フランスの公立の学校での制服着用案が議会に提案されているという話を聞いて、ちょっと驚いています。フランスの学校では、ほとんど制服というものを目にすることはなく、また、それが話題にあがることさえ、不思議な気がするほど、フランスの学生の服装は自由でラフな印象があったからです。
ところが、制服着用を義務化しようという声もあるらしく、また、ブリジット・マクロン(マクロン大統領夫人)がこれに賛同するようなインタビュー記事が流れたりしたことで、この制服論議がにわかに注目されています。
彼女はこの制服導入に肯定的な立場をとっている人で、自分自身が学生時代に制服を着ていたことは良い経験であった・・「違いをなくし、時間の節約に役立つ」と説明し、彼女自身は、学生時代、15年間、紺のスカートに紺のジャンパーを着用していたと語っています。
時に、制服は社会的な格差を覆い隠すような役割を果たしたり、服装を管理することで、学校と外の世界との境界を再構築することができるという意見もあるようですが、現実的にフランスの現状を見る限り、制服を導入するには、人々の意識はあまりにかけ離れていて、かなりハードルが高いような気がします。
だいたい、フランスの場合、義務化する場合は、国がそれを負担するか、援助するのが当然のことで、個人負担で制服導入などということは、ちょっと考えにくく、また実際に、そのためにかかる莫大な費用を考えると、公金を学校教育に使うとしたら、もっと別の方法があるのではないか?という意見もあります。
そもそも、教師が不足していると言われているのは、公立の学校の教員の給与が低いこともあり、もう少し給与を上げて、質の高い教員を確保することの方が有効なのではないかとも思います。
私は、日本で生まれ、日本の教育を受けて育ってきましたが、制服のある学校には行ったことがなく、どちらかというと、皆が同じ服を着ているという制服というものには、抵抗があるので、時間や経済的に節約したければ、個人的に学校に行くための服を決めればよいし、制服を着ることで社会的な不平等が埋められるものではないと思っています。
それでも、やはり、中・高校生くらいになると、子供(学校?)によっては、ハイブランドとまではいわないものの、そこそこのそれなりのブランドのトレーナーや靴、バッグなどを持っている学生も私立の学校などだと、まあまあいて、フランスの学生は質素でシンプルでラフだという印象を持っていた私は、なるほど、ラフでシンプルの中にも、それなりのブランドがあるのだな・・と妙に感心したりしたこともあります。
しかし、むしろ、自分が着る服ぐらい自分で選ぶ時間も機会もあってよいと思うし、人と違うことを認める、受け入れることも必要なことではないかと思うのです。
以前、娘が高校生だったころに、日本に一時帰国をしていた時に、電車のホームでたむろする制服姿の日本の高校生を見て、もしも彼女が日本に住んでいたら、こんな制服を着る機会があったかもしれないと彼女の制服姿を想像してみたら、どう考えてもコスプレをしているようにしか思えないだろうな・・と思ったことを思い出します。
ブリジット・マクロンについては、ちょっと世代も違い(今年70歳)、考え方も違うかもしれないと思いつつも、むしろ、フランスにもそんなことを言い出す人がいることに驚いた次第です。
そもそも、彼女の本業は教師なので、学校の問題に対しては、特に考えるところがあるのかもしれないと思いつつ、そもそも彼女はファーストレディという微妙な立場。議会で討議されることに対して、公に発言するということにも少々、疑問も感じます。
しかし、一方では、もしもフランスの学校に制服があったとしたら、もしかしたら、すごくセンスのいい制服ができあがるのでは?と見てみたい気もします。
フランスの学校制服導入法案
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