2024年11月14日木曜日

SNCF(フランス国鉄)・RATP(パリ交通公団)・航空業界・農家 フランスを襲うストライキの波

   今年の秋は、これまでは、比較的、デモやストライキが少ない印象がありました。例年ならば、夏のバカンスが終わって、新年度(9月)の始まりとともにデモやストライキが始まり、やっとバカンスが終わって、ようやく仕事・・ではなく、さっそくストライキ??と思うことも少なくありません。 なんなら、夏休み前に、9月のストライキを予告してから、バカンスに入るようなところもあるのに、今年はパリ・オリンピックがあったり、また、それを前後して解散・総選挙が行われた挙句にいつまでも首相が決まらずに、政府の体制がはっきりしなかったこともあるのかもしれません。 ようやく政府の体制が整い、政府はさっそく来年の予算案を少しずつ発表していったので、自ずと、それに反発する動きが後にズレたのかもしれません。 それにしても、ここ1週間ほどで発表されたストライキの予定は、SNCF(フランス国鉄)、RATP(パリ交通公団)、航空業界(全国路線操縦士組合(SNPL))に加えて、FNSEA(全国農業経営者組合連合会)と青年農業者組合による大規模デモと、広範囲にわたっての混乱が予想されます。 それぞれに理由は別々で、SNCFに関しては、かなり大雑把な言い方をすれば、国鉄民営化の一端であるフレットSNCF(主に貨物輸送)の解体と分社化→民営化に反対するもので、これ(フレットSNCF)が欧州委員会による不法公的援助訴訟の対象になったことも影響していると見て、欧州委員会にも非難の目が向かっています。 SNCFは、これらの措置の一時停止を求めて、11月21日、そして、12月11日からの無期限ストライキに突入すると発表しています。 RATP(パリ交通公団)は、11月11日から13日まで、労働条件やメトロやバスの料金体制変更によるバスへの競争解放を非難することを目的としています。 また、航空業界に関しては、フランス発着の航空便に対する連帯税を3倍にする政府案に反対して、全国路線操縦士組合(SNPL)・パイロットが11月14日のストライキを呼び掛けています。 これは、赤字財政を埋めるために政府が提案している増税案で、政府はこれにより10億ユーロの追加収入を見込んでいます。 そして、最後(ではないかもしれないが・・)に、この波に加わるのは、FNSEA(全国農業経営者組合連合会)と青年農業組合が11月15日または19日からの大規模な動員計画を発表しています。 今年の初め、国際農業見本市を一つのターゲットにした農民たちによる高速道路封鎖などの抗議活動ですが、この結果、政府からは、改善案やいくつかの約束をとりつけたものの、事態は一向に好転しないうえに、気候変動による水害などの被害も甚大で、国からの保証付き融資の拡大や、EUメルコスール(南米南部共同市場)自由貿易協定は、フランスの農業にとっては、マイナスであると反対の意を訴えています。 いずれにしても、このストライキの予定を見れば、11月は、11日から15日まで連日、なかでも、農民の抗議行動は、11月15日あるいは19日にスタートするということで、1日2日で終わる話ではありません。これはブラジルで行われるG20サミットを一つの照準にしていると言われています。 また、SNCFに至っては、12月11日からは無期限ストライキという強硬な態度・・これが長引けば、今度はノエル時期の大移動の時期に重なる危険性もあり、大混乱が予想されます。 ここ数日、急激に冷え込んできたパリですが、年末にかけては、熱気が高まりそうな気配です。ストライキ フランス<関連記事>「農民たちの怒りが巻き起こす波紋」「農民たちの怒りにマクロン大統領が再び火をつけた」「サロン・ド・アグリカルチャー(国際農業見本市)の開催初日は大混乱 歴史的見本市」「フランス政府 航空券にかかる連帯税(TSBA)の大幅な引き上げ検討」「2025年1月...

2024年11月13日水曜日

クロノポストからの詐欺メール

   先日、クロノポストから、「荷物の配達のために確認作業が必用です」という内容のメールが送られてきて、一瞬、「えっ?誰か何か?送ってくれたの?」と一瞬、ニッコリしたものの、いやいや・・誰か何か送ってくれたら、必ず先に、「送ったよ~~!」と連絡くれるはず・・。 そして、落ち着いて、その画面を見直すと、クロノポストのマークがついていて、クロノポストの配達車の写真が載っていたりするものの、添付されている書類?など、なにかと、画面には、「ここをクリックしてください!(確認されない荷物は配達できません・・)」とか、荷物ナンバーとして、14ケタの数字が並んでいて、その横に「追跡」となっていて、やたらとクリックを促すようになっています。 これは、もしかしたら、ヤバいやつなのかも・・?と思って、そのメールのリンクをそのままコピーしてググってみたら、なんと・・というか、やっぱり詐欺・・「Arnaque」と出てきました。 危ういところで、「セーフ!」となったわけですが、これはよくある、パスワード、個人データ、銀行口座情報、オンライン...

2024年11月12日火曜日

ミシュランのフランス国内2つの工場閉鎖計画が呼ぶ波紋

   フランスの多国籍タイヤ製造企業「ミシュラン」は、トラックとバン用のタイヤ販売の業績不振のため、フランス国内にある2ヶ所の工場での操業を2026年の初めまでに段階的に停止し、閉鎖することを発表しました。 閉鎖される2ヶ所の工場は、ショーレ(メーヌ・エ・ロワール)とヴァンヌ(モルビアン)にある主にドイツ向けのタイヤ拠点で、50年以上、この地域に根付いていた工場の従業員1,254人の雇用が失われることを意味しています。 これに対して、同工場の労働組合は、一斉に決起し、これを残忍かつ一方的な決定であると大反発、この工場の閉鎖が発表されて以来、デモやストライキを継続しています。 このミ...

2024年11月11日月曜日

友だちと旅行に行くのも色々、難しい・・

   最近は、日本に一時帰国をする際には、必ず、日本国内をできるだけ旅行したいと思って、予定を組むようにしていますが、これが、なかなか簡単ではありません。 そもそも、私がまだ日本に住んでいた頃は、私もまだ若く、どちらかというと、海外旅行ばかりに目が向いていて、国内は、実家の山小屋がある場所や箱根やせいぜい伊豆程度で、あまり日本国内を旅行していませんでした。 あの頃は、むしろ、安いチケットなどを探せば海外旅行の方がなんだか割安感があったし、むしろ、国内旅行の方が割高な気がしていて、国内旅行は、もっと歳をとって、海外旅行がしんどくなったときにしよう・・と思っていました。 もうすでに、場...

2024年11月10日日曜日

パリのメトロであわやの救出劇

   約2週間ほどまえのこと、パリのメトロ8号線のラ・モット・ピケ・グルネル駅で年配の男性がバッグを背中に背負いなおそうとして、バランスを崩したのか、線路に転落するという事故が起こりました。 パリ市内のメトロは路線にもよりますが、平日は、だいたい3~4分に1本の割合で電車がやってくるので、もしも、この時間帯に線路に転落したりした場合、そのタイミングにもよるとは思いますが、かなり急いでホームに這い上がらなければ、次の電車が入ってきてしまう可能性が高く、非常に危険です。 パリのメトロのホームは、路線によっては、線路とホームの間に落下防止のためのガードの壁が取り付けられている路線もありますが、そうでない路線もけっこうあり、この8号線などは、恐らく、どこの駅にもガードはありません。 にもかかわらず、ホームには、駅員はおらず、このような事故が起こった場合は、考えてみれば、RATP(パリ交通公団)は、どう対処するつもりでいるのだろうか?と思います。 今回の事故では、男性が線路に転落して、すぐに近くにいた女性らが叫び声をあげて、すぐに人だかりができたとのことで、その中をたまたま居合わせた男性2人が即座に線路に飛び降りて、落ちたまま呆然としていた年配の男性をホームに持ち上げると、ホームにいた周囲の人々が救急隊を呼び、この救世主の男性2人は、ふたたび群衆の中に消えていったと言われています。 ホームに転落した男性は、頭部外傷と脊髄損傷を負い、その後、パリ市内のジョルジュ・ポンピドゥー病院に搬送され、数日前に再び歩けるまでに回復したと言います。 この応急処置をした医師は、いつ次の電車が来るともわからない線路に飛び降りて、負傷した年配の男性をリスクを冒してまで救いながら、さりげなく群衆の中に消えていった2人の男性の行為を称賛しており、また、救われた男性も心からお礼を言いたいと、その2人を探しているそうです。 私は、ここまでの救出劇には遭遇したことはありませんが、本当にフランス人は、このような時、本当に困っている人に対して、とても親切でさりげなく手をかしてくれます。 バギーで赤ちゃん連れの人などが、階段の前などにいたりすれば、どこからとなく、男性があらわれて、何も言わずに、手を貸してくれ、バギーを持ち上げてくれ、また、振り返りもせずに、あたりまえのように群衆の中に消えていくのです。かっこいいではありませんか? しかし、このニュースが流れるまでは、知りませんでしたが、メトロの線路のレールは、750ボルトで通電されているそうで、線路に落ちるということは、落下するというだけでなく、別の面でもとても危険なことなのだそうです。 RATPは、線路上に人が落下した場合は、それを見つけた人は、全てのプラットフォームにある緊急端末に向かい、黄色いアラーム信号でRATPエージェントに連絡する必要があり、緊急用ハンドルで線路の電力を遮断することができるようになっているそうです。 パリのメトロは治安は悪い反面、窮地に立たされている人に対しては、とっても優しい人がどこからとなく、表れて、あたりまえのように助けてくれるところは、フランス人の優しさで、いつもすごいな・・と思います。メトロ8号線 線路転落者救出劇<関連記事>「パリのメトロ6号線でコートがドアに挟まって死亡事故」「RER...

2024年11月9日土曜日

ワクチン接種の季節

   少し前までは、インフルエンザなどのワクチン接種のお知らせなどが来ても、私は、ほとんど無視したままで、長いこと、ワクチン接種はしていませんでした。 そんな私がワクチン接種をするようになったのは、パンデミック以来のことで、当初、新型コロナウィルスのワクチンができた!となっても、まだ、開発されたばかりのものだし、その副作用や効用をどこまで信用していいものか?とコロナウィルスのワクチンも、しばらくは、どうしたものか?決めかねていました。 しかし、長い間、おさまらなかったコロナウィルスの流行とこの病気にかかって悪化する恐怖の方がだんだん勝ってきて、しかも、途中からは、ほぼ、事実上の義務化のような状態になり、ワクチンをしていないと、極端に行動制限をされるようになった時期もあったので、その後は、もう大人しく従って、あっさりとワクチン接種を受けることにしました。 また、それまでは全く無視していたインフルエンザの予防接種に関しても、インフルエンザに罹ったうえに、コロナウィルスにまで感染したら、さぞかし辛いことになりそうだ・・という恐怖から、ここ数年は、毎年、インフルエンザの予防接種も受けています。 私の受けた医療の履歴は、私が医者に通ったり、薬を処方してもらった際には、すべて記録が保険のカードに蓄積されているためだと思いますが、私は、軽い心臓疾患もあったりするためか、虚弱な人々のグループに分類されているらしく、この手のお知らせ(ワクチン接種など)や、通知などが、メールなどでもやってきて、今回のワクチン接種に関しては、ご丁寧にバウチャーのようなものが送られてきています。 私は、今年からは、インフルエンザとコロナウィルスの混合ワクチンのようなものになると完全に勘違いしていて、一応、他の診察の際にかかりつけのお医者さんに、これ?どうしよう?と相談してみたら、(このバウチャーが届いたのは、9月半ば頃でした)10月半ばには、ワクチンが出回りだすから、その頃にやった方がいいんじゃない?と言われていて、つい先日、バウチャーを持って、薬局に行ったのです。 勝手に混合ワクチンだと思い込んでいた私は、ワクチンを受け取って、翌日にお医者さんの予約を入れました。 混合ワクチンってどんな感じ?と思って、箱をまじまじと見てみたら、どうやら、それは、インフルエンザのワクチンのようで、薬局に戻って、コロナウィルスのワクチンは入っていないの?と言ったら、それは、来週以降にしか入らない・・というので、そのまま、とりあえず、インフルエンザのワクチン接種だけしてもらいにお医者さんに行きました。 ちょうど、ふだん常用している薬も切れるタイミングだったので、ワクチン接種と一緒に薬の処方箋ももらってきたのですが、コロナウィルスワクチンは、私がやるから・・でも、インフルエンザワクチンとは一緒にはしない方がいいから、それは来週にしましょうと言われて、来週の予約を入れて、帰ってきました。 インフルエンザとコロナウィルスの混合ワクチンができたのかと思っていました・・と言ったら、将来的にはできるかもしれないけど、今のところは、まだよ・・コロナウィルスのワクチンに関しては、未だにどんどん変異種が出ているから、新しい変異種に対応したものになっているはず・・とのことで、そんなに簡単な話ではないようです。 インフルエンザのワクチンにしても、コロナウィルスのワクチンにしても、そのあと、だるくなったり、ちょっと熱っぽかったりすることもあるのですが、しないで、罹って、悪化した場合のことを考えれば、もう虚弱な人というカテゴリーに入れられているなら、それを素直に受け入れることにして、やっぱりやっておこうと気弱になっている自分を感じないでもありませんが、妙に強がっても仕方ないので、素直に従おうと思います。 最近は、YouTubeなどを見ていても、テレビででも、「インフルエンザとコロナウィルスのワクチン接種をしましょう!」というコマーシャルが入ることもあるので、国は、このワクチンキャンペーンにずいぶんと力を入れているんだな・・と感心?しています。 考えてみれば、以前に比べて、医者にかかる割合がグッと増えている私・・もうだんだん高齢者なみに医者通いが増えてる・・と自分でも思うのですから、虚弱な人の括りに入れられるのも仕方ないかもしれません。インフルエンザワクチン接種<関連記事>「フランス発...

2024年11月8日金曜日

フランス人はトランプ大統領の当選をどう受け止めているか?

   アメリカの大統領選挙に際しては、フランスでも大々的に取り扱われ、報道各局もメイン級のジャーナリストが現地入りして、アメリカ大統領選の盛り上がりや成り行きを現地から報道するほどでした。 両候補ともに接戦で、一時は結果が出るのはいつになるかかわからない・・などと言われつつ、案外、あっさりとトランプ大統領が当選が決まりました。 このトランプ大統領が選出されたことに対して、フランス人はどのような印象を持っているのか? BFMTVの世論調査によると、質問を受けた「フランス人の79%がアメリカの新大統領に対して悪いイメージを持っている」と答えています。 不人気度は高いけれども、2016年のトランプ氏の初当選の際に比べると、これでも少しは減少しているらしく、当時は、83%が悪いイメージを抱いていると答えていたそうです。 今回のアンケートの詳細は、51%が「非常に悪いイメージ」を持っており、28%が「かなり悪いイメージ」を持っていると回答したということで、これを合計して79%という数字になっているようです。したがって、トランプ氏に対して良いイメージを持っているのは質問対象者の21%のみということになります。 調査対象となったフランス人の62%がトランプ大統領の大統領就任に懸念を抱いていますが、この懸念材料の一番、大きなところは、「気候問題・環境問題」であるとしています。これは、2017年6月に米国がパリ協定から離脱したことに起因していると思われ、アメリカ大統領選挙の結果は気候変動との戦いにとって悪いことだと考えているようで、いずれにせよ、トランプ大統領の当選はアメリカとヨーロッパの関係において、また、ロシア・ウクライナ戦争の解決、中東の紛争の解決にとっても、良いニュースではないと考えている人が多いようです。 このフランス国民の世論を最も象徴的に表しているのがトランプ大統領当選以来のマクロン大統領の言動であるとも言えます。 トランプ大統領当選の報が流れてすぐに、マクロン大統領は、祝辞のメッセージをXに投稿して公表し、ほぼ、その直後にドイツのショルツ首相と電話会談し、ヨーロッパの連携について、連帯の意思を確認したとポストしています。 そして、その翌日、マクロン大統領は、ブダペストでの欧州首脳会議の開会時に、「これは我々欧州人にとって決定的な歴史の瞬間だ!今こそ、我々が行動し、国益と欧州の利益を同時に守り、我々の主権と戦略的自治を信じることを決意する時だ!」と宣言しています。 また、「世界は草食動物と肉食動物で構成されている。もし我々が草食動物であり続けると決めれば、肉食動物が勝ち、我々は肉食動物の市場であり続けるだろう。」...