2022年1月16日日曜日

いつまでもフランスで感染がおさまらない理由を見た1日

   先週末にパリ郊外で会合があり、この感染が蔓延するさなかに、嫌だなと思いつつ、「リモートにすることはできないのですか?」と聞いてみたのですが、「リモートは不可能」と却下され、渋々、参加してきたのです。 もともとその会合は、1月5日の予定だったのですが、それが感染対策を考慮して延期され、結局のところ、その時点よりも悪化している状況で開催、これ以上、待っても感染はおさまらないという判断なのでしょうか? そもそも会合というのは、実際に顔を突き合わせて話し合いができれば、それに越したことはないのですが、実際に行ってみると、どうしてもそれが必要なのかは、甚だ疑問で、しかも、昼食...

2022年1月15日土曜日

前代未聞の歴史的規模の学校の感染対策への教職員組合のデモとストライキ

     IFOP(L'Institut Francaise d'Opinion Publique・フランスの世論調査会社)の調査によると、66%のフランス人(フランス人の約3分の2)がパンデミック発生当初から学校をできる限り閉鎖しなかった行政の選択は正しかったと支持していると発表しています。 ところが、現在の感染爆発状態のフランスでは、学校を閉鎖しないことには賛同しているものの、学校を継続するための感染対策としての週数回にわたる検査に次ぐ検査、そして隔離、クラス内で感染者が出るたびに、また検査。 そして感染した教員の代理要員の手配等々、学校の授業を維持するための感染対策のための業務は煩雑を極め、それを繰り返す学校は、「筆舌に尽くし難い大混乱」と悲鳴をあげ、ストライキ・デモを決行するに至りました。 この全国の教職員組合のデモには、77,500人が参加し、小学校最大の教職員組合であるSNUipp-FSUは、75%がストライキを行なったと報告しています。 感染対策に振り回される煩雑すぎる作業の繰り返しに加えて、ワクチン接種があまり進んでいない小学生以下の学校教員には、感染のリスクも大きく、また、この煩雑さは、学校教員だけでなく、子供の検査・隔離の繰り返しには、保護者をも巻き込んでいるために、もはや周知の事実で多くの人がこれを認めるところ。 「このままの状態を続けることはできない」「昨年のようにクラスに1人でも感染者が出た場合は学級閉鎖にするというルールに戻してほしい」「教員の安全を確保してほしい」などの要求をかかげて、デモ・ストライキを決行したのです。 日常から、学校のストライキは少なくないフランスですが、今回ばかりは、FCPE(Fédération...

2022年1月14日金曜日

「ワクチン接種拒否なら集中治療辞退を!」医療従事者の叫び

    フランスでは、「オリヴィエ・ヴェラン保健相がコロナウィルス感染」というニュースがセンセーショナルに報じられています。 昨日、朝、閣僚会議に出席していたヴェラン氏は、午後に感染者追跡アプリ(TousAntiCovid)を介して、感染者と接触していることを警告され、最初のテストを受けましたが、陰性であることが証明されました。しかし、昼過ぎに軽い症状が出たため、再度検査したところ、今度は陽性だったそうです。 1日のうちに2度の検査を行なって、陰性であった結果が陽性になるということにも、ちょっと驚きです。側近によると、「彼は自己診断で抗原検査も陽性であることを確認した」ということで...

2022年1月13日木曜日

日本の鎖国延長についてのフランスの報道の中で気になったこと

    フランスの新型コロナウィルス感染は、とどまることを知らず、2日連続、1日の新規感染者数は、36万人を突破しています。それでもフランス政府報道官ガブリエル・アタルは、「ウィルスが蔓延していても、できるだけ、普通に生活を送ることができることを目標としています」と語っています。 そのため、「特に学校は閉鎖しない」ことを目標に、非常に厳しい検査と隔離の方針を立ち上げ、このあまりの煩雑さに音を上げた教職員組合がこれまでに例のないほどの規模でのストライキを予定していたりしますが、基本的な「普通に生活を送ることができることを目標とする」姿勢は、摩擦は起こっているものの、このなんとかして学...

2022年1月12日水曜日

2ヶ月以内にヨーロッパの半数以上が感染する フランスの1日の新規感染者数36万人突破

    世界保健機構(WHO)のヨーロッパ支部長のハンス・クルゲ氏は、「現在の世界的な感染率からすると、(Institute for Health Metrics and Evaluation(IHME)の分析)、今後、6〜8週間以内にヨーロッパの人口の50%以上がオミクロン変異種に感染すると予想される」と発表しました。 感染力の強い変異型の潮流が高速で拡散する中、新規感染者の急増は、すべての大陸で加速しており、パンデミック開始以来の水準に達しています。 この2週間、米国で新たな感染者数の増加がめまぐるしいですが、欧州でも非常に強い感染者を記録しています。 医療体制については、入院...

2022年1月11日火曜日

ワクチンパス反対デモの拡大とデモ過熱によるサンピエール・エ・ミクロンでの代議士個人攻撃

    先週末は、フランス全土で、ワクチンパス反対、ワクチン反対などを訴え10万5000人がデモに参加しました。 今回のデモは、ワクチンパスが施行される直前ということもあり、また、マクロン大統領がこの数日前にワクチン非接種者についての過激な発言をしたこともあり、年末年始にかけては、少しずつ減少していたデモ隊が再び、増加し始めています。 パリでは3つのデモ隊に分かれて18,000人が参加しています。デモに参加している人々の主旨は様々で、ワクチン接種そのものに反対している者、ワクチンパスに反対している者、政府の強引なやり方に抗議する者、自由を制限されることに対して抗議する者、マクロンの過激な発言に対して抗議する者などがごちゃ混ぜになっています。 もともと、フランスのこのヘルスパスやワクチン接種に関するデモは、もうずっと途切れることなく続いており、特にヘルスパスの施行が発表された直後は23万人以上が集まる大変な盛り上がりを見せていましたが、ワクチン接種が進み、ヘルスパスが浸透するとともに少しずつ縮小していたので、フランス全土で10万人超えのデモは久しぶりのことです。 いつものことですが、警備にあたる警察との衝突もいくつか起こっており、パリ市内では、逮捕者10名、軽傷者3名、他の地域では24名の逮捕者、軽傷者7名が発生しています。 これらのデモは時には暴徒化することあっても、街中を練り歩いて行進して歩くのが普通ですが、このデモが、フランス領サンピエール・エ・ミクロンで、ワクチンパス反対のデモ隊が過熱し、代議士の個人宅を攻撃するという事態にまで陥る事件が発生しました。L'agression...

2022年1月10日月曜日

IHU変異種とデルタクロン 新しい変異種の出現のニュースの信憑性

    昨年の12月の段階から、世界では騒がれ始めているのに、なぜか、フランスでは、あまり報道されていない新しい変異種があるというのを小耳に挟んでいて、気になっていました。 それは昨年12月初旬にマルセイユの大学病院の感染症専門医ディディエ・ラウルト教授のチームが新しい変異種を発見したと発表したことから「IHU変異種」と呼ばれ、世界の一部の科学者を心配させているのだそうです。 実際に「French variant」と検索すると、このIHU変異種について書かれた数百件の記事がヒットします。時には、「この変異種はオミクロンよりもさらに多くの変異がある」とか、「フランスの科学者が警鐘を鳴らす」といった記事にも遭遇します。 しかし、実際にフランスでは、この「IHU変異種」については、あまり報道されていません。 この新しい変異種は「IHU型」と呼ばれ、昨年10月にフランスとコンゴで発生した別の型と関連があり、12月中旬に発表されたフランスの公衆衛生局による最新の調査では、その後300人強の陽性例を出しています。 しかし、「この変異種はフランスにおける感染者の1%未満以下であり、これは非常に少ない症例数、解釈には慎重であることが望ましい」と公衆衛生局は指摘しています。この変異種については、変異種をリストアップしているWHOの定義によると、リスクがあると疑われているものではありますが、必ずしも危険というわけではありません。 この変異種の発見が、他の科学者によるレビューや検証がまだ行われていない段階で発表され、それが以前にクロロキン(本来は、マラリアの治療薬)を使ってのコロナウィルスの治療に成果をあげて、一躍、ヒーローのような存在になったディディエ・ラウルト教授のチームによるものであったことが、誇大広告の引き金となったと現段階では、言われています。 IHU変異種が検出されたのは、フランスでオミクロンが広がり始める前の段階であったことから、新しい変異種であり、その存在は事実ではあるものの、オミクロンほどの警戒をすべきものとは、考えられないとされ、むしろ、イギリスのインペリアルカレッジなどは、必要以上に危機感を煽る報道は避けるように戒め、騒ぎを沈静化するために、「このIHU変異種の発見は、南フランスでの症例の急増を説明するものではない」、「フランスで何百人もの人々をICUに送ったわけではない」などとの、この騒ぎを鎮静化させる声明を発表しています。 クロロキンを使ってのコロナウィルス治療の研究成果を発表したラウルト教授は、一時、救世主のようにマスコミを賑わせたものの、結果的に1年以上経った現在、この治療法が浸透していないことからも、これは、結局、お騒がせ・・というか、マスコミが勝手に騒いだだけだった・・と思わせられます。 そんな経緯もあり、フランスでは、あまりこの「IHU変異種」については、騒ぎにはならず、それどころか、デルタ変異種がおさまらないうちにオミクロンの驚異的な感染拡大で、それどころではない状況です。 そして、昨日、「キプロス大学生物学教授のLeondios...