欧州証券市場監督機構(ESMA)はEU(欧州連合)の金融市場を監督する独立機関です。
この機関は、投資家の保護(金融商品や証券市場に関するルールなど)、金融市場の透明性・安定性(市場のリスクを分析し、不正や市場の混乱を防ぐための取組み)の確保、市場の監督(EU加盟国の監督当局と協力し、監督の一貫性をはかる)をするための機関です。
今回、EU(欧州連合)は、この欧州証券市場監督機構(ESMA)の権限を強化することで合意しています。
これは、EU各国に分かれている金融市場の監督を一体化し、欧州企業が資金を調達しやすい競争力のある資本市場を作ることを目的としています。
現在も、EUには、共通の金融市場の規制がありますが、実際の監督は、国ごとの当局が担う部分が大きく、規制の適用や執行の方法にも違いがあります。ESMAの権限を強化することで、主要な市場運営者をEUレベルで直接監督できるため、監督基準のバラつきや企業の負担を減らすことができると期待されています。
また、これは、米国に対抗できる欧州資本市場をつくるためという意味もあります。
現在は、欧州企業、特に成長企業やスタートアップ企業が事業拡大に必要な資金を十分に調達できずに米国等に拠点を移すことが多く、これを欧州に引き戻すため、欧州企業が欧州域内で成長資金を調達しやすくすることを目指しています。
取引所、証券決済機関、清算機関などは、EU全域の金融取引を支える重要インフラです。こうした機関の活動が複数の国にまたがる場合、監督が各国に分かれているとリスクへの対応や情報共有に差が生じる可能性があります。
そこでESMAの監督、権限を拡大し、独立した常勤の執行機関を設けることで監督上の判断を迅速かつ一貫して行うことが狙いなのです。
つまり欧州企業の成長と競争力の向上を図っているわけですが、これには、ドイツの主要な市場運営者などに例外が設けられており、監督の完全な一元化ではありません。
本質的には、金融監督の中央集権化そのものが目的なのではなく、欧州の資金を欧州企業の成長に活用し、米国などに対する欧州の経済の競争力を高めることが目的なのです。
しかし、ドイツの主要な市場運営者などに例外が認められていることなどにもみられるように、所詮は、異なる国が集まっているEUという連合ゆえの難しさがあらわれており、まったく無意味とは言わないまでも、最も主要とも言えるドイツの主要な市場運営者が加わらないということには、なにか、すっきりしないものがあります。
EUは、独立した国家の集まりでありながら、国境を越えた一つの経済圏として機能しようとしていますが、経済面では統合を進めたくもあり、とはいえ、政治面では各国の独立性を維持したいという難しさがあります。
これが、将来的には、どのように作用していくのかは、まだ未知ではありますが、相対的には、対米関係への焦り、対米競争への危機感のようなものを感じます。
欧州証券市場監督機構(ESMA)
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