2020年10月9日金曜日

コロナ禍中のフランスの歯医者 ①

 


 以前に治療してもらった歯がぐらぐらしているのが、ず〜っと気になっていました。しかし、ロックダウンから・・、ロックダウンが解除された後も、このコロナ渦中、他の病院はもちろんのことですが、口の中を扱う?場所である歯医者さんに行くことは、なんだかちょっと腰が引けていたのです。

 もう今の家に引っ越して以来、15年以上通い続けている近所の気心の知れたサバサバしている素敵な女性の歯医者さんですが、やはり、歯医者さんであることには、変わりなく、まあ、せいぜいお世話になるのも2〜3年に一度くらいで、できればお世話になりたくない歯の治療・・おまけに歯の治療は、なかなかの出費、保険である程度カバーされるものの、結構な金額になることを思うと、ますます足は遠のきがちになり、いつも、どうしようもなくならないと行かないのです。

 ぐらぐらしていた歯がなんとか持ちこたえてくれていたのに、この感染拡大の第2波の波がグングン大きくなってきてしまった今になって、とうとうポロっと落ちてしまったのです。

 奥歯なので、目立ちはしませんが、奥歯が一本ないだけで、口の中は、荒れ始め、食べることが大好きな私にとっては、口の中の不具合は、この上なく不快でたまりません。

 仕方なく、意を決して、予約を入れて、とうとう歯医者さんに行ってきました。



 入り口には、もはや見慣れたマスク着用義務のステッカーがドーンと貼られ、歯医者さんも助手の人も重装備、マスクにフェイスシールドをしています。(考えてみれば、歯医者さんはいつもマスクをしていますが、フェイスシールドが追加されています)

 室内に入るとすぐに非接触式の体温計で体温のチェックをされて、待合室に入りました。いつもは備え付けられているミネラルウォーターやゴミ箱、雑誌類などは、全て撤廃されていて、待合室で人と出会わすこともありませんでした。

 少しして、診察室へ案内されると、プラスチックの身体を覆うガウンと頭にかぶるキャップをつけてくださいと言われ、マスク、セキュリテソーシャル(健康保険)のカード、支払い用のカード、携帯電話以外の荷物は、お預かりしますということで取り上げられ、少々、心もとない気分で治療が始まりました。

 面倒なことをと思いつつも、これだけ衛生管理に気を配っていてくれることは、やはり安心でもあります。

 しかし、いつも思うのですが、歯医者さんというのは、治療中で、こちらが口を開けているというのに、なぜ話しかけるのか?と思います。こちらは、口を開けたままで、おまけに麻酔を打たれて、口が腫れたような感じで、痛みに耐えながら、もう、おしゃべりどころではないのです。

 顔をライトに照らされて、時々、薄眼を開けながら、痛みに耐え、あの歯の治療独特のギ〜んという音をなんて嫌な音なんだろうと思いながら(あの音がしない機械ができないものかといつも思います)身を硬くして、意識は、半分、遠い感じで、ライトに照らされている歯医者さんの腕に光るブレスレットがキラキラ光って、キレイだな・・などと、ぼんやり思いながら、ひたすら早く治療が終わるのを待っているのです。

 レントゲンを撮ったり、歯の一部を削ったりして、1回目の治療は終わり、全身ぐったり・・支払いのカードの機械の調子が悪く、午後に支払いに来てくれないか?と言われましたが、そのためにまた、出向くことはあまりにバカらしく、こちらの不備でもない事から、次回に今回の分も合わせて払うことにしてもらいました。

 治療が終わって、次回の予約を入れるときに、お医者さんに「ロックダウン中はどうしていたの?」と聞くと、3月半ばから2ヶ月間くらいは、閉めていた・・と、しかし、彼女は、たたみかけるように、「でも、今度、ロックダウンになっても、もう、うちは、閉めないわよ!なぜなら、今は、もう、どうやって、感染回避をできるかがわかっているから・・」と、強めに宣言していました。

 たしかに、病院だってやっているんだから、感染対策さえ万全にすれば、営業は可能なのです。

 そして、私は、着せられていたプラスチックのガウンと頭に被っていたカバーを外して、それを返して診察室を出ると、ちょうど、次の患者さんがやってきたところでした。そこで、私は、思わず、絶句、ちょっと前まで私が来ていたガウンと頭にしていたカバーを次の患者さんに身に着けるように促したのです。

 もしかして、感染回避のために着せられていたプラスチックのガウンと頭のカバーは使いまわしだったのでしょうか??? こういうものは、普通、使い捨てではないのでしょうか??

 最後の最後に不安にかられながら、家路に付き、帰ってからも、それが気になって仕方ありませんでした。念の為、歯医者さんに着て行った服は全て洗濯しながら、次回に行った際に、ガウンを着るように言われたときには、それが使い回しではないかどうか、しっかり確認しなければ・・と、強く思ったのでした。

 これだから嫌だ・・フランス人の衛生観念・・全く、気が抜けません。


<関連>「ロックダウン解除・約5ヶ月ぶりで、かかりつけの医者へ」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_5.html

 


2020年10月8日木曜日

災難続きのフランス アルプ・マリティーム県の大洪水の大被害

 

 Image        

 先週末に起こった暴風雨の被害により、フランスのアルプ・マリティーム県(プロヴァンス・アルプ・コートダジュール地域圏)は、55の市町村が壊滅的な被害を受けています。

 これまでに4名の死亡者が発見されており、行方不明者も多数いる模様です。

 家が崩壊し、住居を失い、停電状態が48時間続き、水や食料の供給も滞り、地域の人々は、不安に震える日々を過ごしています。

 大規模な洪水が起こり、家が崩壊したり、流されただけでなく、墓地までが決壊し、暮石だけでなく、壊れた棺までが流されてきた光景に、これまでの人生で見たことのない光景だったと村の人々は恐怖の体験を語っています。

 フランスは、土葬の文化のため、遺体の入った棺が流れてくる光景は、衝撃的なものに違いありません。この洪水により、墓地に埋葬されていた150体が流されました。

 家が流され、電気も食料もない中、棺までもが流れてくる光景、もはや、コロナウィルスだマスクだなどとは、言っていられない壮絶な状況です。

 昨日は、マクロン大統領も被害を受けた地域の中で最も壊滅的な状態にある3つの市町村を訪れ、被害に遭った人々と直に接し、地元の住民の話を受け止めていました。

 マクロン大統領に間近で対面し、「家も財産も何もかも失った人の気持ちがわかりますか?私たちを見捨てないで・・」と、半泣き状態で訴える女性に、マクロン大統領は、「私たちは、絶対にあなたたちを見捨てません。救済に当たってくれている全ての人々の連帯に感謝します」と語りかけていました。

 コロナウィルスだけでも、精神的にも疲弊している状況に加えて、この自然の大災害。このような自然の大災害を見るたびに、底知れぬ自然の力に脅威を感じます。フランスには、地震はありませんが、洪水の被害は、度々、起こります。とはいえ、これほどまでの大洪水は、なかなかありません。しかもコロナの蔓延する状況下で・・。

 山に囲まれたこの地域は鉄道も道路も分断され、食料などの物資の支給もヘリコプター、電気もなく、食料が運ばれてくるヘリコプターをひたすら待ち、配給を列に並んで待たなければならない生活を強いられることになったこの地域の人々。

 いつか、東日本大震災が起こった時に、周りのフランス人がフランスでこんなことが起こったら殺し合いが起こるかもしれないと言っていたことを思い出しました。災害には、あまり免疫がなく、ストレスに弱い、我慢が苦手な人々の精神状態も心配です。

 マクロン大統領は、同時にこの地域の復興に1億ユーロを用意することを発表しました。このコロナウィルスで逼迫している経済状況の中、追い討ちをかけるような大出費です。

 今や、フランスのコロナウィルスの感染拡大は、誰もがこれが第2波であると認めることを躊躇わない感染状況、昨日の新規感染者数は、とうとう1万8千人を超え(18746人)、もはや、数字の感覚がマヒしてくるような数です。

 イル・ド・フランス(パリ近郊地域)の病院の病床の40%以上はコロナウィルスの患者で占められている状況、検査陽性率は9.1%にまで上昇しています。つい数日前にパリが最大警戒地域に指定され、さらに厳しい規制が敷かれたばかり、この規制の効果が表れるのには、少なくとも2週間は様子を見なければなりませんが、それを待たずして、さらに厳しい規制が追加される可能性も出てきました。

 コロナ、火災、テロ、デモ、大洪水と、人災も天災も含めて、これでもかというくらい災難続きのフランス、本当に大丈夫だろうか?と不安が募ります。


<関連>

「災害に免疫のないフランス人がパニックになり、アジア人全体を傷つけている」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/02/blog-post.html









2020年10月7日水曜日

OSHIBORI - 日本のおしぼり文化がフランスにやってきた!

 

   


 コロナウィルス感染による経済の停滞が著しい中、明らかにコロナをターゲットにした商売も登場しています。

 ここ数日前からフランスのテレビコマーシャルに登場し始めた「OSHIBORI CONCEPT(おしぼりコンセプト)」のCMには、突如、テレビから聞こえてきた「おしぼり」という言葉に、「ん・・???」「なに・・???」「今、おしぼりって言ったよね・・聞き違い?? いやいや、おしぼりだ・・」と、思わず、二度見してしまいました。

 ゴールド、シルバー、ブラック、ホワイトのパッケージに香水の香りづけのされた高級イメージのおしぼり・・(いやいや実際に高級、高価です)おまけにコマーシャルの最後には、なぜか、made in france というナレーションが入ります。

 これを、フランスのテレビでコマーシャルを流して、一体、誰向けのコマーシャルなのだろうか?と思います。

 このおしぼりは、99.9%以上の細菌やウィルスを除去する抗菌性を売りにしており、現在、消毒といえば、もっぱらアルコールジェルが使われているフランスで、日本で言うところの除菌シートをすっ飛ばして、いきなりこの高級路線の OSHIBORI には、ちょっと驚きますが、おそらくターゲットは、一般大衆向けではなく、サイズやパッケージなどもカスタマイズができるとしているので、高級ホテルやレストランなど向け、あるいはフランスでもブルジョア階級向けと思われます。(この会社もパリ16区にあります)

 お値段も、1パック(50包入り)90ユーロ(約12000円)となかなかなもので、現在、厳しい営業制限が敷かれて、売り上げが激減している一般のレストランなどで、アルコールジェル以上に経費のかかる OSHIBORI (おしぼり)が使用されるとは思えません。

 また、この製品に、OSHIBORI という日本語が使われていることもとても興味深く、なんだか日本人の私としては、ちょっと嬉しい気持ちです。

 日本のレストランでのおしぼりは珍しいことではありませんが、ここへ来て、改めて、日本には、おしぼりという日本独特の文化があったんだ・・これも日本人の身を清潔に保つ衛生的な習慣の一つだったことを思い出しました。

 「おしぼり」という日本語を使ったネーミングがフランス人に覚えやすいネーミングであるかどうかは疑問ですが、日本に対するリスペクトが感じられるこのフランスの OSHIBORI の行方が気になります。

 いっそのこと、この  高級な OSHIBORI made in france は、日本へ輸出した方が売れたりするかもしれません。

 しかし、一般的には、ケチなフランス人にこのおしぼりが浸透するとは考えづらく、今ではあちこちに設置されているアルコールジェルを使うことはあっても、ポケットティッシュなどのティッシュペーパーでさえも、一度、鼻をかんでも、ポケットにしまって、再び使うフランス人が、このおしぼりを有効に使えるとは信じ難いのです。

 

<関連>「フランスのゴミの収集 フランス人の衛生観念」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/02/blog-post_6.html

2020年10月6日火曜日

最大警戒地域に指定されたパリ レストランは新しい衛生基準で営業する



 とうとうパリ市及び、周囲3県(オー・ド・セーヌ、セーヌ・サン・ドニ、ヴァル・ド・マルヌ)が最大警戒地域に指定されました。むしろ、先週の段階でマルセイユやグアドループが最大警戒地域に指定された時点で、なぜ、パリが指定されないのか? 疑問なくらいだったので、パリの住民も、恐らく、そのこと自体に驚いた人はいないと思います。

 これにより、1000人以上のイベントが禁止となり、公道、公園等における10人以上の集会の禁止、スポーツジム、プール、カフェ、バー、ディスコの閉鎖されます。(展示会、見本市、サロンなども禁止)

 今回のパリの様々な制限措置の特徴の一つは、大学、大学生についての措置です。これは、現在のイル・ド・フランス(パリ近郊)の 203件のクラスターの40%が学校、及び大学が起源となっていることによります。これにより、大学の授業の参加は、50%に制限されます。(これまでにリモート授業になっていなかったことが驚きですが・・)

 パリの住民10万人あたりの発生率は200を超えていますが、ウイルスが最も活発に循環しているカテゴリーである20〜30歳の年齢層では500を超えています。若者がいかに感染を広げているかがわかります。この数字を受けて、今回は、これまでの規制の上に、特に若者に対しての規制(大学生のパーティー、夜の外出禁止など)が加えられています。

 夜22時以降のアルコールの販売、路上での飲酒も禁止です。夜、若者が飲んで歌って大騒ぎしていましたが、それも禁止されます。当然です。

 恐らく、今回の規制の中で、一番、注目されていたレストランの営業については、前回、一足先に最大警戒地域に指定され、営業禁止(レストラン・バー)となったマルセイユで大反発が起こったこともあり、今回の規制では、パリでは、最大警戒地域となっても、1テーブル最大6人、客の連絡先記録、席での支払い、立食い禁止等の衛生基準を満たしていれば、レストランは営業が許可されることになりました。

 これがもし、前段階でのマルセイユの営業停止の措置がなければ、パリのレストランでのこれらの衛生管理に関する規制には、もっと反発があっただろうと思います。マルセイユの例を見て、よもやパリのレストランも営業停止では・・と多くの人が案じていたところに条件付きではあれ、営業許可が出て、もはや、営業停止よりはマシ・・と、思っているのか、今のところ、それほどの反発も聞こえてきません。

 特に客の連絡先の記録に関しては、フランスでは、客の側もスンナリと受け入れる人ばかりではなさそうですが、そこは、レストラン側もそれをやらなければ営業できないとなれば、何らかの対策をとって、何としてでもやっていくと思います。

 そもそも、ヨーロッパの中でも、ドイツやベルギーなどでは、レストランの利用客の連絡先の記録は、すでに行われていることで、それほど難しいことではないように思いますが、フランス人の国民性から、今のこの逼迫した感染状況にまでならなければ、受け入れられにくいことだったかもしれないとも思います。

 何かにつけて、とりあえず反抗する、この連絡先の明記にしても、プライバシーだの何だのと文句をつけるフランス人が目に浮かぶようです。しかし、今回ばかりは、レストラン側も後には引けないので、ゴネる客がいても、何とか説得するでしょう。

 フランス人は、何か新しいこと、例えば、こうすれば、もっと便利になるのに・・とか、もう少し工夫してみれば・・などと新しいことを提案したりしても、すぐに、「セ・コンプリケ!(ややっこしい!)」と却下しがちです。そんなに複雑だと思えないことでも、すぐに、「セ・コンプリケ!」・・。

 彼らは、習慣を変えることが嫌いで、いちいち抵抗します。とにかく自己主張することを美徳とするフランス人にとっては、抵抗することが彼らのプライドを支えているかのようです。

 今回のコロナ対策では、習慣を変えなくてはならないことがたくさんで、フランス人には、新しく対応しなければならないことがたくさんあって、(別にフランス人だけに限ったことではなく、どこの国でも新しい生活を強いられているのですが・・)、一見、言いたいことを言って、ダイナミックに見えても、基本、保守的なフランス人には、ことのほか厳しい事なのかもしれません。

 しかし、ロックダウンまでして、せっかくおさまりかけていたコロナウィルスの感染をまた、悪化させてしまったのも彼ら自身、ダメな学校の校則がやたらと厳しくなるように、フランスでの規制もどんどん厳しくなっていきます。

 しかしながら、感染が悪化すれば営業停止、少し改善すれば、また営業・・を繰り返していれば、このサイクルは永久に続いてしまいます。なんとか、この厳しくなった規制に順応して、この悪循環を断ち切ってほしいものです。

 現在のところは、本来なら、特別に規制しなくても、自主規制ができるはずのことですが、規制されなければできない、ちょっとデキの悪い子供のようです。

 この新しい規制のもと、フランス人もこれからコロナと生きる新しい生活に少しは慣れるようになって、「やれば、できる子なのよね・・」と言えることができるようになってくれればいいなと思っています。

 それでも、この感染下で、経済活動が少しでも止まらないように、会社はリモートワーク推奨に留められています。

 これらの規制は5日から、とりあえず15日間、10月19日まで続けられます。

 

<関連>「フランス人のプライド」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_6.html




2020年10月5日月曜日

どんなことがあっても、東京オリンピックやるの???



 

 「とにかく、どんなことがあっても来年は必ずやります」IOCとの共通の認識の上での発言なのかどうかは、わかりませんが、日本のオリンピック組織委員会は、来年に延期された東京オリンピックを是が非でもやろうとしているのには、思わず失笑してしまいます。

 少なくとも、今のフランスの状況、世界の状況から考えたら、あり得ないことです。フランスでは、毎日、1万人以上の新規感染者を記録し、経済に余裕があれば、ロックダウンをするであろう状態、ニューヨークのブルックリンやクィーンズの一部地域では、再び学校閉鎖や一般企業の営業停止の措置が取られているそうです。

 こんな世界の状況で、おそらく、多くの日本人も来年のオリンピックは無理だと思っていると思います。オリンピックを絶対にやる!と言っているのは、JOCの一部でしょう。

 ワクチンが開発されたとしても、その安全性の確保には時間がかかり、来年の夏のオリンピックには、有効とも思えません。

 日本の今のコロナウィルスの感染状況がここまで抑えられているのは、日本の日頃からの衛生観念の高さや独特な国民性によるところが大きいのです。もしも、日本だけでオリンピックを開催するならば、それは、可能なことかもしれませんが、それは、オリンピックではありません・・つまり無理です。

 衛生管理を日本人が担うとしても、どう考えても日本人レベルの衛生観念を外国からの観客やマスコミに向けて強制して統制管理を敷くことは、生半可なことではありません。

 外国人をなめてはいけません。

 以前、父が介護施設に入居する際に、日本で施設を下見に行った時にはすでに、入り口では、必ず手を洗い、アルコールジェルでの消毒が義務付けられていて、職員のほとんどの人はマスクをしていて、施設内は、ピカピカに掃除されていて、「そこまでするの??」とびっくりしたことがありました。コロナウィルスの影も形もないずっと以前のことです。

 今から思い返すに、現在のコロナウィルスが蔓延している状況でさえ、恐らくフランスの介護施設などは、あそこまで清潔な感じはないと思います。

 日本に行くと、どこも清潔で、駅も地下鉄もピカピカで、眩しく感じられるほどです。日頃、駅によってはアンモニア臭の漂うような国で暮らしていると、日本の清潔さが眩しくさえ感じられるのです。

 そのうえ、その悪臭漂うところを歩いた土足のままで家に上がったり、地べたに座り込んだりするのが当たり前の日常で、考えてみれば、コロナで衛生管理がされている今でさえ、フランスでは、日本の通常の(コロナ以前の)衛生状態以下かもしれません。

 おまけに規則があっても、罰則、罰金がなければ、多くの人は守りません。興奮すると手がつけられず、すぐにお祭り騒ぎになるラテン気質爆発で、飛沫を飛ばしまくります。

 ヨーロッパの中でもフランスは、特に感染状況が最悪ですが、衛生観念の欠如は、日本のそれとは、大きく隔たりがあることではヨーロッパは大概、共通しています。そんな外国人が大量に日本になだれ込み、世界中の人が集うオリンピックは、今の段階では、大きなクラスターになる可能性を含んでいます。

 現在の感染状況で、オリンピックのために入国する大量の外国人の統制は、簡単なことではありません。

 逆に言えば、日常から皆が清潔で、マスクをし、除菌シートを持ち歩き、皆が規則をきっちり守り、しかもお互いが監視しあう日本は、まさにコロナウィルス感染回避に最高の習慣をもち、同時に、かなり特殊な国であるとも言えます。

 今年のオリンピックを延期するときに、思い切って、なぜ4年後に延期しなかったのか? 安全性を確保するためには、4年に1回のオリンピックの1回分をすっ飛ばして、4年後の開催でギリギリなのではないか?と私は思っています。

 むしろ、海外では・・少なくともフランスでは、オリンピックの話題などは微塵も上がっておらず、こんなときに、何が何でも来年はオリンピックをやる!などと言っているのは、世界の状況が見えていないようで、恥ずかしい気がしています。



<関連>

「コロナウィルス対応 日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、衛生観念はやっぱり凄いなと思う」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_28.html


「世界は、オリンピックどころではない 日本人は、世界のニュースを見るべき」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_21.html


 

2020年10月4日日曜日

フランスのコロナウィルス感染に関するCNNのニュース

 


 昨日、「仏パリの感染状況が悪化、来週初めにも全面封鎖の恐れ」というCNNのニュースが流れてきて、「・・・???なんだ?これ???」と、思ったのです。

 そのニュースには、「フランス政府は、 首都パリで新型コロナウィルスの感染状況が悪化しているとの認識を示し、来週初めにも再びロックダウン(都市封鎖)の措置が講じられる可能性がある」と書いてありました。

 フランスの感染状況が悪化しており、特にパリの状況の悪化が著しいことも事実で、感染者が10万人あたり250人に達すれば、最高警戒レベルと定めた基準や、パリがその基準値を超えてしまったのも事実です。

 しかし、そのニュースで最もインパクトのある「来週初めにも全面封鎖の恐れ」というのは、違います。保健相であるオリヴィエ・ヴェランからは、感染状況が、深刻な状況であることは、発表されていましたが、むしろ、最高警戒レベルに定めた場合に営業禁止としていたレストランやバーなどを、より厳格な衛生管理規制を敷くことで、一部あるいは、全面営業できるような方法を検討中であるという内容でした。

 しかし、週末の感染状況を踏まえて、来週からパリをはじめとした感染の悪化している地域に対して最高警戒レベルとして規制をどう敷くかについては、慎重に検討するとして、後日、発表されることになっていました。

 この発表の内容から、なぜ?「全面封鎖」とか、「ロックダウン」という報道になるのか?どうして、そんなに飛躍した記事になるのか? 全くわかりません。

 CNNといえば、誰もが知っているアメリカのメディアで、影響力の大きなメディア。まさか、このような、いい加減な報道が流れていることに驚いたのです。

 今回のニュースに関しては、たまたまフランスに関してのニュースで、私は、こちらの報道で、オリヴィエ・ヴェラン保健相の記者会見も見ていたので、その報道がおかしいことに気づきましたが、全く知らない人がこのCNNのニュースを見たら、「えっ??そうなの・・」と思ってしまいます。

 マスコミには、フェイクニュースもたくさんあり、全て信用できるものだとは、思っていませんが、これまで、ある程度のビッグネームの媒体からのニュースならば、ある程度は、信用できるものだと思ってきましたが、今回のこの報道で、このニュースソースの信憑性が私の中では、ガタ落ちです。

 来週からのパリは、取り敢えずは、レストランやバーが営業停止、あるいは、営業制限がかかることはあっても、全面封鎖、ロックダウンになることは、あり得ないと思います。

 しかしながら、フランスの感染状況は深刻で、昨日の新規感染者は、16972人、過去最高を記録し、PCR検査の陽性率は、7.9% 、一週間で4087人が入院し、そのうちの849人が集中治療を受けています。

 この数字だけ見たら、よもや「全面封鎖」「ロックダウン」と思っても不思議ではないとは思いますが、そう単純には、いかないのがフランスの現状です。


<関連>迷走するフランスのコロナウィルス対応」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/10/blog-post_2.html

2020年10月3日土曜日

コロナウィルスの死亡者数にカウントされないコロナの犠牲者

 


 フランスもここまでコロナウィルスの感染者が増えると、さすがに身近なところでも誰かしらコロナウィルスに感染したという話をよく聞くようになりました。本人でなくとも、家族や親戚、友人など、どこかしらに感染者がおり、犠牲者の話も聞きます。

 しかし、犠牲者は、コロナウィルス感染者だけではないという話を身近な友人から聞きました。

 友人の連れ合いの妹さんが亡くなったというので、この時節柄?もしかして、コロナウィルスで?と聞くと、癌だったのだそうです。

 ところが、この彼女の場合は、コロナウィルスとあながち関係ない話でもなく、コロナウィルスのために手遅れになった話です。

 彼女は2年前に癌の手術を受けていました。その後、仕事にも復帰し、旅行をしたり、日常どおりの生活を送っていましたが、同時に不安の残る、首から鎖骨にかけての部分的な放射線、抗がん剤等の治療も続けていました。

 コロナウィルスが蔓延し出してからは、彼女は、2年前に手術を受けたり、放射線治療を受けたりしていたことから、かなり感染に注意した生活を送っていたそうです。

 しかし、彼女は、ロックダウン中に発熱し、その状態が数日、続いたためにコロナウィルス感染が疑われ、PCR検査を受けました。しかし、結果は陰性で、コロナウィルスには感染していないことがわかりました。

 病院では、コロナウィルスで手一杯な状態で、コロナウィルスに感染していなければ、まるで病気ではないような扱いで、ただの発熱など問題にされず、彼女の発熱の原因を追求するための検査は、行われず、そのまま彼女の容態も一進一退を繰り返していました。

 実際に、具合が悪い中、あの医療崩壊を起こしていた病院に出向くことも躊躇われただろうし、病院の方でも、とても他の検査など受けられられる状況ではなかったのです。

 いつまでも、スッキリしないどころか、彼女の体調は、どんどん悪化していき、体重も減少し始めて、再度、医者にかかった時には、「余命は、あと一週間です」という状態。

 彼女はあっけなく、一週間後に亡くなりました。55歳でした。彼女の娘はバカロレアの試験を控えた年齢、今年はバカロレアの試験は行われませんでしたが、わけのわからないうちにあっという間に母親を亡くしたショックは計り知れません。

 これは、マスコミのニュースには、上がって来ない話ですが、このような例は、きっと、たくさん起こっている話なのだと思います。どこにも持って行きようのないこの憤りに遺族は、未だに打ちひしがれています。

 コロナウィルスで亡くなった場合は、葬儀も不可能な状態でしたが、彼女の場合は、大々的にではないにせよ、葬儀はひっそりと執り行われたそうです。まだ現役で、しかもエネルギッシュに仕事以外の活動にも幅広く顔を出していた彼女の葬儀は、およそ彼女に似つかわしくない寂しいものだったそうです。

 毎日、コロナウィルスでの死亡者数は、公に発表されていますが、実のところは、その数字には、カウントされない、本来ならば、助かるはずだった命が失われていることを忘れてはなりません。


<関連>

「コロナウィルスによる医療崩壊の事実と社会の崩壊の危機に直面するフランス」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_23.html