一人ぼっちのミロのヴィーナスの後ろ姿 パリのルーブル美術館といえば、世界最大級の規模を誇るフランスの世界遺産の一つで、パリの中心地にありながら、総面積66,000㎡、収蔵品38万品以上の中から、歴史的美術品35,000点以上が公開されているフランスの国立美術館です。 コロナ前までは、年間来場者数は、1,000万人を超える大人気スポットでもあります。 美術館は、展示品はもちろんのこと、その建物自体が、もともとは王宮として使われていたもので、ありきたりの美術館とは一線を画す豪華絢爛さと、荘厳な趣きを放っています。 もちろん、通常は、入場者のほとんどは、海外からの観光客で、以前は、ルーブル美術館の入り口には、協賛企業として、これは日本の美術館なのかと思うほど、日本の企業の名前もデカデカと掲げられていました。(現在は、以前のような名前の出し方はされていません) 行けば、必ず感動し、来ようと思えば、いつでも来れる距離に住んでいることを幸せだなどと思うのですが、実際には、ルーブル美術館には、なかなか足を運ぶことはありません。 一時、娘が小さい頃に美術館通いにハマったことがあり、その時に数回、それ以外は、誰かが日本から来た時に一緒について行ったりするくらいで、20年以上もフランスに住んでいるのに、5〜6回しか行っていないかもしれません。 それは、あまりの広さに、ちょっと気軽に立ち寄るような規模ではなく、大理石の階段を登ったり降りたり、まあ相当の距離を美術館内を歩くことになり、それなりに時間もかかることになるからです。 もう一つは、いつでも、もの凄い混雑で、数年前(コロナ前)から完全予約制になったものの、いつ通りかかってもスゴい行列。以前の私の勤務先がルーブルに近かったこともあり、その近辺はよく歩き、ルーブルを外から眺めることも多かったのですが、あの行列には、全くもって、行く気が起こらなかったのです。 なにしろ、年間1千万人の来場者ということは、閉館日を除いて計算してみても、1日あたり3万人以上の人が訪れるのですから、いくら広い館内とはいえ、人気の展示品などの前には、館内でさえ、行列して見学するという状況に足が遠のいてしまっていたのです。 そんなわけで、敷居の高いルーブルも、誰かがパリに来たとか、それなりの理由がないとなかなか行く気にもならずに、ず〜っと長い期間を行き過ごしてきたのです。 最近は、誰かが来たとしても、「ルーブルは、まあ、外からだけでいいわ・・ガラスのピラミッドを見られればいいわ・・」などと言う人も多くて、行かないことも多かったのです。 今回のパンデミックでルーブル美術館も長いこと閉館状態が続いていましたが、ロックダウンが徐々に解除されて、美術館も再開し、しかし、まだ海外からの観光客は、戻ってきていない今、「ルーブルがこんなに空いている!」という情報を聞きつけ、恐らく、今後、私の生きている間に、こんな絶好のチャンスは二度とないのではないか?と、数年ぶりに重い腰をあげて、ルーブルに行ってきたのです。 本当はこんなに並ぶはず・・ それでも、どうせなら、できるだけ人が溜まっていない朝にしようと出かけたところ、やはり、本当に館内は、ガラガラで、人が集まって喋っていると思えば、美術館で働く人々、外国語(フランス語以外)が聞こえてくることもありません。 館内の地図もダウンロードで・・ そんなに頻繁に来ていたところではないため、もはや、ここは、この程度の人の入り方をする場所だったのではないか?と勘違いしそうになるほど。しかし、モナリザの前など、行列を促すためのテープが張られた通路などは、以前のままになっていて、やっぱり、ここは、本当は、こんなじゃないんだ・・と思いなおすのです。こんなモナリザの部屋見たことない とりあえずの有名なモナリザやサモトラケのニケ、ミロのヴィーナスなどを見るだけでも相当歩くのですが、やはり、ほとんど人のいないこれらの展示品の光景は、おそらく、今後、そうはあり得ない(あっても困るけど・・)光景で、やはり感動的でした。 サモトラケのニケも一人 私は、特に美術品に詳しいわけでもないのですが、見たことのある有名な絵画などを見つけながら、ゆっくりとその絵に登場する人々の表情を細かく見てみたり、また、何よりもこの豪華で贅沢な建物内の装飾や天井、空間に身を置く心地よさを味わうことができたのです。 ナポレオンの権力が伺い知れる豪華絢爛な部屋 しかし、ここは、貧乏根性が頭をもたげ、せっかく来たんだから、あれも見ておこう!とか、通り過ぎた後から思い出して、また戻ったりしていると、もう数時間後には、クタクタで、いい加減、あまりに膨大な数の彫刻や絵画などに、もうお腹いっぱいな感じになってきて、到底、1日で見ることなど不可能、とりあえず、今日のところは、この辺にしておこう、また、来よう!と、半日だけで帰ってきたのでした。 ガラスのピラミッドの一つの下になる光の入る心地よいマルリーの中庭 ルーブルを出ると、美術館前の庭園では、晴天も合間って、ピクニックをする人や犬の散歩をさせる人など、極めて平和な雰囲気。パンデミックを忘れそうになりました。 しかし、帰りにルーブル近くのリヴォリ通りなどを歩いてみると、観光客目当ての土産物店などは、軒並み閉店したままで、やはり、私が「ルーブルが空いている!」などと浮かれているのも憚られるようなさびれ様に、パリは、このままでいるわけには行かないのだ・・と思い知らされました。 現在のところ、パリ市内にあんなにあったはずの観光バスなども戻ってはおらず、ルーブルの地下にある団体客を運ぶバスの駐車場などもガラガラ状態でした。 実際に、年間1,000万人という観光客を呼ぶルーブル美術館は、美術館だけでなく、その近辺の商店や、それにまつわる観光業に多大な影響を及ぼす大変な存在なのです。 しかし、ルーブルに行くには、健脚でなければならないことをあらためて痛感。家に帰ると足はガクガク。携帯のウォーキング距離を見ると、10.8㎞、上がった階数26階となっていました。Muséé...
2021年6月11日金曜日
2021年6月10日木曜日
2021年6月9日水曜日
マクロン大統領 地方行脚中に平手打ちをくらう

現在、次回の大統領選に向けての地方行脚中のマクロン大統領が訪問地のドローム県(フランス南東部)のタン・エルミタージュで近辺に集まった群衆の一人から突如、平手打ちをくらったという事件にフランスは、一日中、そのニュースで大騒ぎになりました。 その日、マクロン大統領は、ホテル学校を訪問。本来は、この場所での住民とのふれあいは、予定には入っていなかったために、彼は一度は車に乗ったものの、近辺に集まっていた群衆に挨拶するために車を降り、群衆に駆け寄って、握手を始めてまもなく、突然、その中の一人から腕を掴まれ、平手打ちをくらったのでした。「モンジョワ、サン・ドニ、マクロニー!」と叫びながら、マクロン大統領に平手打ちをくらわせた男は、その場ですぐに取り押さえられ、周囲のおばちゃんたちからは、「私たちは、痛いことしないから、早くこっちに来て!」などの訳のわからない声も上がり、マクロン大統領は、平手打ちにひるむこともなく、集まっている群衆に笑顔で応え続け、彼らとの握手・ふれあいの時間は続けられました。Emmanuel...
2021年6月8日火曜日
フランスのショコラティエ ベルナシオンとメゾン・ド・ショコラ BERNACHON et Maison du chocolat

私は、フランスに住み始めて、20年以上経ちますが、我が家の食生活は、フランスでできる限りの和食よりで、恐らく一般的なフランス人家庭のような食事はしていません。 日本に帰国した際には、運び込める荷物のほとんどは、日本の食料品で占められ、限りある食材を少しずつ使いながら、手に入らない野菜などは、なんとか自分で育て、かなり日本に近いような食事をしています。 それでも20年以上も経つ間に知らず知らずのうちによく食べるようになっているフランスの食品も、いくつかは、あるのですが、その中で、日本にいた時に比べて、私が圧倒的にたくさん食べるようになっているものの一つはチョコレートです。 そもそも、私は、以前は全くの辛党で、日本ではほとんど甘いものは食べませんでした。しかし、年齢を重ねるにつれて、お酒の量も減り(減っただけで飲んでいる)、次第に甘いものに手が出るようになってきたこともあるかもしれませんが、その甘いものの中でも圧倒的に食べているのは、チョコレートのような気がするのです。 いつもいつも贅沢なメゾンのチョコレートを食べているわけではありませんが、家には、必ず板チョコの買い置きを欠かすことはありません。 なぜこうなったのかはわかりませんが、恐らく、比較的、安価で気軽に手に入るわりには、美味しいからです。スーパーマーケットなどに並ぶチョコレートの数はものすごい量で、しかも、結構、クォリティが高いように思います。 日本でも有名なショコラティエなどのチョコレートもほとんど網羅していると思います。とはいえ、そんな高級チョコレートは、日本へのお土産や、ノエルやイースター、お誕生日などの特別な機会ぐらいしか、買いませんが、それでもこの20年ほどの間には、かなりのお店を訪れました。 ジャン・ポール・エヴァンなどは、それこそチョコレートの温度を保つために店内のお客さんの入場制限をするほど、品質管理に厳しく、パトリック・ロジェなどは、お店に入った途端にカカオの香りに包まれ、店内には、美術館かと思われるようなチョコレートでできた彫刻が並んでいたりします。 しかし、ほとんどの有名なショコラティエは、日本に入ると値段が跳ね上がることはありますが、ほぼ、日本に進出していないお店はなく、日本に行く際のチョコレートのお土産(リクエストも多い)には、悩ましい思いをしていました。 フランスのパティシエ、ショコラティエなどは、有名になって、海外に進出したい場合、まず、日本を選ぶ傾向にあるような気がします。 昨年だったでしょうか?偶然、日本でサロン・ド・ショコラをやる際には行列ができ、最近、人気だという「ベルナシオン」というショコラティエがまだ日本には、店舗が進出していないという話を聞いて、一度は行ってみたいとずっと思っていました。 もともとは、リヨン発祥のお店でパリにもお店ができたと聞いていたので、サイトで店舗をチェックするとリヨンに2軒、パリに1軒、そしてJAPON...
2021年6月7日月曜日
パリ・チャイナタウンの露天商摘発
厳しい露店の取り締まりにざわつく人々 私は、日常の食料品は、近所にある徒歩1分のスーパーマーケットでだいたい済ませているのですが、2ヶ月に一度くらいは、パリ13区にある、いわゆるチャイナタウンにあるアジア系の食材店に普通のフランスのスーパーマーケットでは買えない調味料や食材等の買い出しに行っています。 今は、ずいぶんとフランスの普通のスーパーマーケットでもお醤油やインスタントのお味噌汁、インスタントラーメン、冷凍の餃子、わさびなど、手に入るものも増えてきたのですが、値段の設定も高めだったり、種類も少ないし、やはり、そこへ行かなければ買えないものも多いので、たまには、ち...
2021年6月6日日曜日
2回目のワクチン接種が終了しました! 初回の予約から、2回目終了後のワクチン証明書のダウンロードまで

フランスでの新型コロナウィルスのワクチン接種が始まったのは、昨年の12月のことでした。思っていたよりもずっと早く開発されたワクチンに、当初は、その効用や副作用などにワクチン接種に対して、懐疑的な人も多く、私自身もどのみち、私に順番が回ってくるのは、ずっと先になるだろうし、世界中の人がワクチンをしていく様子を見てから考えようくらいに思っていました。 案の定、高齢者施設の居住者が最優先(それまでに一番被害が大きかったためリスク大と考えられていました)となっていたフランスでは、国民のワクチンに対する半信半疑の思いを反映するように、ワクチン接種に際しての家族の同意書がなかなか取れずに、年明けに蓋を開けてみると、他のヨーロッパ諸国に比べて、フランスは、驚くほどワクチン接種が進んでいないことが明らかになり、フランス政府のワクチン接種拡大キャンペーンには、一気にアクセルがかかり、次々とワクチン接種をすることができる年齢や職業などの条件を広げて行きました。 それでも、まさか、私に順番は、まだまだ回っては来ないとは、思ってはいましたが、年が明けてからも長い間、感染はどんどん広がっているのに、フランスは、あくまでもロックダウンは最終手段としていたので、フランスの感染状況は、悪化の一途を辿るばかりで、世界の国々がワクチン接種を進めていく様子を見ても、これは、もうワクチン接種をするリスクよりも感染するリスクの方がずっと高いだろうと、機会があれば、私もワクチンをしたいと思うようになっていました。 それが、一般の開業医でワクチン接種が可能になった頃、たまたま薬の処方箋をもらいに近所のかかりつけの医者に行った時に、あなたは、心臓疾患があるから、ワクチン接種の権利があるからと言われて、ワクチン接種の申し込みができたのが、2月末のことでした。 その頃は、まだ申し込みをしてから、実際に承認が降りるまでに時間がかかっていたし、ワクチンの供給が全く滞っていたので、1回目のワクチン接種ができたのは、4月の初めのことでした。 何よりも私にとっては、私のこれまでの病歴などを知っていてくれるかかりつけのお医者さんがワクチンを打ってくれるのは、心強いことでした。彼女の方も一度、開けたワクチン(1本で10回分)は、使い切ってしまわなければならないために、ワクチン接種の希望者をある程度、まとめて確保しておくことが必要なようでした。 しかし、最初は、ワクチンがなかなか届かずに、先延ばしになって、結局、私のワクチン接種も予約から1ヶ月以上、待つことになったわけですが、1回目のワクチン接種後も2〜3日、腕が痛かったくらいで、大した副反応も見られず、最低でも数週間は、間隔をあけなければならないという国で定められた期日を待って、昨日、やっと2回目のワクチン接種が完了しました。 もうすでに、現在では、フランスでは、18歳以上の成人は誰でもワクチン接種が可能になっており、予約さえ取れれば、いつでもすぐにワクチンを受けられるようになっています。また、6月15日からは、ティーンエイジャーでさえワクチン接種が受けられます。 2度目のワクチン接種が終わると、その場でコロナウィルスワクチン接種証明書を受け取ることができ、証明書には、QRコードがついていて、フランスの感染者追跡アプリ(TousAntiCovid)に即、ワクチン接種証明書を携帯にダウンロードすることができ、今後、これが、ワクチンパスポートの役割を果たします。 このTousAntiCovidというアプリは、もともとは、感染者追跡アプリとして開発されたもので、1回作り直したりされたものの、あまり利用者がなくて、感染回避対策には、ほとんど役に立ってはいなかったのですが、感染状況などについての最新情報を知ることができる他、現在は、ワクチン接種の証明書をダウンロードできるようになって、おそらく利用者が今後、グッと増えるようになると思われます。 まあ、どちらにしても、せっかく開発されたアプリが利用できて、よかったです。 フランスでのワクチン接種は、基本的にフランスの健康保険システムで使用されている健康保険のカード・カルト・ヴィタル(Carte...
2021年6月5日土曜日
今年の夏のフランスへの観光客受け入れに対する国ごとの対応 6月9日から開始
フランス政府は、今年の夏に向けての観光客の受け入れを国別に色分けして、それぞれの国の感染状況に応じて、フランスへの入国条件を明確に提示し、観光客の受け入れ体勢を整え、それぞれに対応する準備を開始しました。 世界地図をグリーン・オレンジ・レッドの3色に分布し、それぞれの国別の入国受け入れ条件を具体的に示しています。・グリーンゾーンの国 「ウィルスの活発な循環も、懸念される変異株も存在しない国」とみなされている国で、日本はこのグリーンゾーンに入っています。このグリーンゾーンからの観光客は、ワクチン接種が済んでいる人に関しては、フランスを自由に旅行することができます。 また、ワクチン未接種の場合は、搭乗時に、72...
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