2021年5月14日金曜日

開催が迫った東京オリンピックについてフランスで報道されていること

  



 これまで、フランスでは、東京オリンピックに関する報道は、あまりなされてきませんでした。正直、フランスは、ここのところ、感染状況がようやく減少傾向に向かい、ワクチン接種に最大の焦点を合わせ、ロックダウン解除を段階的に手探りでおそるおそる進めている状態とはいえ、とても他国で行われるオリンピックがニュースに上る余裕はありませんでした。

 しかし、ここに来て、いくつかのフランスメディアは、オリンピック開催予定である7月23日まで、あと10週間程度となった東京オリンピックに関するニュースを取り上げ始めました。

 それは、オリンピック開催がどのように行われるか?とか、オリンピック開催の可否であるとか、そういった内容ではなく、「オリンピック開催に際して、日本の医師組合が政府に対して、このパンデミックの状況の中で、安全にオリンピック開催は、不可能であると声明を発表していることや、ここ数ヶ月間に行われた世論調査によると、国民の半数以上がオリンピック開催に反対、あるいは、延期を希望しているにも関わらず、主催者側は、オリンピックを安全に開催できることを国民に対して説得しようとしている。」といった、日本がオリンピックをめぐって動揺している状況であることを伝えています。

 フランスの報道では、「日本は、他の多くの国よりもコロナウイルスの影響が比較的少ない状態を保ち続けてきたが、現在、ウイルス感染の第4の波に直面しており、今年の1月には、死者1万人を突破し、首都を含む多くの地域が非常事態にある。」

 「医療制度は再び圧迫した状況にさらされており、医師らは、人員不足であると言っている。過去数日間、日本の県のいくつかの知事は、彼らが病気の選手に病院のベッドを割り当てないことを示している。大会開始前に日本でトレーニングするチームの計画はキャンセルされた。」と不安定な日本の状況を知らせています。

 また、ル・モンド紙(仏・大手新聞)では、「東京オリンピックの主催者は、地元の観客の有無の決定を6月まで延期した。これは、7月23日から開催されるこれらのオリンピックの準備に伴う不確実性のさらなる象徴である。」

「尾身茂 医療顧問が、「感染状況」と「圧倒的な病院システム」を考えると、「オリンピックについて話し合う時が来た」「世界中から東京に到着するウイルスの新しい亜種の多くの形態によって表される危険を否定することはできない」と述べている逼迫した状況にもかかわらず、主催者はオリンピックが先に進むことができると主張し続けている。」 

「問題は、安全なゲームをどのように組織するかだ」と、オリンピック組織委員会の橋本聖子会長は語り、「大会が観客でいっぱいになるのはおそらく「非常に難しい」だろうと彼女は認めた。 「私たちの目標は常に完全なサイトを持つことですが、ウイルスと戦うために必要な対策を考慮して、医療サービスに過負荷をかけてはならない」と言っている。」

「拡大し続ける感染に逼迫した医療体制と多くの生活制限下に置かれた現在の日本の状況は、本来ならば、オリンピック開催真近の世界的な祭典のお祭り騒ぎの雰囲気とはかけ離れた状態である。」と報道しています。

 医療関係者を始めとする多くの日本国民が延期またはキャンセルを望んでいる中、それでも強行しようとしているオリンピックの主催者と日本国民の世論の不均衡を伝えているのです。

 これをフランスに置き換えて考えた場合、国民の半数以上が反対している状況でオリンピックを強行開催することは、おそらく不可能だと思います。それこそ大きなデモや暴動が起こります。政府もおそらく、それを見越して、たとえオリンピックを開催するとしても、具体的な対策を示して、国民を説得しようと努めるはずです。

 フランスが報道しているのは、オリンピックそのものについてではなく、煮え切らない日本政府の、いつまでもはっきりと決断できない、国民を説得できないままに強行しようとしている日本政府の実態なのです。

 この日本国民の大半が反対している・・という海外での報道の広がりを日本はどう受け止めるのでしょうか?

 


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2021年5月13日木曜日

第3波のピークは超えたフランス 連休突入とロックダウン解除・レストラン再開の条件

  


 ここ10日間ほどで、フランスの感染状況は、少しずつ改善してきました。

 本当に、ゆるゆるなロックダウンで、ずっと高い数値のままに、感染者はグングン増え続け、4月の初旬には、1日の新規感染者数も6万人を突破し、集中治療室の占拠率も私の住んでいるイル・ド・フランス(パリを中心とした地域)などは、150%を突破、フランス全体でも120%超え(6,000人近く)と、もうこれでは、病床に空きがない場合の患者の移送も不可能ではないか??と、一時はどうなることかと思うほど、逼迫した状況が続いていました。

 さすがに3月末から4月初旬の酷い状況に直面し、4月に入って、最終手段と言われていた学校閉鎖が行われたり、制限が強化され、ワクチン接種も必死で進めている効果が、5月に入ってから、ようやく表れ始め、現在は、どうにか1日の新規感染者数も2万人台までに、集中治療室の患者数も4,583人(5月12日現在)までに減少しています。

 これで、現在は、どうやらフランスの感染状況は、減少傾向にあることは明白になってきました。

 5月3日から、学校も再開し、長距離移動の制限が解除され、今週末は、飛び石連休で4日間の休みに入るため、これまでどこにも出かけられなかった(はず・・)フランス人は、このプチバカンスの機会に100万人の人が国内移動をすると見られています。

 4月末にマクロン大統領から発表されたロックダウン解除カレンダーによれば、一週間後の5月19日からは、フランス人が待ちに待ったレストラン・カフェのテラス席がオープンし、美術館、映画館、劇場、スポーツ施設が再開され、夜間外出制限も現在の午後7時から午後9時までに延長され、日常生活が戻り始めます。

 この19日からの第2段階のロックダウン解除に先駆けて、先日、カステックス首相が、France 2(フランスの公共テレビチャンネル)のニュース番組に出演し、レストラン・カフェの再開に関しては、収容人数上限は定員の50%まで、店内ではなくテラス席のみ、着席のみで、1テーブルは最大6人までという細かい制限等について説明し、「これらの規則をフランス国民が遵守すると信頼している。その上で、警戒、監視、取り締りも行われる予定なので、事業主は営業停止を避けるためのあらゆる努力をしてほしい。」と語っています。

 実に、テラス席だけとはいえ、レストラン・カフェの営業は、昨年の10月以来のことであり、(半年以上、テイクアウトの営業のみだった)レストランのオーナーはもちろんのこと、フランス国民もどれだけ、この日を待ち望んでいたかは、数々の闇営業レストランが摘発されたりしたことなどからも垣間見えます。

 フランス人は、みんなで集まって延々とおしゃべりをしながら食事をするのが大好きなのです。

 しかも、このテラス席の再開に関しての制限の中に「着席」という項目が入っているところも、いかにもフランスで、興味深いです。

 もともと、フランス人は、店内よりもテラス席が大好きで、(コロナ前でさえ、気候の良い季節などは特に、テラス席は満席でも店内はガランとしていることも珍しくはありませんでした。)そして、彼らは、時間が進むに連れて、席を離れて、騒ぎ出すことも少なくないので、この「着席」という制限は、賢明な判断だと思います。

 しかし、これは、「おすわり!」「自分の席に座っていなさい!」「食事中はふらふらしない!」と言われているということで、これでは、まるで小学生、いや幼稚園の教室みたいで、ちょっと笑ってしまいます。

とはいえ、日本の一部のレストランで呼びかけられているような「黙食」=「黙って食べなさい!」「おしゃべり禁止」という制限は、さすがにフランスでは、到底、国民に受け入れられないことで、政府でさえも、多分、思いもよらなかったであろうことで、制限項目には入っていません。

 フランス人にとって、レストランに行く「外食をする=食事をする=人と話す」ということなのです。

 この「着席」という制限は、一番、レストラン側も頭を痛めるであろう項目ではあるでしょうが、ようやく再開できた営業が停止にならないように、お客さんにも必死で、着席を求めるであろうと思われます。

 フランスは、昇天祭から週末にかけての100万人の大移動とともに、レストラン・カフェ、映画館、劇場などの営業再開と一気にロックダウン解除にアクセルがかかっていきます。

 感染が減少傾向にあるとはいえ、未だ、高い数字のままのフランスは、一部では第4波も懸念され続けている中、カステックス首相は、「感染状況が一部地域で急速に悪化した場合は、地域単位でブレーキをかけるつもりである。」と同時に釘をさしています。

 そんな中で大きな希望の綱であるワクチン接種は、先日は、かねてからの約束どおりにオリヴィエ・ヴェラン保健相が白衣を着てワクチン接種をするなどの大キャンペーン続行中。

 私のようなミーハーは、「いいなぁ〜!どうせなら、私も彼にワクチン打ってもらいたかった!」などと思っていましたが、最初は、グダグダでなかなか進まなかったフランスのワクチン接種もようやく軌道に乗り始め、現在は、50歳以上の人は全員ワクチン接種の権利があり、ワクチンを無駄にしないために、ワクチン予約に空きがある場合は、18歳以上の成人はワクチンを接種できるようになっています。

 現在、フランスでは、1,855万人の接種(少なくとも1回は・・)が済み、国民の28%がワクチン接種が済んでいる状況です。

 連休・レストラン等の再開と、解除が進んでいく中、第4波が来るかどうかは、ワクチン接種の拡大にかかっています。


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2021年5月12日水曜日

フランス人女性の美しさの基準と美容整形手術

 


 日本で生まれ育ってきた私がフランス人は日本とは違うな・・と思うことの一つには、女性の美しさについての基準の違いがあります。

 フランス人のある程度の年齢以上の女性にとっては(若い女性であっても)、「かわいい」ということよりも、「かっこいい」とか、「セクシー」であることの方が好まれるような気がします。

 いわゆる「ぶりっ子」(今も日本で使われている言葉かどうかわかりませんが・・)のような「可愛さ」は、どちらかというと幼稚か、ちょっとどこか足りないように受け取られかねません。

 そして、日本のような「美白崇拝」とは正反対で、皆、こぞって日焼けしたがります。これからの季節は特に、日焼けしていることは、リッチなバカンスを満喫しているという一種のステータスでもあるので、結構な年齢の女性も「日焼け後のお肌のお手入れは・・?」などと、私がこっそり思ったりしているのをよそに、実に自信満々に日焼けして、ガビガビになった肌を堂々とさらして誇らしげにしています。

 日本人のような、こまめなお肌のお手入れをしているとは思い難く、シャネルやディオール、ランコムなどの高級化粧品会社の本国であるはずのフランスでは、実際には、それほどお肌に気を使った生活をしているとは思い難い感じがします。

 しかし、だからと言って、彼女たちは、決して美を意識していないわけではなく、むしろ、彼女たちは、歳を重ねても、いつまでも女であることを捨てることはありません。単に、美しさに関する観念が違うだけなのです。その証拠に、フランス人には、美容整形手術をしている人が、少なくありません。

 実際には、「やったよ!やったよ!」とフレまわることでもないので、あまり、おおっぴらにはなりませんが、しかし、かといって、それをひた隠しにする感じでもありません。

 今は、コロナ禍で閉鎖されていますが、以前、私が通っていたスポーツクラブの更衣室やサウナ、ハマムなどで見かける、女性同士とはいえ、あまりにあっけらかんと脱ぎっぷりのよい彼女たち彼女たちの裸体には、明らかに豊胸手術の跡と思われる微かな傷が脇下などに見かけられることが多く、「あぁ〜この人もやってるんだ・・」と見てはいけないようなものを見てしまったような気がしていたのですが、もしも私が、「豊胸手術したの?」と聞いてみたら、案外、あっさりと、色々と話してくれそうな気もします。

 私がスポーツジムに行っていたのは、仕事が終わった後のせいぜい1時間程度の夕方の短い時間帯だったので、年齢層も割と限られていて、比較的経済的にも余裕のある子供にも手がかからなくなっている40代後半から50代くらいの女性が多かったので、年代は、偏りがあったかもしれません。

 今はむしろ、SNSフランスでの美容整形手術は、35歳未満の人の方が多いというのですから、それはそれで驚きです。しかも、現在は、傷跡が残らないヒアルロン酸などの方法も発達し、エイジングを遅らせる効果もあるなどと宣伝されているため、若い人の間で、ますます広まりつつあるようです。

 フランスで圧倒的に多いのは、豊胸手術や豊尻、唇などのボリュームアップや鼻の形を整える、脂肪吸引などですが、どちらかというと、セクシー系に変身したい願望が強いような感じを受けます。

 しかし、どうにも美容整形手術は、やり始めるとクセになる傾向にあることは、どこの国でも同じようで、しかも、むしろ、どこを直すの?と思うような美しい人にかぎって、整形したがるような気もします。

 以前の私の職場にいた女性で、この美容整形を繰り返している人がいて、彼女はフランス人でありながら、本当にバカンスにも滅多に行かず、仕事も決して休まない珍しい人でしたが、子供もいなくて、経済的にも余裕があるせいもあってなのか、洋服を買うのが趣味のおしゃれな人で、彼女が数回、会社を休んだのは、美容整形手術のためでした。

 別に彼女は、手術を隠す様子もなく、痛々しい傷跡を見せてくれたりもしていましたが、(彼女が行ったのは、顔のたるみを引っ張る手術でした)彼女自身は、私よりもかなり年長でしたが、スリムで綺麗な人でした。

 以前、仕事の関係で出会ったタイ人の女性などは、顔も身体も全身、いじっていると言っていた人がいました。そんなわけで綺麗な人で、スタイルも抜群でしたが、比較的小柄で、さすがに身長だけは、変えられないんだな・・などと、ちょっと意地悪く思ったりもしました。

 つい先日も、娘の彼氏のお母さんが痩せるために、胃の入り口を狭める手術をしたとかで、これは、脂肪吸引ともまた別で、美容整形とは少し違うかもしれませんが、ダイエットのために食べられる量を身体の内部から変えるという大胆な方法。

 私など、そうでなくとも年齢につれて、食欲と胃腸のバランスが追いつけなくなり、そうそう食べられなくなってきたのを悔しく思っているくらいで、食べ過ぎたと思ったら、少し気をつけて身体をできるだけ動かすようにするとか、できるだけ食べることを優先にしているくらいで、これ以上、身体が受け付けないように胃を小さくしてしまうなんて考えられないことです。

 昨年から1年以上も続いているパンデミックによるロックダウンやリモートワーク、マスク着用の義務化などで、あまり人に気付かれずに、ますます見えないところで、広まっていると思われるフランスの美容整形手術。

 ロックダウンが解除されて、みんながバカンスに出る頃には、さぞかし美しい人がビーチでこぞって、日焼けしているのではないかと思っています。


フランスの美容整形手術

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2021年5月11日火曜日

歯医者で見えるフランスでの優先順位 ここでも出てくるバカンスの優先度

 


 このコロナ禍に嫌だなぁ・・と思いつつ、必要にかられて、私は、昨年の10月の末頃から歯医者さんに通っています。歯医者さんでのコロナウィルスに対する衛生管理など、色々と気付くこともありましたが、一応は、きちんとしていて、抜歯した後にインプラントをすることにして、要は、その抜いた後がしっかり固まるのを見極めるために、抜歯以来、4〜5回、歯医者さんに通っています。

 前回の診察で、その周辺の歯の治療も含めて、どちらを先にするかとか、どのようにするか、いつやるか・・などを検討中でした。

 一応、6月の初旬にインプラントの手術をする予定になっていて、今回はまず、その隣の歯の仮の治療をすることになっていたのですが、行ってみると、歯医者さんも「さて、今日は、何だったっけ?」などと言い出すので、一瞬、ムッとして、「今日は、隣の歯の仮のかぶせものをするのでは?」と言ったら、「今日は、予約が詰まっているから、そんなことをしている時間はない・・」などと言い出すので、「じゃあ、今日は、何のためにあなたは、私の予約を入れたの? ずるずる先延ばしにするのは、いい加減にして! この間、言っていたことと違うじゃないの?」と、ちょっと怒ったら、次の予約をずらして、予定どおりの治療をしてくれました。

 「やっぱり、簡単に引き下がっては、事は進まないんだ・・フランスは・・」と思いながら、その日の予定の治療を済ませて、いよいよ、次のインプラントの予約を決めるにあたって、1ヶ月以上前のレントゲン写真を見て、「もう少し、時期は先にずらした方がいいと思う。6月半ば、もしくは7月以降、あるいは8月くらいの方がいいかもしれない・・」などと言い出しました。

 そういえば、6月には、2回目のワクチン接種がある!こと思い出して、その旨を伝えたら、「今は、ワクチン接種が最優先だから、ワクチンをしたら、10日くらいは、手術はずらさなければならないから、2回目のワクチン予約はいつ?」「まだ、取ってない・・」「それなら、まず、ワクチンの予約をとってからね。一応、前回にとった予約をキープして、ワクチン接種の予定がわかったら、電話して!それで日程は決めましょう!」ということで、一段落。

 7月、8月に入れば、フランス人にとって年間の一大イベントの夏のバカンスの時期です。「バカンスには行くの?」と不意に話がバカンスの話題になったいので、「まだ、決めてないけど、行ければ行きたいと思っている。パンデミック次第かな?」と答えると、さすがにフランス人。予定は、一気にワクチンの次にバカンス優先の方向のスケジュール調整に進みます。

「手術してから1ヶ月間は、すぐに私が見られるところにいた方がいいから、それなら、バカンス前にその1ヶ月間を取らなければならないから・・6月中にした方がいいわね・・」と話は、急展開に・・。

「歯の治療に関しても、自動的?に、バカンスを優先して考えてくれるんだ・・」何とか、先に延ばそうとしていた今後の歯の治療の予定を組むのにも、優先事項として登場するのは、バカンスなのです。

「今は、ワクチン接種が何より最優先だから!」と彼女は言っていましたが、それは事実であるとしても、こんな局面でも、ワクチンの次に優先順位が来るのは、やっぱりバカンスなんだ・・と、あらためてフランス人にとってのバカンスの優先順位の高さを思い知らされたのでした。

 しかし、実のところは、私自身は、まだバカンスに行くかどうかは決めてはおらず、「行けたら、行きたい・・それもパンデミックの様子次第・・」それでも、私がバカンスに行くことを前提にして、予定を組んでくれることに、(彼女は、バカンスには、当然、行くものと判断している)私としては、あっけに取られた気分でした。

 家に戻って、さっそく、ワクチン接種をしてもらう予定の、かかりつけのお医者さんに電話したら、あっさり6月5日に2回目のワクチン接種の予約が取れ、さらに歯医者さんに電話すると、結局、インプラントの手術は、6月21日に決まりました。

 手術の48時間前から抗生物質の薬を飲んで、朝はしっかり食べて来ること、また、手術に関しての質問表と同意書をポストに入れておいて!と言われて、あっさり予定は決まりました。

 決まったとはいえ、予定どおりに行かないのがフランス。しかし、もういい加減、歯の治療を始めて、半年以上。パンデミックという不可抗力があったとはいえ、あまりに長くかかるこの歯の治療に実際の手術の前から、私はもうすでに、かなりウンザリしています。

 思いがけずに、出かけるかどうかもまだわからない夏のバカンスのおかげで、どうにか、治療が進みそうなことを喜びつつも、まだまだ私は、フランスをわかっていなかった・・と、これからは、何か急ぐことがあったら、バカンス前の駆け込みで何かことを始めるという技を身につけるべきかな?などと考え始めているのです。


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2021年5月10日月曜日

殺害された麻薬取締りの警察官の追悼式に全国から1万人近く集まるフランス人の温情と、ますます危険度が高まるフランスの警察官

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 警察関係者のみならず、地元住民や元警察官など、全国から約1万人の人々が先週、麻薬取締り中に射殺された警察官の追悼式に参加するために、アヴィニヨンの警察署前に集結しました。

 ちょっとこのご時世にこれだけの人だかりには、ギョッとするところもありますが、さすがにこのようなところに参加する人々は、フランス人とて、マスク率が非常に高く、パーティー騒ぎで人だかりになっている場所とは、集まる層がちょっと違うんだな・・と感じます。

 先週、アヴィニヨンで白昼堂々、麻薬取締りのために駆けつけた36歳の警察官が突然、銃で撃たれて死亡した事件は、衝撃的な事件でしたが、その犠牲になった警察官のために、それを単なるニュースとして見過ごさず、これだけの人が追悼に訪れるところが、フランスらしいところなのです。

 花を手向ける人、メッセージを置いていく人、フランスがこのような危険な状態であり続けることは許されないと抗議の意味を込めて訪れる人、その理由は、それぞれ、さまざまではありますが、このような追悼式が一般市民も含めて大きく行われ、犠牲者となった警察官の死を悼み、それぞれの想いを分かち合いながら、マルセイエイズ(フランス国歌)を歌ったりするところは、私が好きなフランスの一面でもあります。

 一見、冷たい印象もあるフランス人の、その実、とても心暖かく、危機に直面している人を決して、見捨てない、寄り添ってくれる優しい一面がこのような場面に表れているような気がするのです。

 懸命な警察の捜査により、この事件の容疑者二人が逮捕されたようです。しかし、逮捕されたと言っても、彼らは大勢のうちのほんの一部、麻薬の売買の現場に銃を携帯している人は、今もたくさんいるはずなのです。

 こんな事件が起こった後でも麻薬の取り締りを続けなければならない警察官の恐怖は、計り知れません。


 そんな中、昨日は、フレジュス(プロヴァンス・アルプ・コート・ダ・ジュール地域圏)ガベル地区で、夜11時半頃に70人〜80人ほどが暴れ出し、15軒ほどのショーウィンドーが壊され、3台の車が燃やされるという事件が起こりました。


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 駆けつけた警察官に向けて、火炎砲が投げつけられ、少なくとも4人の警察官が負傷しています。

 この地域は、過激なイスラム主義と麻薬密売組織のある地域で、この日の夜中の暴挙は、そのどちらによるものかは、今のところ断定されてはいません。

 ここ数週間にわたり、この地域は、緊張状態が続いていましたが、2週間前にはこの近辺で8キロの大麻が押収されたことからも、麻薬密売の一つのポイントであることは間違いなさそうです。

 政府は、このフレジュスに翌日から70人の追加の警察官を動員しています。

 先週、アヴィニョンで警察官が殺害されたのも麻薬取引の現場で、麻薬・ドラッグの問題は、もはや、一部の地域だけにとどまらず、これも、フランスの多くの街で起こっているごくごく一部であるに過ぎません。

 コロナウィルスとの戦いもまだ済まない中、イスラム過激派によるテロに続いて、麻薬・ドラッグの密売組織と警察の戦いが、どんどん表面化しています。

 ウィルスとだけでなく、人間同士が戦わなければならないこの麻薬・ドラッグ問題。

 パンデミック・ロックダウン中に、コロナウィルスだけではなく、この麻薬密売組織の勢力がいつの間にか、拡大していた気がしてなりません。

 社会全体が弱っている時に蔓延る(はびこる)のは、妙な新興宗教や麻薬・ドラッグなど、さらに人を蝕むものであることが悲しいです。

 

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2021年5月9日日曜日

猫もコロナウィルスに感染する危険があるという説

                                        

   Selon l'étude, les propriétaires des chats ont développé des symptômes du Covid-19 avant que les félins ne tombent malades. | Mel Elías via Unsplash


 我が家に子猫がやってきてから、もう10年以上が経ちます。娘がその頃はやっていた映画から、名前をポニョとつけました。我が家はアパート住まいなので、猫が自由に家の外を出歩くことはなく、ポニョはほとんど、家の中だけで育ちました。

 以前は、ベランダからひょいっと隣人のアパートに勝手に出入りして、まるで自分の別荘のように、ちゃっかり隣の家に上がり込んで隣のおばさんに可愛がってもらったりしていたのですが、隣のおばさんが引退して、田舎に引っ越してしまって、違う人が引っ越してきてからは、ピタリと別荘にも行かなくなり、ベランダにもほとんど出なくなってしまいました。

 人の好き嫌いが激しいのは、飼い主にとてもよく似ているのですが、人間である私たちには、ある程度は、浮世の付き合いがあるので、ポニョのようにあからさまに顔に出すわけには行かないのですが、ポニョときたら、歳をとるとともに、年々、嫌いな人に対しては、気性が荒くなり、これまでは、嫌いな人だと、す〜っと家のどこかに隠れてしまって出て来なくなるくらいだったのに、最近は、嫌いな人が来ると「カ〜ッ!!」と唸るようにまでなってしまっているのです。

 数日前に、「人間はコロナウィルスを猫に感染させる可能性がある」というニュースを聞いて、ほとんど外に出ないポニョは、リスクは低いな・・とは思ったものの、ポニョに感染させるとしたら、家族である私たちからということになります。

 コロナウイルスが人間から動物に、またはその逆に感染する可能性についての科学的研究は、現在、かなり注目されているようで、グラスゴー大学(スコットランド)の研究チームは、猫が飼い主に感染したとされる2つのケースを特定したと発表しています。

 グラスゴー大学の獣医学部の獣医診断サービスと共同で実施された研究によると(医学雑誌VeterinaryRecordに掲載)、別々の家に住んでいる異なる品種の猫に軽度から重度の呼吸障害が発見されました。彼らの飼い主は、動物が病気になる前にコロナウィルスの症状を発症していました。

 最初のケースは生後4ヶ月のメスのラグドールの子猫でした。彼の主人は2020年3月末にウイルス感染に対応する症状を発症しましたが、検査されたことはありませんでした。呼吸困難に続いて、猫は獣医に連れて行かれましたが、残念ながら、猫の状態は悪化し、安楽死させなければなりませんでした。肺のサンプルは死後に採取され、ウイルス性肺炎によって引き起こされた可能性のある損傷と、コロナウィルス感染が明らかになりました。

 2匹目の猫は6歳のシャムの女性で、飼い主の1人がコロナウイルスの検査で陽性だった家庭で飼われていた猫でした。猫の症状は鼻水と結膜炎という軽度のままでしたが、 コロナウィルス感染は、2020年3月から7月の間に獣医診断サービスに提出された綿棒の検査で確認されました。

 当初は、動物には感染しないと言われていたコロナウィルスですが、現在、動物から人間へのウイルスの感染は公衆衛生へのリスクが比較的低いが、科学者はペットが「ウイルスの貯蔵庫」として機能し、感染につながる可能性があると述べています。

「人間の症例が減少するにつれて、動物から動物への感染の見通しは、コロナウィルスの人間への再導入の潜在的な源としてますます重要になります」と、この研究のリーダー・マーガレット・ホージー教授は警告しています。

 科学者たちは現在、動物用のワクチンを開発を進めており、ロシアではすでに最初の注射を開発し、3月31日に登録を済ませています。 

 ヨーロッパでは、コロナウィルスワクチン接種キャンペーンは実際に軌道に乗せるのに苦労していますが、ペットのための注射をすでに考えている人もいます。パンデミックが始まって以来、多くの専門家がコロナウイルスの動物への影響について懸念を表明しています。

 ペットといえども、大切な家族の一人。もはや、人間年齢に換算したら、家族の中では最年長のポニョです。私も娘も既に一回ずつのワクチン接種は済ませていますが、まだまだ安心はできない上にポニョにまで感染させたら、大変です。

 ポニョは、まだ小さい頃に一度だけ、病気になり、みるみるぐったりしてしまい、娘と二人で半べそをかきながら、夜中に獣医さんに連れていって、1日だけ、獣医さんに入院したことがあり、とても心配して眠れない夜を過ごし、翌日、面会に行ったら、点滴ですっかり回復し、唸りながら獣医さんに噛み付かんばかりの怒りようで、獣医さんの方から、「ポニョは、すごく怒っているから・・もう連れて帰って・・」と言われたほどの病院嫌いです。

 そんなことにならないように、私たちもポニョのためにも、まだまだ気をつけた生活を続けなければ・・と、このニュースを見て、あらためて思ったのでした。


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2021年5月8日土曜日

ロックダウン解除第一段階で、もう夏には、屋外でのマスク義務化撤廃の話題

 


 フランスは、今週に入って、ロックダウン解除の第一段階が始まったばかり、中学生・高校生が学校に戻り、10㎞以内の移動制限も撤廃されました。

 ここ数日、新規感染者数も2万人台までに下がり、集中治療室の患者も一時は、6千人を突破していたものの、現在は、5,106人にまで減少し、全体的にも減少傾向にあります。

 そんなフランスは、早くもロックダウン解除モードに一気にアクセルがかかり、早くもバカンスに出かける人や、バカンスの予約をする人も急増し、日常モードに一直線に突き進んでいる感じがします。

 今週の初めにインタビューに臨んだオリヴィエ・ヴェラン保健相は、「コロナウィルスの制御は慎重に加速していますが、油断してはいけません。この意味でも、制限解除のスケジュールは非常に良いスケジュールです」と述べています。

 そして、「ワクチン接種は深刻な状況から保護することは確実であり、ウイルスの拡散のリスクから十分に保護すると信じています。充分な数のフランス人がワクチン接種を受けた場合は、警戒を弱めることを検討できます」と続け、「この6月末までのロックダウン解除のシナリオの続きは、何ですか?」と尋ねられた彼は、「屋外でのマスク着用の義務化が夏には撤廃することができるようになることを望んでいます」と答えました。

 もともとマスクが大嫌いなフランス人(誰でも好きではないと思うけど・・)にとって、この保健相の「夏には、屋外のマスク義務化撤廃」の発言が、その他の様々な彼の発言をすっ飛ばして、広がる結果になり、次々と屋外でのマスクなしでの感染のリスクについて、語られ始めました。

 感染のリスクに関しては、ますます多くの専門家が屋外には存在しないことに発言し始めています。いくつかの研究では、外部の汚染はすべてのケースの0.5〜5%に相当するため、非常に低いことが示されています。したがって、一部のウイルス学者は、屋外でのマスク義務化を撤廃することを要求し始めています。

 しかし、保健相が言う、この次のステップ(屋外でのマスク義務化撤廃)は主にワクチン接種の進捗に依存していることは言うまでもありません。

 一方、パスツール研究所(Institut Pasteur)(パリにある生物学・医学研究を行う非営利民間研究機関)の生物学的緊急対応ユニットを担当するジャン・クロード・マヌゲラ氏は、感染のリスクが「屋外で低い場合でも、それはまだ存在している。外では、誰かがくしゃみをしてマスクを着用していなければ、充分に感染の危険はあります。従って、外部環境では、必然的に換気が良くなり、したがって非常に大きな希釈効果がある場合でも、エアロゾルによる感染が発生する可能性があります。」と警鐘を鳴らしています。

 フランスの公衆衛生局も屋外でのマスク義務化撤廃は、ワクチン接種が国民の60%以上に達しない限り危険であるとしています。

 屋内・屋外でもマスクを外せるようになるのは、ワクチン接種率90%以上に達した場合であるとパスツール研究所も発表しています。

 現在のフランスのワクチン接種は、25.62%(2回接種した人は11.68%)(5月6日現在)のみ、オリヴィエ・ヴェラン保健相が夏には、屋外でマスクを外せる時が来ることを望んでいると発言すると言うことは、夏までには、国民の60%までのワクチン接種が拡大することをひとまずの目標としているということです。

 現在、フランスでは、ワクチン接種拡大の大キャンペーン中。来週の火曜日の夜には、オリヴィエ・ヴェラン保健相自ら、白衣を着てワクチン接種に参加することを(彼はもともと神経内科医)発表しています。

 おそらく彼が言いたかったのは、「夏には、外ではマスクが外せるようになるから、それまでは、我慢して!」ということだったと思いますが、思いの外、注目されたのは、肝心な「だから今は我慢して!」ではなく、「夏には外でマスクを外せる!」の方であったことはいかにもフランスな結果です。

 昨年、屋外でマスクが義務化されたのが、感染が一時、減少したにもかかわらず、人々がバカンスで感染を撒き散らした結果が出始めた8月のことでした。

 今年は、ワクチンという強い味方がつきましたが、その進捗状況によっては、また同じ悲劇が起こらないとも限りません。

 どちらにしても変わらないのは、フランス人は、今年の夏も絶対にバカンスに出るということだけです。


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