数日前にWHO(世界保健機構)が「サル痘」に関する最高レベルの世界的警戒を発令したというニュースは聞いていました。しかし、まあ、そのうちおさまるでしょう・・と、正直、あまり関係ないような感じもしていて、そのままスルーしていました。
ところが、このサル痘の世界的流行のニュースはフランスでは、けっこう引き続き報道し続けていて、なんだか不穏な気がしてきました。そもそも毎日毎日、いくらでもあるニュースの中で、特にテレビのニュースの時間枠は限られており、そのニュースに毎日のように食い込んでくること自体、ふつうの話ではありません。
今は、バカンス中で多くの人々が世界中、あちこちの国を行き来することもあり、このような感染症が拡大する危険性は高いかもしれません。
特にオリンピックの後、パラリンピックを控えているフランスにとっては、まだまだ世界中から人が集まる場所でもあり、特に警戒しなければならないことなのかもしれません。
サル痘は2022年にも流行し、その後、今年、再流行の波を迎えており、始末の悪いことに、今回流行しているのは、以前のサル痘よりも新しいクレード 1b 変異種というもので、感染力と致死性がより高いということです。
コロナウィルスの際も次から次へと現れる変異種というものに、恐れおののいた記憶がありますが、サル痘の場合もまた威力を増した変異種の登場が今回の騒ぎの原因のひとつのようです。
アフリカ連合保健局がまず、「公衆衛生上の緊急事態」を宣言し、これに続いてWHOも翌日、最高レベルの世界的警戒を発令。そして、アフリカ以外での最初の症例はパキスタンとスウェーデンで検出されましたが、今後数日から数週間のうちに欧州でも新種の輸入症例が出現すると予想されているとWHOは警告しています。新しい変異種は感染力と致死性がより高く、世界的な蔓延の懸念を引き起こしているというのです。
2022年には、これまでウイルスが流行したことのなかった先進国を中心に、世界の他の地域に広がり始めましたが、今回の変異種はさらに感染力、致死性がより高くなって流行しているというのですから、WHOが警戒を呼び掛けるのもわからないではありません。
そして、先週末、ついに、フランスでも、ガブリエル・アタル首相がフランス保健当局はサル痘に対しての最大限の警戒状態をとり、すでにあらゆる事態に対応できるように準備していると発表しています。
サル痘は、動物から人間に広がるウイルス性疾患ですが、ウイルスに感染した人との濃厚な物理的接触によっても伝染するそうで、以前の株は口、顔、または性器に発疹や局所的な病変が現れるのが特徴でしたが、現在問題となっているクレード 1b 株は全身に発疹を引き起こすようです。
アフリカで前例のない数の感染者が発生していることに加え、WHOが懸念しているのは新たな変異種の出現で、この新株は以前のものよりも重篤な疾患を引き起こすという点にあるようです。
また、感染者に幼児が多いことは、主な媒介者として男性同性愛者コミュニティとの性的関係を介して広がった以前の株よりも、汗や唾液などの体液を介して感染がより容易に起こることを示唆していると言われています。
現在までのところ、比較的、患者は若く、おそらく免疫システムが未熟なため、死亡率ははるかに高くなります。成人(15歳以上)の2.4%と比較して、乳児では8.6%、1歳から4歳までの子供では7.4%、5歳から15歳では3.7%となっています。
汗や唾液などの体液を介して感染するとなれば、全く油断ならない話です。
このサル痘のワクチンはデンマークの研究所バイエルン・ノルディック社が製造しており、また、このワクチンは新しいクレード 1b 変異種にも有効であると製造元は発表しています。
フランスでは1月から4月までに107件の感染者が発生しているそうで、4月以降は毎月20人から25人の感染者を出し続けているようです。この数を多いと見るべきなのか?少ないと見るべきなのか?ちょっと見当がつかない気がしていますが、致死率が高いという点から考えれば、特に常に多くの疾病のリスクにさらされている幼児、高齢者、病人、妊婦などは、注意が必用だと呼びかけています。
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