2021年11月12日金曜日

ドイツの急激な感染拡大から見えるワクチン接種とヘルスパスの効果

  


 パンデミックが始まって以来、ヨーロッパの中では、常に優等生であったドイツが1日の新規感染者数5万人突破(50,196件)するという、これまでにない感染拡大の局面を迎えています。

 フランスと比べれば、これまで常に感染を抑え続け、被害も桁違いに少なく、周囲のヨーロッパ諸国が相次いで医療崩壊を起こしていた時も、常にドイツは医療崩壊を起こすこともなく、周囲の国を助ける(フランスもずいぶんと助けられてきました)役割を果たしてきたドイツのこの急激な感染悪化には、フランスでも驚きと警戒を強めています。

  

2021年以来のドイツの感染状況


 私もこれまでは、さすがにドイツ人、しばしば日本人と気質が似ていると言われることもあるように規律正しく、きっちりしているんだ・・と思っていたのです。

 しかし、やはりこのウィルス、生半可なことでは太刀打ちできないようです。

 ドイツ政府のスポークスマンは、「パンデミックは再び劇的に広がっている」とし、特に影響を受けたいくつかの地域でワクチン未接種の人々を対象とした新たな対策を講じることを発表しています。

 10月以来のこの変化は顕著であり、特にザクセン州、バイエルン州、ごく最近ではベルリンなどの地域では著しく影響を受けています。

 今週に入って、ベルリンは、ワクチン未接種の人々が、特にテラス席のないレストラン、バー、スポーツホール、美容院へアクセスすることが禁じられました。ワクチン接種済みであるか、感染から回復したことを証明できない場合、これらの公共の場所へのアクセスは許可されなくなります。

 これを聞いて、「えっ?ドイツでは、今まではOKだったの?ドイツではフランスでのヘルスパスのような規制をしていなかったの?」と驚いた次第です。

 そして、現在のドイツの感染急拡大は、意外にもドイツのワクチン接種率が比較的低いことにも起因していると言われています。

 現在のフランスのワクチン接種率(2回接種済み)は約75%、これに対してドイツは67%とかなり低いのです。もともとドイツの人口はフランスの1.3倍程度ですから、ワクチン接種を行なっていない33%の人口は、フランスよりもかなり多い計算になります。

 ドイツ病院協会によると、10日の時点でコロナウィルスによる入院患者は1週間で40%増加し、集中治療室の患者は15%増加し、1日の死亡者が200人を突破していることを発表し、感染拡大は、ワクチン接種がより少ない地域で高い発生率を示していることも併せて報告しています。

 

ドイツの地域ごとの感染状況


 ワクチン接種率が最も低いザクセン州(ワクチン接種率57%)は、国内で最も高い感染発生率を記録し、10万人中 483.7人という高い陽性率を記録しています。

 ヨーロッパの中でも高齢者が比較的多いドイツでは、ワクチン接種をすでに行なっている人々でも、時間が経過すれば、その効果が薄れ始めることで、この感染拡大の影響が多くの高齢者にも及ぶことを懸念しています。

 昨年末から年明けにかけて、ドイツはフランスと比べるとかなり厳しく手綱を緩めない印象がありましたが、ワクチン接種が開始され、ある程度、広まり始めてからは、途中でヘルスパスを起用したフランスとは、いつの間にか、逆転状況にあったようです。

 こう考えてみると、フランスはヘルスパスの起用により、ワクチン接種率も大幅に上昇し、レストランやカフェ、娯楽施設、文化施設、スポーツジムなどのあらゆる場所はワクチン接種をしていない人はシャットダウンされ、守られている状況にあったことがこのドイツの状況を見てわかります。

 きっと、ヘルスパスによる規制がなければ、フランスはドイツ以上の被害を出していたことは間違いありません。

 こうしてドイツが現在、劇的な感染拡大の局面を迎えていることを目の当たりにすると、フランスがとってきたヘルスパスの起用は、発表当初はかなり衝撃的で強引な印象ではありましたが、結果的には、非常に有効な政策であったと思わずにはいられません。

 とはいえ、フランスの新規感染者数もここのところ、余裕で1万人超えの状況、決して気を緩めることはできません。このため、つい先日、マクロン大統領が演説を行い、3回目のワクチン接種を強いる方針を示し、ヘルスパスの効力(3回目のワクチン接種の拡大とヘルスパスによる公共の場所での安全性を維持する)を持続させる努力をしています。

 しかし、フランスとて、未だワクチン接種をしていない人々は25%もいるのです。

 急激な感染拡大が見られるドイツとの出入国制限に対する規制が何もないのは、不思議でなりません。

 そこへいくと、日本への入国はいつまでも厳しく、一時帰国がなかなかできない身からすると歯がゆいのですが、それが日本を守っていることに繋がっていると思わせられもするのです。


ドイツ感染拡大


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2021年11月11日木曜日

全ての小学校でのマスク着用義務化が復活

 


 先日のマクロン大統領の演説のメイントピックは、65歳以上を始めとする3回目のワクチン接種の必要性についての話でしたが、その中には、子供たちの学校でのマスク着用が再び義務化されるという内容も含まれていました。

 夏のバカンス突入とほぼ同時に発令されたヘルスパスによる規制のために、フランスでは、夏のバカンスを心置きなく過ごそうとする人々が一気にワクチン接種に走り、ワクチンの接種率も上がり、レストランやカフェ、映画館や美術館、遊園地などの娯楽施設・文化施設、スポーツジムなどがヘルスパスによって入場制限されたことにより、感染状況も小康状態を保ち続けていたため、9月に新年度を迎えてまもなく、10月4日からは、感染発生率が住民10万人あたり50例未満である47地域の小学校でのマスク着用義務が撤廃されていました。

 マスク着用が子供たちの学習、理解、集中力に影響を及ぼしている可能性、マスクによる苦痛を考慮し、感染の状況が許す限り、マスク着用義務を撤廃する方針をとったようです。

 しかし、残念ながら、10月の半ば過ぎから、フランスの感染状況は再び上昇モードに転じ、また、近隣のヨーロッパ諸国での深刻な感染拡大の状況から、大人の3回目のワクチン接種の強化を始め、フランス全土にわたる全ての小学校でのマスク着用の義務化で、再び、警戒体制に入るということに他なりません。

 もともと、小学生といえば、12歳以下の子供で、まだワクチン接種が不可能な年代の子供たち(フランスでは12歳以下のワクチン接種に門戸を開いてはいません)の学校内(学級内)でのマスク義務化の撤廃には、疑問の声も上がっていました。

 大人ですら、1日中、マスクをして生活をすることは苦痛を感じるところですが、この際、子供がワクチン接種を受けずに感染のリスクを減らすのは、基本的なソーシャルディスタンスやこまめな手洗いなどの衛生管理とマスク着用に頼るしかないのです。

 12歳以下の子供たちはワクチン接種をしていないことから、ヘルスパスにより守られることもなく、非常に無防備な状態であると言えるのです。

 マクロン大統領の演説の翌日、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、TF1のインタビューで、「1週間で感染者数が40%増加しているフランスの現在の状況は、明らかに第5波の始まりのようだ」と述べています。

 各々、ワクチン接種時期がずれていることによって、ワクチンによって保護され、ヘルスパスによって守られている人口が多いことでまだ救われていますが、再び感染拡大の顕著な数字があらわれ始めた今、大人が3回目のワクチン接種をしなければならないのと同様にワクチン接種のできない子供はマスクをしなければならないのは、致し方ないことなのかもしれません。

 3回目のワクチン接種とそれに伴うヘルスパス有効期限の設定と小学生のマスク着用義務、どうやら第5波の波がきているフランスのこの波をどうにか小さな波として越えられるための政策の一貫なのです。


小学校マスク着用義務化


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2021年11月10日水曜日

パンデミック以来、9回目のマクロン大統領の演説 65歳以上の3回目のワクチン接種

   



 今週、「マクロン大統領が演説をする」というアナウンスがあったのは、日曜日のこと。マクロン大統領がじきじきに、演説を行うというだけで、内容は、ほぼ、3回目のワクチン接種についての話であることは想像がついていました。

 それ以来、フランスのツイッターのトレンドには、「マクロン演説」、「ロックダウン」などのワードがトレンド入りする騒ぎになっており、それだけで(まだ内容の詳細が定かではないうちから)、ワクチン接種の予約が急増し、1日の予約が97,000件を突破するという絶大な影響力を示していました。

 特にWHOが第5波の震源地が再びヨーロッパであり、感染拡大の深刻な影響が考えられると発表したこともあり、(主には東欧とドイツ・イギリスなど)フランスでも徐々にではありますが、感染状態が悪化に転じていることからも、このままの状態を放置するわけにはいかないことは、皆、わかっているのです。

 特にリスクが最も高いと言われる高齢者(65歳以上)の人は、早くに2回のワクチン接種が終了していることもあり、その効果が薄れ始める時期も早くに迎えることから、その対応は急がなければなりません。

 マクロン大統領は、「2020年12月の初回予防接種以来、10ヶ月で1億回以上の接種が行われており、5,100万人が2回のワクチン接種が終了しており、ヘルスパスのおかげでコロナウィルスの流行をなんとかコントロールすることができてきました」と、演説を始めました。

 「しかし、私たちはパンデミックに終止符を打つことができず、何万人もの人がCOVID LONG(長期コロナ感染症)の影響を受けており、味覚の喪失や持続する倦怠感、精神的な痛手などの症状に苦しみ続けています。」

 マクロン大統領は、まだ1度もワクチン接種をうけていない600万人に連帯の精神を求め、「自分自身を自分の周囲の人を守るためにワクチン接種を受けてください!」と訴え、現在、ワクチン接種は12歳未満の子供を除いて誰にでも門戸は開かれており、ワクチン接種を受けた人は、重症化して病院に入院する可能性が11倍少ないと説明しています。

 そして、「ワクチン接種は普通に生活できるためのものであり、フランスのような国で自由であることは責任があることを意味します」と語りました。

 「新たな流行に直面している今の解決策は、3回目のワクチン接種であると判断し、65歳以上で最もリスクの高い人々を保護するために、これらの人々に対して、2回目のワクチン接種から6ヶ月以上経過している場合は、今すぐに予約を入れてください。」と言い、2回目のワクチン接種から6ヶ月以上経過している場合には、3回目のワクチン接種をできるだけ早くに済ませ、12月15日からは、ヘルスパスの有効期限を延長する必要があることを発表しました。

 つまり、とりあえずは、65歳以上の人々のヘルスパスは2回目の接種から6ヶ月経過した場合は12月15日から、ヘルスパスが無効になるということです。

 そして、12月初旬からは、50歳から64歳の3回目のワクチン接種キャンペーンが開始されます。つまり、現段階では、3回目のワクチン接種をしないと12月15日からはとりあえず65歳以上のヘルスパスは失効するということですが、これは、最初の2回のワクチン接種を高齢者を優先に始めて行ったのと同じ順番で、徐々に年齢を下げて、最終的には、全ての年齢枠において、ヘルスパスは3回のワクチン接種をしていなければ失効することになるということだと思います。

 そもそもヘルスパスは、私たちが公共の場所(カフェやレストラン、娯楽施設や文化施設など)において、少しでも感染のリスクを減らすためのもの、ワクチンの効果が薄れている人が同じ場所に集うのでは、ヘルスパスの意味がなくなります。

 マクロン大統領は、ヘルスパス適用の管理は今後も強化されるとしています。また、このおかげで、私たちは、日常生活を封じることなく生き続けることができると説明しています。

 今、私たちが所有しているヘルスパスには、名前とワクチン接種をした日付、ワクチンの種類と生年月日のみが記載されています。つまり、このワクチン接種の日付と年齢でヘルスパスの失効を整理していくということなのだと思います。

 マクロン大統領はこれまでのフランスの歴史を振り返っても連帯によって、多くの危機を乗り越えてきたと語り、「我々を、自分自身を、そしてフランスを信じてほしい」と国民にむけて熱く語りかけました。

 7月12日のヘルスパス施行の発表の時もなかなかの衝撃で、これにより、多くの人がワクチン接種を急ぎ始めましたが、今回の「3回目のワクチン接種をしないとヘルスパスが失効する」という発表もまた、大きな影響を及ぼしたようで、マクロン大統領のこの演説から1時間以内に10万件以上のワクチン接種の予約が入ったということで、フランス人も意外と従順?なのかも・・と思ったりもしましたが、結局のところ、今回の場合は、2回のワクチン接種を浸透させるためのヘルスパスによる効果にある程度、国民は納得しているということもあり、また、何よりも自由な生活を勝ち取るためのワクチン接種というように国民がとらえていると考えることもできます。

 ヨーロッパでの感染拡大が深刻化している中、フランスが現段階ではそこまで深刻な状況に陥ってはいないことは、どう考えてもヘルスパスのおかげであり、フランスのヘルスパスのような確固とした規制がなくとも、ワクチン接種があっという間に進み、感染も落ち着いてきた日本とは違うのだとつくづく思うのです。

 ですから、このワクチン接種の効果が減少していく6ヶ月後というタイミングでフランスがあらためて、3回目のワクチン接種を進めるためには、マクロン大統領の新たな政策は、必要なことであったと思っています。

 今回のマクロン大統領の演説は27分間(ワクチン接種の話は正味半分)、この27分間で1時間の間に10万人を動かすのですから、彼の演説効果は凄まじいものです。


3回目のワクチン接種 ヘルスパス失効

 

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2021年11月9日火曜日

3回目のコロナウィルスワクチンの前に、インフルエンザのワクチン接種をしてきました!

  
 


 いつの頃からか、毎年のようにインフルエンザのワクチン接種を受けましょうというお知らせが国民健康保険から届くようになっていましたが、これまではワクチンなんてしなくても、気をつければ大丈夫だろうと、ずっと私は無視し続けてきました。

 しかし、コロナウィルスの感染状況が再び怪しい雲行きを見せる中、感染のリスクも再び上昇してきて、ちょっと風邪をひいても、「もしかして、コロナ?」と不安になるうえに、どうやら3回目のワクチンもしなくてはならなくなりそうで、一応、薬局に行って、相談してみようと思い、他の薬を取りに行くついでに国民健康保険から届いている手紙をもってたずねてみました。

 以前なら、ワクチン等の注射をする時には、薬局でワクチンをもらってから、かかりつけの医者にそれを持っていって、ワクチン接種をしてもらわなければならなかったのですが、コロナのおかげ?か、いつの間にか、薬局でワクチンをするスペースができていて、インフルエンザのワクチンも薬局でその場でしてくれるようになっていました。

 私が気にかかっていたのは、もしも私がコロナの3回目のワクチン接種をする場合は、2回目のワクチン接種の6ヶ月後になるので、12月の初旬になります。

 インフルエンザのワクチンとコロナウィルスのワクチンは、時期が重なっても大丈夫なのだろうか? どのくらいの間隔をおいた方がよいのか?など、これまでほとんどワクチン接種というものをやってこなかった(子供の頃は別として)私としては、ちょっと心配だったのです。

 しかし、もしもコロナウィルスではなくとも、インフルエンザにかかって体力が低下すれば、コロナウィルスに感染するリスクも高くなるのでは?などという素人なりの危惧もあり、「今年はできるならば、インフルエンザのワクチンも受けておこう!」と、そんな風に思ったのです。

 薬局で聞いてみると、コロナのワクチンとインフルエンザのワクチンは全然、別物で、たとえ同時にやったとしても、全然、問題ないということでしたが、やはり、インフルエンザのワクチンとて全く副反応がないとも限らず、3回目のコロナワクチンとて、副反応がないとも言えず(1回目、2回目の接種では、少し腕が痛くなったくらいで大した副反応はありませんでした)、副反応がダブルチョップで襲ってくるのはたまらない・・と、できるならば、少し間隔をおいてやった方がよいのではないかと思ったのです。

 その話を聞いたのは、買い物の途中に寄っただけのタイミングで、まさかその場でワクチン接種ができるとは思っていなかったので、その場は「ちょっと考えてから、また来ます」と行って家に帰ったのですが、一旦、家に戻って考え直し、「やっぱり、ぐじぐじと考えているよりは、さっさとやってしまおう!」と、その日のうちに出直して、インフルエンザのワクチンを受けてきたのでした。

 昨年は、コロナウィルスの蔓延を恐れて、多くの人が感染予防に努めていたために、例年ほどはインフルエンザは流行しませんでしたが、それでも例年なら、インフルエンザにより死亡する人は2,000人を超えるそうで、フランスでは65歳以上の高齢者や慢性疾患などの既往症のある人などのリスクの高い人・医療従事者などはインフルエンザのワクチン接種は無料で受けられることになっています。

 コロナ前までは、薬局は薬をもらうだけのところで、注射をしてくれることはありませんでしたが(薬をもらって、それを持って医者に行かなければならなかった)、薬局でやってくれるなら、ぐっと簡単で楽になりました。

 


 インフルエンザワクチンにしても、コロナウィルスワクチンにしても完全に防御できるわけではありませんが、リスクが少しでも低くなるなら、この際、やっておこう!と、そんな気持ちです。

 自分自身を顧みると、どうやらパンデミック以来、やはり病気に対する恐怖心が増し、娘には、「ママ、ちょっと怖がりすぎだよ!」などと言われますが、やはり、普通に生活していても、身体はガタがき始めていて、普通に健康を保つだけでも、それなりの努力(食生活に気をつけたり、適度な運動を心がけたり、規則正しい生活や充分な睡眠をとることなど)が必要な年齢になってくると、やはり不安も増すのです。

 これまでは、自己免疫能力に頼って生きてきましたが、やはり、四六時中、コロナの感染の様子を見せられてそろそろ2年。これから先は頼れるものならワクチンでもなんでも頼りたくなってしまった気弱になっている自分を認めざるを得ないのです。

 インフルエンザのワクチン接種翌日は、案の定、だるくて寒気がして微熱があるような軽い風邪をひいたような状態で、やっぱりコロナのワクチンとは少し、時間をおくことにして、よかった・・と思いながら、今日は、1日、安静に過ごします。


インフルエンザ予防接種 インフルエンザワクチン


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2021年11月8日月曜日

外務省のお知らせは、すごくわかりにくい・・大使館の手数料問題と似ているかも?

   

外務省 海外安全ホームページ一面


 パンデミックが始まって以来、世界中で、めまぐるしく変わる感染状況に際して、外務省は出入国に関するお知らせを大使館経由で送って下さっています。

 私は、コロナウィルス騒ぎが始まって以来、日本入国のために必要な書類の煩雑さや、なんといっても、その後の隔離期間や公共交通機関を使用できないことなどから、あまりに余計な時間と出費を考えると、とりたてて急ぎの用事もないので日本への帰国は諦めています。

 でも本当はすごく行きたいので、隙あらば・・、入国後の隔離がなくなれば・・とずっと思ってはいるのです。

 パンデミックが長引くにつれて、外務省からのお知らせも、「○月○日、日本において新たな水際対策措置が決定されました。今回の措置の主な点を以下のとおり、お知らせ致しますので、日本への御帰国・御入国等の際には、御留意いただくとともに、最新の情報を御確認ください。」とあり、リンクが貼ってあるところに飛ぶと、「水際強化措置に係る指定国・地域一覧」などが出てきて、検疫所の宿泊施設での待機についてなどが書かれています。

 これらは、はっきり言って、関係のない国についてのお知らせがほとんどで、お知らせを頂いても、いちいち開けてみることはなくなりました。

 頻繁に送って下さるものの、しかし、いざ、日本へ帰国したいと思った場合、日々、条件等が変わる中、外務省のホームページはわかりにくく、いくつものページを開いて調べなければならない上に、一部の対象者向けの話しかかかれていなかったりで、結局、「えっ?じゃあ、私の場合はどうなるわけ?」と思ってしまうことが多いのです。

 例えば、最近、???と思ったのは、「ワクチン接種証明書保持者に対する入国後の行動制限の見直し」という項目について、「受入責任者(入国者を雇用する又は入国者を事業・興行のために招聘する企業・団体)の管理のもとで、ワクチン接種証明書保持者に対し、入国後最短で4日目以降の行動制限の見直しを認めることとします。具体的には・・とこの場合の詳細な条件がダラダラと書かれているのですが、一般的に仕事以外での入国(一時帰国)に関しては、全く触れられていません。

 「新型コロナウィルス感染症に関する重要なお知らせ」のページにいたっては、全面赤文字で、目がチカチカしそうな文字の詰まり方でそれぞれのページに飛ぶとしても、とても読みづらく、画面全体のレイアウトも今時、こんなのある?と言いたくなるような見づらいページです。

 結局、そこから関連ページに飛ぶとしても、そこから、次から次へとページを飛ばなくてはならず、まるでお役所にたらいまわしをされている気分になってきます。

 在外邦人向けに作られているのなら、日本に帰国するにあたって知りたいことは、入国に必要な書類、その後の隔離期間、ワクチン接種証明書の効力、公共交通機関利用の可否など、知りたいことを簡潔に何なら箇条書きにしてくれればよいものをダラダラとこの国に関しては、規制がこう変わりました・・などと、その都度、お知らせが来るのは、なんとも無駄で、いざ必要なオンタイムの情報がほしい時には、サイトをいくつも探して、挙げ句の果てにわからなくて大使館に電話で問い合わせる・・ということになるのです。

 いっそのこと、現在、日本に入国の際に必要なこと・・として、各国の情報がオンタイムで簡潔にわかる状態にしてくれたら良いのに・・と思ってしまいます。

 これには、一方的な情報の発信でそれを使う者の立場にたっていない、そんな印象を受けてしまいます。やっぱりお役所仕事だな・・と。日本なら、お客様のことを第一に考えて少しでも利用しやすいようになっているのが普通の企業ですが、そこは、やはり一般企業とは違うのです。

 これに似た話で、大使館の手数料問題も同じ感じです。先日、在外選挙登録のために久しぶりにパリにある日本大使館に行った際、あいも変わらず、窓口には、「手数料は、ユーロ現金でお支払いください。クレジットカード、小切手、その他の通貨はお使いになれません。」という張り紙がしてあって、正直、パンデミックのおかげ?(衛生問題などから)で、今や一般の店舗などでは、バゲット1本買うのにもカードで済むようになり、もはや、ほとんど現金を使わない生活になっているというのに、「大使館ってまだ変わってないの?」と、「大使館のこれ!いい加減、なんとかしてほしい!」とTwitterで呟いたら、想像以上の反響があり、世界各国の日本大使館は一律同じ対応のようで、ビックリしました。

  


 大使館での手数料といえば、その多くの場合は、パスポートの書き換えの手数料です。10年有効のパスポートの更新手続きの手数料は、132ユーロ(約18,000円)、「危険ですから、あまり現金を持ち歩かないようにしましょう」などと呼びかけながら、己のためなら132ユーロは現金で、しかもピッタリお釣りのないように支払えというのです。

 今どき、カードが使えないなんて、小さな小売店ならいざ知らず、大使館はいわば、日本国の大企業、どうしてこんな状態がいつまでも続くのか?大使館の中には、それがおかしなことだと申し出る人は誰もいないのでしょうか?

 これも、利用者の立場を全く考えないお役所仕事のひとつです。

 もっとも、パスポートの書き換えなどは、10年に一度のことで、その時は、「えっ?」と思っても、払ってしまえば、次はまた10年後で、その度に苦情も飲み込んでしまいます。

 一般には通用しないことでも、お役所であれば、まかり通っていつまでも改善されない・・そんなことが意外に多いのです。

 ちなみにフランスの滞在許可証の手数料は、予めネットで収入印紙を購入することができます。手続きについては多々、問題はありますが、手数料の支払いについては、日本大使館よりは簡素化されています。


外務省ホームページ 


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2021年11月7日日曜日

パリ・リヨン駅で買える日本の駅弁 秋田の「鶏めし弁当」

   


 空前の日本食ブーム・BENTOブームでパリでは日本食のお店は珍しくなくなりましたが、それでも、ふつうのお弁当とはまた別の、「駅弁」という独特な日本の文化がとうとうパリにやってきて、まさに日本で売っているものと同じ駅弁がパリのリヨン駅で駅弁として売っていると聞いて、さっそく野次馬根性丸出しで買いに行ってきました。

 ほんとうは、これを持って電車に乗りたいところでしたが、またコロナ感染が再び広がり始めている中、特別な用事もないのに、駅弁を食べるために長距離電車に乗るのも躊躇われ、家に持ち帰って、ゆっくり味わいました。

 日本に住んでいた頃も、私はあまり駅弁には縁がなく、そもそもあまり、電車に乗って旅行するということがなく、駅弁といえば、たまにデパートでやっている駅弁フェアのようなもので見かけるだけで、正直、あまり駅弁というものは食べたことがありませんでした。

 それでも、日本の駅弁がパリにやってきたと聞けば、なんだか懐かしいような気分になって、すっ飛んでいくのもおかしな話ですが、やはり、本場の日本と同じ駅弁と聞けば、嬉しくなってしまうのが、在外邦人の心理です。

 パリのリヨン駅といえば、パリに6つある主要ターミナル駅の一つで、主に南東方面への列車が発着する大きな駅で、私にとっては、日頃はメトロの駅しか利用しない駅で、長距離列車が発着するプラットフォームに上がって行ったのも久しぶりのことでした。

  



 日本の駅弁のブースは、電車が発着するホームの中央の大きな電光掲示板の正面、いわゆる駅構内の中心の一等地にあり、シックな黒を基調としたお店には、「EKIBEN Tori Méshi Bento」と横文字の看板に、「鶏めし」という漢字は文字というよりデザインの一部のようで、駅弁屋さんながら、なぜか駅構内にしっくりと馴染んでいます。

 前日は、早々に売り切れてしまったという話を聞いていたので、早めに行ったつもりでしたが、すでに、一番上等の秋田弁当は売り切れ、しかし、一番人気と言われている「鶏めし」を買うことができました。

 他のどのお店も行列など出来ていないのに、ここだけはあっという間に行列が出来ていました。今、フランス人は美味しい日本食のためなら、お金も惜しまず、行列も作るのです。

  


 店頭のガラスケースの中には、フランスでは珍しい食品サンプルが並べられているところに、まず日本を感じ、店員さんの丁寧な応対にも日本を感じます。

  


 お店の脇には、温めることができるように電子レンジが設置されていることも日本らしい心配りです。また、「電子レンジで温めるなら、2分がベストです!」と丁寧に教えてくださいました。

 お値段は看板メニューの「鶏めし弁当」が14.5ユーロ(約1,900円)、「秋田弁当」17ユーロ(約2,200円)、肉弁当16.5ユーロ(約2,150円)、ベジ寿司弁当(枝豆等の入った稲荷寿司と野菜の太巻き)12.5ユーロ(約1,650円)、プチ鶏めしカップ7ユーロ(約900円)、おにぎり弁当(秋田米のおにぎり2個)5ユーロ(約650円)です。




 お値段に関しては、日本円に換算するとかなり高めに感じられると思いますが、そもそもパリでの外食の値段をいちいち日本円に換算すると何も食べられなくなるくらいのレベルなので、パリの日本食の相場としては、妥当なところです。

 お店の方に伺ってみたところ、このお弁当のお米は秋田米が使われていて、日本で作られているレシピと同じ製法で、IVRY(パリ近郊)の工場で作られているということでした。

 日本で同じお弁当を食べたことがないので、日本と同じかどうかはわかりませんでしたが、鶏の出汁で炊き込まれたもっちりとしたうっすらと甘いご飯と、上に乗せられた甘辛い味の鶏肉、添えられている肉厚な椎茸、枝豆の入ったさつま揚げ、きんぴらごぼう、漬物、ひじきの和えものなどの副菜にもいちいち感動してしまいました。

 


 添えられたお箸にはお箸が包装されている紙に、何やら日本語で「間伐採の箸を使ってCO2を減らそう!」という呼びかけがびっちり書かれていて、そのお箸の包み一つをとってもいかにも日本が感じられて、そんなことにまで感動。

 とにかく、何十年ぶり?かの日本の駅弁はとっても美味しかったです。

 この小さな箱の中に地域の名産品を盛り込み、彩りも美しく、栄養のバランスも良く、時間が経っても美味しいように出来ている日本の駅弁をあらためて、素晴らしい日本の文化だと思った次第です。


  

 お米が美味しいならば、簡単に安上がりに済ませたければ、おにぎり弁当もありかな?などと買ってきたばかりの鶏めし弁当を食べながら、もう次のことを考えてしまう・・そんな感じでした。

 応対してくださった女性とは、マスクをしていたこともあって、「アジア人だろうな・・」とは思ったのですが、日本人かどうかはわからなかったので、ずっとフランス語で話していました(流暢なフランス語を話す方でした)。

 しかし、大方、色々とお話を伺って、写真を撮らせていただいてもよろしいですか?と聞いて、最後に写真を撮ったりしていたら、後からやってきた日本人のお客さんと、これまた流暢な日本語を話し始めたので、「えっ??日本人だったの??」と日本人同士でフランス語で話し続けていたことに、何だか妙なバツの悪さを感じたりもしたのでした。

 この秋田産の「鶏めし弁当」の駅弁屋さんは、リヨン駅で半年間限定で営業されています。

 この駅弁のお店の日本のサイトを覗いてみたら、「パリのリヨン駅で売っているものと同じお弁当が買えます!」と掲載されていたのを見て、「えっ??日本のものがパリで買えるんじゃなかったの?」「逆輸入?」と苦笑してしまいました。

 それにしても、駅弁がパリに登場するとは・・嬉しいパリでの日本文化の広がりです。

 そのうち、日本の駅といえば、必ずある「立ち食いそば屋さん」・・は無理としても、今、パリで大人気のラーメン屋さんが出店しないだろうか??などと、ますます期待に胸が膨らむのでした。


鶏めし 駅弁パリ


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2021年11月6日土曜日

メルケル首相にレジオン・ドヌール勲章最高位のグランドクロワ贈呈

   


 常にヨーロッパをリードしてきたドイツのメルケル首相の政界引退が近づき、フランスのマクロン大統領は、メルケル首相をコートドールのボーヌに招待し、フランスへの卓越した功績を残した者に送られる「レジオン・ドヌール勲章」を贈呈しましした。

 「レジオン・ドヌール勲章」は、5等級に分類されていますが、彼女に送られたのは、その中でも最高位にあたる「グランクロワ」でした。

 16年間もの長期政権を担ってきたメルケル首相はフランスにとって、とても重要な存在であったことは言うまでもなく、この間、フランスの大統領は、シラク大統領、サルコジ大統領、オランド大統領、そしてマクロン大統領と4回政権が変わっています。

 彼女の存在はフランスにとって、かけがえのないものであったことは間違いなく、大統領が変わるたびに上手く適応し、それぞれの大統領と良好な関係を保ち続けて下さったメルケル首相とそれぞれの大統領の映像が、私でさえも今でも思い浮かべることができる場面がいくつもあることは、彼女の存在感がどれほどであったものかということを物語っています。

 シラク大統領は、すでに他界していますが、それ以降の大統領とは、彼女は女性でありながら、年長であることや彼女の懐の深さからか、フランスの大統領たちにとっては、きっとどこか母のような存在でもあり、サルコジ首相が可愛がられている感じや、オランド大統領の際には、パリで起こった同時多発テロの直後に、近隣諸国の首脳が集まり、オランド大統領とメルケル首相が列の中心に構えて、手を繋いでテロに抗議するメッセージを叫びながら行進した時の様子、また、パンデミック以来、感染爆発の中心となってしまったヨーロッパの感染対策や医療の相互協力の模様など、彼女は単にドイツの首相だけでなく、ヨーロッパ全体のリーダーでもありました。

 10月下旬にブリュッセルで開かれたEU首脳会議では、議長が「アンゲラのいないEUはエッフェル塔のないパリのようだ」と述べたことが話題になりましたが、まさにそのくらい彼女の存在は、フランスだけでなくヨーロッパ全体にとっても大きなものでした。

 ですから、レジオン・ドヌール勲章のグランドクロワが贈られることにはフランス国民の誰にとっても何の異存のないところで、彼女が最後に訪れたコートドールのボーヌの地方の人々も彼女の訪問を大歓迎していました。

 16年間の長期政権など、普通ならロクなことにはならないところ、彼女は常に公正で慈愛に満ち、厳しいところは厳しい凛とした姿勢を崩すことはありませんでした。

 今回のメルケル首相のフランス訪問とレジオン・ドヌール勲章の贈呈の場面でも、マクロン大統領は、この勲章を「アンゲラ・メルケルによって維持されたフランスとドイツの友情の強さを体現する装飾である」と説明し、「あなたが首相に就任して以来、フランスはあなたと言う人を知り、愛することを学びました」と述べ、彼女の並外れたキャリアを称えながら、「全てを揺るがしたいと思っていたこの若い大統領を受け入れてくれ、たくさんのことを教えて頂きありがとうございました。私に対する忍耐と、耽溺に感謝します」と短いスピーチを送りました。

 この場面はなかなか印象的でもあり、メルケル首相にも感慨深さが表れていましたし、日頃は、やたらと口の上手い印象があるマクロン大統領も彼自身が感情を揺さぶられていることが感じられる場面でした。

 彼女の今回のフランス訪問は、G20とCOP26の首脳会談の厳粛な様子とは対照的に温かい抱擁で挨拶を交わし、始終、とても穏やかで友好的な雰囲気に包まれていました。

 フランス人ピアニスト・アレクサンドル・カントロフによるピアノリサイタルの後、マクロン大統領夫妻はメルケル首相夫妻を100%ブルゴーニュのディナーに招待、その食卓はワイン好きの彼女のために彼女の好物を取り揃えたメニューが並びました。

 ディナーはシャトー・デュ・クロ・ド・ヴージョにて、トゥールニュ(ソーヌ・エ・ロワール)にあるミシュランの星を獲得したレストラン「Greuze」のシェフが腕を振るいました。

 スターターには卵のムーレット・ブルゴーニュワインソース、テリーヌのパイ包み、ブルゴーニュ産トリュフと葡萄、メインコースにはシャロレービーフのテンダーロインの煮込みとポテト、シャンベルタンソース、デザートにはチョコレート、ブラックカラントにサラザンのナゲット添え。

 ワインは、2015年のサントーバン1erクリュと、2014年のニュイサンジョルジュ1erクリュがチョイスされました。

 長い間、メルケル首相に支えられてきたフランスは、これまでメルケル首相が次々と表れるフランスの大統領に適応してきたように、新たなドイツの首相と新しい関係を築いていかなければなりません。

 アメリカにせよ、イギリスにせよ、最近、とかく摩擦が生じているフランスですが、このタイミングでのメルケル首相の引退はフランスにとっても少なからず大きな節目となるに違いありません。


メルケル首相


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