2019年8月14日水曜日

フランスから日本へのお土産で喜ばれるもの




 フランス暮らしも長くなり、日本へ帰国するたびに持っていくお土産には、ほんとうに頭を悩ませています。もはや、お土産のことを考えるだけで、日本行きが億劫に感じられるくらいです。

 しかし、手ぶらでは、帰れない! 毎回、山ほどのお土産を持って帰ります。

 平均して、毎年、年に1〜2回の帰国で、今まで、考えうるものは、もう全て、持って行ったというくらい、持っていき尽くした感があるです。

 洋服、バッグ、化粧品、香水、食料品、はっきり言って、かなりの出費も嵩みます。

 化粧品などに関して言えば、日本には、日本人の肌質や気候に合った優れたものがたくさんあるし、シャネルやディオールなどのフランスの大手化粧品会社では、世界中、どこでも同じ価格で買えるような価格設定を目指していると言います。

 その上、日本人の好きな、美白、日焼け止め効果のある化粧品に関しては、シャネルなどのブランドにおいても、アジア限定の商品を発売しているくらいです。(こちらの人は、美白よりも、日焼けして、リッチさをアピールしたがる傾向にあります。)

 だいたい、日本のデパートに行けば、フランスのものだらけと言ってもいいくらいで、フランスのもので、日本で手に入らないものは、まずないと言っていいくらいです。

 まあ、化粧品に関しては、価格の点から考えると、ビオコスメのメーカーの値段的にもお手頃なユリアージュのハンドクリームやリップクリームなど、無香料の上に質が良いので、おススメです。(男性でも、女性でも使えるし・・)

 また、ビタミンCのタブレットや、アヴェンヌのシカルフェートクリーム(ニキビ、肌荒れ、虫刺されなどにも効く万能クリーム・これも無臭でサラッとしています。)なども便利です。

 だいたい、日本のデパートに行けば、フランスのものだらけと言ってもいいくらいで、フランスのもので、日本で手に入らないものは、まずないと言っていいくらいです。

 ですから、もう、こちらも思いつかないので、日本に行く前には、注文を聞くようにしています。

 その結果、最近は、もっぱら、空輸の利点を活かした食料品に頼っています。

 特に人気があるのは、バター、チーズなどの乳製品です。

 日本でのフランスの乳製品の値段には、ビックリしてしまいます。いくら、美味しいとはいえ、この値段で、誰が買っているの? と思う程です。
(こちらでは、一番スタンダードでお手軽なプレジダンやリオンのカマンベールなども少なく見積もっても7〜8倍の値段です。一体、これは、どこが儲けているのか? 税金なのか? 仲介業者なのか?と、いつも、思います。)

 エシレバターなどは、こちらでも、普通のバターに比べると、若干、高めで、バターを大量消費するフランス人の一般家庭では、あまり、消費されているわけではありません。

 とは言え、この値段の違いを考えれば、お土産としては、かなり、ポイントが高いようです。

 チーズに関しても、スタンダードに日本に輸出されているものは、少なく、チーズならば、あまり、日本では、手に入りにくいものがたくさんあります。

 ここのところの、内輪での人気は、コンテですが、これも熟成期間、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月と色々です。できれば、その場で、大きく切ってもらったものを買って、日本に帰ってから切り分けることをおススメします。

 日本で手に入りにくいと言えば、エシレの生クリームなども結構、喜ばれました。

 あとは、コンコイヨットと言って、リキッド状になっているチーズなどもパンに塗って食べたりしやすいので、日本人には、人気があります。

 また、トゥルトーフロマージュと言って、袋入りの黒いチーズケーキもあっさりとしていて、日本には、あまりないので、おススメです。スーパーのチーズコーナーのレイヨンに売っています。

 チーズ以外には、野菜類、季節にもよりますが、エシャロット、アーティーチョーク、紫色のジャガイモなどなど。

 他に、参考までに、今まで、喜んでもらったものは、ブーケガルニ、ブイヨンキューブ、パウダーのスープ類(日本にはない、アスパラやポアロやセップ茸のものなど)、ゲランドの塩、ドライのセップ茸、バルサミコ風味のマスタード etc・・などです。

 あとは、モノプリやM&Sのエコバッグなども人気です。

 もう、ここまで来ると、ほとんど、行商人のようです。

 そして、スーツケースのお土産の中身を空にして、今度は、再び、日本の食料品で満たして、結局は、往復ともに行商人のように日本とフランスを行き来するのであります。





 

2019年8月13日火曜日

フランスのホームパーティー




 日本にいる時は、友達と会うのも、圧倒的に外で、どこかに飲みに行くとか、食事に行くということがほとんどでしたが、海外に来てからは、めっきり、友人と会うのも自宅に人を招いたり、招かれたりということが多くなりました。

 ある程度、仲のいい友人になると、「どこかにご飯、食べに行きましょう!」ではなく、「うちで一緒に食事しよう!」となることが圧倒的に多いのです。

 もちろん、どこかに美味しいお店があって、それを食べに行こうということだって、あるには、あるのですが、圧倒的に家で・・ということの方が多いのです。

 それは、基本的にフランス人は、倹約家(ケチ)だということもあると思いますが、家族ぐるみの付き合いというのが圧倒的に多いからだと思うのです。

 子供がいる場合などでも、周囲のお客さんなどを気にすることもなく、時間も気にせずに、家の方が子どもも大人もゆっくりと、自分たちのペースで、和気あいあいとした時間を過ごすことができるのです。

 人を家に招くのですから、ある程度は、セッティングやお料理などにも気を使って準備はしますが、それでも、親しい友人同士ですから、ある程度、分担して、用意したり、時には、一緒にお料理をしたりすることもあります。

 その準備、そのもの自体にも楽しみがあるのです。

 こうして考えてみると、日本人同士の友人関係の距離と、フランス人の友人関係の距離感は、微妙に違っているのかもしれません。それは、あくまでも家族が基盤となっている関係性だからなのかもしれません。

 主人と一緒に生活するようになってから、人を家に招いたり、招かれたりということがほんとうに多くなりました。アフリカにいた頃は、それが半分は仕事のようなところもあったので、かなり頻繁でしたが、仕事以外の場面でも、随分と彼の友人や仕事の関係の人との付き合いの場でも、必ず私も出席していましたので、主人の交友関係は、私の交友関係にもなっていっています。

 レストランなどの公共の場で一緒に食事することと、家に招待して時間を共に過ごすことでは、その親密さがグッと違ってくるように思うのです。

 そうやって、自宅で、友達が集まって過ごしたりするに至るには、ひとつ垣根のようなものがあり、その垣根を取っ払ったのが自宅でのパーティであり、それで、人間関係の絆も強くなっていくように思います。

 その方がざっくばらんで、自然体でいられて、楽しいのです。





















2019年8月12日月曜日

フランスの医者の大盤振る舞いな薬の処方




 フランス人は薬が好きです。

 薬が好き・・というと、ちょっと語弊がありますが、薬に頼ろうとする傾向が高く、またそれは、保険制度の仕組みのおかげ? でもあり、お医者様が処方箋を書いてくれた薬に関しては、特別な薬以外は、ほぼ、保険でカバーされるので、余計に薬をたくさん使うようになっているのかもしれません。

 実際に、薬屋さんと、メガネ屋さん(これも、保険でかなりカバーできます)は、繁栄の一途を辿っていて、あまり、潰れるのを見たことはありません。

 私自身も定期的にお医者さんにかかっていますが、いつも、常備薬として必要な薬のリストを持って行って、まとめて、処方してもらっています。
 これなら、お金がかからないので・・。w

 日本のような、医食同源という観念は薄く、" まず、食生活や生活習慣を改善して、様子を見ましょう。” などということにはならず、いきなり、薬を処方されてしまうので、こちらの方が戸惑いながら、” 何か、食べ物で気をつけた方がいいものなどあるでしょうか? ” などと聞いても、しぶしぶ、” まあそうね〜これとこれは、避けた方が・・” と言う程度で、あくまで、薬で調整しようとします。

 胃が痛くて、お医者様にかかった際も、鎮痛剤を処方してくれたのには、ビックリしました。胃薬というのは、胃が荒れているから飲むもので、鎮痛剤が胃に負担をかけるという考え方はしないようです。

 また、安定剤や、睡眠薬もかなり、気軽に処方してくれるのにも驚きます。

そして、できるだけ、控えた方がいいなんていういとも言いません。むしろ、無理して、辞める必要はないと言われます。
(ただし、一度にたくさんの処方は法律で禁じられているようで、他の薬は、3ヶ月分とか、場合によっては、6ヶ月分とかまとめて出してくれるのですが、安定剤や睡眠薬に関しては、普通は、一度に一ヶ月分しかもらうことはできません。)

 先日も気管支炎を起こしかけていたところ、夜、咳で眠れないといけないからと、睡眠薬を処方してくれました。まあ、処方されたからといって、この手の薬は特に、必ずしも、お医者様の言う通りに飲まなくても、慎重にした方がいいと思っています。

 夜中に咳をしているつもりはなかったのですが、一晩、試しに飲んでみたら、やはりよく眠れて、身体も楽になったので、しっかり睡眠を取ることも大切なのだということもわかりました。

 薬の処方の際には、この薬は、何の薬なのかということをひとつひとつ、しっかりと聞いて、自分で、調べなおしてから、飲むようにしています。今は、ネットで薬ひとつひとつ調べれば、大抵のことは、わかります。

 そのお医者さんは、今の場所に引っ越して以来のかかりつけの女医さんなのですが、もう、家族一人一人のことや、私たちの家族の歴史、体調の変化なども全て知っていてくださるので、とても楽で、どんな病気であってもとりあえず、彼女のところに相談に行っています。

 薬を処方してもらう時には、しっかり聞いて、自分の字で書き留めておかなければ、お医者様の処方箋の字が汚くて読めないのです。これは、フランスの医者あるあるらしいのですが、特に、字を崩して書く傾向にあるようです。

 最初、主人と暮らし始めた時は、山ほどの薬を抱えていて、この人は、なんと、薬が好きな人なんだろうとびっくりしましたが、それには、こんな背景があったのです。

 
















2019年8月11日日曜日

妻に花束を贈り続けるフランス人の話




 ジャン・ピエールは、私の元、同僚?というか、同じ会社で働いていたフランス人のおじさん(いや、もう、おじいさんになってしまいました。)です。

 社内の壊れ物をなおしてくれたり、外にお届けものをしてくれたり、買い物をして来てくれたり、運転をしてくれたりと、社内の雑用を一手に引き受けてくれるとても優しいおじさんでした。

 彼は、もともとは、前の社長が自分の犬の散歩係として雇ったという人で、難しい仕事は嫌いです。ちょっと、厄介なことを頼まれそうになると、いつの間にかスーッと姿を消していて、ほとぼりが冷めた頃にちゃっかり何気ない顔をして帰って来ます。

 でも、厄介なことが嫌いなだけで、とても気の優しい 、おしゃべり好きで、善良な、" いい人 " なのです。

 彼は、とても若い頃(16歳くらい?)から働き始めたそうで、その分、定年も早く、かなり前にすでに、引退しています。

 たまたま、家がわりと近所だったこともあり、彼が引退後も、私たちが日本など、長期の旅行へ出るときなどは、ジャン・ピエールにアパートの鍵を渡して、ポニョ(猫)の世話(1日一回、家を覗いてもらって、キャットフードを補充し、水を変えて、猫のトイレを綺麗にしてもらう)や、ベランダの植物の水やりをお願いしています。

 ポニョに出来るだけ、寂しい思いをさせないように私が考えた苦肉の策ですが、ジャン・ピエールの動物好きもあって、なんとかうまくいっています。

 結局は、ポニョを頼むときくらいしか、会わないのですが、それでも、ノエルとか、新年の挨拶など、時々、電話をくれます。

 夫婦、家族がとても仲良く、なんでも奥さんかお嬢さんに相談して決めます。まだ、彼が会社にいた頃には、たまに、昼食時に奥さんが、やって来ることもありました。奥さんもパリの中心地にくるという、気合満々で、貴婦人のようにおしゃれをして、帽子までかぶって、犬を連れて現れ、二人連れ添って、食事に出かけたりしていました。

 お嬢さんと息子さんは、もう独立していますが、つい最近まで、夫婦で奥さんのお母さんを引き取って、二人で面倒を見ていました。つい最近、102歳で亡くなりましたが、ずっと、二入でお母さんのお世話をしていました。
 フランス人は、意外と、長生きなのです。

 ジャン・ピエールは、引退後には、市のやっている自転車のクラブに入っていて、気候の良い時は、クラブの仲間と自転車に乗りに行ったりしているようです。

 彼は、私よりは世代がかなり上なのですが、いわゆる底辺のフランス人の生活を送っている人です。しかし、生活自体は質素ではあるものの、至極、真っ当な生き方をしていて、家族でいたわり合って暮らしている様子は、なかなか凄いなあと思って見ています。

 彼が奥さんに頼まれて、買い物に行けば、必ず奥さんのための花のブーケを買って帰ります。結婚したのも早かったようなので、もうずーっと長いこと一緒にいる兄弟のような感じだと言いつつも、お買い物の帰りには、奥さんのための花束を買うのです。

 また、還暦のときだったか、市長さんがその年の還暦の人を集めて招待するバトームーシュのディナークルーズに招待され、ジャン・ピエールは大興奮。パリから、海外に出たことのなかったジャン・ピエールにとっては、初の海外旅行になりました。(バカンスの時は、フランス人ですからそれなりに3週間くらいフレンチアルプスとか山の方に行ったりしていましたが、フランスの土地を離れたことは、なかったのです。)

 セーヌ川を海外旅行と呼ぶかどうかは別として、一度も海外に出たことがなかった彼がセーヌ川とはいえ、フランスの土地を一歩でも離れたのです。
 還暦にして初めての海外、しかもそれがセーヌ川。
なんだか、いいじゃありませんか?

 今年の夏も、ジャン・ピエールの方から電話がかかって来ました。
” 今年は日本に行かないの?” と。去年、あまりに暑かったから、今年の夏は、やめたのよ!” というと、彼は、ちょっとがっかりした様子。
 ポニョの世話で稼げるお小遣い目当てだったのかもしれません。

 ひとしきり、近況などを話したあと、”じゃあ、もっと涼しくなってから、行った方がいいね。” ”じゃあ、また、行くときに電話して!”と言って、電話を切りました。

 娘は、なぜか、ジャン・ピエールが苦手で、” だって、あの人、話が長くてくどいんだもん〜!” などと、ある時、言い出したら、それまで、ゴロゴロいっていた、肝心のポニョまで、ジャン・ピエールを嫌いだしてしまい、ジャン・ピエールが家に来るとどこかに隠れてしまうようになってしまったのです。

 留守の間、毎日、ジャン・ピエールが家にやって来てくれても、ポニョはどこかに隠れてしまって、ジャン・ピエールがいなくなるとどこからか出てくるらしいです。

 それでも、変わらずに、ジャン・ピエールは、ポニョにも優しくしてくれます。

 ある時、会社の中の誰かが言っていました。
ジャン・ピエールってよく見ると、なかなかのハンサムだよね〜って。
でも、なんで、あんなに格好悪いんだろう!?って。

 それでも、私は、ジャンピエールとその家族を見ていて思うのです。

 それは、決して、裕福ではないかもしれない、むしろ質素な生活ですが、夫婦がお互いをいたわりながら、静かに暮らしている。彼とその家族は、余分なものを除いた幸せのエッセンシャルな部分を生きているのではないかと。

 彼に会うたびに思うのであります。
























2019年8月10日土曜日

海外生活への順応と自分の価値観 日本では、あたりまえのこと




 私も海外に出たての頃は、” 日本だったらこうなのに・・” とか、" 日本だったら、こんなことは、ないのに・・” と、いちいち思っていました。

 日曜日には、お店が閉まってしまうことや、バスやメトロなどが時間通りに来なかったり、郵便物、宅配品などが届かなかったり、客を客とも思わないようなお店の対応や、やたらと自己主張の激しい人々、ロクに働かないのに、バカンスはたっぷり取ること・・などなど。未だに、挙げればキリがないほどです。

 でも、そんなことを言ってばかりでは、海外で暮らしては、いけませんし、何の解決にもなりません。

 考えてみれば、あたりまえのことです。
違う国で、違う文化と歴史を持って生活している人々が、日本と同じような生活や考え方をしているはずは、ないのです。

 慣れというのは、ありがたい? もので、そのこと自体には、不満を感じつつも、ある程度の対処の仕方が見えてきます。

 そして、ある程度の対処の仕方が見えてくると、次第に日本ではあたりまえだったことが、必ずしも必要なことばかりではなかったと感じることも出てきます。

 それは、自分自身が生きていく上での価値観とも繋がっていきます。
日本で、あたりまえのことが必ずしも正しいこと、必要なことかどうかは、甚だ疑問であることも実は多いのです。

 日本では、やたらと空気を読むとか、世間の風潮を気にしがちですが、そのことに、とても縛られてしまっているところもあります。本当は、自分はどうしたいのか? 自分自身の価値観、判断基準が見えないことが多いのです。

 生活の違いは、生きる上での価値観の違いとも言えます。
 何に豊かさを求めるかでもあります。

 日本での便利で快適な生活のために、失っているものも少なくないのかもしれません。

 ヨーロッパの人の普段の生活は、質素です。その分、家族で過ごす時間やバカンスに多くを費やし、大切にしています。

 どちらがいいとは、一概には、言えません。

 ただ、広い世界から見れば、日本こそが特異であるとも考えられます。

 少なくとも、どこの国に住んでいても、自分自身の価値観をしっかりと持って、自分はどう生きたいのかを考えなければ、自分の人生を生きることはできないのです。

 海外での生活で、外から日本を見ることによって、自分は、どう生きたいのかを見つめ直すきっかけになるかもしれません。













2019年8月9日金曜日

娘の寝相と寝言




 うちの娘は、小さい時から、寝るのが嫌いで、なかなか寝ない子どもでした。
 昼寝もしたことがありません。

 保育園から、” おたくのお嬢さんは、お昼寝の時間に寝ないで、もう一人の子供と二人で周りの子供を起こして回るので、これからは、お昼寝の時間は、別の部屋にいてもらいます。" と言われたこともありました。

 それでも、夜は、寝室は、きっちり分けるというフランス人の夫のしつけ?で、寝る時間になると、” ボンニュイ " 、" おやすみなさい " と、ふた通りの挨拶をして、自分の部屋に行くことになっていました。

 夏の間は、いつまでも明るいので、シャッターは下ろして、眠れるように、暗くしている自分の部屋に、娘は、後ろめたそうに、仕方なく、入っていくのでした。

 パパは、甘いけど、とても厳しく、怖い存在でもあるのです。

 娘が部屋に入った後は、私と主人が二人で話をしていると、しばらくして、少し時間がたった頃に、娘の部屋から、” そろそろ来て〜!” と声がかかり、私は、彼女の部屋に行き、日本語の絵本を読むのが日課になっていました。

 娘は、なかなか寝ないのですが、寝たら最後、なかなか起きません。
朝、起こすのにもとても、苦労しました。あんなに寝るのを渋ったくせに、起きないとは!?・・と何度、思ったことでしょう。

 また、彼女は、寝相も恐ろしく悪く、ベッドで、寝ている間にベッドの上を半回転しているようで、起きる頃には、必ず、頭と足の方向が逆になっているのです。時計の針のように寝ている間に移動しているのでしょうか?

 ある夜、夜中に、娘の " ギャー!!” という叫び声で、目を覚まして、何事かと思って娘の元に飛んで行ったことがありました。ベッドから落ちたのではないか? 怖い夢を見て悪夢にうなされたのではないか? 心配した私は、娘を揺り起こして聞きました。

 ” どうしたの? 怖い夢でも見たの?” すると、娘は、半べそをかきながら、私に言いました。” パパが、私のステークアッシェ(ひき肉をハンバーグのような形に固めたもの)を食べちゃった!” " すごく美味しいステークアッシェだったのに・・・” と。

 呆れて、返す言葉もありませんでした。

 真夜中に娘のステークアッシェの夢のために、起こされたのです。
なんという、食い意地の張った娘なのでしょうか?

 そして、そのことを翌朝、娘に話すと、彼女は、そんなことは、微塵も覚えていないのでした。

 私は、きっと長生きはしないことでしょう。



2019年8月8日木曜日

チーズとバゲットが好き過ぎるフランス人の夫




 ” フランスには、何千、何万という種類のチーズがあるんだ!" という、夫のセリフはもう耳にタコができるくらい、聞かされていました。そして、毎週のように、違う種類のチーズをいくつか買ってきては、” フランスにいる限りは、少しでもたくさんの種類のチーズを知らなければ・・” と言っては、せっせと、私と娘に試食させるのでした。

 もともと、乳製品が苦手だった娘は、そのせいで、ますますチーズが嫌いになり、主人に言われて、仕方なく、ほんのひとかけらは食べるのですが、結局、そのほとんどは、主人が食べていました。

 私たちにチーズの知識を教えるという大義名分を得て、主人は、ここぞとばかりにチーズを食べていたのです。

 そもそも、最初に主人と出会った頃、初めて、主人が私の家に来た時、カッコよく、ドンペリとバラの花束を持って現れたまでは良かったのですが、いざ、シャンパンを開けるとなって、何か、一緒につまめるものをと思って、冷蔵庫からカマンベールを出したところで、電話が鳴り、私は、ちょっと席を離れたのです。

 電話が終わって、戻ると、なんと、主人はカマンベールをまるで、ハンバーガーを食べるように、丸ごと食いつこうとしていたのです。主人は、チーズを目の前にすると、我を忘れてしまうのです。

 きっと、一人の時には、そうやって、食べていたのでしょう。私がビックリして、目を丸くしていると、主人は、我に返って、カマンベールを切り始めました。

 この、カマンベール丸かじりで、せっかくのドンペリもバラの花束も台無しでした。

 一緒に暮らすようになってからは、さすがに、主人はどんなチーズも切って食べていましたが、その一切れが大きいことといったら、驚きなのです。

 正確にいえば、私は、フランス人というのは、これだけの量のチーズを食べるものだと思ってしまっていたので、彼の友人宅に行ったり、レストランに行って、最後のチーズのデザートを食べている他のフランス人のチーズの一切れとは、えらく違うことがわかり、大変驚いたのであります。

 そして、バゲット。パン。

 バゲットを主人が買ってくるときは、3人家族なのに、一度に2本買ってきます。主人のお好みは、” pas tros cuit (焼きすぎていないもの)" といつも、こだわりの注文。そして、家に帰ってくる時には、もう半分はなくなっているのです。おかげで、いつも、車の中は、パンのクズだらけです。

 そして、日曜日の朝には、クロワッサンやパンオショコラを買ってくるのが、最高の優しさと思っているらしく、彼自ら、”クロワッサン、買ってこようか? パンオショコラ食べたくない?” というので、たまには、お願いせざるを得ない感じになります。

 あとは、彼にとったら、ワインがあれば、もう、いうことはないのです。

 日本食をはじめ、私の作ったものは、何でも美味しい美味しいとテーブルを盛り立ててくれる主人ではありますが、本当は、チーズとバゲットとワインが一番好きな、超フランス人なのであります。