2020年6月10日水曜日

ロックダウン解除・ぐんぐんと日常に戻りつつあるパリ エッフェル塔も再開決定




 フランスは、6月2日から、ロックダウン解除の第二ステージが始まって、その日に2万人規模のデモが起こり、それからは、一ヶ所に2万人とまではいかずとも、毎日のようにデモが続いています。

 それでも、現在のところは、デモの影響で、感染が拡大した兆候は、現れてはおらず、テレビのニュースでも、これまでのように、コロナウィルスの感染による死亡者数や重症患者数がトップで扱われることは、なくなりました。

 ここのところ、コロナウィルスの影がどんどん薄れていくことを感じます。(実際には、昨日の一日の死者数は87名(6月9日)という状況なのですが・・)

 これまで、閉鎖されていたメトロの駅も新たに31ヶ所が再開することになり、6月25日午前10時には、第二次世界大戦以来、最長期間(3ヶ月以上)閉鎖されていたエッフェル塔も、一部ではあり、マスク着用義務(11歳以上)という条件付きではありますが、再開されることになりました。

 私にとっては、エッフェル塔は、家の窓から、夜になると、ライトアップされた姿を眺めるだけなので、ロックダウン中も変わらず、キラキラ輝いていたエッフェル塔で、再開されたとて、あまり感慨は、ありませんが、やはり、フランス・パリのシンボル的な存在であるエッフェル塔の再開は、フランスのロックダウン解除の象徴的な出来事の一つであるに違いありません。

 それにしても、今のところは、解除の度に、条件の一つに加えられるマスク着用の義務化ですが、もともとマスク嫌いのフランス人にとって、今後、マスクは、今まで以上に、ますますコロナウィルス下の体験を連想させる、忌み嫌われる存在になりそうです。

 現在のところは、一応、タテマエのように掲げられている10名以上の集会の禁止の中で大々的に行われているデモでさえ、すでにマスクをしていない人も多く、フランスでは、3万人近い人が亡くなっているというのに、全く恐れることなく、どれだけ、マスクが嫌いなんだ!と思います。

 買い物の際に店内で義務付けられているマスクのために、ショッピングの気がそがれると、売り上げの減少も、マスクが影響しているとさえ言われています。

 現在のところ、パリのレストラン・カフェでは、テラスのみの営業しか許可されていないことも、ここ数日の悪天候で、業を煮やし始めているレストランの経営者から、6月22日を待たずして、再開させて欲しいという声が上がり始めています。もちろん、飲食を伴うレストランでは、マスクは、店員以外は、誰もしていません。

 あくまで、表向きは、慎重に・・という態度をとっている政府ですが、次回のロックダウン解除のステージは、6月22日に発表されることが決まっていますが、その発表を待たずして、次なるステージが7月10日であるということが、発表されました。これは、いよいよバカンスシーズン突入と、7月14日のパリ祭(フランス革命記念日)でのコロナ払拭モードへの切り替えの大きな区切り、緊急事態宣言解除では?と考えられています。

 ぐんぐんと日常に戻りつつあるパリ、このまま、本当にマスクを取ることができるのか? 日常が戻ってくることは、嬉しい反面、私にとっては、今のところは、マスクを取りたい気持ちよりも、マスクをしない恐怖、皆がマスクをしないで感染爆発をしたトラウマの方が大きいのです。


<関連>「私はウィルスではない フランスでのアジア人差別」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_31.html

 









 

2020年6月9日火曜日

マスクのポイ捨ては、罰金135ユーロ でも、フランス人は、ルールは守らない


Jeter son masque par terre pourrait bientôt coûter très cher


 フランスでは、6月7日、環境担当国務長官が、マスクのポイ捨て(実際には、マスクだけでなく、タバコやゴミも含まれる)に対する罰金を現行の68ユーロから、135ユーロに引き上げることを発表しました。

 しかし、おそらく、現行犯ではなければ、捕らえられないマスクのポイ捨てのための取り締まりが行われるとは、考えづらく、実際には、何の効力もないと思っています。そんなルールなど、「そんなの関係ない!」とばかりに無視されることでしょう。

 テレビの報道などでも、道路に捨てられたマスクを問題視する報道が取り上げられていましたが、果たして、実際に街を歩いてみると、やはり、マスクが捨てられているのを度々、見かけます。

 フランス人が日本へ行くと、街中のゴミ箱が少ないのに驚くと言いますが、実際には、ゴミ箱の少ない日本の方が、街にゴミが少なく、清潔なのも事実です。

 先日、日本では、政治家が、欧米の国に対して、「オタクの国とは、民度が違うと言ってやるとみんな絶句する」という発言が炎上していましたが、彼の物の言い方や、そのことを公的な場所で発言することは、何かと物議を醸すのはわかりますが、「民度が違う」という、そのこと自体は、事実です。

 フランスの学校では、道徳教育というものもなく、道徳心やモラルというものの概念がとても薄いのです。

 何事にも罰金を課さなければ、徹底しないのは、今回のコロナウィルスの完全なロックダウン状態にして、不要の外出を取り締まり、罰金を課さなければ、国民を治められなかったことからも、明らかです。

 それは、日頃からの生活のあらゆるところで、見られることで、海外生活をしたことのある人には、何かと心当たりがあることだと思います。ルールを守るとか、清潔を保つとか、周囲の迷惑を考えるとか、郵便物がなくならないとか・・(挙げればキリがありませんが・・)日本では、あたりまえのことがあたりまえでないことに、海外に出たことがある人ならば、誰もが最初は、困惑した経験があると思います。

 それでも、普通の日常ならば、一つ一つの事柄を裏返しにして、自由な「文化」という言葉に置き換えることができる点もありますが、それは、自分の行動を正当化する詭弁にすぎません。

 しかし、今回のような有事に、それは、通用しません。

 もはや、フランスは、マスクのポイ捨てどころか、マスクをしない人が大多数で、皆がマスクをしているのは、取り締まりが厳重で、罰金を課される公共交通機関を利用する際くらいです。

 そして、何より怖いのは、人々が、もはや、警察など恐れていないことです。もともと、フランスでは、よほどのことをしない限り、刑務所行きなんてことはないのです。

 この時期のデモでさえ、警察が抑えることができません。今は、特にアメリカで起こったジョージ・フロイドの事件で、人種差別問題から、なぜか、問題は、警察の暴力問題に置き換えられつつあり、(フランスには、アメリカのような人種差別は存在しない、これは、警察の暴力問題であるとフランスのマスコミは人種差別問題を政府が認めない)、ますます、警察が国民を取り締まることに慎重になっています。

 小さい頃から、日本とフランスの両方を見て育っている娘は、「あたりまえのことがなぜできないのか?」「でも、あたりまえのことができないのがフランス」と二つの国を冷静に見ています。

<関連>
「パリの盗難被害 パリの泥棒は、なかなか捕まえてもらえない」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_6.html

「パリでは、日本ではあり得ないことがたくさん起こる・・」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_11.html



 

 




2020年6月8日月曜日

パンデミックによる留学・スタージュ・インターンシップのキャンセル




 6月のフランスは、年度末に当たる月で、娘の通っている学校などは、5月末には、授業は、終わってしまっていました。というのも、本当ならば、学校のプログラムにより、6月1日より、スタージュ(日本でいうインターンシップのようなもので、スタージュ先は、海外、国内ともに、個人個人で選択します)で、イギリスの大学の研究室に行くことになっており、それが、今回のコロナウィルスのパンデミックの影響で、イギリスには、行けなくなってしまったのです。

 彼女のクラスでは、フランス国内だけでなく、海外でのスタージュの予定をしていた人も多く、半分以上の人のスタージュの予定がキャンセルになってしまい、今も必死にスタージュ先を探し続けている人が大勢おり、7月の半ばまでにスタージュが決まらない場合は、それに変わるプログラムを学校側が用意して、夏のスタージュに行くはずの期間は、そのプログラムを消化することによって、一応、その期間をスタージュをしたと同じような換算をすることになっているそうです。

 そもそも、スタージュどころか、国内・海外共に、失業者に溢れているわけですから、普段、スタージュを受け入れている会社等にとっても、それどころではないのです。

 彼女の通っているエコールは理系のエンジニア養成のエコールで、エンジニアのライセンスを取得するには、企業や大学の研究室、研究機関等でのスタージュの経験がトータルで10ヶ月間、必要になっています。

 娘は、昨年、すでに、フランスの大手の製薬会社でのスタージュを2ヶ月間、経験したものの、彼女にとっても、残り8ヶ月間のスタージュの義務が残っているわけです。幸いにも、彼女の行くはずだったロンドンにある大学の研究室は、リモートワークを受け入れてくださり、彼女は、今のところ、パリの自宅で、ロンドンの大学の研究室の仕事をさせていただいており、3ヶ月間のスタージュは、どうやら消化できそうです。

 彼女のイギリスでのスタージュが決まったのは、昨年のクリスマス、その時点で、スタージュの始まる日と終わる日はわかっていたので、早めに取った方がユーロスターのチケットも安いから・・と早々に往復のチケットを予約していたのですが、それもキャンセルせざるを得なくなりました。当然、今回のようなキャンセルの場合は、全額返金だとばかり思っていたのに、クーポンでの返金という拍子抜け。別に予約していた宿泊施設は、全額返金されるとのことですが、未だ、返金されていません。

 とはいえ、何より、リモートワークとはいえ、スタージュが全くのキャンセルにならなくて、幸いでした。彼女のスタージュの予定は、6月から8月末までの3ヶ月間の予定なので、今後、パンデミックの状況が改善されれば、途中から、実際にロンドンへ行ける可能性もまだゼロではないのです。

 しかし、考えてみれば、この時期に留学などの予定にしていた人も大勢いるわけで、逆にフランスに留学に来ていた学生の多くも母国に帰国してしまっています。パンデミックにより、多くの人の人生が変わってしまいました。

 今年、就活をしている人にとっても、ここ何年間かで最も厳しい年になってしまったことでしょう。この不況がいつまで続くのかは、わかりませんが、娘も本来ならば、今の学校卒業、就職まで、あと一年です。今の不況が年単位で続くことは、もはや明らかで、彼女は、今の学校を卒業してから、さらに次の学校に進んで、就職の時期をずらした方が良いかもしれない・・と、複数の道を考えているようです。

 人生の岐路に、選択肢がある場合とない場合とがありますが、今は、多くの人が人生の岐路に立たされていることを、未だ、学生である娘を見ていても、しみじみと考えさせられます。思い描いていた人生とは、違う方向に軌道修正しなくてはならない状況でも、長い人生で見れば、それが、結果としては、良かったと思えるように、娘には、たくましく、この状況を乗り切って行って欲しいと思っています。


<関連>「学校選びは人生の岐路・娘の通った学校は、なかなか厳しい学校だった」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_54.html

 

2020年6月7日日曜日

ロックダウン解除・抑えきれないデモとレストラン・カフェの営業制限の矛盾


Image

 
  6月2日にパリで起こった、アメリカのジョージフロイドという黒人男性が警察の暴力によって死亡した事件から派生したデモは、未だ、続いていて、デモは禁止されているにも関わらず、今週末にも再び、パリ、マルセイユ、ボルドーなどを中心に、再び、多くの人が集まりました。

 パリでは、コンコルド広場から、エッフェル塔近くのシャン・ド・マルス公園などに約5500人、マルセイユでは、約3500人、ボルドーでは、約2500人が集まり、人種差別と警察の暴力に反対して集まりました。

 もはや、このコロナウィルス感染のおさまりきっていない状態でのデモ、最初は、あまりにたくさんの人出を見たときには、開いた口が塞がらないほど仰天しましたが、もはや、1000人単位での集まりを、いつの間にか、前回のデモが20000人(パリだけで)という数字と比べたら、まだマシ・・と思うようになってきて、だんだんと、起こっている事態について、感覚が麻痺してきてしまっているような気がします。(週末のデモの人出は、フランス全土で23300人と発表されています)

 コロナウィルスによる被害についても、4月3日あたりから、一日の死者数(感染者数ではなく、死者数です)が1000人を超える異常な日が半月以上続き、一日の死者数が100人を切り始めた最近では、まるで緊迫感が違ってきてしまい、昨日(6月6日)の死者数が31人だったというニュースをみて、少しホッとしてしまっている自分に気付いてハッとさせられます。

 慣れというものは、怖いもので、考えてみれば、海外生活を最初に始めたロンドンで、(ずいぶん昔の話ですが・・)度々、起こるメトロなどでの爆弾騒ぎなども、最初は、戦々恐々としていたのに、周りがあまりにあっさりとしているのに驚いていましたが、次第に自分も驚かなくなってきて、今や、フランスでは、日常のようなデモや暴動のような騒ぎも、日常が戻ってきた・・ように感じるのですから、平和ボケならぬ、危機ボケ?の波に飲み込まれてしまいそうな自分に気付いて、時々、ハッとさせられます。

 とはいえ、今回は、目に見えぬ、得体の知れないコロナウィルスに、やはり気を緩ませるわけには、いきません。

 10人以上の集会が禁止とか、レストランは、店内の営業が禁止だったりして、営業がテラスだけに限られている中、テラスをかなり無理に拡張して、歩道や道路さえも通行止にまでして、なんとか営業を再開している人たち、横断歩道の脇に置かれたテラス席でも、意地でも(そんな無理矢理なテラスでも)カフェのテラスの場所を死守している人たちは、このデモの人出をどう感じているのでしょうか? この人出を回避せずに、レストランの営業に制限をかけられていることに、憤りを感じているに違いありません。

距離を取るために信号の先にテラス席を作っているビストロ


 確かに、人種差別は、フランスに根深く存在します。この問題に抗議の声をあげるのも理解はできます。しかし、今のタイミングは、いけない。フランスのマスコミも、このコロナの渦中のデモの是非ではなく、人種差別問題自体を取り上げています。多くの若者がこの問題に立ち上がって抗議をするということを讃える声も多く挙がっています。

 しかし、今はまだ、多くの人が感染を控えるために仕事もできずにいるのです。

 カフェでの和やかな時間を大切にするのも、デモなどで自己主張するのも、どちらもフランスの文化の一部で、通常ならば、どちらもある程度のバランスを保って、なんとか共存しているフランスですが、現在は、どうにもそのバランスが歪(いびつ)な状態です。

<関連>「レイシスト・差別的な言動」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_56.html

 

2020年6月6日土曜日

ロックダウン解除後のフランス版メルカリサイトでの人気商品




 ロックダウン中に、この際とばかりに、家の中を片付けた人も少なくないと思います。類に漏れず、私も少々、家の不用品を片付け、もう、この際、いらないものは、処分しようと一時、ストップしていたフランス版、メルカリのようなサイトを一つ増やして、出品してきました。サイトによって、得意分野が違うので、二つのサイトにそれぞれ違うタイプのものを出品しています。

 日本のメルカリのサイトは、日本の緊急事態宣言の最中も取引が続いていて、手に入りにくくなっていたマスクや食料品の一部などを買い占めて、高値で売買するというようなことも起こっていたようですが、フランス版メルカリサイトでは、出品は、できるものの、ロックダウン中の取引は、一切、中止されていました。

 たとえ、商品?が売れても、郵送するために出かけたり、手渡しに行ったりすることも不可能でしたし、衛生的にも問題とされていたのだと思います。タダでさえ、外出できずにネットで買い物をする人が増えた状態に、追い討ちをかけるような配送業者への負担も考えられたのだと思います。ロックダウンと同時に、すぐに「取引停止」のお知らせが届きました。

 ロックダウンが解除されて、取引も再開されましたが、ここのところ、ロックダウン中に出品しておいたものが、少しずつ売れ始めて、少しだけですが、思わぬ、お小遣い稼ぎができています。

 買ったまま、全く袖を通していなかった洋服や、娘が子供の頃にほんの少ししか使わなかったゲーム類、やたらと可愛すぎる日本の文房具類や、プリンターが壊れて、違う機種に買い換えたために使えなくなった買い置きしてあったプリンターのインク、主人が買い集めた訳の分からない世界各国の民芸品のようなものなどなど、我が家の中には、いらないものが山ほどあるのです。

 何かを買い集めるということは、楽しいことでもありますが、後になってみると、なんで、こんなものを??と思うことも少なくありません。日本の実家を数年に渡り、片付けている身としては、今や、何かを集めるとか、そういったことが、いかに虚しいことかと感じてしまうのです。

 そういう私もフランスに来て以来、かなりの香水を集めており、気に入った香水を見つけては、買っていた時期があり、それは、いつの間にか、おそらく、私の一生に使い切れないほどになっていました。

 娘は、あまり香水は、好きではなく、彼女はいらないと言うし、整理してみれば、同じものがいくつもあったり、もう飽きてしまった香りのものも多く、思い切って、サイトに少しずつ載せてみたところが、さすがの香水好きのフランス人、他のものに比べて反応が違います。

 最初は、これまでロックダウンで買い物ができなかったために、とにかく買い物をしたい人がいるんだな・・ぐらいに思っていましたが、今週末は、フランスでは、母の日ということもあって、「母の日のプレゼントにしたいから、急いで送ってください」などと、メッセージがついていて、ここのところ、頻繁に郵便局通いです。

 母の日に香水を送る・・しかも、出来るだけ安い値段で探す(フランスの場合、値切り交渉も半端ないです)・・なんか、いかにもフランスな感じです。しかし、今さらながら、やっぱり、フランス人って香水、好きなんだなぁとつくづく思います。

 ところが、我が家の近くの郵便局の業務の一部を請け負ってくれていたお店がコロナの煽りを受けて、なんと今週末で閉店。なんとも、残念なことです。こんなところにもコロナウィルスが影を落としていることを、これから、色々な場面に遭遇しながら、実感していくのだと感じています。

<関連>
「メルカリとルボンカン(フランス版メルカリ)に見るやたら礼儀正しい日本人とめんどくさいフランス人」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_60.html

「香水を楽しむフランス人」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_87.html


 

2020年6月5日金曜日

ロックダウン解除・約5ヶ月ぶりで、かかりつけの医者へ


いつもと同じの静かな待合室


 私には、もう20年近く、かかっている近所のかかりつけのお医者様がいて、家族揃って、同じお医者様にお世話になってきたので、娘も小さい時からお世話になっていて、娘の成長の過程も家族の歴史も、その間の病歴なども全て、承知していて下さるので、とても、頼りにしています。

 今の地域に引っ越してきたばかりの頃には、近所の他のお医者様にも行ってみたことがあるのですが、結局、小さい頃の娘の希望で(彼女がきれいだから・・という、とても安易な理由でしたが・・)、彼女のところに通うようになりました。

 しかし、娘の直感は、正しく、彼女は、いつも冷静で、的確で、ちょっと見たところは、いかにも育ちが良く、賢そうな、上流階級のフランス人という感じで、少し冷たい印象もありますが、予約時間には、きっちり時間を守って見てくれるし、これまで私たちの身に起こった、なかなかの深刻な状況の時でも、冷静に的確に対応してくれていたし、何と言っても、長い付き合いなので、気心が知れていて、良い関係を保っています。

 私は、数年前から、いくつかの薬を毎日、飲んでいて、定期的に彼女のところに通って、一応のチェックをしてもらい、3ヶ月分の処方箋を書いてもらっています。その際に、既往症とは、関係ない鎮痛剤や軽い安定剤から胃薬、腰痛に効く塗り薬なども、まとめて処方してもらえるように、家の常備薬のための薬のリストを自分で作って持って行って、処方箋に加えてもらっています。そうすることで、大抵の薬は、保険でカバーされるので、我が家は、滅多に薬屋さんでお金を払うことはありません。(パリ節約術です。)

 話は、それましたが、私は、今年の2月に日本に行く予定にしていたので、1月末に彼女のところに行って、いつものように薬を3ヶ月分、処方してもらっていました。

 そして、日本から帰ってきたのが、2月末、それから、あれよあれよという間にロックダウンになり、いつも飲んでいる薬が切れてしまいましたが、当時、コロナ以外では、到底、医者にはかかれない状況から、期限切れの処方箋で2ヶ月間は、薬局で、いつもの薬を出してもらえたので、彼女のところにも行くことはありませんでした。

 しかし、ロックダウンが解除されて、薬が今週末には、切れてしまうので、約5ヶ月ぶりで、彼女のところに行くことになりました。しかし、付き合いも長い彼女、近況を聞くような電話も迷惑だろうし、どうしているのだろう?と、ずっと思っていました。

 けれど、感染がおさまってきたとはいえ、やはり、医者に行くのは、怖い気持ちもあったので、人があまり重ならなそうな、朝一番の時間に予約を入れました。

 果たして、待合室で人と出会わすこともなく、物々しく、警戒のテープが貼られたりしていることもなく、いつもと同じの静かな待合室でした。診察室に入ると、すぐにアルコールジェルを使うように言われたことと、彼女がマスクとフェイスシード付きのメガネをしていること以外は、いつもと変わらぬ診察室でした。

 このあたりでも、たくさんの感染者が出て、ここにもたくさんのコロナウィルスの患者が来たし、ピーク時には、パリのサンルイ島の病院に応援に行っていたという彼女ですが、自分の診療所に戻った今は、これまで医者にかかれなかった人たちの予約でいっぱいのようで、私の診察中にかかってきた電話にも、「今日は、もう予約がいっぱいいっぱい!今日はもう、5分でさえ、時間は取れないの!急ぎでなければ、別の日にして!」と言って、予約を断っていました。

 実際に、コロナウィルスの患者さんとも、たくさん接し、病院での悲惨な状況にも立ち会ってきた彼女は、コロナウィルスの恐ろしさを目の当たりにして、「これから数年は、警戒を怠ってはいけない・・そもそも、中国が早い段階で国をシャットダウンしないから・・」と、いつもは冷静な彼女にしては、珍しく怒りを露わにしていました。

 しかし、診察が終わって、処方箋を書いてくれて、私が彼女の診療所を出るのを見送ってくれる時には、いつものエレガントな彼女に戻っていました。

 ロックダウンからこれまで、確かに医者にかかれなかった人がたくさんいて、今後、しばらくの間は、彼女は、コロナウィルスの患者同様、それ以外の患者さんの対応に追われることでしょう。コロナ以来、医療従事者に対面したのは、初めてのことでしたが、一瞬、彼女が見せた、怒りの表情が忘れられない一日でした。

 何はともあれ、彼女が無事でホッとしました。

<関連>「フランスの医者の大盤振る舞いな薬の処方」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_67.html

2020年6月4日木曜日

ロックダウン解除・パリのレストラン・カフェもテラス席で営業再開


Image


 パリのレストラン・カフェに日常の一部が戻ってきました。まだ、店内の営業は、認めたれていないため、店の外のテラス席のみの営業、しかし、実際にテラス席のある店舗は、全体の40%にしか過ぎす、急遽、パリ市役所に申請して、店舗の前の歩道のスペースや道路の駐車スペースなどの公共スペースの一部にテラス席を儲ける許可がおり、細い道路沿いなどは、通行止めになっている場所もあります。

 パリの街は、ロックダウン解除の第2ステージが始まる日の午前0時から、カフェのオープンを待ちわびていた人たちで、賑わいました。当日の夜は、テラス席に予約まで入る盛況ぶりで、予約をしていなかった人の行列ができたほどです。

 日本と違って、並ぶことが大嫌いで、とても苦手なフランス人も、この2ヶ月間のロックダウン生活で、スーパーマーケットなどにも、距離をとって並ばなければならなかったおかげで、ちゃんと列に並ぶという習慣がついたようです。並んでまで、楽しみたいレストランのテラスでのひと時、フランス人にとって、カフェ、テラスは、ほんとうに息をするように当たり前な日常の一部だったことを彼らの満面の笑みから垣間見た気がしました。

 ロックダウンになるという前夜、パリのカフェやバー、レストランは、年末のカウントダウンのように多くの若者が集まる騒ぎになりましたが、今回の解除第2ステージでのカフェ、レストランでの彼らは、若者だけではなく、年配の人も大勢いて、穏やかで、どこか、落ち着きを見せながらも、晴れやかな、日常を取り戻した嬉しさを隠しきれない表情が印象的でした。

 「バカンスでもない、特別なことでもない、カフェのテラスでコーヒーが飲める日常が戻ってきたことが何よりも嬉しい。」と何気ない日常の幸せを噛み締めているのでした。真の喜びというのは、ごくごく普通の日常を噛みしめることなのかもしれません。

 レストラン側も衛生面を考慮して、メニューは、これまで使用していた紙のメニューから、携帯でQRコードをかざすとメニューを読み込むことができるようになっていて、そのまま、携帯で、注文、支払いができるシステムを採用しているお店も多いようです。

 もともと、フランス人は、今回のコロナ対策は、関係なしに、テラス席が大好きです。特に、気候が良くなって、日も長くなった季節には、テラス席は、満席で、店内は、ガランとしている・・なんていうことがよくあるものです。

 私としては、小さなテーブルで、排気ガスにまみれ、人通りも多い落ち着かないテラスのスペースを好むフランス人が理解できないと思っていましたが、改めて、彼らが楽しそうにテラスでの食事やコーヒーを楽しんでいる姿を見ると、やっぱりこれがパリだよね!となんだか嬉しくなるのも不思議です。

 ロックダウン中の美しいパリの景色を何度も映像で見ましたが、やはり、レストランやカフェに人がいる様子は、街が生き返った感じです。

 レストランやカフェの営業のために、駐車スペースがなくなったり、道路が通行止めになったりして、苦情が出ても、おかしくはないのですが、彼らにとっては、むしろ、テラス席が拡大されることは、大歓迎なのかもしれません。

<関連>「パリのカフェに見るフランス人の日常の楽しみ方」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/12/blog-post_85.html