2024年6月18日火曜日

娘はけっこうなハードワーカー??

  


 「パリ行きの安いチケット見つけた!」と、かなりフットワーク軽くパリにやってきた娘は、現在、家で仕事をしています。

 6月末までにとりきらなければならないお休みが残っているから・・と聞いていたのですが、それは、今回の彼女のパリ滞在まるまるの日程の分のお休みをとっているわけではなく、最初の一週間は、ほぼほぼリモートワークで通常どおりの仕事をしているようです。

 彼女の仕事は、リモートワークが中心なので、日本にいても会社に行くのは、せいぜい週1~2日くらいなもので、行っても行かなくてもいいけど・・という私にはよくわからないもので、私が日本に行っているときも、彼女は家で仕事をしていたり、たまに会社に行くことがあったりするし、私が日本に行くときには、私の方は、かなりスケジュールがキツキツで彼女の仕事の様子は、あまり気に留めていませんでした。

 今回、彼女が今の仕事についてから、初めてのパリでのリモートワークの様子を見ていて、朝は日本時間にあわせて、朝6時頃に起きて会議などに臨み、その後も、自分自身の仕事をしながら、次の会議はドイツと・・その次はアメリカと・・などと、結局、ものすごく長時間、仕事をしています。

 パリにいても、私は私のスケジュールで動いているのですが、意外にもリモートワークというものは、どこにいてもいい代わりに、どこにいてもいいからこそ、世界のそれぞれの時間にあわせていると、結局、かなりの長時間労働になるわけで、この国際間のリモートワークをしている人々の仕事ってどうなってるの?とちょっとビックリしています。

 リモートワークというと、なんだか、通勤しなくていいので、楽な気もしていたのですが、これがけっこう大変そうです。彼女は、けっこうなサラリーを頂いているようなので、やはり、それなりにすごく仕事しているのだな・・と、あらためて、娘の仕事ぶりに驚いているのんきなママです。

 私も以前は、パリで日本の会社と連絡をとらなければならない仕事をしていたことがあり、しかし、その頃は、リモートなどではなく、日本に電話しなければならないから、午前中の比較的早い時間に電話しないといけない・・などということもあったのですが、それは所詮、電話だけの話で、ずいぶん、世の中変わったな・・としみじみ思ったりもしているのです。

 しかし、そんなことにも全然、めげずにそれを利用してパリに来ているのですから、若いエネルギーってすごいものだと思います。

 そのうえ、これだけハードに働きながら、ほとんど動いていないのに、私があれもこれもとここぞとばかりに色々買い込んでくるものを食べているので、これはヤバい!とひととおりの仕事が終わると夕方には、1時間くらい走りに行くので、もう帰ってきて食事をすると、ふわふわあくびをしだして、もう電池が切れたように寝そうになっています。

 しかし、大いに仕事をし、大いに遊び、健全だな・・と思います。これも、この先、子どもを持ったりしたら、さすがにできないことで、今のうちだからできること・・できるときに、できるだけ人生を謳歌してほしいな・・と思っています。


リモートワーク


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2024年6月17日月曜日

パリ市内での車の運転と駐車

  


 私は、フランスに引っ越してきたばかりの頃は、パリ郊外に住んでいて、娘も小さかったので、たまに運転することもありました。なによりフランス人の夫が車が好きな人で、どこへ行くのも車を使いたがり、娘も2歳になるまでメトロはもちろんのこと、電車というものに乗ったことがありませんでした。

 なので、私としては、ほとんどその自覚がなかったのですが、初めて一人で娘をパリに連れていくときに電車で行こうとしたら、なんと娘が電車を怖がって乗るのをためらうという場面に遭遇し、「そういえば、これまでこの子は電車に乗せたことがなかったかも・・」と自分でもびっくりしたくらいです。

 パリに引っ越してきてからは、もちろん、大幅に通勤も楽になり、メトロやバスでどこへでも行けるので、私自身が運転してどこかへ行くということはなくなりましたが、夫は相変わらず、ほんの少しの距離でも車、娘を学校に送っていくのも車、家から徒歩1分のところにバス停があり、職場までバスで1駅というのに、車で通勤しようと職場のあるビルの駐車場を確保するということをしていたくらいなので、本当に彼にとって車なしの生活は考えられなかったようです。

 私は、夫が亡くなってしまった後は、家の車は処分してしまいました。

 パリ市内を車で移動するということは、行った先々での駐車スペースを探し回らなければならないということで、パーキングメーターで駐車料金を支払えば、路上駐車ができるとはいえ、そのスペースを見つけるのに一苦労。しかも、運転は皆、けっこう荒いです。

 そんな労力を考えるくらいだったら、バスやメトロの方が全然ラク。しかも路上駐車のスペースは限られているうえ、ギリギリのところを、よくこんなところに停められるな・・と思うくらいギチギチに停めており、時には、明らかに前後の車にぶつけてスペースを無理矢理こじ開けたような停め方をしている車もあり(車のバンパーはそのためについていると公言する人もいるくらいです)、車が傷ついたり、へこんだりするリスクがあるうえに、車上荒らしや酷いときには、デモの煽りを食って燃やされる危険だってあるわけで、まったくリスクしかないと思うのです。

 身体が不自由であるとか、高齢者を連れているとか、小さい子どもを何人も連れているという以外は、そこまでしてパリに車ででかける意味が私には、わかりません。

 最初にフランスに来た頃は、フランスの車って汚れている車が多いな・・と思い、今では慣れてしまいましたが、やはり日本に行った時には、日本の車って、どれもピカピカに磨いていてきれいだな・・と思うし、傷がついている車を見かけることはあまりなく、そういえば、父などは、車をちょっとでもこすってしまったりすると、すぐに修理に出したり、その傷が目立たないように、ペンキを自分で塗ってみたりしていたので、車の傷に対しては、とっても気にしていたので、フランス人の少しくらいの傷なら全く意に介さない様子を見たら、仰天するだろうな・・などと思います。

 先日、たまたま通りかかった路上で、よくもこの間隔で駐車できたな・・というより、もう衝突したまま駐車している車があって、久しぶりにさすがにビックリしましたが、明らかにもうこれは衝突しているな・・と思う駐車の仕方は、なぜなんだろう?少しは下がって、ほんのちょっとでも前をあけたらいいのに・・と思ったら、他のフランス人がこのままにしておいた方が前の車が出るときに、さらにぶつけられることがないから・・というので、そのマインドに驚いた次第です。

 いずれにしても、私にとっては、こんなもろもろのリスクを負ってまでパリで運転するのは、ゴメン被りたいわけで、私はNavigo(パリ市内のメトロやバスが使える定期券のようなもの)をフルに活用し、毎日、バスやメトロで移動しているのであります。


パリ市内の路上駐車


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2024年6月16日日曜日

娘の来仏で早々に食べすぎの日々

  


 2~3週間前頃に、私は体調を崩していて、どうにも具合が悪い日が続き、しかもお天気もあまり良くない日が続いて、あまり外出もできずに鬱々としてきて、なんか、つまんな~い!誰かとおしゃべりしたい!と友人に電話をかけたりしていました。

 普段は、日本とは(現在はサマータイムなので7時間)時差があるために、電話できる時間帯というのも限られていて、電話しようかな?とか思っていても、結局、まだ、ちょっと早い?とか思っている間に出かけたりしているうちに、ああ~もう日本は遅い時間だ・・電話は無理・・とかなるので、なかなか、日本に電話をすることはありません。

 そんなわけなので、日本にいる娘とも、そんなに頻繁に電話で話すことはないのですが、今回は、なんとか、ちょうどいい時間に電話ができて、「久しぶり!元気にしてるの?」などと話しはじめ、「今度はどこに行くの?」などと話を始めたら、娘の方が、実は、「パリ行の安いチケットを見つけたからパリに行こうかどうか迷っている・・」というので、「へっ?」となりました。

 ふつうパリ⇔日本のチケットは夏の期間は高くて、今年はオリンピックがあったりもするので、夏は無理そうだから9月くらいに行こうかな?と言っていたのに、なんと6月に700~800ユーロくらいのチケット見つけちゃって・・しかも6月中に使いきらなきゃならないお休みが残っているし・・」と言い出すので、6月にそんなに安いチケットあるなら、来れば?・・と言ったら、じゃあ、ちょっと待って!今、チケットとるから・・とその場でチケットをおさえて、急遽、パリに来ることになったのです。

 だいたい、四六時中、旅行をしている娘がなんでまだ有給が残っているのか?というのは、今の時代のリモートワークのなせる業で、私の若い頃には考えられなかったこと。まったく、羨ましい限り・・いい時代になったものです。

 彼女は、旅先でも、時差を乗り越えて、ちょこちょこ仕事をしながら旅行もし、有給をセーブしながらいた結果、あんなにしょっちゅう旅行してるのに、まだお休みがあるの!という感じになっています。

 私としては、私自身も諸事情があって、昨年は11月、そして、今年の3月に日本に行っているので、娘にはわりと最近、会ったばかりなので、もう少し先でもよかったくらいなのですが、まあ、また9月に来れれば来たらいいじゃん!と本当に軽く適当な感じで、電話で決めてから、彼女は、あっという間にやってきました。

 こうフットワークが軽い感じだと日本がなんだかすぐ近くな気がしてきます。

 季節的には、本来ならば、6月のパリは日も長く、最高の気候の時期です。(実際には、今年はなんだかいつまでも寒くて雨も多くてすっきりしないのですが・・)

 娘がパリにやってくると決まって、それじゃお誕生日のお祝いをしよう!とケーキを探し回ったり、慌てて彼女の部屋を片付けたりしているうちに、あっという間に、彼女はパリにやってきました。

 どうやら、今回もなんだかんだいっても、仕事をしながら、お休みも何日か使ってパリに滞在し、途中、どっかに一緒に旅行でもしよう!ということになっていて、早くも美味しいものを食べに行ったり、また、美味しい食材を買ってきては、二人でああでもないこうでもないと食べ比べをしたり、楽しい時間を過ごしていますが、2日目にして、もうかなり食べすぎで、お腹が苦しい・・を連発・・。まったくイカれているDNAです!

 彼女の方は、体重増加を少しでも抑えなければ・・と夕方、走り込みに行ったりして(また、さらに食べるために)、時差ボケの中、頑張っています。

 おもしろいのは、猫のポニョが娘の帰国がなんだかとっても嬉しいみたいで、もうふだん、ツンデレで寝てばかりいるくせに、どこかウキウキして、満足気な様子なことです。

 彼女が小さい頃から姉妹のように育ってきたので、本当に自分の妹が帰ってきたような気分でいる感じです。

 私としては、娘の帰国もうれしいのですが、娘にあれ買ってきて、これも・・などと頼んで持ってきてもらった日本の食料品がたくさん家に届いたことにも、すごくウキウキで、自分が行かずして、これだけの日本食が手に入るなんて、こんなにうれしいことはありません。

 じゃあ、自分で日本にもっと行けばいいという話なのですが、やはり長距離フライトと時差が辛くて、なかなかそうそう重い腰はあがりません。

 これからしばらくは、娘の日本時間にあわせての仕事などに振り回されることになりますが、ふだん、私が一人だと、なかなか色々なものを食べてみることができきれずにいるものに娘をつきあわせることになります。

 どちらにしても、独立した娘がたまにパリに帰ってきて、その仕事ぶりや生活などの話を聞きながら、一緒に過ごす時間はなんとなく、せわしいながらもかけがえのない楽しい時間です。


娘の来仏


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2024年6月15日土曜日

フランス人の在外選挙と日本人の在外選挙の違いにビックリ!

   


 日本にいるフランス人と話していて、フランスの選挙の話になり、フランス人の在外選挙について、初めて知って、海外にいる日本人の在外選挙とはえらい違いだと思って驚きました。

 私は、数年前にフランス(パリの日本大使館)で在外選挙登録申請をして「在外選挙人証」というものをようやく手にしたのは申請から約3ヶ月くらいたってのことで、それ以来は、在外選挙がようやく可能になりました。

 海外にいるフランス人には、在外選挙登録という特別なものはなく、例えば日本にいるなら日本にいるという在留届を日本にあるフランス大使館に登録すれば、自動的に投票ができるようになるそうで、選挙のタイミングがやってくると、フランスにいる場合と同じような候補者のチラシのようなものと投票用紙が送られてきて、在留地のフランス大使館で投票できるのだそうです。

 もともと政治に積極的に参加するフランス人のこと、在外とはいえ、当日はフランス大使館は投票に訪れる人でけっこうな行列ができるほどだそうで、フランスに住んでいなくても、フランス人の投票率は、日本人よりもずっと高いのだなぁと感心しました。

 考えてみれば、海外に住んでいようと、自国に住んでいようと、国民が選挙に投票に行く権利があることには、代わりなく、在留先が確認されていれば、国民として投票できるのは、当然のことで、なんで?日本の場合は、在外選挙人証なるものが別にあって、その申請にこんなに時間がかかるのか?と思います。

 ただし、日本の選挙はフランスのように国民投票という例は稀であるため、自治体に依存する場合が多いことが起因しているとは思うのですが、どうにも、この違いに、なんかモヤモヤします。

 今回のフランスの欧州選挙や、その結果、急遽、決まった6月末と7月初めに行われる選挙に関しては、急に決まったことでもあり、また、かねてから、検討されていたことだとは思うのですが、在外(フランス以外の国に住んでいるフランス人)の人々に限っては、ネット投票が可能になるということで、この選挙制度の進歩の差がますます日本とはかけ離れることに、羨望を感じずにはいられません。

 フランス本土全体でのネット投票に至るには、そのセキュリティ管理などで、まだハードルが高いようですが、在外の人に限ってというある程度、限られた範囲でネット投票に踏み切るということは、とりあえずのテストケースとしても意味のあることだと思います。

 長く海外で生活している間に、いつの間に日本はこんなに時代に遅れてしまったのか?と思うことが増えていますが、今回の在外選挙に関しても、大きく差をつけられた気がしています。

 この話を教えてくれたフランス人は、「候補者リストや投票用紙」が紙で送られてきたということに、呆れていましたが、在留届だけで、選挙に投票できるということだけでも、日本人の私から言わせてもらえば、すごいこと。

 この分で行くと、フランスでは、国内でも、そのうちネット投票が可能になる日が来るのではないか?などと思います。

 それにひきかえ、日本の投票率はフランスだったらスキャンダルなみに低いうえに、ネット投票など夢のまた夢。日本もネット投票になれば、ずいぶんと投票率もあがるだろうし、結果もずいぶんと違ってくるだろうにな・・などと思うのです。


在外選挙登録 在外選挙


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2024年6月14日金曜日

ファストフードの激安メニュー競争

  


 少し前のExpensyaプラットフォームが実施した調査によると、仕事をしているフランス人がもっとも好むレストランの第一位はマクドナルドが堂々1位の座を勝ち取り、マクドナルドって、そんなに人気だったんだ~と驚いたばかりです。

 たしかに、このようなアンケートとなれば、絶対的に店舗数の多いマクドナルドのようなチェーン店にとっては、有利な結果に繋がりやすいとは思いますが、逆に考えれば、チェーン店とはいえ、それだけ店舗数が増えているということは、また、人気のある所以でもあります。

 個人的には、マクドナルドなどのファストフード店は、ごくごく、たま~に、なぜか無性に食べたくなることもあるのですが、日常的には、あまり行かないので、あまりよく知らなかったのですが、以前に比べると、格段に種類も増え、また、その時々に流行りのものを取り入れたり、「エミリーパリに行く」が大ヒットした時など、「エミリーメニュー」なるものが登場したりと、色々と手を変え品を変え、工夫している様子は広告などで見ていました。

 先日、たまたま、レピュブリック広場の近くに行く機会があり、マクドナルド、KFC(ケンタッキー)、バーガーキングの大きな店舗が並んでいて、こんな大通りに横並びにファストフード店が並んでいるのか・・とビックリして何気に前を通ると、そのどの店舗も5ユーロ前後の格安メニューの看板が大々的に掲げられていて、「そんなに安いの?」とびっくりした次第です。

 少し前までは、ファストフードといっても、決して安くはないというイメージだったのに、こんな激安メニューができていることに驚いたのです。

 外食が決して安くはないパリで、5ユーロで食事ができるレストランなど、まず、あり得ない話です。ふつうのブーランジェリーなどでもサンドイッチだけでも5ユーロ以下というのは、恐らく難しいと思うし、カフェやブラッスリーなどなら、ランチメニューでもだいたい20ユーロ前後です。

 もちろん、ファストフードとはクォリティーが違うといえば、それまでなのですが、ランチなどを選ぶとき、その価格帯は大きな位置を占めます。

 それにしても、ビッグマックとポテトとドリンクで5ユーロとは、すごいです。

 となりに並ぶ KFC(ケンタッキー)には、似たようなメニューで 4.76 ユーロの看板が・・。ただし、これは学生価格ですが、それにしても学生ではなくとも 5.95 ユーロと6ユーロ以下。そのとなりのバーガーキングにも5ユーロメニューがありました。



 バーガーキングは、他のファストフードよりも若干高いイメージがあったのに、この5ユーロメニューには、ハンバーガー、ポテト(あるいはオニオンリング)、ドリンクの他、コーヒーあるいは、デザートまたはオニオンリングがつけられます。

 あまりに他の外食の価格と違い過ぎて、もうちょっとどうなってるの?という感じです。

 パリであまりに外食が高くてビビったら、1食くらいファストフードに頼るという手もあるかもしれません。


マクドナルド KFC バーガーキング

 

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2024年6月13日木曜日

マクロン大統領 解散・総選挙に関しての記者会見

  


 欧州選挙の極右勢力の圧勝を受けて、マクロン大統領が発表した国民議会解散・選挙は、フランス全土に衝撃を与え、もうあらゆる報道機関が、この話題に終始しているといっても過言ではありません。

 この解散・選挙への決断について、発表直後にマクロン大統領は、エリゼ宮のサイトでその経緯と理由を説明する文書を発表しています。

 この文書の中で、「欧州選挙の結果は、大統領多数派を含む欧州を擁護する政党にとって良い結果ではない」、「近年、経済回復、国境の共通保護、農民支援、ウクライナ支援など、欧州によって可能となった多くの進歩に反対してきた極右政党が前進を続けている」、「統一され、強く、独立したヨーロッパはフランスにとって良いことだと常に考えてきた私にとって、これは容認できない状況であり、国家主義者や扇動者の台頭は、我が国にとってだけでなく、ヨーロッパにとっても、ヨーロッパと世界におけるフランスの地位にとっても危険なことである」「極右はフランス人の貧困化であり、我が国の格下げでもある」とし、この状況を無視することはできないとしています。

 「解散・選挙という決断は重大で重いものですが、何よりも信頼に基づく行為です。親愛なる同胞の皆さん、フランス国民が自分自身と将来の世代のために最も公正な選択をする能力を信じています。私たちの民主主義への信頼。主権者である国民が示してください。これほど共和主義的なものはありません。これは、あらゆる取り決めやあらゆる不安定な解決策よりも優れています。これは正しいことを明確にするための重要な取り組みであり、そのタイミングです。厳しい時代に直面しても、あらゆるデマゴギーに後退したり屈服したりせず、未来を形作るために団結して抵抗する方法を常に知っているフランスへの自信と信頼を私は持っています」

 マクロン大統領は、「近日中に私は国家にとって正しいと信じる方向性を表明するつもりです」と文書で説明していましたが、その表明が今回の記者会見だったわけです。

 選挙を控えての記者会見ということで、大統領でありながら、彼の立場は、その大統領としての職務と混同することは許されず、立場は曖昧なものでもあり、事実、この記者会見が行われたのは、通常、彼が記者会見を行うエリゼ宮(大統領官邸)ではなく、パリのカンボン・カプシーヌ・パビリオンで行われています。

 エリゼ宮での記者会見というだけで、ある種、彼は鎧をまとっているようなところもあり、なんとなく、今回はいつもの威厳のようなものが薄らいで見えるのも不思議なことです。

 この長時間に及ぶ記者会見は、多くのメディア(テレビ・ネット)で生中継され、カフェや職場などでも画面を覗いている人が多いところは、さすがに政治に対して関心の高い国だと思います。

 会見での内容の大半は、すでにエリゼ宮のサイトで説明されているものではありましたが、今後の彼の具体的な政策についてもいくつか語っています。

 まず、「子どもたちと青少年を守る」という観点から、「強化された対応をとるべきである」とし、特に「スクリーン(携帯やタブレット、パソコン等)への依存はあらゆる問題の温床である」とし、「11歳までに電話の使用を禁止すること、そして何よりも15歳までにソーシャルネットワークへのアクセスとその使用を禁止すること」を政府が明確に決定することを約束。

 また、年金はインフレに連動し続けることを強調したうえで、労働時間の延長なくして奇跡のレシピは存在しないと断言した他、原子炉の増設についても語っています。

 この会見において、彼は、この事態を引き起こしたことについて、極右勢力台頭への懸念に対して十分な対応をしなかった自身の責任を認めたうえで、それでもこれは敗北ではないとし、RNとLFIの両方を巡る左右「両極端」の「不自然な」同盟を非難し、「悪魔の同盟」と過激な表現をしています。

 「極左が今日提案しているのは、共同体主義と緩みによる対応である」、そして「極右とその同盟者たちが提案しているのは、共和国、その価値観、その基盤そのものから離れることによる治安不安への対応である」と説明し、自身は、共和党の「価値観」を尊重しながら「あらゆるレベルでの共和党の権威」と「主権軸の強化」を約束しました。

 彼は、この選挙で、フランス人が惑うことなく正しい道を選ぶことを信じていると語り、この選挙は、「ビジネスを繁栄させることを選択する人々と、フランスを繁栄させたいと願う人々の間のリトマス試験紙である」とも語っています。

 このリトマス試験紙、日本の政治家にも使えないかな?とチラと思いました。

 しかし、この記者会見に対して、世間の目はけっこう厳しくもあり、「大統領には党のために選挙運動をする権利があるのか?」などという声も上がっています。

 だいたい、マクロン大統領の強引なやり方には、必要以上に国民を怒らせる場面が多くなっていることも事実で、荒れに荒れた年金改革問題の際に発令された49.3条問題も立て付け上は、首相の権限のもとでというカタチになっていて、当時のボルヌ首相がやり玉に挙げられましたが、事実上は、マクロン大統領の政策。

 今年初めに農民が暴動を起こした際にも、農民たちとの直接対面の会合に自分に有利な陣営を取り込んで丸め込もうとしたことで、さらに彼らを怒らせたりしたこともありました。

 正しいと信じ、国のために突き進んで行動しているのは理解できるのですが、彼のあまりに強権的なやり方自体に反発を感じている人も少なくないような気もしています。

 いずれにしても、当分、フランスは、落ち着かない日々が続きそうです。オリンピックはもうすぐなのに・・。


フランス国民議会解散 総選挙 マクロン大統領記者会見


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2024年6月12日水曜日

財務相 2025年2月電気料金10%~15%値下げを発表

  


 このところ、値上げの話しか聞いていなかったので、「2025年2月電気料金10%~15%値下げ」の発表を聞いて、ちょっと嬉しい驚きでした。

 政府が発表しているのだから、まあフランスの場合、間違いはないとは思うのですが、これを発表したのが、ブルーノ・ル・メール財務相で、まったく個人的なイメージと身びいきからの印象なのですが、この人の話はなんとなく素直に聞いてしまいます。(あくまでも、私個人の印象です)

 ほんの数日前の欧州選挙の結果のためにマクロン大統領が下した国民議会解散、総選挙という大事件?に現在、フランスは大騒ぎ。もうほぼ他の全てのニュースを吹っ飛ばして、この話ばかりしています。

 昨日は、ベルサイユ宮殿で火事があったというのに、すぐに鎮火されたこともありますが、そんな話は、全くスルーです。

 ブルーノ・ル・メール財務相は、この電気料金の値下げについて、「この値下げが可能になるのは、私たちが原子力発電の再稼働に投資してきたためであり、湾岸諸国とロシアの手に手足を縛られずに、フランスがエネルギーの自立を信じてきたためです」と説明しています。

 しかし、これは、間近に迫っている選挙対策のためであることは明白で、そもそも、2023 年 2月 には電気料金は15%上昇し、その半年後には 10%上昇しています。そして、その値上げの際には、他の欧州諸国に比べて、フランスの電気料金上昇がこれだけ抑えられているのは、実際の価格との差額を国が負担しているからだと説明し、徐々にこの国の負担は削っていく計画であると説明していました。

 要するに事情次第で、どうにでも調整がつけられるということです。その時々で、政府の都合のよい理由をつけて財政をコントロールしているということです。

 たしかに、フランスが様々な理由で停止されている原子力発電を再稼働させようと動いているのは、事実であるとは思いますが、まさか、このタイミングでその準備が整ったというのは、出来すぎな話です。

 一方、この欧州選挙の結果にまつわる一連の解散・総選挙の騒動が起こる直前に政府は、7月からのガソリン価格の12%値上げを発表してしまっています。今から考えれば、これは実に最悪のタイミングでした。

 さしずめ、2025年2月電気料金値下げは、とりあえずは、これを相殺する一手でしかありません。


2025年2月電気料金10%~15%値下げ


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