2023年4月4日火曜日

マクロン大統領の風刺フレスコ画消去要請

  


 溢れるほどの歴史ある芸術作品が存在するフランスで、皮肉を込めた風刺画もまた、フランスでは珍しくはありませんが、アヴィニョンのある駐車場に描かれたマクロン大統領を描いたフレスコ画(壁画)が物議を醸し過ぎて、消去されることになったそうです。

 このストリートアートは、グラフィティアーティスト、レクトの署名入りのもので、マクロン大統領の姿をアドルフ・ヒトラーに寄せて、髪は白髪混じりのグレーヘアー、その額には皺が刻まれ、険しい顔つきでヒトラーのシンボル?でもある口髭の部分には、49.3の文字が書かれており、肖像画の上と下に「NON MERCI」(ノーサンキュー)と書かれている、まさしく現在のマクロン大統領に対する抗議や嫌みが全面に表れている壁画です。

 このグラフィティアーティストは、ことあるごとに、この種の物議を醸すアートを発表してきたようで、すでに以前に描いたフレスコ画のために、「憎悪と人種差別の扇動」と「公衆の侮辱」で訴えられている芸術家のようです。

 レクトは、アステリックスのヘルメットをかぶった歌手フランシス・ラランヌの肖像画を含む、いくつかの人物の肖像画で名を馳せた人で、しばしば政府の方針に反する絵を描くことでも有名な人で、ヘルスパスが起用され、ほぼワクチン接種が事実上の義務化のような状態になった時は、当時の保健相であったオリヴィエ・ヴェランが注射器に囲まれている絵や、マクロン大統領が(この時もヒトラー)ナチスの制服を着て、「従え!ワクチン接種を受けよ!」というスローガンを添えて描いていたそうです。

 その際は、2021年7月の段階でレクトは起訴されましたが、昨年12月、「表現の自由の範囲を超えていない」ということで、罪に問われていません。

 現在は、その後に描いた別の壁画の件で裁判を待っている状況だそうで、彼にとっては起訴されることなどは、全く意に介していない様子で彼の創作意欲を削ぐことはないようです。

 

 今回は、この肖像画がSNSで拡散されてしまったこともあり、また、かなり国民の怒りが暴力的になっていることもあり、県知事が駐車場の持ち主に、この壁画を消去するように申し入れ、受け入れられたとのことで、できるだけ早く消去の作業にとりかかることになったそうです。

 先日は、マクロン大統領をSNS上でゴミよばわりした女性が逮捕されたばかり。今回は起訴されるのかどうかはわかりませんが、それにしても、止まらない「マクロン大統領への意怒りの表現の自由」を抑える機会がネズミ叩きのように出てくる状況のようです。

 それにしても、こんなに嫌われても意思を貫こうとしている政府、メンタルも相当、強いな・・と感心します。


マクロン大統領 風刺肖像画


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2023年4月3日月曜日

パリからセルフレンタルサービスの電動キックボード消える

 


 パンデミック以来、パリには自転車が急速に普及しました。以前は、フランス人にとって、自転車は、移動手段ではなく、スポーツや娯楽として、車に自転車を積んで、郊外の広い場所に行って乗るような位置づけでした。

 日本で生まれ育っている私にとっては、車で移動するほどではない場合、駅まで自転車とか、ちょっとした買い物には自転車という生活をしていたので、パリではそれができないことがとても不便に感じていました。

 自分の自転車で移動するのは、別に自由ではあるのですが、すぐに盗難に遭うので、買い物をしている間に自転車が盗まれてしまうことが心配でおちおち買い物などしていられない感じだったり、もしくは、すごく頑丈な鉄パイプのような鍵でロックしなければならないので、その重たい鍵を持ち歩き、いちいち、その大仰な鍵をかけなければならないことが煩わしくて、結局、自転車はあまり乗らないことになってしまっていたのです。

 ところが、環境問題やパンデミックでの感染拡大を懸念することから、Velib(べリブ)という自転車のレンタルサービスが一気に増加し、それに加えて、電動キックボードのセルフレンタルサービスがここ数年であっという間に、ものすごい数になりました。

 ところが、この電動キックボードについて、利用者があまりにも無秩序で危険であるという反対の声が大きくなり、パリ市は利用可能年齢を12 歳から 14 歳に引き上げ、罰金を 35 ユーロから 135 ユーロに引き上げましたが、こんなことでは危険な状況は改善されないと、この電動キックボードの是非についての市民投票が行われることになりました。

 実際、パリは狭い道も多く、また自動車の交通量も人も多く、それに加えて、自転車、キックボードが混在しては、事故が多くなるのも当然のことでもあります。

 電動キックボードの便利なところは、小回りが利いて、車や人の間を縫うようにして移動することができる点でもあり、その分、無理をして通過しようとするケースは当然、多いわけで、しかも電動である分、想像以上の力で動くわけです。

 一時は、犯罪を起こした人の移動手段として、電動キックボードが多用されていた印象もあり、なんだかあんまり良い印象がないな・・と思う時期もありました。

 2022 年にパリ市が委託した調査によると、ユーザーの 26% がすでに事故に遭っており、そのうちの 9%がかなり深刻な事故を起こしているという結果も出ています。26%が事故に遭っているという数字は利用者の4人に1人が事故を起こしているということで、これはなかなか、穏やかな話ではありません。

 一方では、車やバスなどに比べてCO2の排出量は圧倒的に少なく、環境問題には寄与する交通手段でもあります。

 パリの電動キックボードのユーザーの80%は45歳未満で、これに対して反対の大きな声は特に団塊の世代以上の人々から上がっています。

 現在パリに存在する電動キックボードは、15,000台と言われています。

 来年に迫ったパリオリンピックの時などは、おそらく交通規制なども厳しく行われ、公共の交通機関も飽和状態になると考えられる中、この電動キックボードは大きな交通手段の一つとしても貢献するものになるとも考えられていました。

 以前、娘の小学校で、「傘は子供にとって、危険だから、傘は禁止!」と言われて仰天したことがありましたが、「危険となりえるものでも、便利に上手に使うことをなぜ子供に教えようとしないのか?」と思ったものです。

 今回の電動キックボードにしても、安全に利用するように指導したり、一部、規制したりすれば、便利な交通手段として存続することができるのに・・と思います。

 しかし、結局、約10万人のパリ市民による投票の結果、セルフレンタルサービスのキックボードは 9 月 1 日からパリから消えることになりました。


パリ市電動キックボード セルフレンタルサービス禁止


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2023年4月2日日曜日

医療従事者ワクチン接種義務解除とコロナウィルス第10波 フランスだけがなぜ?

 


 フランス保健当局は、2021年9月15日から施行されている医療従事者および介護者の予防接種義務を終了することを提言し、保健省は、この提言に従うことを発表しています。

 とはいえ、現段階での医療従事者および介護者の中でワクチン未接種者は0.3%と言われており、大勢に影響はないと思われますが、一時は、このために、「ワクチン未接種の場合は、事実上の退職勧告だ!」などと、かなりすったもんだした問題であったため、このために、離職してしまったり、異動を余儀なくされたりした人々もいたわけで、パンデミック対応として、最後まで残されていた部分に区切りがつけられたことになります。

 保健当局 (HAS) は、医療専門家の予防接種義務に関する最初の部分を構成する新しいレポートを発行し、 このテキストでは、引き続き、病院職員と医師がコロナウィルスの予防接種を受けることを強く推奨してはいますが、それ以外の人を除外する必要はないと記しています。

 これにより、予防接種を受けていないスタッフは排除されないことになります。この医療従事者のワクチン接種義務解除の理由として、「新しい症例の数は明らかに減少しており、新しい亜種の病原性は低下していること」また、「医療従事者のワクチン接種率は非常に高く、これまでにすでに 95% 以上が少なくとも 2 回の注射を受けていること」を挙げています。

 また、現状では、「ワクチンの入手可能性はの十分に満足のいくものであり, これにより, 流行が再燃した場合に迅速に対応することが可能であるため」としています。

 これでヤレヤレ、どうやら終息かというと、一部の感染症専門家のあいだでは、「フランスは現在、小さい波ではあるが、第10波を迎えているため、これを過小評価するべきではない!」と警鐘をならしている人々も存在します。

 たしかに、ここ数週間でフランスの感染者数は脈々と増加傾向にあり、1日の新規感染者も一時は2,000人~3,000人くらいまで下がっていたものが、ここのところ1万人近い数字にまで上昇しており、1日あたり400人程度の人がコロナウィルスのために入院し続けています。

 身近なところでも、久しぶりに連絡をとったフランス人の知人が「なんだかちょっと最近、具合悪くて・・」と言うので、すっかりコロナウィルスを疑わなくなっている私は、「インフルエンザ?」と言ったら、彼は「プチ・コヴィット(プチコロナ)」だと言うので、「え~~ワクチンもしてるし、前に1回、かかってるよね!季節がら花粉症かもよ?」と言ったら、彼は頑なに「いやいや、絶対、プチ・コヴィットだ・・だって、味覚がなくなっちゃったもの・・」と。

 それでも、彼は検査に行くこともなく、ひたすら、ドリプラン(パラセタモール・鎮痛解熱剤)を飲んで症状が消えるのを待っているのでした。

 こういう人もきっとけっこういるわけで、検査をしなければ、感染者としてカウントされていないわけで、実際の感染者はもっと多いのではないかとも思うのです。

 先日、かかりつけのお医者さんにいつもの処方箋をもらいに行っていた時も他の患者さんから、どうやら家族揃って、コロナウィルスに感染したという電話がかかってきていて、身近なところでも、なんかちょいヤバな感じがしています。

 パンデミックが始まった当初はヨーロッパの国々はイタリアにしても、スペインにしても、ドイツにしても、足並みそろえて悲惨な状況だったのに、今回の第10波はフランスだけが、飛びぬけている状態です。

 この寂しい?状況はなぜなのだろうか?とちょっと不思議な感じもするのですが、考えてみれば、これだけ毎日のように大規模なデモが起こっていて、群衆が集まって、あれだけ大声をあげて騒いでいれば、そりゃ~そうかな?とも思い、この年金改革問題の2次災害かもしれないとも思います。

 とりあえず、自分にできることは、マスクはいつでも携帯し、メトロの中など人が多くて距離が取れない場所では一応、マスクはしておくとか、こまめに手を洗うとか、そんな基本的なことは続けておこうと思うのでした。


医療従事者ワクチン接種義務解除 フランスコロナウィルス第10波


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2023年4月1日土曜日

おしゃべり好きなフランス人とマルシェ

 


 我が家の、ごくごく近所には、これまでマルシェというものがなくて、近所にマルシェがある人をずっと羨ましく思っていました。

 それでも、コマーシャルセンターがごくごく近くにあるので、特に買い物に不便ということはなく、考えようによっては、マルシェがあるよりもコマーシャルセンターがあった方が広範囲にわたる商品があり、しかも、毎日、営業時間も長くて便利といえば便利でもあったのです。

 特に娘が子供の頃は、「急に学校で、明日○○を持ってきなさい!」などと言われて、「えっ??何?そんな急に言われても!?」という時などには、(学校が終わって、エチュードが終わって、迎えに行って、家に帰ってくるのは、もう午後7時近く・・)コマーシャルセンターがあってよかった・・と思うことも多かったのです。

 しかし、食料品、ことに魚屋さんに関しては、カーフールに入っている魚は、お世辞にも新鮮とは言い難く、しかも種類も限られているので、「マルシェがあったらな~~」とずっと思っていましたが、もはや魚に関しては諦めてもいました。

 でも、やはり日本人としては、魚が恋しくて、未練がましくカーフールに行くと魚屋さんは一応、覗いてみたりもして、時には「これなら、まぁいいっか!」と思って魚を買ったりすることもあるのですが、一度、食あたりでエライ苦しい思いをして以来、どうにも、躊躇うことが多くなり、魚というものを滅多に買うことはなく、もっぱら魚はピカール(Picard)の冷凍のお魚に頼っていました。

 それが、最近、どういうわけか、家のごくごく近所に週1ですが、マルシェが出ることになり、代わり映えのしない近所に新しい楽しみができました。



 マルシェといえば、新鮮な野菜、果物、魚、肉、お花、チーズと見ているだけでも、楽しいのですが、何と言っても人が人に直接、物を売るという、その間に生まれるフランスらしい和気あいあいとした雰囲気や会話も楽しいものです。

 フランス人にはツンとしたイメージがあるかもしれませんが(事実、私もフランスに来るまではフランス人をそんなイメージで見ていました・・)、実際のところは、フランス人はおしゃべり好きで、知らない人とも平気で話す人が多く、どこか下町のおじちゃん、おばちゃんみたいなところがあります。

 もっとも、これには個人差はあると思いますが、そんな下町のおじちゃんやおばちゃんみたいな、人と人の距離が近い感じを、ことさらマルシェでは感じることができます。

 このどこか暖かい感じの雰囲気が、私がフランスの好きなところでもあり、最近では特に心地よく感じるところでもあります。

 そもそも、私はどういうわけか、バス停などでも知らない人に話しかけられることが多く、当初はなぜ?外国人である私なんかに話しかけるんだろう?と思ったりしたこともあったのですが、そもそもパリは外国人だらけなので、そんなに外国人を特別視することもないのです。

 マルシェのおじさんたちは、商売ですから、話すことにも慣れていて、声も大きく、話も楽しく、ちょっとジョークを交えたり、オーバーアクションだったりして、楽しい人が多いのですが、それに加わるお客さんたちも、どこか、ほっこりしていて、スーパーマーケットで淡々と買い物をしている人々よりも、生き生きとしていて、楽しそうなのです。

 そこに流れる暖かい空気感が私は好きなのです。

 また、野菜や果物、魚などの並べ方も、彩り豊かで美しいのも楽しいです。

 マルシェには必ずお花屋さんもあって、けっこうお花屋さんに行列ができたりしているところもパリらしいところで、今日もお花屋さんで「ブーケを作ってくれる?」と頼んでいるおばちゃんがいて、「これは私のためのブーケなの・・」などと言いながら、ひとしきり話をしていく人を見かけました。

 


 デコレーションのつもりか?口の中に思いっきりレモンを突っ込まれているお魚も愛嬌があって可愛いけど、こんなこと、日本じゃ絶対やらないだろうな・・とニヤッとしてみたりもしてしまいます。

 最近、マルシェを出し始めたばかりだからなのか? マルシェの脇ではバンドミュージックのサービスつきで、それが若者ではなく、けっこうな年長者なのも、味わい深いです。

 私は間違いなく、このマルシェの常連になります。

 



マルシェ おしゃべり好きフランス人


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「MADE IN AFRICA」

2023年3月31日金曜日

ネスレ ブイトーニ 食中毒事件 冷凍ピザ工場閉鎖も年内は従業員を解雇しない事情

 


 2人の死亡者と数十人の被害者を出したブイトーニの冷凍ピザの食中毒事件から、この工場の経営にあたるネスレ(Nestle)のコードリー工場は、長期間にわたり、閉鎖されていましたが、事件から9ヶ月後の昨年12月に衛生管理の改善や調理済みの生地を使用したピザのラインのみという条件付きで、一部の生産再開の許可が下りて、生産を再開したものの、ネスレは業績不振のために、今年3月上旬には、再び工場を閉鎖してしまいました。

 食中毒による死亡事故まで引き起こした食品会社の工場は、実際の被害状況はもちろんのこと、その後の会社側の不誠実な対応なども乗じて、再起させることはできませんでした。

 ただし、3月上旬の時点では、とりあえず工場は閉鎖するものの、正式な工場閉鎖の決定までは賃金は会社側が補償するということでしたが、今回、ネスレは正式にこの冷凍ピザ工場を閉鎖することを決定しています。

 この工場の従業員は約140名、このネスレ(Nestle)・ブイトーニ工場の汚名は彼らの再就職にもついてまわります。CV(履歴書)に書かれたこのブイトーニー・コードリー工場勤務の経歴はどう考えてもプラスのイメージではありません。

 元従業員が暴露した、あまりに不衛生な工場内のスキャンダラスな映像は、ちょっと食品工場としては信じられない状況で、従業員の責任は問えないとはいえ、この状態で食品を製造しつづけていた従業員と思えば、同種の職種での再就職はかなり困難と考えざるを得ません。


 この従業員の再就職については、ネスレ(Nestle)は、誠意を持って対応すると述べていたものの、同社のシリアルなどの別の食料品工場にしても業績は思わしくなく、コードリー工場の従業員を社内での他部署へ異動することも難しいと言われています。

 そもそも、止まらないインフレのために消費は低迷、しかも工場操業のための電気・ガス代などのコストもうなぎ上りしている中、スキャンダルとは無縁の普通の工場でさえ、存続は大変、厳しい状況です。

 しかし、ネスレ(Nestle)は、とりあえず、2023年12月31日までは、従業員を解雇しないとしており、同グループは、工場閉鎖と同時に、工場の、確実で永続的な回復ソリューションを見つけるプロセスを開始することに並行して取り組み、140 人の従業員に社内での再配置の機会を提供するとしています。

 つまり、ネスレ(Nestle)は、この工場の買い手を見つけることに尽力しているということで、この雇用確保に関する工場の保持に国から300万ユーロの援助が出ているのも、なんだかきな臭い感じがしないでもありません。

 年金改革問題で揉めに揉めているフランスで、定年の2年延長どころか、失業者が増加してしまう状況を回避したい政府の気持ちもわからないではありませんが、生産性を考えたら、このスキャンダラスな工場を再建するよりも、新しい工場を立ち上げた方が生産性が良い気もしてしまいます。

 フランスでは、以前、日本のブリヂストン工場の閉鎖の際にも、話題に上がりましたが、いったん、立ち上げた工場などを閉鎖するのは、組合の突き上げや国からの圧力などもあって、工場閉鎖、従業員解雇などには大変な労力とお金がかかります。

 あの時も閉鎖されるブリヂストンの工場には労働組合に加えて、労働大臣などの政府のメンバーまでもがおしかけて圧力をかけていた様子にビックリして、ブリヂストンが気の毒になったくらいです。

 余談ではありますが、あの時、ブリヂストンに訪れていた労働大臣は、現在のボルヌ首相で、あの無理を強要するごり押しな感じは以前からの彼女のやり方だったのだろうか?と現在の49.3条問題に通ずるものがあるような気がして、なるほど・・などと、勝手に邪推してしまいます。

 工場閉鎖、従業員解雇の事情などを考慮の上、ネスレ(Nestle)は、この問題の山積みの工場を従業員もろとも売ろうとしているのですが、このスキャンダルまみれの工場を買う人がいるのかどうか?なかなか疑問が残るところではあります。


ブイトーニ冷凍ピザ食中毒 工場閉鎖


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2023年3月30日木曜日

フェイスブック(Facebook)でマクロン大統領を「ゴミ」と呼んだ女性が逮捕・拘留

 


 フェイスブックでエマニュエル・マクロンを「ゴミ」と呼んだとして、オー・ド・フランス在住の女性が自宅で 3 人の警察官に逮捕され、警察に拘留されたというニュースに多くのジャーナリストやSNSのユーザーの反感を買っています。


 年金改革問題および49.3条問題で世論が大荒れしている状況の中、マクロン大統領が前回CGT(全国労働組合連合)がデモ・ストライキを予定していた直前にテレビの生番組でインタビューに答えるという前日に、彼女が「ゴミが明日午後1時にテレビで喋る・・」とフェイスブックに投稿していたとのことで、大統領を標的にした侮辱的なメッセージを投稿した罪を問われています。

 SNSによる誹謗中傷は、問題視されることではありますが、今のフランスのこのご時世、Facebookだけでなく、Twitter、Instagram等では、同様のメッセージが多数、公開されているのに、なぜ彼女だけが? しかも逮捕? とちょっと驚愕してしまいます。

 みんながやってるからいいというものではありませんが、なぜ彼女だけが?しかも警察に逮捕・拘留とは、いくらなんでもやり過ぎではないか?と思ってしまいます。

 彼女のFacebookはどの程度の人の目に触れる規模のものなのかはわかりませんが、彼女が逮捕されたことによって、より多くの人の目に触れることになったことに違いありません。

 彼女に対しての訴状を提出したのは、サントメール地区の副知事で、「この種の不快なメッセージの作成者を起訴するために提出した」と述べているそうです。警察当局は、「大統領に対しての侮辱ということでこの手の手続きは滅多に見られないことだ・・」と述べているようですが、これは、現在のマクロン大統領への逆風が吹く中、マクロン大統領側が警察に手を回していることと誤解を受けかねない出来事でもあります。

 悪い言い方をすれば、彼女の逮捕は見せしめ的なものである感じが否めません。

 彼女は定期的にSNSで警察の暴力の動画を公開している人物だそうですが、彼女自身は、「常に法律を遵守している」「この逮捕は活動家に対する脅迫を助長している」と語っているそうです。

 彼女の裁判は6月20日に予定されており、彼女は「侮辱」の罪で最大 1 年の懲役と 15,000 ユーロの罰金を課せられる可能性があります。

 しかし、この逮捕と法廷への出廷は、彼女のモチベーションにまったく影響を与えていないどころか、彼女の逮捕に憤慨する人々が集結して、より怒りを募らせています。

 SNSはもちろんのこと、マクロン大統領に対する怒りを表す国民の言動は「ゴミ」くらいは、ぜんぜんソフトな方で、街に出れば、もっと強烈な言葉の落書きがあちこちに見られ、デモでは、等身大のマクロン大統領の人形が公然と燃やされているのです。

 今は、国民の怒りを抑えつけようとしてやることすべてが裏目に出ている感じ、もうこれ以上、騒ぎを大きくしないで!と思ってしまうのです。


Facebook フェイスブック 大統領侮辱 逮捕


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2023年3月29日水曜日

世界中に轟き始めたフランスの政情不安とマクロン大統領の孤立

  


 年金改革問題で荒れに荒れているフランスは公式に宣言されているデモの10回目を迎えた現在も国民の怒りが鎮まる兆しは全く見えていません。

 年明けから続いているデモの間隔は最初は2週間おきくらいで、ある程度、政府が回答する猶予期間を設けたような日程であったものの、ここのところは、毎週になり、(今回は中4日)、また、49.3条が発令された3月16日以来、俄然、暴力的なものに変化し、無許可のデモも含めて、ほぼ毎日のようにデモという名の暴動が起こり続けています。

 なので、10回目といわれても、全然、10回目という感じはせず、100回目くらいの気分です。

 これだけの国民の抗議を受けながらも、政府の態度には、まるで柔軟性というものがなく、昨日、組合から政府に向けて提出された、正式な「年金改革を数ヶ月中断する提案」をあっさり却下しています。

 これは、マクロン大統領にとって、改革を中断することは、黄色いベスト運動の際の燃料税に関しての失敗体験もあり、中断することは断念することを意味しているためとも言われていますが、「改革か破綻か?」と主張してきた政府にとって、これを断念したらしたで、無責任と責められる後にも先にも進めない状況であるともいえます。

 しかし、49.3条という政治的なチカラで国民を抑えつけようとしている政府は、このようなデモに対して、これ以上、政治的なチカラで国民の抗議の声を抑えつけることは不可能で、このままでは、この暴動が半永久的に続けられることになります。

 これだけの騒ぎになれば、マクロン大統領へのフランス国民の反発は世界中の注目を集めはじめ、世界の中でのマクロン大統領のポジションも変わってきそうな気がします。

 世界中のマスコミ(アメリカ、イギリス、スペイン、インド、ロシアなどなど・・)が、もはやこれが「年金改革問題」にとどまらず、むしろ、憲法49.3条の強行行使への国民の反発であることを伝え、パリの通りで燃えているゴミの山、炎に包まれたボルドーの市庁舎の門の映像を流しながら、大統領制の危機とまで報じています。

 また、これに加えて、後を絶たない過激な暴力行為に対しての警察・憲兵隊が国民に加える残虐行為などまでも取り沙汰されています。

 国王との約束をドタキャンされたイギリスの日刊紙には、「英国王の訪仏をキャンセルすることでマクロン大統領は屈辱を受け、その時にやっとフランスが火山の上で踊っている状態であることを初めて認識した・・」などと書かれているそうです。

 世界中のマスコミの中でも、最も痛烈な報道をしているのは、ロシアの国営放送だそうで、国営テレビ放送の中で、ジャーナリストがマクロンをナチスと呼び、彼に辞任を求め、ロシアは自由と人権の尊重が支配する唯一の国であると視聴者に伝えたとBBCのジャーナリストが伝えています。

 自由と人権について、ロシアから辱められる現在のフランスにマクロン大統領は何を思うのでしょうか?

 年金改革は遅れれば遅れるほど、取り返しがつかないと言っていたマクロン大統領ですが、その前に、この国民の怒りへの対応も遅れれば遅れるほど、取り返しがつかなくなりそうです。

 しかし、マクロン大統領は、「我々は、パンデミックの健康危機に際して、最もお金を払った政府なのに、フランス国民は恩知らずだ!」と言っているそうで、「それ、今、言っちゃいけないんじゃない?」と思うことしか伝わってこないマクロン大統領の言動に、なぜ?こんなにも国民感情を逆なですることしか言えないのか?と、今までの彼らしくない、ちょっと我を失っているような気さえしてしまうのです。


フランス年金改革問題デモ マクロン大統領 49.3条 暴動


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