思議ではありますが、枝豆は、フランスでも、最近、少し知名度があがり、似非日本食屋さんなどの丼ものには、枝豆が使われることが多い気がします。

 

バオ バーガー カツ

「バオ バーガー カツ」バオがなぜ日本食とされているのかは不明ですが、カツ(チキンカツ)、しかもカレーソースが使われているところで、カツカレー=日本というカテゴリー入りしているのかもしれませんが、謎な商品

 

お好み焼き

 ちっちゃいお好み焼きの4個セット しかし、なぜかバーベキューソース、お好み焼きソースをバーベキューソースと呼んでいるのかは、不明


おにぎり2個 野菜の照り焼き

 最近、登場したとばかりのおにぎりセット、しかし、ベジタリアン向けなのか?具は野菜の照り焼きという不思議なもの、しかも、すごく小さいおにぎりで、一般的なおにぎりが120g程度なところ、これは2つで160g。

 
ミニ餃子

 餃子もまた、フランスで急激に広まった食品であり、普通のスーパーマーケットなどでも、味の素の冷凍餃子などをかなりの頻度で見かけるようになりましたが、ピカールの餃子は、それらの餃子と少々差別化を狙ったのか、餃子の中身はチキン、枝豆、コリアンダー、しかもポン酢で・・という組み合わせの仕方が、なかなか絶妙で、オリジナルです。

 
BENTO

 今回、見かけたものの中では、一番、まともそうな「BENTO」弁当、鶏のから揚げ、なすのしぎ焼き、インゲンの胡麻和え、これで6.50ユーロ(約910円)、しかし内容量350gとかなり、量は控え目です。

 この他にも、まだまだ日本食とされている商品はたくさんあるのですが、どれも、「惜しい!」というか、なぜか若干の絶妙なアレンジが加えられているものが多く、次から次へと新メニューが登場しているのを見ると、日本食商品開発にはチカラを入れて頑張っているのだなぁと思いつつ、もう少しのところで違っているというか、残念な気がして、結局は、自分で作った方がいいな・・と思ってしまうのです。

 しかし、考えてみれば、日本にあるフランス紛いのものにも、ちょっと違うけど・・(特にお店の名前とか、フランス語が使われていることも多いわりには、間違いも多い)というか、日本風にアレンジしているのかな?と思うものも、けっこうあるわけで、なにもホンモノばかりがウケるとは限らないので、ピカールの日本食はそんな意味では、なかなか、ユニークなものが出てくるのが楽しみでもあります。
 
 でも、すごく基本的なところで、パッケージの写真上のお箸が揃えて置かれていなかったり、ひどいとお箸が1本だけだったりするところに、妙な気持ち悪さを感じたりもします。

 ピカールが日本で結構、人気なように、日本食ブームのパリで、ニチレイなどの日本の冷凍食品メーカーがピカールのような店舗を展開してくれたら、そのクォリティーにしても、メニューのバラエティとしても、ずっと素晴らしいだろうし、すごく人気になるだろうにな・・と逆展開も夢見たりしています。

 
PICARD(ピカール)日本食メニュー


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2023年1月25日水曜日

フランス人のディベートの凄まじさ

  


 もともと口が達者で議論好きなフランス人は、一般市民に関しても、知人が集まって、喧々囂々と議論に花をさかせている場面をみかけることも少なくありません。

 人の話を聞くというよりも、いいたいことを言い合う感じで同時に複数の人が話し続けて、人に話を譲らず、はたから見れば、ケンカしているの?と思うほど、熱が入っていきます。

 そういう議論(というか言い合い)にどうにも慣れない私としては、そういう場面はごめん被りたいし、そんな場面では、私などはとても口をはさむ余地もないし、ハラハラさせられるばかりであまり好きではないし、ものすごい言い合いをして、その後、その当事者たちが険悪で気まずくなったりしないか?などと余計なことを思ったりするのですが、たいていの場合、議論は議論、それはそれ・・で、意外とそのあとは、ケロッとしているのも不思議な感じがします。

 現在のフランス人の最大の関心事は間違いなく、年金改革問題なのですが、一般市民の中でもこの件に関しての議論がさぞかし行われていることだと思いますが、テレビの報道番組などでも、政治家を招いてディベートの様子を公開する番組などが組まれています。

 先日のディベートには、マクロン大統領の側近の政府のスポークスマンと、それに反するグループの議員の代表3名のディベートが生放送されました。

 最初は、それぞれが話している時間がカウンターで示され、だいたい均等に発言ができるようになっているのですが、議論がヒートアップしてくるにつれて、同時に話続けるというまあ、フランスでのディベートとすれば珍しくない現象が起こり始め、それぞれのタイム(発言時間)のカウントは計測不可能な感じになってきます。

 今回の年金問題に関しては、最初に発言を始めた女性が先制パンチを食らわせた感じで、大臣に向かって「年金改革問題に関しては、国民の80%が反対している。あなたは圧倒的な少数派、孤立状態だ」と話し始め、立場に忖度することなく、勢いよくディベートが始まったのでした。

 まぁ内容については、ことさら新しいことはないのですが、今回の年金改革は、女性に対して、よりペナルティが多くかかるようになっているとか、健康寿命の話まで持ち出して、2年の定年延長は、定年後の人生を奪うことになるとか、年寄に長く働かせることは、フランス全体の生産性を下げることになる・・とか、それぞれに様々なデータを示しながら、激しく議論(言い合い)をするのです。

 こういったディベートに参加するには、よほどの自分の理論をしっかりと構築していなければならず、相当な理論武装の準備をしていると思いますが、ハッキリ言って、これは、ある種のスポーツだな・・と思うのです。

 それぞれに、ああ言えば、こう言う者同士の応戦は、その言葉の選び方から、間合いやタイミング、語調や勢いなど、あらゆることが戦況を変えていく感じで、頭の回転が良いことはもちろん、その人々の持っている熱量が測られる場であることも感じます。

 このようなディベート番組に登場する人は、それなりの理論構築をしていますが、フランス人は、一般的に内容や人にもよりますが、このディベートの熱量はレベルの差こそあれ、また、理屈がまったく通らないことでさえも、変わらず主張し続ける印象があります。

 しかし、政治の場面に関しては、政治家がこのようなテレビのディベート番組に出演して話をすることは、少々、荒っぽい感じはありますが、日本のように、いつの間にか、政府が勝手に重要な事項を決定してしまうような状況から比べれば、余程、健全であるような気がします。

 この中の登場人物の一人は、「年金改革に対しての国民投票」を提案していましたが、国民投票を行えば、必ず却下されると思うので、政府は改正案を提案せざるを得ないことになると思います。

 前回の年金改革反対のデモは100万人規模の動員になりましたが、次回は1月31日に大規模なストライキを含めた大規模なデモが行われる予定になっており、また2月以降の冬休みのバカンス時期を狙ったストライキの予定なども続々、発表されています。

 このような番組を見ていると、今回の年金改革の騒動は、そう簡単にはおさまりそうもないことをひしひしと感じます。

 併せて感じるのは、日本でも、このような場面が少しは見られるようになればいいのに・・ということです。


年金改革 フランス人のディベート


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2023年1月24日火曜日

パリ11区で警察官発砲事件で男性1名死亡

  


 日曜日の夜、パリ11区レピュブリック広場近くのレピュブリック通りとトロワ・ボーン通りの角で偽物の拳銃を持って脅しをかけてきた(といわれている)男に対してパトロール中だった警察官が発砲し、銃撃を受けた男性が死亡しました。

 現場に居合わせた人の証言によると、男は、最初は犬に対して拳銃を向けて脅していたといい、警察官によれば、その後、警察官が近寄ってくると、男は警察官に銃を向けてきたところで、警察官2人が4発(一人が1発、もう一人が3発)発砲したと言われています。

 警察官が発砲し、男が倒れた時点で私服の男性がすぐに心臓マッサージを始めたという証言があるようですが、この心臓マッサージをした男性が警察官かどうかは確認されていません。

 撃たれた時点で、この男は被害者、警察官が加害者となったわけですが、被害者は死亡しているので、当然、被害者の証言が得られることはなく、警察官側の言い分と周囲の目撃証言のみによる検証しかできないことになります。

 ましてや被害者が持っていたのは本物の拳銃でもなく、当初には拳銃を犬に向けて、犬を脅していたというのですから、なんだか子供じみているというか、彼の行動には、警察官に射殺されるほどのものであったのかどうか疑問が残るところです。

 昨年、起こった警察官発砲事件では、少なからず死亡者が出ているうえに、本当に発砲の必要があったのかどうかと思われる事件も少なくありません。

 この事件はパリ司法警察に委託され、「公権力者の殺人事件」、「殺意のない意図的な暴力」で捜査が行われることになっています。

 今年に入ってから聞くのは2度めの警察官の発砲事件ですが、ここ数年、警察官の発砲事件は、定期的に耳にするようになっており、今回の事件現場などは、パリの街中で人通りも少なくない場所での出来事で、ゾッとさせられます。

 この手の事件が起こるたび、警察官発砲事件として、報道されるものの、その後は、司法警察の捜査が行われる・・というところまでで、その後、発砲した警察官がどう扱われたのかに対してまでは報道されないのですが、もしも、なんらかの刑罰が下れば、当然、報道されるところ、それがないということは、そこそこの措置で済まされているような気がします。

 警察側が命を張って仕事をしているのはわかりますし、治安が悪くなっていることも事実なので、緊急事態に際して、容疑者を無力化するというのはわからないではありませんが、こうも簡単に容疑者を殺してしまうということがしばしば起こることは、容認できない気もします。

 ましてや、事前には、わからなかったにしろ、この被害者が持っていたのは、ほんものの拳銃ではなかったわけで、当然、彼は発砲もしていなかったのです。

 フランスは死刑制度を強く非難し、今の時代の人権問題に死刑などあり得ないようなことを堂々と言っていますが、死刑もなにも、こうも簡単に警察官が発砲し、裁判以前に容疑者を殺してしまうことに、大きな矛盾も感じます。

 私は日本の死刑制度に対しても、少なくとも、議論が必要なことであるとは思っていますが、フランスでの警察官の発砲事件に関しても、見直しと指導が必要であると思っています。緊急に、犯行を止める必要があったとしても致命傷になる発砲にならないようにする努力は、必要なのではないかと思うのです。

 フランスは治安の改善対策として、警察官の大幅増員を計画していますが、警察官に発砲されて殺されてしまうのでは、必ずしも安心ともいえません。しかも、公的な絶対的な権力に守られた人間の発砲ということで、軽く扱われてしまうことは、とても恐ろしいことです。

 

パリ警察官発砲事件


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2023年1月23日月曜日

現在の日本のコロナウィルス対応についてフランスで報道されていること

  


 今、ネットでコロナウィルスと検索すると中国のニュースがズラリと上がってきます。

 中国疾病予防管理センタ(CDC)の発表によると、中国側は現在、1週間の病院での死亡者が13,000人としているようですが、これには、自宅等、別の場所で死亡した人の数は含まれていません。しかも、この数字は、感染対策規制が緩和されたことを受けて、かなり控え目の数字におきかえられていると他国の専門家たちは分析しています。

 もともと、中国の発表する数字はどこの国でも信用していない様子で、イギリスの医療分析会社エアフィニティによると、中国では旧正月休みの間、1日のコロナウィルス感染死亡者数が約3万6千人に上ると予想されています。また、同社は、中国が12月に規制を解除して以来、60万人以上がこの病気で死亡したと推定しています。

 フランスにしても、この中国の感染拡大には、警戒を続けているものの、フランス国内でのコロナウィルス感染に関しては、フランスならではの問題が浮上・・ここでも、検査機関のストライキの影響で、正確な数字がつかめていませんが、日常生活自体においては、国による規制は、医療施設などの一部の機関を除けば、ほぼほぼ通常モードの生活に戻っています。

 そんな中、日本のコロナウィルス感染に関しても、「日本はコロナウィルス感染第8波を迎えており、過去最高の死亡率を記録している!」と伝えています。

 そして、また辛口なフランスの報道では、「日本ではこのパンデミック以来、過去最高の死亡者数を記録しているにもかかわらず、日本政府は景気回復を後押しするために、コロナウィルスをクラス2から季節性インフルエンザと同じランクのクラス5に格下げする予定であることを発表しました」

 「昨年、10月に外国人観光客への門戸を開いたばかりで死亡率が過去最高を記録しているこの時期に、最新の健康規制を解除することで、経済の活性化を図ることを目的とした施策のようだが、この宣言は驚きである」と書いています。

 日本が鎖国を続けていた時には、いつまで鎖国をしているつもりなのか?と言っていたのに、鎖国をやめて感染が拡大してみれば、これでさらに規制を緩和するのは驚きだ・・などと言われるのは、心外な気もしますが、たしかに、日本政府の対応はタイミングが悪いことも否めません。

 東京オリンピックに関しても、延期をしておきながら、結局、延期する前以上に状況の悪い事態になって、ギリギリまで開催か否かが発表されずに強行開催というタイミングの悪さでした。

 中国とまでは言わないまでも、パンデミックが始まってから3年間、諸外国に比べて、かなり隔離されてきた日本で、中国とほぼ同じタイミングで過去最高の死亡率を記録したりしているのには、これまでに国民の間にどれだけ免疫ができているかということも関連している気もしますが、フランスでは、日本での死亡率の上昇には、オミクロン対応のワクチン接種率が低いことと、世界一、国民の平均年齢が高いことではないか?と言っています。

 日本は未だにマスク率が高く、政府は今年の夏には屋外ではマスクを外すように呼び掛けているそうですが、もともと必要に応じてすればよいだけの話です。

 フランスでは、一時はアンチマスクの人がいて、マスクをしていることに対して嫌な顔をする人もいましたが、最近は、必要だと思う人はマスクをし、それに対しても嫌な顔をしたり、とやかく言う人もいなくなり、マスクをしようとしまいと放っておいてくれるので助かります。

 フランスでは「みんなが同じでなければいけない」という観念がないので、規制をするときには、罰金付きなどにしなければ国民も言うことをきかないのですが、規制解除に関しては、助かるのかもしれません。


日本のコロナウィルス対応


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「「コロナがどういう形であろうと東京オリンピックは開催する」とは何と思いやりのない言葉なのか?」


2023年1月22日日曜日

パティスリーのワールドカップ SIRHA で日本が優勝した!

今回、優勝した日本チームの作品

  

 リヨンで開催されたパティスリー(洋菓子)のワールドカップと言われる SIRHA(Salon International Restauration Hotellerie et de l’alimentation)で日本のチームが優勝しました。

 このクープ・デュ・モンド・デュ・ラ・パティスリーは世界20か国からトップパティシエが参加しており、2日間にわたって17チーム(各国3人のメンバーで構成される)が10時間かけて、味はもちろんのこと、その技能や芸術性を競いあいます。

 今年は、地球温暖化をテーマに行われ、それぞれのチームが試食用のシェアデザート、アントルメ、レストラン(皿盛りデザート)、フローズンデザートなどに加えて、ビュッフェテーブルに展示するアート(飴細工、チョコレート細工、アイスクリーム(氷)細工作品が作成されました。

 日本チームは、柴田勇作さん、高橋萌さん、鈴鹿成年さんの3名で、開催国のフランスにおいても、「日本が世界のパティスリー界の頂点に立った!」と報道されています。

 昨年は惜しくも日本は2位にとどまってしまったようでしたが、今年はイタリア、フランスを抑えての堂々の優勝でした。


今回、優勝した日本チームの作品


 この大会の会長ピエール・エルメ氏は「非常に僅差の結果からもわかるように、大会ごとにレベルが上がっている。16年ぶりに再び表彰台の頂点に立った、表彰台慣れしている日本が、この第1位を授与することに、大きな感慨を覚えます」とコメントしています。

 このピエール・エルメ氏のコメントからもわかるように、日本はこの大会のトップの常連で、本家本元の洋菓子の国々を抑えて日本が優勝することは、スゴいことだな・・と思います。

 なにより、このような洋菓子をはじめとして、料理などでも日本人の活躍は目覚ましいものがあり、これは、日本人が器用であり、また職人技を追及する姿勢や辛抱強さや丁寧な仕事、また日本の食文化そのもののレベルの高さがベースにあるように思いますが、日本人が輝ける場面として、洋菓子だけでなく、職人技の仕事という国の宝が他にもたくさんあるような気がします。

 多少、うがった見方をするならば、このワールドカップの会長がピエール・エルメ氏ということで、日本でビッグビジネスを展開している彼が日本贔屓なところがあるかもしれないとチラッと頭をかすめたりもするのですが、それは、出場者に対して失礼なことです。

 私は日本人でありながら、あまり器用な方ではありませんが、しかし、一般的にフランス人が例えば、なにかプレゼントのパッケージをしたりしているのを見ていると、「もうちょっと、なんとかならないのかな?」と思うことも少なくないので、全般的に日本人というのは器用な方なのかな?と思うこともあります。

 いずれにせよ、なんだか衰退していく感が否めない日本の中で、なにか日本人が輝ける場所はないものか?などと思うことがあるのですが、このような職人技があったではないか!・・と思えた明るいニュースでした。


クープ・デュ・モンド・デュ・ラ・パティスリー 日本優勝


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2023年1月21日土曜日

日本のニューワードに疎くなる 「片親パン」の巻

  


 メトロの中で日本のネット記事を見ていたら、「片親パン」という言葉がでてきて、???となりました。

 今や海外に住んでいても、いつでも日本の記事も読めるし(yahooニュースはVPNを使わないと見れなくなってしまったけど・・)、日本人のYouTubeを見たりするので、そんなに日本語に疎くなる感じもありませんが、それでも、たまに新しい言葉だったり、表現だったりを知らなくて、長くフランスにいるからといって、ネイティブのようにフランス語を操れるわけでもなく、え~?日本語にもついていけなくなっちゃったかも??と焦るような気持ちになることがたまにあります。

 前回は、仕事で日本の雑誌への広告の文面を考えていて、編集の人に「ガーリーな・・」という言葉を使われて、「えっ?ガーリーってなに?」と焦ったことがありました。

 今回は、何の記事だったか忘れましたが、文面の中に、「親ガチャとか、片親パンとか・・」という内容があり、親ガチャは、ネット上でなんとなく、知っていた言葉でしたが、片親パンというニューワードの登場に再び、ちょっとドッキリしたのです。

 しかも、私自身は、片親で育ったわけではありませんが、私の夫は娘が10歳の時に亡くなっているので、いわば片親状態で育ったので、きっと普通以上に片親というワードが気にかかったのかもしれません。

 フランスは親が亡くなっていなくとも、両親が離婚している場合も多いので、片親家庭も日本よりは多い気もするので、片親であることをそんなに気にすることもないかもしれないと思っていたのは、私だけで、ある日、娘から「私の友達の間では、父親の話はなんとなくタブーになっている・・」という話を聞いて、普段、口にすることはなくとも、父親が早くに亡くなってしまったことは、娘にとっても周囲の友人が気を使ってくれるほどのやはり傷になっていることを思わせられたことがありました。

 まあ、考えてみれば当然のことです。

 そんなに豊かとはいえないものの、様々な援助などのおかげで、夫が亡くなったにも関わらず、そんなに経済的にひっ迫したということはなかったつもりですが、これもまた、娘が気を使って気にしていないふりをしてくれていただけかもしれません。

 「片親パン」というのは、量が多くて安価な菓子パンのことを言うそうですが、この言葉が、単なる自虐的なジョークのように使われているものなのか?その重みはわかりませんし、これらのパンを単に自分の好みで選んで食べている人もいるだろうとも思います。

 しかし、ジョークとしたら、あまりセンスは良くないな・・とは思います。

 フランスの場合は、スーパーマーケットなどで大量にパックになっているバゲットやヴィエノワズリー(パンオショコラなどのいわゆる菓子パン?の類)やブリオッシュなどもありますが、それらは片親パンというよりも大家族用?のイメージです。

 この片親パンには、経済的な問題が含まれているとは思いますが、その点で言えば、なんとなく、思い浮かぶのは、夕方、バゲットを買いに来ている少年がオイルサーディンの缶詰だけを握りしめているのを何回か見かけたことがあります。

 家の場合は、小学校を卒業するまでは、一人で買い物に出かけることもなかったし、娘があまりフランスの食べ物を好まなかったこともあり、おなかがすいたらいつでも食べられるように、我が家の冷蔵庫には娘が赤ちゃんの頃から好きだったブロッコリーを茹でたものや人参の茹でたもの(つくづく健康的なものが好きな子でした)を入れておくようにしていたので、さしずめ我が家にとっての片親パンはブロッコリーだったかな?と思います。

 値段から言えば、菓子パンもブロッコリーも大した代わりはありませんが、この片親パンには、単に安価というだけでなく、手間暇をかけないという意味もあるかもしれません。

 手間暇をかける時間の余裕もないのが片親なのかもしれませんが、現実に片親だった私が日本に住んでいたら、このパンを娘に食べさせていたかどうか?などと、やっぱり片親というワードに過敏に反応してしまうことは、やっぱり自分が普段は意識していなくても、片親であったということに何かひっかかるものがあったということを気付かせられるニューワードなのでした。


片親パン


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