2020年8月28日金曜日

とうとうパリ全域マスク着用義務化・新規感染者6000人超え

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 フランスのコロナウィルスの感染状況は、8月の一ヶ月間で悪化の一途を辿っています。

 すでにレッドゾーンに指定されていたパリ(イル・ド・フランス)とブーシュ・ド・ローニュ(フランスのプロバンス・アルプ・コートダジュール県)に加えて、セーヌサンドニ、ヴァルドマルヌ、オードセーヌ、セーヌエマルヌ、エソンヌ、ヴァルドワーズ、イブリーヌ、サルト、ローヌ、ジロンド、オートガロンヌ、エロー、ガール、ヴァール、アルプマリティーム、グアドループ、マルティニーク、ガイアナの合計21の地域がレッドゾーンに指定されました。

 7月末には、1000人前後だった一日の新規感染者数は、2000〜3000とどんどん増加し、昨日、6000人を突破、6111人という4月以来の驚異的な数字を記録しました。なんと一ヶ月で6倍です。

 ことにここ2週間ほどは、3000を超えた・・4000を超えた・・と桁が変わっていくインターバルがどんどん短くなっていて、あれよあれよという間に6000を超えてしまいました。

 この数字の上昇の速さは、もはや猶予がない感じで、先日、8月18日の段階で、会社内でのマスク義務化が9月1日から施行されることが発表されたばかり。その時点でも、会社内でのクラスターがかなりの割合を占めている(追跡がしやすいことから、このような結果が出ているとも考えられる)のにも関わらず、なぜ、9月まで待つのか? なぜ、すぐに義務化しないのか? と思ったものです。

 8月18日あたりは、新規感染者の数字は3000〜4000を行ったり来たりしていたのですから、その時点から考えても2倍近くになっているのです。

 その間にも、数字はグングン上がって、パリでも地域によっては、屋外でもマスクが義務化されていましたが、それも一歩違う通りに出れば、OKとか、わかりにくい中途半端なもので、その間には、多くの人がバカンスで国内を行き来し、サッカーのマッチに熱狂し、感染拡大しない方が不思議な状態が続いていました。

 だいたい、フランス全土をマスク着用義務化したところで、絶対に従わない一定の人がいるわけで、厳しすぎるくらいでちょうどいいのです。「ロックダウンの時は我々は、よく頑張った」と、いつまでも言っている彼らには、いい加減、「いつまで言ってんだよ!」と突っ込みたくなります。

 つい、昨日までは、感染状況の悪化が著しいマルセイユとパリのせめぎ合いのようなやりとりがあり、マルセイユ側もパリ側も、「おまえの方が死亡率は高いじゃないか!」「いやいや、おまえの方が感染率が高いじゃないか?」などという言い合いをしていて、「おまえら、子供か!」と言いたくなるようなやりとりに、情けない気持ちで彼らの喧嘩を見ていました。

 そうしている間に、すでにイギリス、ドイツ、ベルギーなどの周囲のヨーロッパからは、フランスへの渡航制限が発表され、結局は、グズグズしているフランスは、外堀から埋められた形になっています。

 さすがに新規感染者が6000人を超えて、パリ全域はマスク義務化、しかも翌日の朝、8時からという急激な統制に踏み切りました。

 今回、レッドゾーンに指定された地域は、フランス国内でも南仏やボルドーなど、パリの人々が多くバカンスに出かけている地域です。来週には、9月に入り、バカンスに出ていた人も皆、パリに戻ってきます。そうなれば、断然、パリが感染状況最悪の状態に陥ることは、必須です。

 いい加減、腹をくくって、「マスクぐらいしろよ! ロックダウンよりずっとましだろ! いつまで甘いこと言ってんだよ!」と言いたいくらいです。


<関連>

「マクロン大統領の勝利宣言・ロックダウン解除第3ステージ突入・「俺たちは、よくやった」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_15.html

 






2020年8月27日木曜日

コロナ以来、初めての病院 フランスの医療システム

      


 先日、明け方に自分の部屋で、寝ぼけ眼で、何かを思いっきり蹴っ飛ばして、足の指を負傷して、翌日、どす黒く腫れ上がり、これは、ヤバいと思って、検査のための予約を取ろうとしたら、病院がバカンスで休みで、ようやく病院のバカンス明け?に予約の電話を入れました。

 最初にかけた時には、まだ、バカンス中と同じテープが回っていて、「でたでた・・これだよ・・フランス・・」と思いながら、数時間経ってから、再度、電話をしたら、ようやく繋がって、幸いにも思っていたよりも早く、2日後に予約が取れて、コロナ以来、初めての病院へ行ってきました。

 当日の朝、うっかり軽装で外に出たら、思いの外、涼しくて、あれ?上着を羽織ってくるべきだった・・と思いながら歩いていると、気温への服装の対応の素早さは、フランス人の特技・・皮のジャケットをきている人もちらほら・・そんなところは、いち早く対応できるフランス人はすごいなぁといつも季節の変わり目には思います。

 さすがに病院だけあって、さすがのフランスでもマスク率は120%、マスク+フェイスシールドまでしている人もいました。普段、かかりつけの医者には、わりと頻繁に行くものの、病院といえば、かなり久しぶり、改めて老人の多いことに驚きます。フランスは少子化ではないものの、高齢者もなかなか多い国なのです。



 恒例の親に付き添っている中年の女性もちらほら・・私も日本に帰国時には、母の時も父の時も病院に付いて行ったなぁ・・フランス人もわりと親の面倒を見ているんだなぁ・・などと思いながら、受付をすませ、順番を待っていました。

 日本の病院は、通院の患者さんは、皆、びっくりするほど身ぎれいに小洒落た格好をしていたのに、驚いたけれど、フランスでは、いたって普通です。

 考えてみれば、普段はあまり縁がないと思っていた病院も、主人が何回か入院したり、娘が突然、奇病にかかってあわや入院か?ということもあったし、私自身も会社の階段から落ちて怪我した時や、家で縄跳びをしていていつの間にか骨折していた時、友人がガンで入院していた時には、お見舞いにも何回か行ったし・・そこそこ病院には、お世話になってきたのです。

 フランスは国民健康保険システムがしっかりしているので、今さらながら本当に助かっています。その上、多くの人は、Mutuelle(ミューチュエル)といって、国民健康保険だけではカバーしきれない医療費をカバーしてくれる保険にも入っているので、例えば、今回の私のような突然の怪我(病気)などでも、ほぼ自己負担はなく、保険が全てカバーしてくれます。

 以前、私の友人がガンにかかった時に、彼女がミューチュエルには、入っていないと聞いて、長い入院、大きな手術など、どうするの???と、ひっくり返るぐらい驚いたけど、フランスでは、ガン治療に関しては、(特殊な医療に関しては対象外だと思うけど)100%、国が負担してくれることを知って、なんとまあ、太っ腹な国だと感心しました。

 フランスは、問題も多々ありますが、弱い人には、優しい国なのです。

 今回のコロナウィルスの検査に関しても、全て、無料です。

 話は、逸れましたが、私の足の指のレントゲンは、珍しく、時間も、ほぼ予約時間どおりで、(まだまだ、バカンスから戻ってきていない人が多くて、いつもよりは空いていると思われます)あらゆる角度から何枚も撮ったにもかかわらず、ものの10分ほどで終わり、結局、私の足の指は、骨折はしておらず、しばらくおとなしくしていれば、大丈夫なことがわかりました。

 やはり、どこかホッとしつつも、いくら、保険がカバーしてくれるとはいえ、痛い思いをするのも嫌だし、現時点で病院通いは、リスクが大きいので、これからさらに、気をつけて暮らしていかなければ・・と、肝に命じた一日でした。




              病院に飾ってあったピカソの絵


<関連>「海外生活中、もし、ガンにかかったら、あなたは、日本に帰りますか?」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_30.html


「バカンス中の怪我」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/08/blog-post_23.html

2020年8月26日水曜日

コロナウィルスのためのキャンセル料金 ANA変更手数料無料の航空券販売

 


 ANA(全日空)が、「新型コロナウィルス感染拡大に伴い、ご予定の見通しが立たない場合でも安心して航空券をご購入いただけるように、2020年8月25日から、2020年12月31までにご購入いただいた航空券は手数料無料で何度でも変更を承ります」という航空券販売を開始しました。

 これは、今のところ、欧州発日本行き(ロシア・イスラエル発を除く)のフライトが対象のようですが、渡航先にもよりますが、現時点での渡航は、移動自体がリスクが大きく、色々と到着後にも行動制限があるために、だからといって、そう簡単に予約を入れるかというと、それもなかなか難しいかもしれません。

 しかし、少なくともチケットの変更が何回でも可能で、手数料がかからなければ、少しはハードルが下がるかもしれません。このニュースを聞いて、一瞬、「あ〜これは良い!」と思いました。

 しかし、よく読んでみると、変更後の航空運賃が予約時よりも高い場合は、その差額は請求されるとのことで、季節や曜日などによって金額が異なる航空運賃の場合、当然といえば、当然なのですが、直前に買うチケットが高いことなどを考えれば、変更した場合は、差額を払うことになるのは、ほぼ確実で、よくよく考えれば、良いのか悪いのか、なんだかよくわからなくなりました。

 コロナウィルスのパンデミックにより、多くの人が渡航を中止したり、延期したりして、キャンセルせざるを得ない状況に追い込まれたと思いますが、例に漏れず、我が家も娘が6月からイギリスの大学にスタージュに3ヶ月行く予定でしたので、早くからユーロスターや宿泊施設の予約を入れていました。(早くに取れば、それだけ安いので・・)

 しかし、結局、スタージュはリモートで3ヶ月間行われ、今週末には、終了します。当然、ユーロスターも宿泊施設もキャンセルしたのですが、宿泊施設は、全額返金しますとの回答ながら、2ヶ月以上たった今も返金はされていません。

 ユーロスターは、キャンセルが効かずに同額のクーポンが戻ってきただけ・・そんなクーポンを返してもらったところで、いつになったら行けるかもわからず、だいたい、用事は終わってしまったので、全く役に立ちません。

 平常時ならば、ロンドンなら日帰りでも行けるくらいなので、気軽にいくらでも行けるのですが、現在、フランスからイギリスへは、到着後の2週間自粛が義務付けられているので、そうそう簡単に行くこともできないし、いつになったら、そのクーポンを使えるのか、全くわかりません。そんな場合は、当然、キャンセル、返金だと思うのに、全く腹立たしいばかりです。ユーロスターよ!セコいことしないでお金返して!

 このユーロスターの一件を考えてみれば、ANAの手数料無料で変更可能・・というキャンペーン??も、キャンセルが可能なわけではなく、あくまでも変更可能なだけ・・一見、なんだかとても便利?助かる? 感じがするのですが、ANA縛りで変更便を探さなくてはならないわけで、実は、そうでもないのではないか?と、ちょっと思っているのです。


<関連>「コロナウィルスで日本が遠くなった」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/08/blog-post_3.html


・ANA変更手数料無料の告知

 https://www.ana.co.jp/ja/eur/offers-and-announcements/promotions/nochangefee/?cid=EMMLON20200825EURAMCJP



2020年8月25日火曜日

騒ぎに乗じて暴れるフランスの暴力集団の存在 ブラックブロック

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 サッカーのチャンピオンシップ決勝戦で大興奮状態だったフランスのサポーターは、シャンゼリゼやパリ・サンジェルマンの本拠地スタジアムのある Parc des Princes(パークデプランス・パリ16区)などに、応援と勝利を祝うために集結していました。

 その騒ぎに乗じるように、パリ郊外から集まってきていた暴力集団が、シャンゼリゼ近辺の路上に止まっている車やゴミ箱を燃やしたり、ひっくり返したり、店舗を壊して襲ったり、運転手が乗っている車までに石を投げたり、棒で叩いたり、蹴ったりする大変な騒ぎに発展してしまいました。

 サッカーの試合に敗北したサポーターは、比較的、あっさりと解散したかに見えていましたが、サポーターの中に紛れていた暴力集団が大暴れしたのです。

 当日、サッカーの決勝戦の熱狂ぶりに対応して3000人の警察が動員されていましたが、むしろ、コロナウィルス対応色が強かった警察も、結果的には、これらの暴力への制圧に奔走することになってしまいました。逆にこれだけの警察官がいたにも関わらず、なぜ、これだけ彼らの暴走を許してしまったのかと疑問の声すら上がっています。

 彼らは、その暴力行為に及ぶための長い棒や発火材などを所持していたことから、明らかに最初から暴力行為が目的で、サッカーの決勝戦の騒ぎを利用したことは明白です。

 サッカーの応援、祝勝のために集まっていたサポーターも、これは私たちの仲間ではない!私たちは、ただ、サッカーのために来ていただけなのに・・と、戸惑いを隠せない感じでした。

 この日は、未成年を含む158人が逮捕(補導)され、15台の車が燃やされるなどの被害にあい、12軒の店舗が壊されました。中でも高級ジュエリーストアーのビルマ、サンドロブティック(高級プレタポルテ)、クレージュの婦人服店の被害は、甚大です。

 同一グループの犯行かどうかは、わかりませんが、フランスには、6月の医療介護者のデモの際にも、デモに紛れて大騒動を起こしたウルトラジョンヌとブラックブロックなる騒ぎに便乗して暴動を起こすグループが存在します。

 今回は、その便乗グループとともに、郊外から集まっていた大勢の未成年も触発されて暴力行為に加担したようです。

 ロックダウンや、その後もコロナウィルス感染防止のための様々な抑圧から逃れたい人々の発散にサッカーの決勝戦が利用された結果となりました。

 フランスは、現在、ヨーロッパでは、毎日の新規感染者が最も多く、ドイツからは、イル・ド・フランスとプロヴァンス・アルプ・コート・ダジュール地域が危険地域に認定されました。この感染状況では、当然だと思いますし、治安の意味でも危険です。

 フランスは、経済復興に向けて、EU圏内の行き来を可能にしたのに、結果、周りの国から、シャットダウンされる最悪の状態です。

 

<関連>

「パリ・アンヴァリッドでの介護者のデモ・1万8千人を震撼させた暴力・ウルトラジョンヌとブラックブロック」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_17.html





2020年8月24日月曜日

フランス対ドイツのサッカーチャンピンオンシップの決勝戦

  Les Champs-Élysées ce dimanche soir après le match PSG-Bayern.


 日曜日のサッカーのチャンピオンシップの決勝戦に備えて、フランス政府は、3000人の警察官を動員し、興奮するサポーター対策をしていました。サッカーの試合は、フランスで行われるわけではありません。ポルトガルで行われるにも関わらずのことです。

 よりによって、こんな年にチャンピオンシップの決勝戦まで進むとは、なんという皮肉なことと思いますが、パリ・サンジェルマンにとっては、チーム創設50年にして初めてた辿り着いた決勝戦。フランス人のサッカーへの熱狂ぶりは、こんな時だからこそ、余計に高まります。

 ニュース番組に出ている医療関係者のコメンテーターでさえ、苦い顔をしながらも、サポーターが集まって熱狂することを咎めることはせず、よっぽど嫌われたくないんだなぁ・・逆に考えれば、サポーターを押さえつけることは、大変な反感を買うことになるんだろうな・・などと、こちらも苦い顔で報道を見ています。

 政府も、前回の決勝進出決定の日の騒ぎようから、シャンゼリゼに関わらず、あらゆる場所での10人以上の人の集まりを禁止する通達を出したはずだったのに、あれは、何だったのでしょうか?

 決勝戦当日は、もうパリは、えらい騒ぎで、午後の比較的早い時間から、久しぶりに警察車両のサイレンの音が賑やかに聞こえ、夕方には、サポーターが多く集まると予想されるシャンゼリゼなどは、閉鎖されるかと思いきや、閉鎖されるのは、車の往来だけで、すでに多くの人が試合が始まる前から集まり、大興奮状態。

 シャンゼリゼや、パリ・サンジェルマンの本拠地スタジアムのある Parc des Princes(パークデプランス・パリ16区)などは、マスク着用義務取り締まりが強化されていたおかげで、ほとんどの人は、マスクはしていましたが、試合開始の3時間以上前から、大勢のサポーターが集まり完全に戦闘状態、試合前から発煙筒が炊かれていました。

 彼らのあまりの迷い、躊躇いのなさに、この時期にここまで熱狂できる何かを持っている彼らが羨ましく感じられるほどでした。サッカーへの彼らの熱狂ぶりを見るにつけ、フランス人は、完全にラテン系なんだということを改めて、思わせられます。

 試合が始まる3時間以上前から、この熱狂ぶりでは、試合が始まったら、どうなることかと思われました。これは、勝っても負けても、大変な騒ぎになるだろうと・・。

 しかし、試合は、後半に1点を入れられて、そのまま挽回することができずに、あっさりフランスは、負けてしまいました。勝利を祝うために用意されていたと思われる花火の音が我が家の近所でも聞こえていましたが、シャンゼリゼやパークデフランスには、大勢の人が集まっていたので、負けた悔しさでまた、大騒ぎになるかと思いきや、意外にも大した騒ぎにはならず、思っていたよりもずっと、大人しく、人出が減っていきました。

 なんだか、そのガッカリぶりに、意外とかわいいところもあるんだな・・と思いました。

 しかし、そんな中でも騒ぎに乗じて車を燃やしたり、店舗のウィンドーを壊したりする人もいて、検挙者も出たようです。

 皮肉なことに、ドイツ・バイエルン・ミュンヘンのチームで決勝点を入れたのは、キングスレイ・コマンというパリ・サンジェルマンのユースチーム出身のフランス人の選手でした。

 試合後のインタビューでは、パリ・サンジェルマンの選手がインタビューに答えていましたが、多くが外人のたどたどしいフランス語が多い中、唯一、滑らかなフランス語でインタビューに答えるのがドイツのチームで決勝点を上げたキングスレイ・コマンだけというのも、いかにも残念で、いかにも皮肉な結果でした。

 しかし、これが、もしフランスが勝っていたらと思うと、想像するにも恐ろしく、大変な熱狂状態になっていたことは、間違いありません。

 日曜日のフランスの新規感染者数は、さらに記録を伸ばし、4897人と、もう少しで5000人に迫る勢い、言っちゃ悪いですが、負けてくれてよかった・・と私は、こっそり思っているのです。


<関連>「フランス人のサッカーへの熱量」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/08/blog-post_20.html

<関連>「フランス人の熱量」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_11.html

















2020年8月23日日曜日

バカンス期間中の怪我

 


 現在、断捨離中の私の部屋は、片付けるがゆえに、あちこちから引っ張り出したものが溢れて、まさに足の踏み場もないほどで、ただでさえ狭い部屋が大変なことになっており、しかし、その状態が長引いてくれば、なんとなく、そのまま生活するという、ほんとうにだらしないことで、生活しづらいままに、なんとなく、ずるずる暮らしてきたのです。

 日常は、私の部屋は、ほとんど寝る時くらいしか入らないので、そのまま放置されていたのですが、先日、明け方にトイレに起きた際に、半分、寝ぼけた状態で、何かをすごい勢いで蹴飛ばしてしまったのです。

 私の足の指は、妙に長くて、その足の指と指の間で何かをもの凄い勢いで蹴飛ばしたものだから、瞬間に、もの凄い痛みが走り、これは、ヤバい痛みだ・・と瞬時に思ったのですが、それは、半分、寝ぼけてのこと・・痛みに耐えながらもそのまま再び、眠り込んでしまったのです。

 そんなことは、すっかり忘れて、翌朝、目覚めて、起きて歩き出そうとした時、再び、激痛が戻ってきました。恐る恐る足元を見ると、どす黒く腫れ上がり、どうにも只事ではない感じ・・以前に、まるで自覚なしに家の中で縄跳びをして骨折をした前科のある私は、これは、もしかしたら、また、やってしまったかもしれない・・と思いましたが、今は、バカンス中で、いつものかかりつけのお医者さんもいないはず・・ちょっと一日様子を見よう・・と一日置いたのですが、痛みは全く引かず、仕方なく、代理のお医者さんの元へ行ったのでした。

 夏のバカンスの間だけ、アルバイト?で来ている、初めてお目にかかる若いアジア系の先生で、用心深く、診察してくれて、とにかく、足の指は、折れている可能性もあるから、レントゲンを取るようにと、レントゲン検査の処方箋を書いて、ついでに私がいつもまとめて、もらっている薬の処方箋リストも一つ一つ、まるでお医者さんではないような丁寧な字で結局、3枚にも渡って書いてくれました。

 骨折していたら、また別の処方箋を書くから、また戻ってきてください・・と言いながら、もう一つの私の薬のリストの中の睡眠導入剤を「これ、薬局で、問題なくもらえるんですか?」といかにも慣れない様子の上に、その睡眠導入剤のことを「NEMUSI ・・・」などと言うので、「???」となっていたら、「私は、日本語が話せないけどわかるんです!」と得意げに言うので、しばらく考えたのち、彼は、「NEMURIGUSURI」と言いたかったことがわかり、私が日本人とわかって、日本語を使おうとしてくれていたのでした。

 パリでお医者さんが日本語を使おうとしてくれたのは、彼が初めてで、なんだか、若いがゆえに、そんな気遣いをしてくれたことが、なんとなくもう母親のような気持ちで嬉しく、ちょっとほっこりしました。

 家に戻って、レントゲンを撮ってもらう病院の予約を取ろうと電話をすると、「今、夏休みで来週までお休みです。予約だけは、取れるので、次の電話番号にかけ直してください・・」と自動アナウンスが流れたので、ヤレヤレ休みか・・と思いながら、予約を取れるという電話番号にかけ直すと、また、「今、夏休みで来週までお休みです。予約だけは、取れるので・・」と全く同じアナウンスが流れます。

 ヤレヤレ、フランスでは、よくありそうなこと・・来週になったら、予約を取ろうと、今、私の足の指は、折れているのかどうか、わからない状態のまま、一応、前回、骨折した時に使った足を固定する重たい靴を履きながら、病院のバカンスの終わるのを待っています。

 前回、骨折した時は、まさか骨折しているとは思わずに、痛みに耐え、どうにもおかしい・・と思いながら、日本へ行って、2週間ほど忙しく日本で動いて、帰ってきても治らないので、いよいよマズいと医者に行ったら、骨折していたというくらいなので、一週間、気をつけながら過ごすのは、大したことはありません。

 しかし、その近所の病院、コロナのピーク時には閉めていたというし、夏のバカンスにも閉めちゃうし・・いかにもフランスな病院なのですが、近所でもしもの時にはと当てにしていた病院なだけに、コロナの直後に、どこか、緊急時に頼れる病院を探しておかなければ・・と思っていたのに、病院探しを忘れていたことを思い出したのでした。


<関連>「夏にバカンスで閉めるフランスのプールとラーメンを出さないラーメン屋」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_29.html


「ロックダウンのためにずっと行けなかった血液検査に行って驚いた」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_20.html

 

2020年8月22日土曜日

フランスで17年間解決しなかった9歳の少女の失踪事件 アルデンヌの殺人鬼

   

    Estelle Mouzin a été enlevée le 9 janvier 2003 à Guermantes en Seine-et-Marne.

 

 事件が起こったのは、2003年の1月9日。パリの西、約30キロにあるセーヌ・エ・マルヌ県ゲルマントの住宅街でした。パリ通勤圏ののどかな街です。9歳の少女エステルちゃんは、小学校からの帰り道、家から750m離れたパン屋さんの前で、午後6時15分頃に通行人に目撃されたのを最後に忽然と姿を消してしまいました。

 当時、フランス、特にイル・ド・フランスに住んでいた人で、彼女の顔写真を見たことがない人は、いないだろうと思われるくらい、長いこと彼女の写真は、至るところに貼られ、長い間、捜索が続けられてきました。

 その頃は、うちの娘は、まだ学校へ通う年齢ではありませんでしたが、同じ年少の女の子の失踪?誘拐?事件として、特に強く印象に残っています。

 実際に、事件の捜査の規模から考えても、過去20年間での最悪の事件とされてきたことがわかります。

 犯人と見られるミシェル・フルニエという男は、エステルちゃんが失踪した?年の同年6月にベルギーで13歳の少女を誘拐しようとして、少女が車から逃げ出したことから、逮捕されるに至りました。

 彼は、1987年から2003年までの間にアルデンヌを中心にフランスとベルギーの間を行き来しながら、12人を殺害したことを自白していますが、これまでエステルちゃんの事件に関しては、捜査員がこの事件に関心を持っていることを面白がる様子を見せたりしていましたが、彼の事件への関与に関しては、一切、認めることはありませんでした。

 捜査は、難航し、2010年には、エステルちゃんが16歳になっているであろうモンタージュ写真を再び公開して、再捜査にあたっていて、その頃にも、その写真を見かけて、エステルちゃん、まだ見つからないんだ・・と思っていました。

 2018年には、彼女の父親が操作上の重大な過失について、国に対して申し立てをし、これまで17年間、捜査がお蔵入りになることは、なかったのです。

 ここへ来て、ミシェル・フルニエの元妻が、元夫がエステルちゃんを下校時に誘拐し、そこから200km離れたヴィルシュルルムの彼の姉の家に連れて行き、強姦して殺害したことを証言したのです。ヴィルシュルルムの家から押収されたマットレスから、エステルちゃんのDNAが発見され、17年間未解決であったこの恐ろしい事件は一気に解決へと向かい始めたのです。

 ようやく本人も犯行は認めたものの、一切、彼の起こした犯罪を微塵も後悔することはなく、むしろ誇らしげな様子で、「まだ、遺体を見つける仕事が残っている・・」などと、言っているという異常者です。

 17年間探し続けていた少女は、その日のうちに連れ去られ、暴行されて、殺されていたと思うとやりきれない気持ちです。

 日本では、小学校入学と同時に子供同士で通学したり、また私立の小学校に通う子供などは、長距離を電車やバスで通学しているのを見ると、日本は、いいなぁ・・と思ったりしたこともありましたが、フランスでは、小学校卒業までは、送り迎えが常識です。こんな事件もあったりして、何かあったりしたら、悔やんでも悔やみきれない・・と思いながら、仕事が終わってバタバタと娘のお迎えに通った保育園、幼稚園、小学校の10年以上。

 幸い、何事もなく、娘は無事に成長しました。

 フランスには、死刑制度はないので、彼のような人は、たとえ何人殺しても終身刑です。フランスは、治安は決して良くありませんが、これだけ多くの犠牲者を出した事件はなかなかありません。

 この事件が再び、世間を賑わせているのを見ながら、何事もなく、生き延びることは、当たり前ではないと改めて思わされます。


<関連>「決死のお迎えである日、気付いたこと・・フランス人は走らない」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_58.html