2022年3月30日水曜日

海外からの入国者の濃厚接触者に対する行動制限について

   先日、日本に入国した私たちですが、帰国後、翌日に日本政府が海外からの入国者にインストールを義務付けている「My SOS」アプリに通知が来て、娘は濃厚接触者としてアプリに監視されることになってしまいました。 すでに、数日が経過していますが、帰国後早々にやらなければいけないこともたくさんあり(そもそも、そのために帰国している)、一方的に隔離を強いられる、まことに不自由な生活を送っています。 濃厚接触者に対する隔離というのは、日本居住者にもとられている対策とはいえ、そのアフターケアーについて、疑問を感じ始めています。 今日、私たちの日本での滞在先の市区町村の保健所から、再度、連絡のメールが届いたことから、娘の怒りが爆発しています。 海外からの入国者にとっての濃厚接触者認定?は、(だいたい飛行機に搭乗する段階で、ワクチン接種3回の証明書や陰性証明書を提示した者だけに限られており、)「帰国便の機内において、新型コロナウィルス陽性者の前後2列を含む5列以内の座席に搭乗されていた方」とされています。 飛行機がかなり空いていたとはいえ、このためにかなりの人々が娘同様、濃厚接触者として、自宅待機を強いられていることは、いささか、やりすぎとしか思えないのです。 一応、濃厚接触者として、行動制限をかけておけば、なんとなく安心という程度のものです。 間隔をおかずに隣に座っていたというならば、いざ知らず、私たちの乗っていた便は(少なくとも娘の座っていた座席の列は、全席となりが空席だったことは、空席を探していた私は、確認していたことです。 しかも、全員がマスク着用で、誰とも口もきいておらず、座席に隔たれて座っている状態で、濃厚接触者として、1週間もの個人の自由を奪うことは、あり得ないと思うのです。しかも、何もせずにただひたすらの待機状態。 一方で、濃厚接触者のPCR検査については、「希望される方は、保健所で予約をとれば、行うことができます」という任意形式のもの。 しかも、通知には、「濃厚接触者は待機期間緩和の対象外です。入国翌日から7日目までアプリの通知に応答し、待機を継続してください。違反した場合は見回り対象となります。陽性者の検体解析結果は判明次第、お知らせしますがオミクロン株以外であった場合は14日目まで待機継続となります。」という威圧的な内容。 フランスでは、入国者については、地域別にその隔離等の段階が設けられていますが、少なくとも日本からの入国者に関しては、ワクチン接種3回以上している場合には、一切、隔離なし。入国後の監視や制限もありません。居住者の濃厚接触者については、アプリをインストールしている人には、「陽性者と接触しているので、検査を受けてください」と通知が入りますが、あくまで任意。 「こんなこと、フランスではあり得ない!、見回り結構、人の行動制限をこんな理不尽なかたちで行うことは、全く納得がいかない! 制限をかけるなら、それなりに正当な理由が必要、人の自由を奪う以上、それに対する補償が伴うもの。見回り結構、来ていただいたら、とことん話す。むしろ、話したいくらい・・名前を公表するなら、それも結構!」と怒り心頭なのです。 日本人であるとはいえ、フランスで育ち、教育を受けてきた彼女のキャラクターは、まったくもってフランス人なのです。 しかし、多大な費用を費やしていると思われるこのアプリにせよ、入国の際の書類チェックに関わっている人件費等には、一体、どこに力を入れているのだ?と無駄も多く感じられ、ことに濃厚接触者に認定することは、あまりに容易に一方的に行っておいて、その後の検査は任意とは、なんだか、日本の杜撰な体質が凝縮しているように思えるのです。 「なにとぞ、国民の方々のご理解とご協力をお願いします」という言葉をよく聞きますが、一方的にご協力を求めるそのやり方は威圧的で、従わなければ、見回りを寄越すとか、名前を公表するとか、脅しのような内容です。 たしかに日本入国の際に「誓約書」なるものを求められてはいますが、これも一方的なもので、こんな理不尽な濃厚接触者認定の基準などは記載されていません。 日本入国の際のさまざまな制限はこれまでも行われてきて、強制隔離機関での隔離など、ある程度は、効果はあったかもしれません。公共交通機関の利用禁止なども外国人は、守らないなどと言われてきたことにも、それは、そうだろうな・・くらいに思っていました。 しかし、逆に言えば、こんなに一方的なやり方が通用するのは、日本くらいのものであることも日本の特殊性を垣間見える気も、実際にこうして当事者になってみると感じずにはいられないのです。 いっそのこと、アプリに応答しない娘に見回り隊が訪れ、娘が見回り隊とどのような話をするのか、見てみたいような気もしています。濃厚接触者<関連記事>「入国後1日目、MY...

2022年3月29日火曜日

機内模様から垣間見えた国民性と感染対策・衛生観念

    今回の一時帰国で、私が飛行機に乗ったのは、2年ぶりでした。旅行が大好きで、以前、日本に住んでいた頃から海外旅行が大好きで、空港に足を踏み入れただけで、飛行機を間近に見ただけで、税関を通過しただけで、ワクワクと心が踊るような気持ちになりました。 今でも空港はある種、気分を高揚させてくれるものに違いはありませんが、あの頃の感覚とは違います。 フランスに来てからは、時には、ヨーロッパ内を旅行することはありますが、やはり、最優先なのは、日本への一時帰国で、シャルル・ド・ゴール空港は、私にとっては、日本への扉のような感覚が強いです。 まあ、極端に言えば、シャルル・ド・ゴール空港で飛行...

2022年3月28日月曜日

入国後1日目、MY SOSアプリからの連絡 機内でまさかの濃厚接触者

    新型コロナウィルスによるパンデミックもまだおさまり切らず、まさかのウクライナ戦争での混乱で、パリからの直行便も欠航になっている中、パリーロンドン経由のフライトで現在、日本に一時帰国しています。 出発ギリギリまで、フライトが予定どおり飛んでくれるかどうかも不安な中、日本入国のためのPCR検査やそれを日本オリジナルの書式に書き込んでもらったり・・、誓約書等、必要な書類を準備して、わずかばかりのお土産を揃えてバタバタと準備を進めて、シャルル・ド・ゴール空港からロンドンへ、そして、ロシア上空を避けての迂回ルートのロンドンー羽田便でパリの家を出てから、約20時間後に羽田空港に無事、到着いたしました。 空港についてからの何重にもわたる書類やアプリのチェック、唾液検査などを経て、検査も無事陰性で、そのまま自宅に直行、久しぶりに日本の我が家に戻ってきました。実家に戻って、とりあえずはヤレヤレといった気分ではありました。 日本にある実家の家は、両親が他界して以来、年に2度くらいやってきては、そのたびに、家の中のものを片付けているものの、まだまだ片付けは終わらないまま、今回のパンデミックのために、2年間は日本に来ることもできずに放置状態になっていました。 幸い、同じ敷地内に従姉妹家族が住んでおり、時々、覗いてもらったりはしていたのですが、2年間放置していた家のあちこちは、埃やカビで大変な状態に・・。湯沸かし器がつかなくなっていたり、洗濯機が動かなくなっていたりと、まず、正常な状態に戻すのに、あっちこっちとかけずり回ることになりました。 金曜日の夜に到着したものの、幸いなことに日本は土曜日も日曜日も営業しているところが多く、用事を1日にたくさん済ませることができるのは、助かります。 ところが、日本に着いてから、バタバタと動き始めて、翌日、入国の際に入れることが義務付けられている感染対策アプリ「MY...

2022年3月27日日曜日

コロナ禍と戦時下の一時帰国 長いフライトの後の羽田空港での書類チェックとコロナ検査

   いくつものチェックポイントを通過するけど、流れはスムーズ コロナウィルスによるパンデミックでフランスから日本への入国には、長い間、強制隔離施設での隔離、あるいは、自宅隔離期間が設けられており、その間の移動も公共交通機関が使えないなど、さまざまな障害が立ちはだかっていました。 それが、3月に入って、ワクチン接種3回済みの人に対しては、隔離措置が撤廃されました。フランスでは、わりとワクチン3回接種を済ませている人も多く、多くの在仏日本人がこの恩恵?に預かることができるようになったと思います。 ただ、出発前72時間以内のPCR検査の陰性証明書の提示が義務付けられており、しかも、この検査陰性の証明書には、日本の求めている内容のチェックが記載されている必要があり、できれば、日本独自のフォームに書き込みをしてもらい、サインをしてもらうのが、日本入国のためには、明瞭で問題が起こりづらいものと思われます。 フランス在住の人は、PCR検査は、Carte...

2022年3月26日土曜日

パリーロンドン経由日本行きの超長距離フライトの今

    海外生活もトータルで四半世紀を過ぎて、特にパリ⇄日本間は、これまで、何回、行ったり来たりしてきたことか・・。娘が小さい頃は、できるだけ日本という国に、日本語に触れさせたくて、学校の休みが長い夏のバカンス時に、年に1回のペースで連れて行っていました。途中、あまりに多いフランスの学校のバカンスの調整をつけるために、数年、日本には行けなかった時期もありましたが、その分、ヨーロッパ内はだいぶ旅行して歩きました。 数年、行けなかった分を取り戻すがのごとく、母が入院した・・危篤・・父の病状が悪化した・・、葬儀、日本の税務署からフランスまで通知が来て、慌てて日本に行く羽目になったり、ここ...

2022年3月24日木曜日

ゼレンスキー大統領のフランス国会での演説

   日本の国会で演説を行ったウクライナのゼレンスキー大統領は、同日、フランスの国会においても、演説を行いました。彼は3月1日の3月1日の欧州議会での演説以来、国際舞台での外交キャンペーンを精力的に続けています。 アメリカ、ドイツ、スイス、イスラエル、イタリアの国会で連日演説を行った後、3月23日(水)は、日本に続いて、午後3時からフランスの国民議会と上院で演説を行いました。 毎回、ウクライナからビデオ会議で、自国語(同時通訳)で、軍用カーキ服を着て自国の旗の前での彼の演説は、スタンディングオベーションを受けていました。 すでに、彼の演説は、それぞれの国にあわせた歴史的な出来事や人物を組み込んでおり、言葉も語調もその聴衆にあわせて語られています。 イギリスでは、ウィンストン・チャーチルやシェイクスピア、アメリカでは真珠湾攻撃や9•11のテロ事件、またドイツではベルリンの壁を引用したかなり強めな訴えと日本では、TSUNAMIという言葉を使ったり、震災における復興にあたった日本の力を讃えたりと、その内容は様々ですが、もともと俳優であった彼にとっては、人に訴えかけて話すことはかれの得意分野でもあります。  しかし、どの国においての演説でも共通することは、聴く人の感情に大きく訴えかけるものであり、今や世界中の誰よりも世界中で演説を行い、その聴衆を引き込んでいくチカラを持った大統領であるかもしれません。 このコミュニケーションは、ウクライナの重要な武器の一つでもあります。真実が拡散するのを恐れて言論統制をしているプーチン大統領と真実を訴えかけるために自ら演説を続けるゼレンスキー大統領とは、まさに対照的です。 フランス国会での演説では、まず、「我々はフランスの援助に感謝しています」と述べ、この戦争にあたって、真のリーダーシップを発揮してくれているマクロン大統領の努力を賞賛し、フランスとその指導者がウクライナの領土保全を維持することを期待している」と述べました。 そして、マリウポルをベルダンになぞらえ、3月9日のマリウポリ産科病院への爆撃は「中世のような残酷な包囲攻撃」だと述べました。「怪我をした女性、足を切断した女性、赤ちゃんを亡くした女性、骨盤を骨折した女性・・医師は彼女を救おうとしたが、彼女は死なせてくれと言っていた。彼女はもう生きる理由がないと思って死んだんだ・・」語り、とフランスの過去の記憶に訴えました。 「ロシアの侵攻から数週間が経ち、マリウポルをはじめとするウクライナの街は、誰もが見たことのある第一次世界大戦の写真のようなヴェルダン廃墟を思わせる」と説明し、「フランスがベルモンドに別れを告げることができたように、私たちも互いに別れを告げることができなければなりません」と述べました。 また、すでに数百社のフランス企業がロシアから撤退したものの、一部は今もロシアで活動を続けていることに言及し、「誰が罪を犯しているか、砂に頭を隠してロシアで金を見つけようとしているかは、皆さんがよくわかっているだろう」とオーシャン(Auchan・スーパーマーケットチェーン)、ルロワメルラン(Leroy...

2022年3月23日水曜日

WHO(世界保健機構)が警告 ヨーロッパの感染対策解除はあまりに急激すぎる!

 WHO(世界保健機構)は、フランスをはじめとするドイツ、イタリア、イギリスを含むいくつかのヨーロッパ諸国があまりにも急激に感染対策を解除してしまったことに警告を鳴らしています。 WHOによると、ヨーロッパの新規感染者数は1月末にピークを迎えた後、急激に減少していましたが、3月に入ってから一転して増加傾向にあります。感染症専門家によると、このリバウンドは、特にオミクロンBA.2亜型の優勢によって説明されるといいます。 この7日間で、WHOヨーロッパ地域で510万人以上の新規感染者と12,496人の死亡者が記録されています。「特に増えているのは、イギリス、アイルランド、ギリシャ、キプロス、フランス、イタリア、ドイツである」と指摘しています。 しかし、一方では、WHO欧州ディレクターであるハンス・クルージ氏は「今のところ警戒してはいるものの比較的楽観的に見ている」とも発言しています。 楽観的になれる理由としては、ワクチン接種の拡大による効果と、これまでの経過で爆発的に感染が拡大したために、ヨーロッパ市民にかなりの免疫がある点を挙げています。それに加えて「冬が終わるので、狭い場所に人が集まりにくくなる」という点もしています。 そして、オミクロンの変異型は、「ワクチン接種の少ない国では、依然としてリスクの高い病である一方で、ブースター投与を受けた完全なワクチン接種者にとっては重症化するリスクが低い」とも指摘しています。 しかし、現実のところ、これまで慎重な態度を取り続けてきたヨーロッパが現在のように感染対策の急激な緩和に踏み切ったのは、これまでの感染拡大回避のための規制による制限と経済復興のバランスをどう取っていくのかという面のみに注力していたことに加えて、「ウクライナ戦争による混乱」が加わり、正直、戦場はウクライナであるものの、いつ具体的な火の粉がふりかかるかもしれない地理的、政治的な関わりや、ロシアへの経済制裁の煽りからの急激なインフレ、数十万単位で押し寄せてくるウクライナからの難民や、ついには核兵器がつかわれるかもしれない恐怖は、ヨーロッパの人々にとっては、コロナウィルス以上のものであるという現実なのです。 その結果が、この急激な感染対策緩和につながっているのですが、WHOとしては、おそらくヨーロッパの立場があまりピンときていないことから生まれるこの警告。 ヨーロッパのコロナウィルス感染状況を鑑みれば、この感染対策規制の緩和は、客観的には、あまりに急激で唐突なものであるに違いありませんが、ある程度は、感染は増加しているものの、ピークは超えたと思われるコロナウィルスへの対応が少し緩くならざるを得ないのかもしれません。 ワクチン接種に加えて、ヨウ素剤の準備などが行われるなか、ヨーロッパは、コロナウィルス感染対策に加えて、経済復興、戦争への対応という3つのバランスをとりつつ進んでいかなければならない結果がになっています。 このバランスが多少、崩れていることは事実で、ワクチンパスやマスク着用義務を撤廃する一方で65歳以上の4回目のワクチン接種を開始。このアンバランスさにフランス政府の焦りも感じられます。 とはいえ、コロナウィルスは、戦争でさえ容赦はしてくれないもの、少しでも気を緩めれば、またこの戦時下に再び新しい感染の波を迎えないとは言い切れず、ここは、冷静にどちらも対処してもらいたいものだと思っています。WHO警告 ヨーロッパ感染対策規制解除 ヨーロッパ感染増加<関連記事>「フランスHAS(高等保健機構)4回目のワクチン接種を65歳以上に推奨」「マスク着用義務撤廃とフランス人の同調圧力」「80歳以上の人々に4回目のワクチン接種開始とマスク義務化解除の矛盾」「フランスのコロナウィルス感染リバウンド傾向に警鐘」「在ウクライナ...