2024年8月25日日曜日

ラ・グラン・モットのシナゴーグでのテロ 深刻化する反ユダヤ主義

   ラ・グランド・モット(モンペリエとニームの間あたりの都市)のシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)の前で2台の車両が放火され、うち1台の車には、ガスボンベが入っていたため、車は爆発炎上するという惨事になりました。 内務相は、フランスの全知事に対し、「ユダヤ教の礼拝所の前での警察の静的な駐留を直ちに強化する」よう要請し、国家対テロ検察局はテロ暗殺未遂事件の捜査を開始しました。 ガブリエル・アタル氏(首相を辞任しているものの、次期首相が未だ定まらないために、任務を留任中)はこの事件を「反ユダヤ主義的攻撃」と表現し、「私たちは絶対的な悲劇を免れた」と宣言したものの、「この襲撃者からは決意が極めて強いことが感じられる」と語りました。 「もし当時シナゴーグが礼拝者でいっぱいだったら、最初の数分で人々が建物から降りてきて、おそらく多くの犠牲者が出ていただろう」とも付け加えました。 しかし、思うに、襲撃者はむしろ、人の集まっていない時間帯を選んで警告の意味で爆発を起こしたとも考えられ、絶対的な悲劇を免れたのではなく、襲撃者は、むしろ、そのように計画をしたのではないかという気がしないこともありません。 車内のガスシリンダーが爆発した衝撃で突き飛ばされ、地面に投げ飛ばされた市の警察官1人が負傷し、モンペリエ大学病院の緊急治療室に搬送されていますが、生命に別条はなく、夕方には帰宅できたと言われていますが、近隣住民の証言によれば、建物が倒壊するのかと思ったほどの爆発と火災だったようで、犠牲者が出ていないとはいえ、衝撃の大きさは計り知れません。 容疑者は指名手配されていますが、パレスチナ国旗を掲げている姿が監視カメラで撮影されており、明らかに反ユダヤ主義の抗議の意味を明確にした攻撃であることは、明白です。 ここのところ、次期首相をはじめ、選挙後の内閣がなかなか組織されずに大統領と各党の間で不穏なムードが続いていますが、この反ユダヤ主義行為に対する非難は全会一致であり、左から右まで、政治家全員が列をなして、深くショックを受けたユダヤ人コミュニティに対する今回の攻撃を非難しています。 このように、即刻の対応が必用な事件が次々と起こるのですから、一刻も早く、内閣はしっかり結束してほしいものです。 それにしても、反ユダヤ主義の事件は明らかに増加しているようで、つい先日もパリのメトロの中で暴言を浴びた女性が危険を感じて、告訴状を提出したことから、大小併せて、反ユダヤ主義の事件がかなり増加していることが公になったばかり。 今回の事件は、その中でもテロとして捜査が開始される規模の大きな事件が起こってしまったわけで、今から考えれば、オリンピックの時のここまでする?という警戒ぶりや、イスラエルの選手団だけは、24時間体制で警備がついていたという話などにも頷けてしまうような気がします。 指名手配されている今回の事件の容疑者は、現在のところ逮捕されていませんが、たとえ、この人物が逮捕されたとしても、その反ユダヤ主義の裾野はかなり広いものと思わずにはいられません。反ユダヤ主義テロ<関連記事>「パリのメトロ9号線の車内で侮辱された女性が告訴状提出」「最大級...

2024年8月24日土曜日

コカ・コーラとシュウェップスのプラスチック微粒子混入問題

   Acting for the Environmental (APE) (住みやすい地球を求める声を広めることを目的として環境保護を支持する市民動員のためのフランスの団体)が行った調査結果によると、現在、販売されているコカ・コーラ オリジナルの 1 リットルボトルとシュウェップス インディアン トニックの 1.5 リットルボトルから6種類のプラスチックの微粒子が発見されたことを公表し、消費者が無意識にマイクロプラスチックを飲むことは容認できないと考えており、「これは厳格に規制されていないため、フランス当局はこの問題を取り上げ、公衆衛生と環境保護の優先課題とすべきだ」と訴えています。 このActing...

2024年8月23日金曜日

アラン・ドロンは日本での驚異的な人気を誇りにしていた

   アランドロンの訃報が聞こえてきて以来、アランドロンに関する逸話が続々と語られているなか、アランドロンが日本で驚異的な人気があったということについての話があったので、少し興味深い気がして読みました。 実のところ、アランドロンの全盛期、日本で最も人気のあった頃を私は知らないのですが、それでも、なんとなく美形の代名詞のように語られている感じは知っている・・それくらいだったので、当時の日本でのアランドロン人気について、彼の没後にフランスで語られているのを見て知るという、不思議な感じでした。 私の記憶にはなんとなく彼の全盛期のイメージの面影があったので、フランスに来たばかりの頃、初めてフランスのテレビ番組(なんかのトークショーのような番組だったと思う)で彼を見かけて、あまりの変貌ぶりに驚いた記憶がありますが、それも20年くらい前の話、今から考えれば、あの時は、まだまだ良い方だったのです。 ある、フランスの番組でのインタビューで、「あなたは、世界的なスターですが、とりわけ日本では驚異的な人気があることについてどう思いますか?」などと尋ねられたりもしていて、彼はフランスでも日本で驚異的な人気を得ていることが有名であったことがうかがえます。 フランスでは、一時、彼はフランスよりも日本での方が人気があると言われることもあったようで、また、彼自身も自分を「日本における生きる神」のような存在であることを公言することを好んでいたとも言われています。 彼自身はインタビューの中で、自分が日本で人気がある理由について、「日本人にはある種の白人に対する憧憬のようなものがあり、それに自分の美貌と理想的な男性像、映画の成功が重なった結果であり、人々は私の手に触れるだけで、私が指にキスするだけで、大きな喜びを感じている・・」というようなことを語っています。 これだけ冷静に聞くと、ちょっと小馬鹿にされているというか、鼻もちならない嫌みな感じがしないでもありませんが、彼はまた、映画「太陽がいっぱい」の成功によって、その容姿と神秘的で野心的な側面だけでなく、哀しく孤独で冷笑的でもある暗い側面が、敗者を励ますことを好む日本の観客にとって非常に魅力的に映った結果でもあると、日本人の国民性も考慮した分析もしています。 彼は日本での人気を映画の興行だけではなく、ビジネスとしても充分に活用し、1970代には、日本で販売するフレンチ...

2024年8月22日木曜日

新千歳空港でハサミ紛失のための欠航・遅延についてのフランスの報道

  「日本では、ハサミの紛失後、空港が数時間麻痺した!」というニュースの見出しに驚きました。というより、このことがフランスで複数の報道機関で取り上げられていることに驚いたのです。 「先週末、日本の新千歳空港の国内線の出発待合室にある店舗からハサミが紛失し、数時間フライトが中断されました。合計 36 便が欠航し、200 便以上が遅延しました。日本では、ハサミの紛失後、空港が数時間麻痺したのです」と報道内容の大枠はこんな感じです。 この事件により、空港では数時間にわたる捜索が行われ、その結果、36便が欠航し、201便が遅延し、出発ラウンジの乗客は再び保安検査を受けることを強制されたと報じています。 考えてみれば、空港では、国内線、国際線に関わらず、保安検査場で手荷物や金属探知機などを通されて、最近では時には、靴まで脱ぐように命じられたりすることもあったりもして、窮屈な思いをすることも多いですが、一方、空港内にある店舗やレストランなどでは、ハサミだって、ナイフだってあるのですから、この新千歳空港の保安当局が懸念したように、テロリストがこれらのハサミを入手し、飛行機内で武器として使用するという可能性は、考えられないこともない話ではあります。 飛行機が定刻どおりに出ないことは、むしろ、日本よりも海外の方が多いような印象がありますが、今回の新千歳空港の件のような理由でフライトが遅延、またはキャンセルになったという話は聞いたことがありません。 この事件?の発端は、出発待合室にある店舗から「ハサミ紛失」の警報が発せられたことによるものだと言われていますが、そもそも、日本の空港の店舗には、ハサミ等の凶器になり得るものを紛失した場合には、届け出なければならないというマニュアルがあるのでしょうか? だとしたら、かなり徹底した管理体制をとっているところは、さすがに日本、すごいな・・と思うのですが、おそらく、フランスなどの空港内の店舗でもし同様の紛失事件が起こったとしても、そんなに大騒ぎをしないのではないか?というより、そんなに厳重に管理をしていないのではないか?と思ってしまいます。 だからこそ、今回の新千歳空港の事件がこんなに報道されているのだろうと思うし、それが良いとか、悪いとかのジャッジは報道の中ではしていません。 むしろ、今どき、ハイジャックのような割に合いそうもないことをやらかすことも少なかろうと思う反面、テロや諍いが世界中で起こっているなか、まったく危険性がないとも言えないし、今回の報道では、むしろ、その手があったか!と思いついてしまった人がいそうな気もしないでもありません。 空港運営者は声明で「店舗従業員の適切な使用、保管、管理体制の欠如が原因で事件が発生したと認識している」とし、謝罪したそうですが、この夏休みの最も多くの人が交通機関を利用する時期に、フライトをキャンセルされた人々からしたら、お金を返してもらうだけではおさまりのつかない思いをしているのではないか?と思います。 結局、ハサミは、翌日、同店舗内で見つかったそうですが、大した人騒がせなことです。非難ごうごうなことはもちろんですが、一方では、...

2024年8月21日水曜日

パラリンピック開会式はコンコルド広場で・・パレードはシャンゼリゼ

  ついこの間、シャンゼリゼのあたりに行った時、オリンピックのフラグなどは、そのままだし、オフィシャルグッズショップなども、まだ相変わらず、盛況で、まだパラリンピックもあるからなんだろうな・・とぼんやりと思っていました。 そして、凱旋門の脇あたりが工事中で、なにやら、ステージのようなものを作っている模様で、あらら・・パリ祭も終わったし、オリンピックも終わったし、パリ祭もとっくに終わっているし、こんなところにステージを作って何をやるんだろう?と思っていました。 帰ってきて、調べてみたら、どうやらパラリンピックの開会式はコンコルド広場が会場となり、選手たちは、シャンゼリゼをパレードするんだそうです。 開会式会場がコンコルド広場で、パレードがシャンゼリゼとなれば、まさにパリ祭の時のような感じが予想され、選手たちは、シャンゼリゼをおりてきて、コンコルド広場に集結する感じになると思われます。 この間、シャンゼリゼからコンコルド広場の方を眺めたら、その向こうにあるチュイルリー公園のオリンピック聖火のために設置された気球がまだ、そのままになっていて、あれ?あの気球は、このまま記念碑のようにずっと据え置きになるのかな?などと思っていましたが、どうやらパラリンピックのためのようです。 でも、シャンゼリゼからも見える光り輝く気球は美しく、またチュイルリー公園の方から見ても気球の向こうにシャンゼリゼ、凱旋門が見える景色はなかなか幻想的で美しいので、このままずっと残したら、パリの名所のひとつになるのでは?とも思います。 夏のパラリンピックをパリで行うのは初めてのことだそうで、このパラリンピックの開会式にもまた、付加価値をアピールしている感があり、シャンゼリゼ通りとチュイルリー公園の間にあり、国会議事堂やグラン...

2024年8月20日火曜日

戻ってきたRATP(パリ交通公団)の検札官とバスのチケット

   パリオリンピック期間中は、 パリ市内のバスやメトロで全くチケットのコントロールの検札官の集団を見かけることはありませんでした。おそらく、オリンピックのための駅の警備や案内係等のために多くの人員を割かなければならなかったのと、混雑時の混乱を避けるためではなかったかと思われます。 パリオリンピックの開会式の一週間ほど前から、パリのバスやメトロの料金は、通常の倍近くに値上がりしましたが(月額、年額のNavigo(定期券のようなもの)購入済みの場合を除く)、このオリンピック料金は、オリンピックが終わった現在もまだ続いています。 パラリンピックを控えているということもあるのでしょうが、...

2024年8月19日月曜日

アラン・ドロンの訃報 「サムライは死んだ・・」

           ここ数年、アラン・ドロンについては、彼の子どもたちどうしの家族のいざこざばかり(父親の治療をめぐって弁護士を介して衝突したりしていた様子)が大きく報じられてきました。 本当のところの真相はわかりませんが、かなり彼自身がすでに心身ともに正常な状態ではなかったようで、最後には彼の財産等も含めて、司法監督下におかれていました。 彼がフランスの映画界における偉大な存在であることは当然、知っていましたが、その度に流れる、彼が公に姿を現した2019年のカンヌ映画祭の名誉パルム賞を受賞した時の様子には、すでにかなり痛々しい印象を受けました。 子どもたちが彼の人生の最後の数年に寄り添ったパートナーを追い出し、その後は子供たちの間で諍いを起こす様子は、カンヌ映画祭で見た痛々しい彼の様子を考えるに悲惨としか言いようのない感じが...