2022年4月22日金曜日

ドイツ・ポルトガル・スペイン首脳が異例の声明発表 フランス大統領選挙はもはやフランスだけの問題に留まらない

  


 フランス大統領選挙目前の最終候補2人の直接対決の討論会の翌日、ドイツ・ポルトガル・スペインの首脳が仏ル・モンド紙面で、フランス大統領選挙に際して「民主的な候補」の選択を求める声明を発表しました。

 ドイツのオラフ・ショルツ、スペインとポルトガルのペドロ・サンチェスとアントニオ・コスタの政府首脳は木曜日にル・モンド紙に掲載した記事で、フランス大統領選挙の第2ラウンドで、名前は出してはいないものの、エマニュエル・マクロンへ投票を行うよう暗に呼びかけています。 

 同紙によると、彼らは「フランス国民が直面している選択は、フランスと欧州のすべての人々にとって極めて重要である」「ヨーロッパ共通の価値を守ることができる主導者が必要である」と述べています。

(以下 声明内容)

 「ヨーロッパは時代の転換期を迎えています。歴史を塗り替えようと、ウラジーミル・プーチンはウクライナとその国民に残忍な攻撃を開始しました。マリウポリ、ブチャ、クラマトルスクの映像は、ヨーロッパの最も暗い時代を思い起こさせます。しかし、プーチンの侵略はさらに進んでいます。彼は、欧州の平和秩序の最も基本的なルールを破りました。血塗られた過去に何度も行ってきたように、力による国境線の引き直しを行わせないためにヨーロッパ全体の連帯が必要な時です。この戦争は、フランスと私たちの国が守る価値観、すなわち民主主義、主権、自由、法の支配の秩序を揺るがすものです。」

 「我々の国も同様にポピュリストや極右の政治家は、現在は、ロシアから距離を置こうとしているような姿勢を見せてはいても、彼らの基本的な姿勢はプーチンを思想的・政治的モデルとしており、彼の民族主義的主張に共鳴する部分を持っていることを忘れてはなりません」

 極右(マリン・ルペン候補)は過去にクリミア半島の併合を容認しており、現在はロシア侵攻を非難している立場をとってはいるものの、この3首脳は、「今、彼女がロシアから距離を置こうとする姿勢をみせていても、過去の発言を決して忘れてはいけない」と警告しています。

 「これらの要素を考慮すると、フランス大統領選挙の第2ラウンドは、私たちにとって、他の選挙とは異なるものです。フランス国民が直面している選択は、フランスと欧州のすべての人々にとって極めて重要です。強力で自立した欧州連合(EU)においてフランスはより強くなると信じる民主的な候補者と、フランス啓蒙主義から直接もたらされた基本的価値である自由と民主主義を攻撃する人々の側に公然と立つ極右の候補者の間の選択です」

 「フランスは欧州プロジェクトの中核を担う国であり、民主主義の旗手となり、常にリーダーシップを発揮してきました。近年のパンデミックにおいて、さらに強化されたヨーロッパ全体の連帯は、現在、ロシアのような権威主義的な国の侵攻を許さないために、国家主権を制限することなく、各国が繁栄し、さらに強力な統一が求められている重大な局面にあります」

 「我々は、フランスを必要としています。我々の共通の民主的な共通の価値を守るフランスは、我々が自らを認める欧州において、自由で世界に開かれ、主権があり、強く、同時に寛大な国です」とし、「フランス国民がこのヨーロッパ共通の価値を守る選択をしてくれることを望んでいます」と締めくくっています。

 EU(欧州連合)加盟国の首脳が他国の内政に干渉するような声明を発表することは、極めて異例なことで、現在、ロシアのウクライナ侵攻により、ヨーロッパ全体が極めて重大な局面に置かれているかということが、フランスの大統領選挙を目前にして、3国の首脳が他国の大統領選挙に口を出すという声明発表に現れています。

 現在、フランスはEUの議長国でもあり、それがもしも、極右の大統領が取って代わるとなれば、ヨーロッパ全体の連帯が揺らいでしまうことに繋がりかねないと彼らは非常に懸念しているのです。

 今回のウクライナ戦争に際しても、プーチン大統領ともゼレンスキー大統領とも頻繁に連絡を取り続けてきたマクロン大統領に対して、ゼレンスキー大統領は、一昨日行われた仏BFMTVのインタビューで、「マクロン氏とルペン氏のどちらの大統領を望みますか?」という質問に対して、これは私が決めることではないと苦笑いしながらも「マクロン大統領との良好な関係を失いたくない」と答えています。

 どうやら、海外においては、決して他人事としては、捨ておけず、マクロン大統領を望む声が多い様子のこの大統領選挙。

 フランス国民はどんな選択をするのでしょうか?

 選挙権がないことをこれほど残念に思うのは、初めてです。


ドイツ・ポルトガル・スペイン3国首脳 フランス大統領選挙


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2022年4月21日木曜日

フランス大統領選挙目前のエマニュエル・マクロン VS マリン・ルペンの討論会

   


 フランス大統領選挙・最終投票を目前に控えて、最終候補に残った2名、エマニュエル・マクロンとマリン・ルペンが直接対決する討論会が行われました。

 これは、フランスでは以前から大統領選挙の前には必ず行われている伝統的なもので、5年前にマクロン氏が当選した際の選挙前にも、同じ2人がこの討論会に参加。5年の歳月を経て、奇しくも同じ2人が再び対決することになりました。

 前回の大統領選挙の際には、パンデミックも戦争もなく、現在の世界状況と比べてみれば、格段に平和だった時で、正直、私はそれほど注目していませんでしたが、今回、同じ2人が再び対決するにあたって、5年前の討論会の映像が流されるのを見るにつけ、マクロン大統領は若かったんだなぁ〜と、逆に言えば、歳とったなぁ〜と思うのです。この5年間の彼の苦労がスベスベだった顔に皺を刻み、顔つきも厳しくなった気がします。

 今回の討論会は、前回に比べると、途中、数回、緊迫し、語気を荒げる場面はあったものの、比較的穏やかに進んだような印象を受けました。実際に討論会の中で本人同士がそんなことを呟きあっている場面もありました。

 討論の内容は、現在のインフレに対応する購買力問題について、ウクライナ戦争を中心とする国際外交について、財政問題について、環境問題について、定年の年齢設定・年金問題について、安全保障について、国際競争力について、移民問題について、教育問題について、環境問題についてなど多岐にわたり、とても2時間50分の討論では語りきれない内容で、司会者が途中で話題を遮り、進行していきましたが、全体的には、マリン・ルペン氏は、国民が喜びそうな減税や定年の年齢の前倒しなどの抱負を語ったものの、一体、そのお金はどこから出てくるのか?と素人の私でさえ感じてしまうものでした。

 具体的な数字の提示も曖昧で不明瞭なものが多く、たびたびマクロンが厳しく訂正する場面が見受けられ、逆にそれが、マクロンの現職の大統領としての説得力を際立たせ、これまでの功績をアピールさせるきっかけとなる感じでした。

 この討論会は、生放送で放映され、この中継は、両者が会場に到着する前から、カウントダウンされ、まるで、この放送で大統領が決まるかのように盛り上げるように演出されていましたが、実際に相当の視聴率をとっているものと思われます。

 この討論会の始まる直前の世論調査によると、すでにどちらに投票するかを決めているという人が87%、まだ検討中という人が13%と発表されていましたが、この放送直後の視聴者の支持率は、エマニュエル・マクロン59%、マリン・ルペン39%と発表されました。

 フランスの厳しいところは、この放送直後から、すぐにこの討論会を振り返り、一言一句を検証しなおし、この討論会に臨んだ両者の態度、視線の送り方から、身振り手振りについてまで、厳しく評価し合うジャーナリストが再びこの討論会について、討論しなおすところで、そんなところは、議論好きのフランス人の様子がまざまざと見えるところ。この討論会についての討論会でも、誰もがよく喋ること喋ること・・。

 最初は、今回は、相手を尊重しながら話を進め始めたな・・と思われたエマニュエル・マクロンも、途中から、話が白熱していくに従って、彼が一定の層に嫌われる「偉そうな感じ(傲慢な感じともとれないではない)」が現れ始め、「おまえ・・全然、わかってないな・・」とでも言いたげな感じでかなり強引な説明をし始める場面には、このマクロンを嫌う層には、ますます嫌われるように映ったのではないか?とも思われます。

 フランス大統領選挙は、数日後。外国人である私には選挙権はありませんが、それでも、政権によっては、大きく状況は変わっていくので、この結果を見過ごすことはできません。

 ましてや、ウクライナでの戦争中、フランスだけでなく、ヨーロッパ全体にも、国際的にも影響していくであろう大統領選挙です。

 フランスは大統領選挙も国民投票で行われることもあると思いますが、この国民の政治に対する関心の強さ・・日本にも少しはあったらな・・と思うのです。


マクロン VS ルペン討論会


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2022年4月20日水曜日

海外在住者の日本での国民年金支払いについて私が勘違いしていたこと

   


 そもそも私が海外に出ても、日本の国民年金の支払いを続けてきたのは、「けっこう長い間、日本で会社勤めをしていた分の厚生年金を無駄にしてしまうのはもったいないわよ・・」という母の助言があったからで、しかし、後になって考えてみるとその後の支払いの方がずっと長かったわけで、今となっては、支払い続けた方がよかったのか?それとも、支払い続けていてやっぱりよかったのかは、よくわからないな・・と思ったりもします。

 現在、すでに年金を受給できている人々はまだ、マシとしても、将来、年金をもらえる年齢に達した時には、一体、どれほどの年金がもらえることやら、この高齢化社会に拍車がかかっている日本では、期待ができないのが正直なところでもあります。

 しかし、すでに、あまり考えることなく、自動引き落としにして、支払い続けてきてしまった私としては、これまで支払ってきた期間よりも、この先支払う期間の方が短いわけで、もうこの際、今さら支払いをストップするまでもないと思ってきました。

 なんだか、エンドレスに支払いが続くように感じていた国民年金の支払いも60歳の誕生日の1ヶ月前には終了するという話を昨年、友人から聞いたので、それが終われば、すぐに受給できなくても、とりあえず支払いからは解放されるだけでもいいな・・などと、お気楽に考えていたのです。

 しかも、フランスは日本と社会保障協定を結んでいるので、フランスでの就労期間分と合算して計算してくれるという話も聞いていたので、今回、日本に一時帰国した際に年金事務所に出向いて、色々と説明を受けてきました。

 私が年金事務所に行ったのは、3月末で、まずは、見当たらなくなってしまった日本の年金手帳を再発行してもらい(今年4月からは年金手帳は不要になり、基礎年金番号さえ自分で控えておけばよいことになったらしい)、現在の私の年金の支払い状況やフランスとの合算の話を聞いてみました。

 すると、それ以前にショッキングなことは、海外在住者の年金支払いの場合は、任意加入のために、そのまま放置しておくと支払いは65歳まで続いてしまうとのこと。もちろん、任意加入を停止すれば、その時点で年金の支払いは終わりますが、その分、受給額はそこまでの分で計算されるために、当然、65歳まで支払った場合と比べると年間にして10万円程度少なくなりますとのこと。

 つまり、これまで海外に在住しながら年金を支払い続けてきた場合、60歳になった段階で、支払い停止の手続きをしなければ、自動的にさらに5年間の支払いは続くということです。

 年金事務所の人の説明によると、「年金の支払いは年額約20万円、それを5年間続けて支払ったとすると100万円、その後、10年間受給できれば、元が取れます」「日本女性の平均寿命は87歳ですから、恐らくお支払いになっても元は取れるかと・・」「しかし、任意ですから、すでに最低期間はお支払いになっておられますから、ご希望になられれば、いつでもお支払いを停止することはできます」とのこと。

 はっきり言って、そんなこと言われても、自分の寿命なんてわからないし、もともと、年間10万円増えたところで、どれほどのものなのかもピンとこないために、これについては、まだ先のことでもあり、保留することに・・。

 次にフランスの就労期間分との合算については、「あなたの場合、日本の分だけで受給資格に達していますので、日本で受給することに関してはフランスの分を合算する必要はないので、フランスの方で受給期間が達していない場合はフランスの方でお問合せください」という、どうにも両国内での合算に関しては消極的な回答。

 わかったような、わからないような、私自身もまだ先のことで、あまり具体的に考えていなかったこともあるのですが、それぞれに受給資格に達している場合は別々に受給して下さいということなのでしょうか?

 日本もフランスも年金が受給できる年齢は年々、上がっていくので、一体、いつのことになるのやら・・。

 フランスでは、大統領選挙を目前に控えていて、選挙前の大統領候補者の公約には、定年の年齢の設定が必ず入っていますが、私が定年を迎えるまでに、あと何回、大統領が変わるのかわかりません。フランスとて定年の年齢が早まることは考えづらく、どちらにしても、今から色々と考えても、結局は、どんどん制度は変わっていくし、なるようにしかならない・・という結論に達するのです。

 「あなたの場合、この国民年金の受給額プラス厚生年金の分が加算されますよ」とのことでしたが、いずれにしても、日本の年金だけで生活できるような額になるとは到底、思えないわけで、今さら年金のことをあれこれと考えるよりも、その他の手段を考える方が賢明のような気がしてしまったのでした。


海外在住者の日本の国民年金支払い


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2022年4月19日火曜日

ウクライナに招待されているマクロン大統領 ジェノサイドという言葉

  


 フランス大統領選挙が間近に迫ってきて、一時はウクライナ戦争一色になっていたフランスの報道もさすがに大統領選挙に関わる報道も同時に報道されるようになってきました。

 政治の話題が大好きなフランス人にとって、また国民投票で採択される大統領選挙は、本来ならば、もっと全面的に報道されているはずの話題です。

 自らがロシアに出向き、プーチン大統領との直接会談に及んだにも関わらず、ウクライナ戦争が勃発し、その後もほぼ毎日のように、ロシアとウクライナ双方の大統領との電話会談を続ける中で、選挙の立候補の公示はギリギリまで行わず、書面にて立候補を表明したマクロン大統領は、このウクライナ戦争への外交対応が評価されたこともあり、当初は圧倒的に優勢な状況だと見られてきました。

 ところが4月に入ってからは、対抗馬のマリン・ルペン氏の追い上げを受け、マクロン氏も、いよいよ本格的に最後の追い込みをかけ、現在のところ、依然としてマクロン大統領が優勢だと見られています。

 2月末から3月にかけては、大統領のアジャンダ(議事日程)L'agenda du Président de la Républiqueにも、連日のように、ロシアやウクライナをはじめとする世界各国の首脳との電話会談の内容が記されてきましたが、4月に入ってからは、国内の閣僚会議の内容がポツポツと記されているのみに留まっています。

 実際に彼が何もしていないわけはないのですが、大統領選挙を目前にして、また、戦況も沈静化せずに、ロシアとウクライナの仲介も進展しないことから、記載を控えているものと思われます。

 先日、ウクライナでの悲惨な映像が公開されたことから、米国バイデン大統領がロシアのウクライナ侵略への残忍性を訴え、「ジェノサイド」という言葉を使ってロシアを非難したことについて、マクロン大統領は、「国の指導者は、言葉に注意を払うべきだ」という発言をしたことが話題になりました。

 このマクロン大統領の発言は、少なからず、電話会談を続けてきたウクライナのゼレンスキー大統領を失望させたようで、同大統領は、マクロン大統領に「実際に目の当たりにすれば、これは戦争ではなく、ジェノサイド以外のなにものでもないことを納得してもらえるだろう」と、機会があれば、ウクライナを訪問してほしいとお願いしたと語っています。

 しかし、現在のマクロン大統領は、大統領選挙を目前にしたタイミング。日程的にも無理なだけでなく、彼自身は、ジェノサイドという言葉は、国の指導者としては、慎重に使わなければない言葉で、この言葉を使って非難することが、戦争終結のためにならないと考えています。

 マクロン大統領は、このロシアが一方的に残忍な戦争を仕掛けたことや、ロシア軍が虐殺行為、戦争犯罪を行っていることは狂気の沙汰であり、信じがたいほど残忍な行為だという事実自体は認めているものの、現時点で欧州の一国の国家元首として、このジェノサイドという言葉を使って非難することは、プーチン大統領を追い詰めて、さらに戦争を悪化させると考えているのです。

 これは、プーチン大統領がウクライナに対して戦争を始める理由にも自分たちが被害者として使っていたワードでもあり、かなりプーチン氏の中でもキーワードになっている言葉でもあるからです。

 現在はどの程度の頻度で話しているのかは、わかりませんが、一時は毎日のように、4時間、5時間とプーチン大統領と会談し続けてきたマクロン大統領にとって、ジェノサイドという言葉は、プーチン氏を過度に刺激させないためのNGワードなのだと思われます。

 実際にあのプーチン氏を怒らせず、言いたいことを伝えようと電話会談を続けてきたマクロン大統領がとる当然の姿勢のようにも感じています。

 どちらにしても、もしも、マクロン大統領が再選されなければ、ウクライナ訪問もあり得ないことであり、もし、訪問したとしても、彼の発言の重さはまったく違うものになります。

 もし、彼が再選されて、ウクライナを訪問して、実際の戦況を目の当たりにしたとしても、ジェノサイドという言葉を使ってロシアを非難することは恐らく、ないであろうし、だからこそ、現段階で、彼がウクライナを訪問することもないのではないか?と私は思っています。


ジェノサイド マクロン大統領ウクライナ訪問


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2022年4月18日月曜日

海外に持ち帰れる、おススメ日本の食料品

  

日本で買ってきたダシ類オンパレード ほとんどが乾燥ものなので重量も嵩まない

 

 日本に一時帰国した際の重大任務の一つは、膨大な日本の食料品をフランスに持ち帰ることにあります。だいたいは、常日頃から、「今度日本に行ったら買ってくるものリスト」を書き留めておいて、最終的に帰国時にパリの家に残っている日本の食料品のストックと照らし合わせながら、日本に到着したその時から、徐々に買いだめが始まります。

 今回の一時帰国は、その帰国自体がフライトが何度もキャンセルになったりして、いつまでもはっきりしなかったこともあり、その他に日本入国のための書類等を作成したりしなければならず、また、本当に行けるかどうかもギリギリまで心許なかったために、日本に持って帰るお土産品などもギリギリまで買いに行けなかったために、バタバタで、いつもの「日本での買い物リスト」は作らないまま出発してしまいました。

 とはいえ、今回は、2年以上も日本へ行けなかったために、いつもなら、多少はあるはずの日本の食料品は、ほぼ枯渇状態で、どうしても必要なものは、少々高いし、品質も落ちるけれどもパリにある日本食料品店やアジア食材店などで購入しなければならなくなっていたほどでした。

 しかし、まあ、そこは長年の海外生活。どうしても買って帰りたいものは、だいたいいつも同じだし、日本に行ったら行ったで、買って帰りたいものは山ほどあるので、何を買って帰りたいのかに困ることはありません。

 とはいえ、持って帰れる荷物の重さは限られていて、一人あたり23キロのスーツケースが2つ分、計46キロです。そのうち10キロはいつも叔母がどこかから取り寄せてくれている美味しい日本のお米、今回は、特に出汁を中心に食材を集めました。

 というのも、昨年から、EUでは、EU製品の保護のために、輸入品に対する新たな規制が設けられ、現在、日本食料品店等が抱えている在庫がなくなり次第、販売ができなくなるという噂が俄かに流れているからです。しかし、まだ実際には売られているので、結局どうなるかはわかりませんが・・。

「EUにおける新たな混合食品規制について」

 実際にEUが定めている新規制の対象となる商品の項目には、「肉、魚、甲殻類、軟体動物などのエキスまたはジュース」というものが含まれていて、実際にこれが本当にダメとなると、日本のダシ類、しまいには、カレールーなどもひっかかるわけで、今のところは、売っていますが、これらが手に入らなくなることもあり得ると思ったからです。

 まあ、もともと日本で買ってくる食料品は、ダシ類にしても、もともとフランスではほとんど売っていないものを買ってくるので、どちらにしても「買ってくるものリスト」には、入っているものです。

 現地の食材を使って日本食を作るとしても、やはりその基本となるのはなんといってもダシに頼ることが多く、逆にダシさえあれば、なんとかなるといっても過言ではありません。

 そして、特に貝類のダシ粉末は、洋風のお料理にも使えて、味わいも深まるので便利に使っています。

 


 また、いつも日本に行くと持って帰る食品を物色する富澤商店で買うものは、ゆずの皮や乾燥あさりなのですが、今回、新たに乾燥梅肉、乾燥明太子なるものも発見、これはふりかけのようにしてもいいし、お料理のアレンジにも使えそうで、ちょっと満足しています。

 


 そして、混ぜるだけで白和えができるひじきや、納豆気分が味わえる納豆昆布なども今回、新たに見つけたものです。

 



 その他、フランスでは売っていないコーンスープや黒七味なども、たいてい日本で買ってくるものに入っています。

 

 また、私にとって、忘れてはならないのは、なければ自分で育てる日本の野菜のタネです。買ってきてみたら、原産国フランス・・なんていうものがあったりして、仰天しています。




 なかには、食料品ではないけど、食料品に準ずる?ものとして、日本の焼き鳥サイズの竹串や色々な場面で使いやすいお気に入りのジップロックなどもあります。


 

 この他、ここにはわざわざ載せるほどでもないような、おせんべいやスナック類などのお菓子、お漬物、明太子、干物、つくだに、味噌、梅干し、さきいか、ふりかけなどなどを詰め込めるだけ荷物に詰めると、だいたい、家で計量していくのですが、家の体重計が定かではないため、羽田で荷物の計量の瞬間は、緊張の瞬間です。

 今回も見事、23キロ×2=46キロ、ほぼほぼジャストで、無事に荷物は全て持ち帰ることができました。

 これまで、羽田で計量の際に少々、オーバーして、「手荷物にいくらか入れ替えてください」とか、「お引越しですか・・大変ですね・・」などと言われたり、ずいぶん恥ずかしい思いをしたこともありましたが、毎回、私が日本から帰ってくる時の荷物の9割以上は食料品です。

 日本からのフライトで荷物が紛失したことはありませんが、これがロストバゲージにでもなった日には、それこそ発狂ものです。

 毎回、荷物の心配をしてくれている日本の叔母たちには、フランスに無事到着すると、「私も荷物も無事にフランスに着きました」と報告するくらいです。

 現在は、日本からの食料品も潤沢にあり、実にご機嫌な毎日を過ごしています。

 そんなに日本食品が好きならば、いっそのこと日本に住んだらいいのに・・と思われるかもしれませんが、「いつでも簡単に手に入る状態だったら、こんな幸せは感じられない」と、私はやや自虐的に喜びを噛み締めているのです。


日本帰国時に買うべき日本食材


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2022年4月17日日曜日

コロナウィルス感染対策 フランス(ヨーロッパ)と日本の違いは大きくなった

  



 日本に一時帰国していて、しばらくフランスのニュースはほとんど見ていなかったので、フランスでのコロナウィルス感染の様子は、なんとなく感染者数がまた、少し増加しているな・・くらいには、見ていたのですが、詳しいニュースを見ることはありませんでした。

 しかし、新型コロナウィルスに対する感染対策のフランス(ヨーロッパ)と日本の感染対策の違いについては、身を持って感じてきました。

 まず、日本入国の厳しい入国の際の何重にもわたる書類チェックと空港での検査、その後の隔離措置などには、それにかけられている人員の多さや手続きの煩雑さに少々辟易していました。

 いざ、日本の街中に出ても、屋外でさえもマスク率はほぼ100%で、2週間強の滞在期間中、マスクをしていない人を見たのは、片手で足りるほどで、パリでも「日本人だからマスクは苦にはならないだろうけど・・」などと言われてしまうだけのことはあり、本当にみんながマスクをしていることに正直、あらためて感心してしまったほどでした。

 日本を出国する際、飛行機に搭乗する際には、PCR検査が求められるのかと思いきや、出ていく人には、関係ないとばかりに、あれほど厳しかった入国のためのチェックをよそに、ワクチン接種証明書が求められただけでした。

 しかし、羽田空港のガランとした様子は、少なからずショッキングでもあり、渡航する人が格段に少ないのだということを思い知らされた気がしました。渡航したとしても、日本に帰国する際に、これだけ面倒な手続きがあったら、そりゃ、渡航は思い留まるよな・・とも思うのです。

 今回は、ロンドン経由のフライトで、経由のために到着したヒースロー空港は、早朝というのに羽田とは別世界のなかなかな人出で、もう別世界、ロンドンに至っては、空港内でさえもマスクをしていない人もけっこう見られました。

 そして、さらに驚いたのは、パリ・シャルル・ド・ゴール空港でフランスに入国した際には、さすがにマスク着用が義務付けられてはいましたが、入国手続きは通常と同様のもののみで、検査どころか、ワクチン接種証明書のチェックさえありませんでした。

 日本からフランスへの入国はたしか、3回のワクチン接種証明書があれば、その後、検査も隔離もなし・・という話は聞いていましたが、まさかのワクチン接種証明書のチェックもなし・・アトランダムにはチェックはしているようではありますが、現実はほぼスルー。

 まあ、飛行機に搭乗する際にワクチン接種証明書のチェックはされているので、その時点でチェックは済んでいるものとみなしているのか?だとすれば、合理的といえば、合理的ではあります。

 感染対策規制は、その国の感染状況に準ずるものであることはわかりますが、パンデミック開始以来、2年以上が経過して、日本とフランス(ヨーロッパ)は、感染対策について、全く違う道を歩み始めていることを感じました。

 現在のフランスの1日の新規感染者数は、13万5千人前後(ここ1週間の平均値)、日本は5万5千人程度で、相変わらずフランスでの感染状況は決して安心できるものではないのですが、コロナウィルスに対する危機感は、格段に薄らいでいます。

 ウクライナ戦争が勃発して以来、すでにコロナウィルスのニュースはすっ飛んでいましたが、現在は、それに大統領選挙のニュースが加わり、とてもコロナウィルス感染に関するニュースが入り込む隙はありません。

 あえて、コロナウィルスに関するニュースを探せば、ある程度は出てきますし、それなりにフランス公衆衛生局(SPF)の科学局長が、「我々は、長い流行を経て、SARS-CoV-2ウイルスの循環が非常に激しい、特別な時期にある」などと、依然として感染に関する警鐘を鳴らしているという報道も見つかるのですが、テレビのニュースなどの一般的なニュースでは報道されていません。

 街中は、私が日本へ発った3月と比べると、気温も上がったこともあり、街中のマスク率も一段と低くなったようです。

 しかし、コロナウィルスが絶滅したわけではないので、現時点では、どちらが正しい対応なのかは、わかりませんが、この感染対策に対する姿勢が全く異なる姿勢で動いていることだけは明白です。

 ただ、全てのフランス人が緩んでいるのかといえば、そういうわけでもなく、先日、帰仏後に会ったフランス人は、自分も当初、感染して苦しい思いをしたこともあるせいか、「まだ、コロナは無くなったわけではない・・」などと言いながら、新しく改良されたマスクを自慢しながら、「4回目のワクチン接種をする機会があれば、自分はやるつもりだ・・」と言っていましたし、それなりに警戒している人もいるようです。

 しかし、一般的には、気候が良くなっていることも手伝って、コロナウィルスに対する警戒は激減していると言わざるを得ない感じで、今後、再び壊滅的な被害が拡大しない限り、フランスでは、この緩んだ空気を引き締めることは難しそうです。

 もっとも、フランスは12月末から1月にかけて、驚異的な感染者数を記録したために、これにより、かなり多くの人が免疫を持ったと考えることもできます。

 それにしても、同じウィルスに対して、これだけ違う対応を取っていると言うこと自体が驚きで、この対応の違いにより、再びフランス(ヨーロッパ)が壊滅的な感染状況に陥ってしまうのか? はたまた、日本での経済停滞が進むばかりになるのか・・いずれにしても、コロナウィルスが消滅する兆しはまだまだ見えない中、どちらの心配も解消することはできません。


コロナウィルス感染対策


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2022年4月16日土曜日

インフレも何も全然関係ないエルメスの絶好調

  


 考えてみたら、以前、パリのエルメスの本店に行ったのは、もう10年以上前のこと。空港内に入っているエルメスのお店などを通りかかったついでにふら〜っと覗くことはあっても、わざわざブランド物のお店に行くことはありません。

 私も日本に住んでいた若かりし頃に、一時はブランド物に憧れた時期もありましたが、名だたるブランドものの本拠地でもあるようなパリに来てからは、逆に、およそ、そのようなものとは無縁な生活になり、だいいち、そんなものを持って歩けばたちまち危険な目に遭うことが目に見えている環境では、ブランドものにも興味が失せて、たまに通りかかってお店に入ってみることがあっても、まるで博物館を見るような気分で眺めていました。

 それが、今回、日本に一時帰国した際に、歳の離れた従姉妹から、「エルメスで欲しいものがあるんだけど、日本では、どこでも手に入らないから、パリの本店ならあるかもしれないから買ってきて!」と言われて、久しぶりにエルメスの本店に出向くハメになったのでした。

  

店内に入るとまず馬具のエルメス

 

 考えてみれば、以前にエルメスに行ったのも、彼女に頼まれたエルメスの手帳を買いに行った時で、その時は、難なく商品は手に入り、手帳としては高額とはいえ、まあそこそこの値段で、まだ小さかった娘を連れて、彼女に頼まれた買い物をした時以来でした。

 思い起こせば、あの頃はまだ、エルメスのお店もほのぼのとした感じが残っており、会計を済ませて、店員さんが商品を持ってきてくれた際に、「大きくなったら、中身を買いにきてね!」と、エルメスの小さな小箱を娘に渡してくれて、「なかなか粋なことするな・・」と思ったのを覚えています。

 箱をもらった娘は、「なんで、あんなに高い手帳、〇〇ちゃん、欲しいんだろう?」などと、まるで解せない感じでいた上に、大きくなってから、成人を迎えた際に、私が「成人式の記念だから、何か後に残るちょっといいものでも・・エルメスの時計なんてどう?」などと持ちかけたことがあったのですが、「エルメスはあんまり好きじゃない」とあっさり却下。

 フランスでもブランドものを欲しがる人も中にはいるものの、一般的には、身の丈にあわないブランドものを持つのはみっともない・・それよりも、個性的なおしゃれを工夫する方がよい・・と考えている人が多く、また、お金は別の使い方(バカンス)をする人の方が多いのが現実です。

 しかし、このパンデミックに続いて、戦争に突入し、あらゆるインフレが進む中、LVMH(ルイ・ヴィトン)やエルメスなどの高級ブランドは、売上を軒並み伸ばしているということもニュースでは聞いて、知っていたのですが、実際に久しぶりにエルメスのお店を覗いてみてびっくり。

 平日の昼間にこんなに人がいるとは・・しかも、そこで売られているものは、普通のお店に置かれているものとは、価格の桁が1つも2つも異なるものばかりです。平日の昼間というのに、店員さんに商品の問い合わせをするだけでも延々と待つハメになり、絶句しました。

  


 あらゆるものが値上げされている世の中、そもそもの価格がもうちょっと常軌を逸した金額のため、もうそれを買いたい人にとっては、少々の値上げなど、もうあまり響かないのかもしれませんが、それにしても、どこから、こういう人々が湧いてくるのかとちょっと不思議な気がしました。

 店内の周囲からは、英語で会話している人も少なくないために、その多くは観光客なのだろうということは想像がつきますが、あまりに私のパリでの日常生活とは無縁な空間でのこの高価なものが飛ぶように売れている現場に呆気にとられてしまいました。




 私が従姉妹から頼まれた「コンスタンスなんとか・・」という商品は、日本のサイトでは、100万円以上の値段がついているもので、軒並み売り切れ、パリではいくらなのかは知りませんが、こんな高額なもの、立替えできないよ・・と言ったら、自分のカードまで渡して、「でも、どうしても欲しいから買ってきて!」という従姉妹。

 「そこまでの高額になるとレートによってもずいぶん違うと思うよ・・」と考える私などはせこいのでしょうか?「レートなんてどうでもいいから・・」という彼女の金銭感覚も理解できませんが、そこまで言うなら、たまには、エルメスを覗いてくるのもいいかな?と彼女のカードを預かって、引き受けたのでした。

 しかし、彼女のご希望の商品は、残念ながら、パリでも完売で、今後の入荷予定もないということで、結局、買うことはできませんでした。

 ブランドものは、たしかに品質もよく、一度買ったら、大事に使えば一生使えるようなもので、長い目で見れば、良いのかもしれませんが、だいたい身の危険がかかっているパリでは、まず、使えないのが現実です。

 ひょんなことで、久しぶりに覗いてみることになったエルメスのお店の盛況ぶりと久しぶりに見る豪華な店内にちょっとしたカルチャーショックを感じてきた1日でした。


エルメス本店


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