2024年7月17日水曜日

パリ東駅でのナイフによる兵士襲撃事件

  


 オリンピックを目前に控えて、パリ市内及び近郊周辺には、日に日に警察官や憲兵隊の姿が増えている気がします。だいたい、パリでの警察官や憲兵隊の警備は、4~5人で固まって行動していることが多いので、彼らの持っている武器や装備を含めて、かなり威圧感があり、物々しい気配を漂わせています。

 街中でさえも、そういった警察官が増えているので、大きな駅などの人の往来が激しい場所だと、閉鎖空間であることもあり、さらに警戒は厳しくなっているようです。

 先日、パリ東駅で警戒にあたっていた憲兵隊の兵士がナイフを持った男に刺されるという事件が起こり、この厳重な警戒体制にもかかわらず、またオリンピック目前に起こってしまった事件として、大騒動になっています。

 この東駅にいた憲兵隊の兵士たちは、サンチネル作戦と呼ばれるテロ対策を目的とした警備隊で、警察関係者によれば、容疑者は自分はクリスチャンだと主張しており、襲撃時には、「神は偉大だ!」と叫んだとされており、「軍が自国で人々を殺害しているため行動した」と主張していると伝えられています。

 つまり、彼の主張によれば、少なくとも、彼は無差別に人を狙ったわけではなく、軍に対しての制裁を加えようとしたということになります。

 しかし、この男、すでに2018年にパリ市内 RERのシャトレ・レ・アール駅で殺人事件を起こしていましたが、精神疾患のため刑事的に無責任であるとされ、当時は、その時点で精神科に入院、治療を行っていたとされていました。

 精神疾患のために刑事責任に問われないということはともかくとして、殺人事件まで犯してしまう危険な人物であるということには変わりなく、その時点から6年が経過しているとはいえ、その危険人物が結果的に野放しにされていたということには、どうにも承服しかねないところがあります。

 今回も東駅で一人の兵士を刺した後、容疑者はすぐに同行していた他の兵士たちにとり抑えられ、逮捕されていますが、即刻、彼の身元が割れ、過去、殺人事件を起こしていた精神疾患を抱える人物であったことが判明し、すぐに精神科に入院しています。

 これが一般市民ではなく、緊急時に身の処し方を心得ている兵士であったことは不幸中の幸いで、大事には至らず、命の危険はないとのことですが、やはり、そのような危険人物が少なからず野放しになっているということは恐ろしいことです。

 今回の事件では、精神疾患のために殺人事件を起こしていた容疑者がなぜ、入院とはいわないまでも、責任のある監督下におかれておらずに、再び凶悪な事件を起こすに至ったのか? このような人物の医療体制における管理問題や、このような判例に対する管理責任問題が問われています。

 オリンピックの警戒のために、フランスには、欧州31カ国を含む約40のパートナー国から集まった合計1,800人近くの外国からの警察官が警備に加わり、オリンピック競技大会警備国家調整(CNSJ)の監督の下、フランス指令の4万5千人の部隊を支援すると言われています。

 彼らの大部分は鉄道駅、空港、そして39のオリンピック会場やスポーツイベントの周辺に配備される予定ということなので、何もパリだけに4万5千人の警察官が集結するわけではないにせよ、狭いパリ市内、いつもにも増して、相当数の警察官が溢れることになると思われます。

 それにしても、このようなナイフによる襲撃事件は、駅とか空港とかで定期的?に起こるようなのですが、容疑者たちは、より警備が厳しいこのような場所をなぜ選ぶのでしょうか?


パリ東駅 ナイフ襲撃事件


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2024年7月16日火曜日

オリンピックが始まる前からすでに渋滞 PARIS 2024 オリンピック関係者専用レーン

  


 オリンピックを目前に控えているとはいえ、まだオリンピックは始まっていないのに、パリ及び、パリ周辺の道路は渋滞が始まっています。

 少しまえから見かけるようになった環状道路や高速道路上の「PARIS 2024」の表示に、これ?どうなるんだろうか? どういう意味なんだろうか?と思っていたら、7月15日から、この表示のあるレーンは、オリンピックのための特別車両専用のレーンになったようで、当然、一般車両は、このレーンを使うことができなくなったために、オリンピック前からすでに渋滞が起こっていると言います。

 ちなみにこの「PARIS 2024」オリンピック専用レーンは、スポーツ選手、認定ジャーナリスト、公式代表団、緊急車両、警備車両、タクシー、救急車、公共交通機関の輸送に認定された車両のみが通行することになります。

 そもそも、空港からパリに入ってくるような、これらの道路等は、何もない状態であっても、ほぼほぼ、いつもどこかで渋滞にぶつかるわけで、それが1レーンが使えなくなっているとすれば、すぐに渋滞になることは、目に見えています。

 この規制は、オリンピック期間が終了するまで続き、周辺道路 約185㎞が該当します。おかしなことに、これにVTC(タクシーとは区別されている運転手付きの移動車両・日本でいうハイヤーのような位置づけ)が入っていないことに、VTCのドライバーたちは、憤っています。

 利用者側もむしろ、タクシーよりもハイレベルのサービスや快適さを期待しつつ、予約するわけですから、VTCを予約したばかりに渋滞に巻き込まれるという皮肉なことになり、予約が減少するのは、目に見えていると嘆いています。

 ちなみにVTCの場合は、事前に金額が設定されており、諸経費がすべて含まれており、また一般的に車も高級車であることが多く、サービスもドリンクがついたり、ネット環境が整っていたり、ハイレベルのサービスであると同時に値段も高く設定されています。

 ただでえさえ、オリンピックなど、付き合いきれないとパリを脱出するタクシーの運転手が続出していると予想されていたのに、ますます、この渋滞問題は複雑になりそうです。

 本来ならば、この際、荷物だけを送って自分は公共交通機関で移動するというくらいが、この時期、一番スムーズに空港からパリ市内に入る最適な方法かとも思いますが、残念ながら、空港から荷物だけ別送するというサービスをパリでは聞いたことがないし、あったところで、これはまた別にその荷物が無事に到着するかどうかで気を揉みそうです。

 このオリンピック専用ルートを無許可で走行している車両が摘発された場合、135ユーロの罰金が課せられます。また、当然のことながら、監視カメラが休みなく稼働しているため、その時は無事に通過できたとしても、後で罰金の請求が来る可能性もあると言われています。

 しかし、一時は、オリンピック関係車両以外は通行止めになるという話もあったので、それに比べれば、まだマシかもしれませんが、とりあえず、この時期、パリに来られる方は、VTC車両の使用には、気を付けた方がよいかもしれません。


PARIS 2024 オリンピック専用レーン 渋滞


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2024年7月15日月曜日

いつもと違うパリ祭からのオリンピックへの一日

  


 フランス人ではない私ですが、パリ祭のパレードは毎年、けっこう楽しみにしています。とはいえ、実際にシャンゼリゼまで見に行くわけではなく、テレビを見ながら、家の窓から見えるトリコロールの噴煙や飛び去って行く飛行機などをテレビやネットと同時に見ながら、喜んでいるだけなのですが、何回、見ても感動します。

 この種のパレードらしきものを他にあまり知らないということもあるのですが、自分がたまに歩くことのあるシャンゼリゼであんな大規模な美しいパレードが行われているのかと思うとなんかワクワクするという、単なる野次馬というかミーハーな楽しみです。

 今年のパレードはコンコルド広場がオリンピックの競技会場に使われるためのスペースになってしまっているので、シャンゼリゼが使えずにアヴェニュー・フォッシュで行われました。

 数日前にこのパレードの受け皿とでもいうべく客席のようなものを工事しているところを見たばかり、全体的には、シャンゼリゼのパレードよりは若干、縮小されている感じで、この観客席からは、凱旋門が正面にはならずに、若干斜めに見える感じになります。

 この通りも充分に美しい通りではあるのですが、やはり、正直、シャンゼリゼのような圧巻な感じに欠ける気がしました。しかし、今回のパリ祭のパレードはもう目前に迫っているパリオリンピックとの融合を目指すと言われてきたので、どんなふうになるのかが見ものだと思っていました。





 パレードの終盤、パリ祭のパレードのハイライトと言われる騎馬隊が表れたと思ったら、そのあとに聖火を持った騎士が表れたと同時にオリンピックカラーのスポーツウエアを着た人々が入場し、五輪の人文字を描きました。




 パレード自体はこのあたりで終わりなのですが、実にここから、この聖火リレーはまだまだ続き、この日は、グランパレ、リュクサンブール公園、オランピア、ヴァンドーム広場、ルーブル美術館、ポンピドーセンター、パリ市庁舎までを悠々と廻っていきました。

 特にルーブル美術館の中を悠々と歩き、時にはオペラ座のダンサーが聖火を受け取り、著名な絵画の前を聖火を持ちつつ優雅に踊りながら進むというなんとも芸術性の高い聖火リレー、それらを「どうだ!」と言わんばかりの(いや、言っていた・・)解説付きで放映していくのですから、フランス人の美意識の高さと誇りを見せつけられている感じがしました。

 この日の聖火リレーの最終ポイントとなっているパリ市庁舎前では、夕刻からオペラなどのコンサートを開催しており、パリ祭とオリンピックというお祭りを一気に盛り上げる感じが満々です。

 一方、この晴れやかなお祭りのときに、落とすようで何なんですが、パリ祭の日には、あちこちで花火があがるとともに、車が燃やされたりもするパリでもあります。今年は、すでにオリンピックの警戒がかなり厳しくなっているので、そのようなことが起こりにくいとは思いますが、最悪の場合は、オリンピックのために準備している施設などが危険な目に遭う危険もないとは言えません。

 先週あたりは、むしろ、パリがちょっと空いてきた?とも感じることもあったのですが、こうしてお祭り騒ぎになってくると人がちゃんと集まってきて盛り上がっているので、パリ祭からオリンピックが終わるまで、何ごともなく、無事に楽しく過ごせるといいなと思っています。


パリ祭2024 オリンピック聖火リレー


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2024年7月14日日曜日

パリのスーパーマーケットで拡大し始めた日本みたいなお弁当

  


 日常の食料品の買い物は、大方、近所のスーパーマーケットで済ませてしまうことが多いのですが、私の場合は、一番近いというだけでカーフールに行くことが一番多いです。

 でも、食品によっては、これは、あそこのがいいとか、そんなものもバラバラとあるので、他のスーパーマーケットに行くこともあります。パリ市内だとおそらく一番ポピュラーなのは、MONOPRIX(モノプリ)なのですすが、このモノプリも場所によってはおいてある商品が違ったり、値段も違うので、あまり行かない地域に寄ったりしたときは、一応覗いてみると、意外な発見もあったりするので、こまめに覗いてみるようにしています。

 モノプリとは別に、先日、出かけた先に、新しめの Intermarche(インターマルシェ)ができていて、ちょっと入ってみたら、ほぼ、テイクアウトの食品が中心のお店で平たく言えば、日本のコンビニにもちょっと似た感じでビックリしました。

 その近辺には新しいオフィスビルもできていたりするため、そこで働く人々のランチ用のお客さんがターゲットなのかな?とも思いましたが、そのランチ用のテイクアウトのランチボックスの種類がけっこう豊富なうえに、そのランチボックスの中身が「えっ?ここパリだよね?」と思ってしまうほど、日本のお弁当に近い「ご飯とおかず」みたいなラインナップが多いことにビックリしたのです。

 日本食ブームで一番、先にパリ?に広まったのは、やっぱり「SUSHI」で、少々、日本のお寿司とは違うフレーバー?のものも多いのですが、今やどこのスーパーでもお寿司を置いていないお店はないくらいになりました。

 しかし、ここ最近、それがまた一段階ステップアップした感じで、まるで日本のお弁当?みたいなものを置いているスーパーが増え始めています。

 先日、出先でたまたま、モノプリを通りかかったら、まあ、見事なお弁当の勢ぞろいでさらにビックリしました。そのモノプリ(パリ中心部)は、地上階は、ほぼテイクアウトの食品になっていて、サンドイッチなどよりも、むしろ、お寿司、ポケボウル、トンカツ弁当のようなものや焼きそば弁当のようなもの、サラダ、パスタなどなどの方が多くて、でも、そこはフランスらしく、やっぱりヴィエノワズリーやデザート用のちょっと小さめなケーキなどなどがよりどりみどりな感じでちょっと興奮しました。

 むしろ、日常の食料品売り場は地下になっていて、場所柄というものもあるのでしょうが、このテイクアウトのランチボックスのスペースの拡大は目を見張るものがあります。

 ちょっと前、といっても、5~6年まえくらいでしょうか? フランスに「BENTO」ブームというものがやってきて、パリにもお弁当屋さんというものが増えたり、やたらと「BENTO BOX」とかいって、お弁当箱がやたらと売れるようになったり、ランチは、自分で家からランチボックスに入れて持ってくる・・という人も増えました。

 日本から上陸した「BENTO BOX」は、そのうち、カタチを変えて、フランス人使用のもっと大きなサイズ(フランス人が家で作ったパスタやサラダなどをざっくり入れてくるため大きなものが必用)で、それにフォークやナイフやスプーンがついているものが出回るようになりました。

 それが、ここに来て、スーパーで日本みたいなお弁当の進出・拡大にパリのランチ事情が変化している気がするのです。


パリのスーパーで買える日本みたいなお弁当


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2024年7月13日土曜日

6歳少女誘拐事件とフランスの誘拐警報システム



 セーヌ・マリティーム県(ノルマンディー地域圏)で6歳の少女が姿を消し、母親が警察に通報。事情を説明している、母親によれば、少女はおそらく彼女の元パートナーに誘拐されたであろうと証言していることから、警察はこれは恐らく母親の元パートナーによる誘拐事件である可能性が高いと判断し、捜査を開始、当日、午後6時からは、約100人の憲兵が動員され、機動憲兵や数名の犬隊も出動して捜索にあたっています。

 この警察・憲兵隊の捜索活動に加えて、内務省は、セーヌ・マリティーム川で誘拐された可能性のある6歳児に対し、「誘拐警報システム」が作動したと発表しました。

 警告状には、「セリア、06歳、ヨーロッパ型、ミディアムレングスのダークブラウンの髪、茶色の目、身長1.10メートルの黒いユニコーンドレスを着て、直前の2024年7月12日にサン・マルタン・ド・リフ(76190)の自宅から姿を消した。午後 6 時」と表示されています。

 この「誘拐警報システム」というものは、米国とカナダの AMBER 警報モデルに基づいて、2006 年 2 月にフランスで設立されたシステムで、未成年者の誘拐が判明した場合に、複数のチャンネルで警報をブロードキャストすることができます。

 これは、法務省と主要メディア、大手旅客輸送会社、高速道路会社、港湾、空港、被害者団体との間で締結された協定に基づくものになっています。

 このシステムは、捜査官との協議、控訴裁判所の検察官および法務省刑事・恩赦局からの情報を経て、検察官の決定によって発動されるというなかなかのハードルがあり、時間がかかりそうでもありますが、事件の性質上、緊急性が必須とされるために、通報から3時間以内という一応の規定があるようです。
 
 警報は、司法警察の中央指示、国家憲兵隊、または警察本部によって開始され、警察本部は警報メッセージをさまざまなメディアや公共スペースに送信することになるわけですが、母親の通報、警察・憲兵隊の捜査開始を午後6時とされているので、この情報が流れ始めたのが午後9時過ぎだったので、この規定の3時間以内という規定には、だいたい当てはまっているものだったように思います。

 また、この少女を連れ去ったと見られている母親の元パートナーは、「42歳、1.80メートル、非常にやせた体格、茶色の髪、青い目、ネイビーブルーのゴルフ登録番号7189 WM 76で移動中の男性」と示されています。

 詳細な真実はわかりませんが、彼女の母親によると、彼女はこの元パートナーに刺されて、家を飛び出して、彼から逃げたと説明しており、その後、憲兵隊が現場(彼女の自宅)に到着した時には、事件現場(刺傷事件の現場)にいたはずの6歳の娘が姿を消しており、彼女の元パートナーの男が少女を連れて立ち去ったとみられています。この男は少女の父親ではないということです。

 憲兵隊はセーヌ=マリティーム県内だけでなく、隣接する県にも大規模なネットワークを展開し、県外へのルートを遮断していますが、この3時間以内に彼がどこまで逃げたのか?は不明です。

 いずれにせよ、彼女の証言が真実であるならば、時々、耳にする元パートナーによるDVの狂暴化したケースではありますが、少々、訝しく感じるのは、そのような危険な男のもとに、6歳の娘を置き去りにするものだろうか?という点です。

 幸いにも、私はそのような目にあったことがないので、自分が刺される恐怖というものを体験したことがないので、当人にしかわからないのかもしれませんが、そのような危険な状況に娘を置いてきてしまう・・というのは、ちょっと理解できない気もするのです。

 いずれにせよ、この男が非常に危険な人物であることは、間違いなさそうで、「少女は潜在的に危険にさらされている」と説明しており、誘拐警報では、「子供を見つけたら、介入せず、すぐに 0 800 36 32 68 に電話するか、電子メールを送信してください。alert-enlevement@gendarmerie.interieur.gouv.fr」と呼びかけています。

 夏休みが始まったばかりのこの時期に、こんな危険な目に遭ってしまっている少女がどうか無事で見つかってくれることを祈るばかりです。


フランスの誘拐警報システム


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2024年7月12日金曜日

未だ逃走中のインターポールの赤通知も出ている凶悪犯の目撃情報募集

  



 どんな凶悪事件も時間の経過とともに風化してしまうものではありますが、この事件がたった2ヶ月前だったことに、もはや逆に驚いているくらいでもあります。個人的にはもっと昔のことのような気もするのです。

 ノルマンディーにあるルーアンの南にある高速道路のアンカービル料金所で護送車が襲撃され、刑務官2人死亡、3人重症者を出し、そのまま逃走した囚人モハメド・アムラはフランス国内の手配に留まらず、インターポールの赤通知のトップにのせられるほどの大きな指名手配者となりました。

 世間的に騒いでいたのは、このインターポールの赤通知が出た段階頃のことで、今回の目撃情報を募るという報道が再浮上した段階で、「えっ?まだ捕まっていなかったの?」と思ったくらいでしたが、実際に、未だ逮捕されてはいないようです。

 法務相をはじめとして、事件後比較的すぐの段階では、「捜査は順調に進んでいる」とのことだったのですが、その後に出てきた情報は、彼らは護送車からの逃走に少なくとも2回、車を乗り換えており、その2回の移動段階に使用された車は、その後、放火されており、その後の足取りはつかめていません(少なくとも公表されてはいない)。

 残念ながら、彼らの足取りや手口が少しずつ解明されていく中で、この逃走劇は極めて綿密に計画されていたもので、また、この逃走したモハメド・アムラが司法側が認知していた以上にいわゆる麻薬密売などの組織の中で大きな存在であり、巨大なチカラを持っている人物であったことがわかっています。

 警察側は、2ヶ月経った今、彼らが逃走に使用した車種を公表し、目撃情報を募っています。彼らが逃走に使用し、その後、放火され焼失した車は、黒のプジョー 5008 登録 EY-134-FY、白の AUDI S5 登録 CZ-328-HK と、 BMWブラックシリーズ4登録ED-398-RHであり、これが放火されたのは、ウエットヴィル (am11:20頃)、続いてゴーヴィル・ラ・カンパーニュ(am 11:50頃)であり、これらの車やこの車の周辺にいた人物の目撃情報を募り始めました。

 事件発生後、2ヶ月以上が経過した現在、彼らが逃走中である事実から、彼らはもう国外に逃亡していることも充分に考えられるためにインターポールへの要請まで出ているのですが、もちろん、主な目撃情報があれば、もうとっくに寄せられているであろうけれども、具体的な車種を公表するのが2ヶ月後というのもどうにも遅すぎます。

 事件の痕跡と記憶は時間の経過とともに消えていくなか、なにを今頃言っているのか?と思ってしまいます。

 そもそも、公に明らかになっているのは、モハメド・アムラ氏の独房には、何台もの携帯電話があり、外の世界とのアクセスを自由に行っており、彼は刑務所にいながら、麻薬密売を管理し、誘拐を組織し、刑務所からの武器購入の交渉を行っっていたということで、彼は、大変な危険人物であったにもかかわらず、司法側・刑務所管理者はまったく、この事実を把握していなかったという事実にも全く情けないとしかいいようがありません(警察が)。

 彼は麻薬密売組織の元締めのような存在でもあり、それに付随して武器・銃器の売買も自由に行い、最終的には、刑務所からの逃走を手配し、殺人を指示することもできる大悪党だったわけです。

 フランスでは、日本のように簡単な窃盗などで刑務所に収監されるということはなく、刑務所に入る時点でかなりの凶悪犯罪を起こしていることには、間違いないのですが、刑務所は刑務所で、その犯罪者にも慣れ過ぎていて、ずいぶん扱いが雑なうえに、囚人でさえも、すぐに人権問題などになるために、どこまで、適切に囚人が管理されているのかを疑問に感じるところでもあります。

 また、これだけ彼の凶悪ぶり、地下組織で大きな力を持つ存在であることが、公になってから、目撃情報を募っても、例えば、目撃情報を通告するのにも、彼らの組織の報復を恐れてしまうということもあり得てしまうのではないか?と思わずにはいられません。

 結果的に、彼が逮捕されるかどうかは、わかりませんが、彼の逮捕から逃走までの状況を見る限り、一貫して、彼らの方が警察よりも、ずっと上手(うわて)であった気がしてなりません。


モハメド・アムラ囚人逃走劇 目撃情報募集


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2024年7月11日木曜日

沈黙を破ったマクロン大統領が国民に向けて発表した手紙が波紋を呼ぶ

  


 選挙終了後、マクロン大統領の対応については、エリゼ宮を通して「国の安定をはかるため、現首相のガブリエル・アタル氏の辞表は受け取らず、当面の間、留任を依頼したこと」が伝えられていました。

 しかし、とりあえずは、次期首相が任命されるまで留任とはいうものの、事実上、空席のようなものでもあります。大きなイベントを前に混乱を避けたいのはわかりますが、あるべきものがないままの不安定な情勢は、それがおさまるまでは、「一体、どうなるんだろうか?」という議論が延々と続くことになります。

 そんな中、現在、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議出席のためにワシントンに滞在中のマクロン大統領は、フランスブルー及び、いくつかの地方紙を通じて、フランス国民に対しての書簡を発表し、それがまた大きな波紋を呼んでいます。

 マクロン大統領の手紙の内容は、第一に「どの政党も過半数に達していないため、誰も勝っていない」ということと、そのために、今後、「強固な多数派を構築するための対話が必用である」と国民に向けて訴えかけ、それが構築され、首相を任命するまでには、今しばらく時間が必用である」というような内容です。

 この中には、可能な限り最大の制度的安定を保証しなければならないため、また、国の主要な原則、明確で共有された共和主義的価値観、実用的で読みやすいプロジェクトを中心に構築され、選挙時に表明した懸念を考慮に入れなければならない・・と説明も加えて、薄めて?ありますが、一番、国民がこの手紙に反応しているのは、「マクロン大統領は、選挙の結果を受け入れていない」ということです。

 過半数には達していないとはいえ、一番、議席を獲得したのは、左派連合が勝ったのです。

 「フランス人が投票で選んだこと、つまり共和党戦線、政治勢力は自らの行動を通じてそれを現実にしなければならない」とも書いているのですが、どうにもすんなりと納得いかない内容でもあります。

 そもそも、誰も頼んでいなかった選挙を強行したのは、彼自身。その結果がたとえ、多数派が存在しないものであったとしても、優劣はついているのですから、どの政党も少数派であり、勝者ではないと彼が言ったとしても、この期に及んで、その話し合いを少数派の政党同士の話し合いに妥協案の構築を投げるのは、無責任だ!という声が上がっているのです。  

 もともと、二期目以降のマクロン大統領政権は、彼の政党が過半数を超えていなくなったことから、ぐらつきはじめ、年金改革などの際にも国民議会をすっ飛ばしての憲法49条3項を使用しての強行突破で、国内は大混乱しました。

 すでに国民議会に多数派がなくなったことは、今に始まった話ではありません。

 いつもは饒舌に国民に訴えかけることを厭わないマクロン大統領からしたら、このような重大な案件に対して、書簡で発表というのは異例のことです。たとえ、海外にいるとしても、同行している彼の陣営や記者たちも少なくないはず、映像で、彼自身の言葉で訴えかけることも、いくらでも可能なところがそれをせずに書簡で発表というのも姑息な感じがしてしまいます。

 なかには、この政党同士の話し合いを投げておいて、それに彼らが失敗するシナリオを国民に見せつけようとしているのでは?などと邪推する人もいます。

 X上などでは、「マクロン大統領は専制君主に変貌しつつある」とか、「気まぐれ!、権力の強奪、不機嫌…この国に住む国民のことなどまったく考慮していない!」とか、「オリンピック期間中にストライキを実施すれば、マクロン氏が動き、選挙後の権力維持のための悪ふざけを止めることができると思いますか?」など、彼を非難するポストが散見されています。

 しかし、彼自身、この国では彼への反感が本当に高まれば、X上の非難だけでは済まないことを身をもってよく知っているはずです。

 問題を先送りにしてよいはずはないのです。

 また、この手紙、問題を各政党に投げて置いて、「冷静かつ全員を尊重してこれらの妥協案を構築するために、政治勢力に少し時間を与える」と、あくまでも上から目線で時間がかかっていることを責任転嫁しているようなところも、国民のカンにさわる気もします。


マクロン大統領 国民への呼びかけの手紙


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