2022年10月19日水曜日

バゲットの値上げとお金のない人のお金の使い方

  


 INSEE(統計経済研究所)によると、昨年平均90セントで売られていた標準的なバゲットの価格は、1.20ユーロ(約175円)に近づく可能性があると言われています。欧州全体では、パンの価格が1年で18%上昇したと言われているので、フランスはまだマシな方なのかもしれません。

 しかし、そう言われても、すでにかなり前からバゲットの値段は1ユーロを超えていたような気がするのですが、あくまでも平均価格での話なので、スーパーマーケットで10本5ユーロとかいうようなバゲットも当然入っているわけで、最近、気のせいか、スーパーマーケットで、この10本セットなどのバゲットを抱えている人が増えたような気がします。

 上の写真の10本セットのバゲットは、1本だと52セントで10本セットだと5.20ユーロで、たくさん買ったところで別に安くなるわけでもないんだ・・と思いきや、10本買うと1本オマケについてくるらしい・・つまり1本あたり47セント(70円くらい)になる計算です。

 なかなかギリギリな感じですが、5人家族が多いフランスの家庭ではこの10本のバゲットもあっという間に消費してしまえる量なのでしょう。

 一般的には、バゲットはフランス人家庭にとっては、主食であり、毎日、確実に消費する食品なので、バゲットの価格はある程度の経済指標の一つになるのです。バゲットはフランス人の家庭にとっての主食であり、おやつでもあり、子供のグーテ(学校に持っていったりするおやつ)には、バゲットにチョコレートクリームや時には板チョコを挟んだりして持たせる親も少なくありません。簡単だし、いつも家にあるもので、安上がりなフランス人の子供のおやつです。

 バゲットを焼くオーブンは、ガスや電気で稼働しているので、そもそも値上がりしたと言っても高くない単価のバゲットなどのパンに関して、このエネルギー価格の高騰は大変な痛手で、原材料価格の小麦、バター、卵、人件費、パンを包む紙袋まで、全ての価格が上昇し、小さいパン屋さんなどには、とても持ち堪えられない事態。

 おまけにスーパーマーケットなどの大量生産で価格を下げる戦法には、とても太刀打ちできません。2023年度予算では、従業員10人未満の企業には来年度も関税の軽減措置が適用されることになっており、これは多くのパン屋さんに関係します。

 私自身は、それほど定期的にバゲットを食べているわけではないので、この値上げにあまりピンと来てはいないのですが、最近、レストランに行くと出てくるパン(バゲット等のハード系のパンが多い)の量が減ったな・・と感じています。(足りなければ、頼めば追加で出してくれるとは思いますが・・)

 そもそもレストランでは日本だと、パンは行くとまず出てくる水のようなもので、パンは頼まなくてもまず出てくるものなので(食事の場合)、なんか、これでもか!というくらい山盛りで出てきていたイメージがあるのですが、それが、最近、このパン山盛り感が減った気がしています。

 まあ、パンを目当てに行っているわけではないし、パンばかりでお腹を膨らましては残念なので、私にとっては、全然OKなのですが、やはりパンがないと食事にならない・・という人もいて、夫の友人のパン好きの人は、ピザを食べてもパンが欲しいとか、日本食も好きなんだけど、日本食のレストランはパンが出てこないから行かない・・などという人もいるのです。

 全てが値上がりしているため、パン屋さんだけでなく、レストランなども緊縮財政での営業なのだと思いますが、価格の高騰を嘆くわりには、フランス人は外食が好きで、価格の高騰で生活苦を訴えるデモに数万人動員・・などと言っているわりに、こんなものにこんなに払ってまで外食する?また、ランチタイムなどのテイクアウトのサンドイッチやサラダなどが結構な値段にもかかわらず、けっこう売れているのは不思議です。

 自分で稼いでいるお金、何にどう使おうと勝手といえば、勝手なのですが、午前中の休憩時間などに、毎日のように、たむろして、クロワッサンとカフェなどを食べたり飲んだりしている決して高給取りとは思えない人々になんだかモヤモヤするのです。まあ、これが中途半端に高いのですよ・・。

 先日、日本では、「貧因層ほどコンビニで割高の買い物をしている」などという報道を見かけましたが、細かいながらも蓄積される消費を抑えないのは、フランスでも同じなのかな?と思ったりもします。

 ましてや、フランスは一般的に外食は高く、10ユーロ(約1,450円)以下で食事ができることは、かなり稀なのです。

 もともと私はケチなので、支払う金額に対してそれなりの価値がなければ、外食をする気にはなりません。外食をする場合は、家で自分で作れないもの、またお店の雰囲気や空間が心地よいと感じられる場所に限られるので、そんなに外食する機会が多いわけではないのです。

 しかし、「貧因層ほど無駄なお金の使い方をする」というのは、フランスでもまた、同じかな?と感じるのです。


バゲット値上げ 貧因層


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2022年10月18日火曜日

些細なもので、感動できる「海外生活のおタカラ」の日本食

  


 日本に一時帰国する際には、入念に日本で買ってきたいものをリストアップ(ほぼ食糧)し、日本に滞在している間は、躍起になってそのリストアップされた食糧を探し回ることになるのですが、もう久しぶりに行く日本のスーパーマーケットは、欲しいものだらけで、大変な興奮状態になります。

 賞味期限等もあるので、ものによっては、買うタイミングを図りつつも、買い物に行けば、セールになっていたりすると、ついつい手が伸びてしまい、荷物をパッキングする際には、通常スーツケース1個あたり23キロに制限される荷物をギリギリ、プラスマイナス1キロ以内にまで調整するのに汗だくになり、期間中に頂いたものなどを併せると、結局、いつも泣く泣く置いて帰らなければならないものがでることになります。

 しかし、フランスに帰ってきて、山のような荷物を納めるところに納めてしまうと、案外あっけなく、何もなかったように納まってしまうのも、ちょっと寂しい気さえするほどなのですが、それでも日本から持ち帰ったものでいっぱいになっている冷蔵庫などを眺めるにつけ、自然と笑みが溢れてくるものです。

 なまものに関しては、賞味期限が短いので、案外あっさりとなくなってしまうのですが、逆にインスタントラーメンなどは、賞味期限も長いために比較的長いこと保管していることになるのです。

 今やインスタントラーメンなどは、パリでは行くところに行けば、買えるものではあるのですが、種類もそんなに多いわけではなく、日本から持ち帰ったものというのは、やはり特別な思い入れがあるわけで、ここぞと言う時の「ご褒美」、落ち込んだりした時の「元気の源」になるわけで、「とっておき」のおタカラとして、抱え込むのであります。

 そうなってくると、案外、忘れて賞味期限切れになってしまう場合も少なくないのですが、海外生活では、賞味期限にもかなり寛容になり、少々の賞味期限切れなどは意に介すこともなくなり、おおよその目安と化しています。

 そのとっておきのラーメンなどを食べるときには、本当にそれで、かなり癒されるもので、この喜びは海外生活ならではの感動だな・・とむせび泣く思いでラーメンを啜るのです。

 このささやかな喜びは日本に住んでいたら、ごくごくあたりまえの普通のことになり、なんの感動もなくなると思うとラーメン一つでこんなに感動できる海外生活というのも、悪くないな・・と思うのです。

 やはり、日本食と見れば、大興奮で一時帰国の際には、テンション高く私と買い物をしていた娘は現在は、日本で仕事をしているので、さぞかし食生活には満足しているかと思いきや、やはり、毎日の日常になれば、さしたる感動も失せ、しらっとしていることに、なんだか目を輝かしながら一緒にスーパーマーケットを回っていた同士を失ったようで、今後は一人でやたら興奮しながら買い物をするであろうと思いつつ、なんか、彼女はあの感動を失ってしまったことが気の毒な気さえしてくるのでした。


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2022年10月17日月曜日

パリのモーターショーと電気自動車購入のためのボーナスとガス欠

  


 今週からモーターショー(自動車国際見本市)が、4年ぶりにパリに戻ってきます。通常は、1年おきに開催されているパリのモーターショーは、2020年にはパンデミックのために開催が中止されたために、実に4年ぶりの開催になります。

 しかし、例年は、2週間で100万人が集まる大規模な人気のイベントでしたが、今年は自動車業界の複雑な状況から規模を縮小して行われ、主催者は、今年の来場者数を1週間で、30万人から40万人とすることを目標としています。

 メインのフランスのプジョーとルノー、シトロエンと共に中国とベトナムの電気自動車ブランドが大きなブースを構えて欧州進出を狙っています。

 ルノーは新型ルノー5と一緒に展示される電気自動車SUV、新型ルノー4を展示、プジョーはジープ、DSの新型車を発表、シトロエンは「サスティナブル」をコンセプトとしたOLIを先行公開します。

 しかし、このモーターショーが盛り上がりにかけるのには、ドイツ車、日本車が出展していないこともあり、BMWとフォルクスワーゲンは、子会社のミニ、シート、ブガッティ、ランボルギーニとともに参加しない予定です、日本車に関しても不参加と噂されており、話題には上がってきていません。

 このモーターショーを前にしたタイミングを図ってのことだと思いますが、前日には、マクロン大統領は、国民に向けて、電気自動車購入の際に所得の低い層の国民に対して(全世帯の約半数)のボーナスを6,000ユーロから7,000ユーロに増加することを、同時に電気自動車の充電ステーションにエネルギー価格の関税シールドを拡張することを発表しました。

 この電気自動車購入のためのボーナスは、電気自動車がガソリンやディーゼル車に比べてはるかに高額であるにもかかわらず、多くの国で市場が離陸する手助けとなってきましたが、このボーナスは、47,000ユーロ以下で販売される車、すなわちルノー メガーヌやプジョー2008などの小型電気自動車やSUVが対象で、テスラは対象外です。欧州製の車の購入に対するメリットの強化を計っています。

 同日、ボルヌ首相はこれまでのガソリン1リットルあたり30セントの援助を11月中旬までに延長することを発表しています。

 しかし、大統領、首相のそれぞれの発表には、国民はさして関心を寄せてはおらず、どちらかといえば、「今ごろ何を的外れなことを言っている!」「まず、給油も満足にできない状態をなんとかしろ!」と、反対に国民の怒りを買う始末。

 ボルヌ首相は現在の製油所のストライキについて、「私たちは、ストライキの権利は尊重しています。しかし、組合とは過半数の同意を得て交渉を締結しているのだから、少数派の意見の人々がいつまでもストライキを続けることは、あり得ない、会社側も従業員を説得する努力をする必要があり、責任がある」「しかし、もしも明日もまた、状況が非常に緊迫していれば、徴発(強制的に仕事をさせる)を行うことができる」などと言及しているものの、彼女の言っていることはいちいちもっともなことではあるのですが、どうも彼女のキャラクター?からか、厳しい学校の先生のような感じで一般庶民にあまり行為的に受け入れられる感じがしないのも残念なところです。

 ガス欠で車が動かなくなる車が多いのか、最近、レッカー車をよく見かけるようにもなり、ガス欠で仕事に行けない、店舗なども品物が届かない、来週から始まる予定のバカンスにも行けない・・状態で、電気自動車購入のボーナスなどの話をされたところで、それどころではない!政府は悉くタイミングがズレている!といって国民の怒りを買うのも致し方ない状況なのです。


パリ モーターショー 電気自動車購入ボーナス ガソリン不足 


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2022年10月16日日曜日

パリ12区で服従拒否の運転手に警察官が発砲 運転手死亡

  


 パリはまことに物騒な犯罪の多い街でもありますが、同時に警察官の検問にも注意を払い、素直に従わないと撃たれる可能性があると言うののは非常に恐ろしい話です。

 今年に入ってから、一体、何件、同じような事件を聞いたか、警察官を見ても、ちょっとそら恐ろしくなるような気さえしてしまいます。

 金曜日の夜7時半ごろ、パリ12区で保険未加入の車両の取締をしていた警察官が車を停めるように促したところ、運転手はこれを無視して逃走をはかり、交通渋滞に巻き込まれた脇道に入りました。

 車がいったん、止まったところで、2人の同乗者は徒歩で逃走し、車内に残った運転手にエンジンを切って、車から降りるように言うと、運転手は警察官に向かって車を発車させようとしたため、警察官が発砲したということです。

 同乗者は依然として逃走中、知人が殺された現在、どんな気持ちで逃げていることやら・・。なぜ、逃げるのだろうか?と一瞬、思いましたが、警察官に拳銃を向けられたら、さすがに怖くなって逃げるのは、普通です。

 運転手はその後、この脇道で店の前に駐車していた別の車両に突っ込み、まもなく死亡したそうです。現場を目撃していた人の証言によると、警察官が発砲したのは、3発、うち1発が命中し、運転手は重傷を負い、現場で心臓マッサージを受けたものの死亡してしまいました。

 この発砲事件で警察官2名が身柄を拘束され、国家警察監察局(IGPN)により「権力者による自発的過失致死」の調査の一環としての捜査が開始される予定です。

 今年に入ってから、服従拒否に関連して警察が発砲し、12人が死亡しています。私がちょっと思い浮かべるだけでも2〜3件はあります。シートベルトのチェックのための取り締まりの際の服従拒否での発砲事件もあったし、車ではなく、空港でのホームレスに向けての発砲事件もありました。

 いずれの事件もその時は、警察官の発砲事件が起こった!と一瞬、報道され、公権力保持者による自発的過失致死で捜査・・とまでは報じられるのですが、その後にその警察官がどうなったのかは、あまり報道されません。

 その度に、法務相などが出てきて、警察官は非常に危険な職務についているなどと、警察を擁護するかのごとき発言をするのがとても気になるところですが、保険未加入で逃走しようとする運転手に向けて、発砲までしなければならない理由がわかりませんし、発砲するにしてもとりあえず車を止めるならば、タイヤに向けて発砲するとか、別の方法があるのではないかと思ってしまいます。

 警察官が危険にさらされる職業であることは理解できますが、あまりに気安く発砲しすぎる傾向がある気がしてなりません。今回、法務相は、「警察官が武器を使用するケースは0.5%に過ぎない」と得意げに話していましたが、警察官や憲兵が1年間に記録した約26,000件の応召拒否のうち、約200件に発砲しています。つまり、0.76%の確率ということです。

 そもそも従わないから殺してしまうというのは、どう考えてもおかしな話です。死刑制度のないフランスは、死刑制度を声高く非難しながらも、微罪の犯人に対しても警察官の手であっさり射殺してしまう一面もあるのです。


パリ12区警察官発砲事件 服従拒否 射殺


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2022年10月15日土曜日

鎖国を解除した日本について 日本に観光客は戻るのか?

  


 「2020年春にパンデミックのために、外国人観光客をシャットアウトしてしまった日本がようやく今週からその扉を開けた!」と、紹介する報道がちらほら上がってきています。

 日本水際対策のためにしいていた外国人に対しての鎖国を段階的に解き、今年6月には、外国人観光客の入国が許されたものの、それは団体旅行や旅行代理店を通じた旅行に限られていました。

 そんな日本にも、10月からは、ようやく68カ国からの旅行者が再びビザなしで入国できる(ワクチン3回接種証明書あるいは、出発前72時間以内の陰性証明書があれば)ようになったことは、フランスのメディアでも取り上げられ始めました。

 パンデミックのためには、これまで日本人でさえも海外からの入国には、72時間以内の陰性証明やワクチン接種証明書、入国後の検査や強制隔離施設での隔離期間など様々なハードルが設けられていましたが、それ以上に外国人であるというだけで日本入国には、特別な場合にしか入国は認められず、ビザを取得しなければならなかったため、事実上、不可能に近く、またそのビザ取得のためには、日本から書類を取り寄せなければならなかったり、大使館には常にそのための長蛇の列ができて、通常業務にも差し障りが出る大変なことだったのです。

 外国人というだけで入国を拒否し続けてきたことに関しては、その意味は未だもって納得はできませんが、このビザが必要なくなるという発表前にビザを申請するために支払った料金も返金されることはなく、もやもやが残る鎖国解除でもあります。

 パンデミック前の2019年には、3,180万人の海外からの観光客を受け入れ、それに匹敵する経済効果(同年4兆8000億円、現在の価格で約340億ユーロ)を記録しましたが、日本はこの鎖国のために、2021年の訪日外国人旅行者は25万人未満にまで落ち込み、2022年も現時点では、50万人強で、以前の記録には遥か及びません。

 しかし、この鎖国解除の発表以来、日本の航空会社JALの予約は3倍に跳ね上がり、折りしも、記録的な円安を更新し続ける日本は海外からの観光客にとっては、またとないチャンスでもあり、日本は今なお人気の高い観光地であると伝えています。

 そんな日本に行く人のために、海外のメディアが現在の日本について、伝えていることの中で、「ほ〜っ!なるほど・・」と思ったことをお伝えします。

 まず、「コロナウイルスにより、人口1億2600万人近いこの国で約45000人の死者を出したが、これは他の多くの先進国に比べてはるかに少ない。 これは、日本の徹底した衛生管理によるものでもあり、日本ではまだまだ衛生習慣が厳しいので、それを遵守しなければならない。交通機関や店舗では今でもマスク着用が制度化されており、屋外でも厳しく監視されていおり、国は室内ではマスクを着用し、大きな声で話すことを控えるよう促しているので、日本に入国した場合は、この日本人の習慣に適応しなければならない、日本政府は、パンデミック発生時に、ホテルが管理体制に従わない宿泊客を拒否できるようにする規制強化策を承認している」と注意喚起を促しています。

 次に「ほ〜っ!」と思ったのは、「日本はこの鎖国期間に電子決済サービスを拡張し、現金の使用率が依然として高いこの国においては、ちょっとした革命が起こっている」という点です。

 私が2年ぶりに日本に行ったのは今年の4月でしたが、あまりに現金を使う人が多いのにはビックリさせられたばかりでした。銀行のATMなどに行列している人々に、なぜ?こんなに銀行に行列ができるのかを不思議に思ったばかりでした。

 やはり海外から見れば、現金を使うという人がこんなにも多いということは、驚きだということなのです。

 そして、円安と同時に航空運賃が爆上がりしていることにも言及しています。航空運賃は、燃料費の高騰、2020年以降に航空会社が被った多額の損失、ウクライナ戦争によりヨーロッパからのフライトがロシアを迂回せざるを得なくなったことなどで膨れ上がり、日本への観光客への抑止力にもなっています。

 大手オンライン旅行会社MisterFlyによると、日本への航空券の平均価格が83%上昇しているとしており、日本の鎖国解除は、フランス人旅行者の間で大きな関心を呼んでいるものの、この破壊的な航空券の価格上昇は大きな障壁となっていると言っています。

 日本政府は、年初から対ドルで25%値下がりした円安が観光客を呼び、経済活性化につながるものと期待していますが、83%の航空券の価格の上昇とどう折り合いをつけて日本へ行く選択をするかは、決して楽観視はできない状況ではないでしょうか?


日本鎖国解除


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2022年10月14日金曜日

EUがロシアの核兵器使用に対して警告「ロシアの核攻撃は、ロシア軍が全滅するほど強力な西側の軍事的対応に繋がる」

  


 最近のロシアのウクライナへの侵攻に関しては、ぼちぼちフランスでも、「プーチンは負けたのか?」という内容にシフトしつつあります。10月に入って以来のキエフへのミサイル空爆などに関しても、「この調子でミサイルを使い続ければ、ロシアの武器は枯渇し始める・・」とか、プーチンによる部分的動員でほぼ強制的に動員されている人々はほぼ素人で、何の訓練も受けずにすぐに白旗を揚げているとか・・もはやロシアに勝ち目はない・・という見方に変わっています。

 しかし、ロシア勢が劣勢になればなるほどプーチン大統領が核兵器を使用するリスクは上がっているということでもあるものの、ロシアが核兵器を使用する決断をすることは、そう簡単なことではなく、プーチン大統領の健康状態や精神状態などを併せながら語っています。

 先日もマクロン大統領が核兵器使用については、話題にし過ぎることは、信憑性がなくなることになるので、あまり多くを語らないと言っていたばかり。

 その翌日に、EUの外報部長は、ブルージュでの講演の中で、「ロシアによるウクライナへの核攻撃は、ロシア軍が全滅するほど強力な西側の軍事的対応につながる」と警告しています。

 彼は「プーチン大統領は、核の脅威に対してハッタリではないと言っています。そして、ウクライナを支援する国、EUとその加盟国、米国、NATOもハッタリではないことを理解する必要がある」と述べています。

 これではますます「ハッタリではない」と言い合う脅迫合戦ですが、言われるまでもなく、どんな種類の核兵器であろうと一度たりとも使用することがあれば、EUやNATO、アメリカなどのウクライナを支援している国々が軍事行動を起こし、紛争の性質を根本的に変えることになることは、ロシアもわかっているからこそ、さんざんの脅しをかけながらも踏み切れずにいるのです。

 「核兵器の使用は、たとえ小さなものであっても大変な結果をもたらすものであり、ロシアもそれを承知している」としながらも、「NATOが核兵器を使用しなければならないような状況は極めて稀である」とNATO事務総長は述べていいます。

 NATOが核兵器を使用するには、NATOの同盟国に対する攻撃が行われた場合で、ウクライナに関する限り、当事者ではない。NATOの核抑止力は、同盟国への攻撃を抑止するためのものだ」と述べ、NATOによる核兵器の使用を暗に否定しています。

 EU、NATOなどの国々は核兵器を保ちつつも核兵器を使うことなくロシア軍を全滅させるほどの軍事対応をするということになります。

 また、 米国防長官は、「彼らは非常に危険で無責任だ」と警告し、「ロシアが核態勢を変えたという兆候は今のところないが、我々は365日24時間監視している」と述べています。

 核兵器の使用をチラつかせながらハッタリではないと脅し続ける一方で、占領した地域をどんどん奪還され始め、軍事的に劣勢になってきているロシアは、軍事力ではなく、わけのわからない選挙という茶番劇で無理矢理、領土を併合しようとしたり、そんなことあり得ないでしょ!という非常に子供じみた方法を取ったり、やはりどう考えても勝ち目はありません。

 ロシアが攻撃すればするほど、ウクライナは諦めるどころか、さらに強力に対抗し、EUやNATO、アメリカ、G7などの国々との連帯を強め、「北風と太陽」の話を彷彿とさせます。

 しかし、そもそもあり得ない形で始まった、このロシアのウクライナ侵攻は何をしでかすかわからないロシアの現在の状態で、そのうえ最初の数週間で占領できなかった時点で、もはやロシアには勝ち目がないにもかかわらず、多くの自国民でさえも犠牲にしながら侵攻を続ける建設的な意味はまるでなく、たとえ自国が滅びようとも、このやぶれかぶれに何をするかわからないロシアがハッタリではなく、本当に脅迫どおり、パリ、ロンドン、ベルリンを攻撃するようなことだって、ありえないとは言えないのです。


ロシア核兵器使用の場合はロシア軍全滅 EU警告



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2022年10月13日木曜日

マクロン大統領1時間のインタビュー生番組 圧倒的な話すチカラ

  


 フランスでは、そんなに珍しいことでもありませんが、先日、マクロン大統領が夜のニュース番組の中で、1時間近くにわたり独占インタビューに答えて語る番組が生放送されました。

 様々な国際問題について、ロシアのウクライナ侵攻について、フランスのウクライナへの武器供与、ロシア・プーチン大統領との交渉について、核兵器について、エネルギー危機について、ガソリン不足問題、原子力発電について、ベラルーシ、イランやアルメニアの問題について、などなど、これでもかというくらい喋りまくりました。

 ジャーナリストのキャロライン・ルーとの1対1の対話、途中ウクライナからのジャーナリストの質問などを挟みながらの生番組で、おおよそのテーマは決められていたであろうし、その一つ一つに対する話の内容については、用意はしていたとは思いますが、どちらもかなりのテンションで話が進んでいく中、おそらくかなり自分の中で練り込まれているであろう内容を自分の言葉で巧みに語っていく様子には、毎度のことながら、お見事と感心させられます。

 ロシアのウクライナ侵攻については、フランスが戦争をしているわけではなく、ウクライナを守るために武器供与を行なっているのであり、ロシアは2月24日、ロシアはウクライナに対する戦争の開始を選択しましたが、今月に入ってからのロシアによるウクライナへの一般市民を巻き込んだ空爆による攻撃はさらなる段階に突入したと見ており、このことから、さらに6台のシーザー砲を追加供与することを決定しました。

 今月に入って以来激化しているロシアによるウクライナへの攻撃について、マクロン大統領は、たとえロシアがこれを戦争ではなく「特別軍事作戦」と言ったとしても、国際的な武力紛争であるため、戦争の規則が適用され、民間人に対する攻撃は、国際法上、戦争犯罪とみなされると明言しています。

 数週間前にプーチン大統領と話したという彼は、必要ならばいつでも話をする用意があるが、いずれ話し合いのテーブルにつかなければならないのは、ロシアとウクライナであることも強調しています。

 また、国内の問題については、これまで欧州はロシアのガスに依存しすぎており、以前は購入するガスの約40%がロシアからでしたが、現在は7.5%。「ロシアはガスを戦争の道具に変えてしまった」と語り、フランスの原子力発電所については、「56基のうち30基が稼働している状態。あと数週間で、40基が稼働され、1月には45基にするのが目標であり、この目標は達成される見込みであることを発表しました。

 ロシアの核兵器の使用については、非常に警戒が必要であるとしつつも、核兵器への脅しに煽られて話題に上げすぎてはいけない、あまり多くを語らない方が信頼性が高まると述べ、フランスも核兵器保有国であるということだけを語りました。

 そして、現在フランスで起こっているガソリン不足問題については、これは戦争によるものではなく、製油所のCGTの社会的な問題であり、首相が決定した製油所労働者を徴用する(最低限社会生活に必要なガソリン供給のために働くことを強制し、従わない場合は懲役6ヶ月、罰金1万ユーロという罰則つき)ことについて、夜中にガソリンを探すために行列している人々のことを思うと、頭が下がる思いであり、これ以上、国を封鎖したままにしておくわけにはいかない、フランスの燃料価格が他のヨーロッパ諸国と比べて圧倒的に上昇していないのは、国が差額を支払っているからで、誰もが自分の立場をわきまえ、すべての責任を負わなければならないと述べました。

 おそらく、この場に臨む以前に何度も話し合いが続けられてきた内容ゆえ、台本なしになめらかに力強く語り続けることができるのでしょうが、この他にベラルーシ、イラン、アルメニア問題なども語りつつ、最後にインタビュアーが締めの言葉に入ろうとしたのを遮って、最後にもう一つ言わせて欲しい!と彼自身の納得のいく言葉で「たしかに難しい局面ではあるが、わたしたちにはチカラがある。必ず乗り越えられる」と締めくくりました。

 マクロン大統領は弁が立つことで有名で、時にはそれが嫌われる原因ともなるのですが、なんといっても、その言葉は力強さには、もしかしたら騙されているかも?と思いつつも納得させられてしまうようなところがあり、何よりも、なに一つ国民に対して満足に説明できない日本の首相の様子を見ている限り、国のリーダーとして、羨ましい気持ちを拭いきれないのでありました。


マクロン大統領インタビュー生番組


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