2022年7月21日木曜日

フランスの報道機関が指摘する安倍元総理と統一教会についての日本での報道と警察と政府、報道機関の歪み

   安倍元総理が襲撃された事件は、フランスでも衝撃的な事件として取り上げられ、フランス時間でほぼオンタイムで、病院に搬送され、心拍停止状態で、その後、死亡が発表されるまでの様子が生中継で放送されていました。 犯人については、その場ですぐに取り押さえられたことも伝えられ、世界中の首脳がこぞって弔意を示していることまでがセンセーショナルに報道されていました。 それ以上の詳細については、あまり触れられることはないのかと思いきや、その後の日本でのこの事件についての報道や政治と宗教団体のつながり、そして、警察と日本のマスコミの報道について、かなり辛口な指摘がなされています。 以下は、仏大手フィガロ紙などに掲載された内容で、なかなか辛辣で興味深いものでした。 安倍元総理が襲撃された48時間後、日本は議員選挙の投票日を迎え、自民党は安倍晋三が生涯をかけて追い求めてきた憲法改正の可能性に充分な票を獲得しました。しかし、日経新聞が「暗い勝利」と題したように、通常、暴力、特に政治暴力とは無縁の日本における前例のない事件に与党でさえも、しばらく唖然としていました。 しかし、その後、この事件は犯人の安倍氏殺害の動機によって、思いがけない次元に突入してしまいました。 日本の警察とマスコミは、「彼は元海上自衛隊員で、母親が財産を投げ打ってまで入信した宗教団体の指導者とその教団を推した安倍晋三を狙い事件を起こした」と発表しました。 このシナリオは日本という国にとって、非常に恥ずべきことで、この48時間、日本の大手メディアは膨大な人的・物的資源(全国紙5社で9,355人の記者)を導入して、事件の情報収集に当たっており、事件現場にはヘリコプターが飛ばされ、事件現場は模型で再現され、きめ細かく検証されているかのごとく報道されています。 しかし、堕落したマスコミは、これだけの人的・物的資源を導入が単なる水増しされた動員、導入であるかのごとく、愚かしいニュースを流しています。驚くことに安倍晋三が殺害された翌日、日本の大手5大新聞は全て同じ記事を一面トップで掲載し、書体の大きさも含めて一言一句違わないのは、彼らの共犯関係を裏付けています。 操作当局は目に見えて置き換えられた「自白」を彼らが認定した同人記者たちに垂れ流し、彼らは真実性や臨場感さえ気にせずに、それをそのまま掲載しています。 日本の読者は当初、この報道によって、犯人が元海上自衛隊員であったことに無理矢理注目させられ、安倍晋三が無名の宗教団体と繋がっているという誤解を招くような印象を与えられています。 また、フィガロ紙は、この目に見えて置き換えられた犯人の自白を発表した現在の警察のトップが政府に近いジャーナリストの強姦事件の起訴を不起訴処分にしたことで有名な中村格氏であるという説明の仕方をしています。  この宗教団体の名前は、すでに初期の段階から、すでに地元のタブロイド紙や海外の新聞によって明らかにされ、全世界に300万人の信者を持つという統一教会に対して信者に与えている洗脳を批判しているにもかかわらず、選挙が終わるまでは、安倍氏と繋がりがあったと言われるこの特定団体の名前を報じない主要メディアは「卵の殻の上を歩いているようなものだ」と書いています。 日本における宗教は、伝統的なもの(地元の神道など)、確立されたもの(創価学会など)、「新しい」もの(統一教会や生長の家など)が、日本の政治において控えめながら重要な役割を果たしています。信者を選挙戦の力と献金に動員する能力を持つ彼らは、特に多数派で、特に社交の機会が少ないアノマリー人口が多い都市では、政党の貴重な味方となっているのです。 この仏紙が書いている「日本の主要メディアが卵の殻の上を歩いているようなものだ」という表現は、もはや日本の主要メディアが報道機関として成り立っていないということを指摘しているのです。 安倍氏の殺害事件も統一教会の問題とともに、浮き彫りになった日本の報道機関の歪みを指摘しているのです。 日本では、政治や宗教の話題はどちらかといえば、避けられる傾向にある気がしますが、社会問題を浮き彫りにして、問題提起するのがマスコミの使命でもあります。民主主義とか、言論の自由と言いながら、一見、そのような体をとりながら、まったく違う方向に向かっているということは由々しき問題です。 フランスでは、少し前にオルペアという高齢者施設での問題を取材したジャーナリストが出した本により、大きな社会問題として掘り下げられ、政府が動き出したということがありました。フランス政府を見ていると、フランス政府は世論の動きを大変、恐れているなと感じることがあります。国民は黙っていないし、マスコミも黙ってはいないからです。 日本の政府も世論の動きを恐れているからこそ、マスコミを懐柔しているのかもしれませんが、マスコミもまたそれに懐柔され続けているのも本来の役割を果たせないでいるということなのです。取材ができなくなることを恐れて政府や警察に懐柔されている日本のマスコミが本来の役割を果たせずに主要メディアとして存在しつづけているということが、まさに「卵の殻の上を歩いている」というのは絶妙な表現です。 こちらでの日本についての報道を見ていると、時に、こんな視点から見るのか・・というものもありますが、また時には、日本の報道よりも辛辣に真実を語っていることも多いので、なかなか見逃せません。 本来は、マスコミと政府のチカラ関係は逆なはずなのです。このような政府と報道機関の歪(いびつ)な関係こそが今回の事件の闇であるのかもしれません。日本の報道機関 マスコミ<関連記事>「眞子さまのご結婚報道で見えるフランスの日本という国の見方」「フランスの高齢者施設オルペア...

2022年7月20日水曜日

パリ40℃の猛暑とパリの上空を覆う噴煙のベールの正体

   ここのところ、夏の猛暑というか、酷暑は年中行事のようになっていますが、今年は、5月から異常な暑さが始まり、6月の猛暑、そして7月の40℃超えの猛暑と、どんどん夏が長く、厳しくなってきている感じです。 一昨日にフランスは歴史的な暑さに見舞われるだろうと言われていたと思ったら、次の日はさらにその気温を上回る暑さで、パリでは 40.5℃を記録、体温よりも遥かに暑い気温では、さすがに、この気温で外を歩く気にはなりません。 我が家にはエアコンはないので、朝の早い時間に家の空気の入れ替えをして、午前中のうちに、その日の分のお料理を簡単に済ませ、頃合いを見計らって、シャッターを下ろして、シ...

2022年7月19日火曜日

フランス人は日傘も雨傘もささない

     先日、日本の記録的な猛暑がフランスで報道されていて、猛暑に見舞われた日本の映像がテレビで流れていて、皆がこの暑さにもかかわらず、きちんとマスクをして、日傘をさして歩いているのを見て、湿度の高い日本の暑さの中のマスク率にも驚きましたが、もう一つ、自分が日傘というものをすっかり忘れていたことに驚きました。 フランスでも年々、夏の暑さは厳しくなっていますが、そうだ!日傘というものがあったんだ!とすっかりその存在を忘れていたことにハッとさせられたのです。 昨日も、前日から、「明日、フランスは歴史上、最も暑い日を迎える・・こんな天気図見たことない!」などと騒いでいたので、警戒していたのですが、翌日はさらに気温が上昇する予報にもうちょっとウンザリしています。 私がフランスに来たばかりの頃(20年以上前)は、夏に暑い日があっても、ほんの数日のことで、その数日さえ乗り切ればあとは全然、大丈夫だったのですが、ここ数年は、全然、大丈夫ではなくなりました。 たしか、雨晴兼用の折り畳みの傘がどこかにあったはず・・と思って、家中を探したのですが、行方不明・・こういう探し物は、それが必要なくなった時に、どこかからヒョッと出てくるもので、こうなったら、雨傘でも構わない・・と、ここのところ、折り畳みの雨傘を持って歩き、どうしても太陽の光が避けられない場所では傘をさして歩いています。 もう気温が40℃近くなってくると、なりふりなどかまってはいられません。この暑さの中で日傘というものをすっかり忘れていた私は、日陰になっているところを探して歩いていたので、日傘をさせば、自分の歩いているところは、とりあえず日陰になるわけで、私はなぜ、こんなに便利なものを忘れていたんだろう?と愕然としたのです。 しかし、それも考えてみれば、フランスには日傘というものは、ほぼ、存在しない・・たまたまそんなことを考えていたら、初めて日傘をさしている人がいて、びっくりしたくらいでした。 そもそも考えてみれば、フランス人は日傘どころか、雨でもほとんど傘をささないので、傘を持ち歩くという習慣もなく、よほどの大降りでもなければ、少し待っていれば雨は止むし、そもそも少しくらいの雨なら、濡れても気にしない人が多いのです。 子供が小さい頃も学校には、危険だからという理由で、傘を持って行くことが禁止で、(どちらにしても送り迎えが必要なので、車で送り迎えをするか、そうでない場合も子供の傘は親が持って帰らなければならなかった)、「えっ??なんで??危険もあるけど、そういうものは、危険がないように気をつけて使うことを覚えなければいけないのに・・」と思った記憶があります。 子供が小さい頃は、まだまだ私も日本の習慣を引きずっていて、雨が降れば傘をさすもの、雨に備えて傘を持って歩く生活をしていましたが、いつの間にか、私自身も多少の雨なら、傘はささなくなっているので、ましてや日傘の存在などは、すっかり忘れていたのです。 そもそも日傘に関しては、太陽の光を求めることはあっても、避けることはあまり考えていないと思われるフランス人、太陽が燦々と輝く中で、昼寝をしたり、読書をしたり、日向のテラスで食事したりすることを好むので、わざわざ日傘で太陽の光を遮るという発想はないのかもしれません。 しかし、雨でも傘をささなかったり、強い日差しの中でも日傘がいらないと思ったりするのも、ヨーロッパの気候の影響もあったわけで、雨が降っても、少し待てば、さっと雨があがってしまうような気候や、暑いといってもさらっとしていて、気温が上がるといってもたかが知れていた以前と違って、ものすごい雨が降り続けたり、40℃に迫る気温の上昇がたびたび訪れるようになっては、フランスの傘事情も変わるのではないか?とちょっとだけ思います。 少なくとも私は、日傘に関しては、もはやここ数日のように命の危険を感じるような暑さの中では、周囲が日傘をさそうがさすまいが、日傘であろうが雨傘であろうが、なりふりかまってはいられない・・と思っているのです。フランス人と傘 日傘<関連記事>「青く晴れ渡る空の下のセーヌ川岸 パリプラージュの圧倒的な美しさ」「パリのワンコインショップ 全商品2ユーロ C'est...

2022年7月18日月曜日

統一教会はこんなところにもあった・・

   安倍元総理を襲撃した犯人が母親が統一教会にハマり、家庭が破綻し、悲惨な状況で暮らしてきたことの恨みを殺害の動機としていることから統一教会が注目されていますが、正直、しばらく耳にしていなかった統一教会というなまえに昔のことを思い出しました。 私がまだ日本で生活していた頃には、けっこう、統一教会やオウム真理教などの問題が大々的に報道されていて、当時、そのような新興宗教に傾倒して行ってしまった人には、私の世代の人は多かったのではないかと思います。 現在は日本で生活していないので、どのような感じなのかはわかりませんが、よく渋谷の駅などで、「あなたの健康と幸福のために祈らせてください」...

2022年7月17日日曜日

ジロンド県の森林火災とフランス人の災害対応能力

   ここのところ、いつテレビをつけても森林火災、森が燃えている映像が流れている気がします。この夏の猛暑の中、フランスの森林火災が、南部、西部を中心にあちこちで発生しています。 なかでも、先週から火の手がおさまらずに被害を広げているのは、ジロンド県(フランス南西部に位置するフランス本土最大の県)で起こっている森林火災で、最新のデータによると、10,200ヘクタールが焼け、14,100人以上の人々が避難する緊急警戒体制が敷かれています。 もともとの地域住民に加えて、夏のバカンス期間で、この地域には、多くのキャンプ場もあり、砂丘近くの少なくとも5つのキャンプ場から、6,000人が避難し...

2022年7月16日土曜日

2回目のブースター接種を受けました

   フランスのコロナウィルス感染は第7波を迎え、ここ数週間、1日の新規感染者数は週ごとに5万人ずつ増加し、先週はとうとう1日20万人を突破する日がありました。さすがにここまで増加していくと、入院患者数や重症患者数も着実に増加しています。 私のところには、5月初旬の段階で、国民健康保険から「2回目のブースター接種のおすすめ」メールが届いていました。しかし、その時のフランスの感染の状況は、現在の第7波の波はまだきておらず、 私はきっと、夏のバカンスの時期に感染が拡大するであろうから、秋になって次の波が来る前にしようと、先延ばしにしていました。 しかし、私が想像していたよりも早い段階で第7波がやってきて、フランスではえげつないほどの感染者の増加を記録しはじめ、やはり、考えていたより早くに2回目のブースター接種をしなければ・・と思い始めていました。 私には、多少、心臓疾患があり、どうやら国民健康保険のファイルでは、私は感染して重症化した場合にリスクの高い人に分類されているらしく、年齢的には2回目のブースター接種が推奨されている年齢に達してはいないのですが、それでも「ブースター接種、おすすめメール」が来るらしいのです。 そして、つい先日、2回目の「ブースター接種、おすすめメール」が来て、いつまでもグズグズ迷いながら、感染に怯えているのも嫌になって、2回目のブースター接種を予約していました。 私が最初のコロナウィルスワクチン接種を受けたのは、かかりつけのお医者さんに相談して、昨年の3月に予約をして1回目のワクチン接種を受けたのがそれから1ヶ月後の4月、まだ、ワクチンについて、かなり不安もあったために、かかりつけのお医者さんにやってもらえば、その後、何か起こっても少しは安心だと思い、彼女にお願いしました。 2回目のワクチン接種はそれから2ヶ月後の6月、その時点では、もうこれでワクチンはしなくてよいんだろうな・・と思っていたら、ワクチンの有効性は半年後には急激に低下し始めることがわかりはじめ、また、年末にかけて、感染状況が悪化しはじめたこともあって、それから6ヶ月後の昨年12月には、ブースター接種を受けました。 当時は、このワクチンの有効性の低下が注目され、問題視されている頃で、2回目のワクチン接種から7ヶ月が経過するとワクチンパスポートが無効になることが決まった頃でした。 この時からは、Doctolib(ドクトリブ)というアプリでその時点で一番早く、できるだけ近い場所でブースター接種が受けられる場所を探しました。その時、ブースター接種を受けたのは、家からバスで15分から20分程度のところにある薬局で、ワクチンパスを提示して、問診票の質問事項に記入することが必要でした。 今から考えると、その時点では、1日の新規感染者数が6万人を超えた頃で、毎週のように1万人ずつ感染者数が増えていくことに恐怖を感じていて、当時、本当に少しでも出歩けば、すぐに感染者と接触しました!すぐに検査を受けてください!というアラームがくるような状況で、もういい加減、うんざりしていた頃でした。 しかし、ウィルスが変異するにつれ、ワクチンで感染は回避できないような状況になり、しかし、ワクチン接種率が上昇したこともあってか、感染しても重症化しないケースが増えて、フランスは、「これなら風邪とかわらない、これなら大丈夫感」が高まっていきました。 感染者数も昨年の12月の時点では、1日6万人で震えていたことを考えると、現在の1日の感染者数は想像もつかないほど増加しているにもかかわらず、世間の一般的な警戒感はダダ下がりのまま、あまり警戒感はありません。 結果的には、私はこれまで気づかなかったことがあるのかもしれませんが、何度か検査を受けてはきましたが、一度も感染していないので、私が感染して重症化するリスクが実際、どの程度あるのかはわかりませんが、やはり、ある程度のデータをもとにリスクの高い人に分類されている以上、やはり危険があると判断する方が妥当な気がしたまでです。#Communiqué...

2022年7月15日金曜日

パリ祭のシャンゼリゼの軍事パレード 完全復活とウクライナへのメッセージ

  毎年、フランスの革命記念日に行われるパリ祭のシャンゼリゼで行われる軍事パレードは、ここ数年、パンデミックのために中止はされなかったまでも、縮小されたり、観客なしで行われたり、いつもの規模ではありませんでした。 今年のシャンゼリゼはすっかり通常モードの規模に戻っていました。 シャンゼリゼの沿道の緑の樹々はフランス国旗に彩られ、凱旋門からコンコルド広場までを華やかな制服に身を包んだ兵士や各高等教育機関の学生など、今年は6,300人、64機の航空機、25機のヘリコプター、200頭の騎馬隊、181台の機動車両が2時間近くかけてパレードを行いました。 パレードの比較的前半には、トリコロールの噴煙を流しながら飛行機がシャンゼリゼ上空を飛び、我が家の窓からもトリコロールの噴煙がパリの空を舞っていく様子が見えます。 この数日前にたまたまパリの街を歩いていたら、突如、爆音が聞こえて、驚いて空を眺めたら、このデフィレ(パレード)の予行演習で、結構な低空飛行でその音のもの凄さに驚かされました。   中でも私が最も美しいと思うのは、終盤に登場する騎馬隊で、奥に見える凱旋門を背景にトリコロールのフランス国旗に彩られた沿道の緑の樹々に茶色い馬と紺と赤、ゴールドに光る騎馬隊の調和のとれた洗練された美しさには、いつ見ても感動させられます。         その年によって、登場する戦車、軍用車両(時には警察、消防車両など)は少しずつ違いますが、今年は、遠隔操縦機「リーパー」(空軍機)、陸軍は、新型装甲車「グリフォン」(装甲前面車(VAB)の後継車)と偵察車「ジャガー」を登場させています。 中には、こんな可愛いワンちゃんまで登場しています。   今年のパレードのテーマは「Partager...