2023年3月3日金曜日

12歳の娘を70歳の老人に売る親

 


 子供を食い物にする親というのはいるもので、フランスの場合、子供に対して結構、補助金が出て、親が低収入の場合は住宅手当まで出たりもするので、子供にお金をかけずにいれば、それなりにその補助金で家族もろとも生活をしているような人もいるのです。

 子供にかける費用というのは、それこそピンキリで、とても補助金どころでは足りないと私などは思うのですが、公立の学校に子供を行かせて、特別に他の教育をせずに、あらゆる補助金の伝手を辿って、それを手繰り寄せていけば、なんとかやっていけてしまうのも事実なようです。

 そんな風に、やたらと子供で生活しているような人の話は聞いたことがあったのですが、今回の事件は、ちょっとそれを上回る、親が12歳の子供にパパ活のようなことを無理強いしていたという事件でしかもその相手が70歳の年金生活者というのに、言いようもない不快感を覚えました。

 先週、パリ12区の映画館で老人が10代の少女の「胸を愛撫」し、「唇にキス」している不審な行動に映画館の従業員が気付いたことから、この事件が発覚していきました。

 従業員はその後、同じ列に座っていた少女の父親と母親に警告しようとしましたが、両親は老人の行動に驚きもショックも受けていないことにさらに驚き、少女の母親も、老人は単に「友達」であると従業員に話しました。

 ますます不審に思った映画館の従業員は警察に通報し、警察は小児性愛者の老人と被害者の母親を逮捕しましたが、父親は娘を連れて逃亡、警察に拘留された老人は事実を認めましたが、それは「愛情のしるし」に過ぎないと語ったと言われています。

 ところが、その後の捜査の結果、この老人はこの少女の両親に、その代償として年間90,000ユーロ(約1,300万円)を支払っていることが発覚。身柄を拘束された老人と母親は「15歳の未成年者への性的暴行と未成年者に対する人身売買」の罪で起訴されています。

 子供を売るようなことをしていながら、両親揃って、その場に立ち会うというのも解せない話ではあり、また、なぜ、映画館のような場所を選んでいたのかも疑問ではありますが、考えようによっては、年間90,000ユーロを稼ぐ娘はその両親にとっては金の卵、しっかり監督する必要もあったのではないかとも考えられ、また少女本人がこの金銭のやり取りを知らなかった場合に、老人の行状には両親は気づいていないことを装っていたとしたら、映画館という場所を選んだことも頷けないでもありません。

 それにしても異常な大人たちに食い物にされていた少女がどれだけ傷ついていたかと思うといたたまれませんが、父親が彼女を連れて逃亡中ということは、彼女はまだ苦しみから解放されていないのです。父親は、指名手配されています。

 フランスは児童保護については、なかなか厳しいを態度をとっていると思われ、私も一度、全然、見当違いに「子供を学校に行かせていない」などとでたらめの通報されて、児童保護団体が家に調査にやってきたりして、ビックリしたことがありましたが、そんなことは娘の学校を調べてもらえばすぐわかることで、学校に行かせていないどころか、休みの日には、お稽古事のハシゴの送り迎えでヘロヘロなのに・・とあきれ返りましたが、実際に、そんなめちゃくちゃな通報をする人がいることの方が不気味で、児童保護団体には、誰が通報したのか聞きましたが、結局、教えてもらえませんでした。

 しかし、児童虐待にしても、家で子供に暴力をふるったり虐待をしたりするやり方とはまた異なる、このような子供を売り物にするやり方は、なかなか表面化することは難しいと思われます。

 この老人は、小児性愛者で、若い女の子のTikTokアカウントに頻繁にアクセスしていることがわかっていますが、これがTikTokへのアクセスだけにとどまっていないところが、恐ろしいことで、不特定多数の人がアクセスできるSNSがこのような犯罪の入口にもなりかねないのです。

 国民議会は昨日、TikTok や Snapchat などのプラットフォームがユーザーの年齢を確認する義務を確立することを可決しました。 この条文によると、15 歳未満の子供の登録には保護者の同意が不可欠であり、違反した場合は罰則が課されるとされています。

 もっとも、この事件の両親のような場合、保護者の同意は逆に恐ろしいのですが・・。


12歳の娘を売る親


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2023年3月2日木曜日

ハードディスカウントショップの新ブランド「トゥージャスト」 



 

 止まらないインフレの中、これまであまり見ることのなかったハードディスカウントショップが続々と登場していますが、このハードディスカウントショップの中でも、新しいビジネスモデルを構築しようとしている新しいブランド「トゥージャスト」の1号店がアレス(ガール県・オクシタニー地域圏)にオープンしました。

 この新しいブランドは、「他の市場よりも10%安い」価格を提供することで、他のディスカウントストアと競争しようとしています。

 これまでハードディスカウントショップといえば、どちらかといえば、日用品をメインに取り扱っていたイメージがありましたが、今回は、スーパーマーケット寄りというより、まさしくスーパーマーケットです。

 また、それ以前からのディスカウントショップ(低価格帯のスーパーマーケット)としては、Lidl(リドル) や Aldi (アルディ)(ドイツ資本のスーパーマーケット)がありましたが、このリドルやアルディよりも少なくとも5%は安くなることを公言しています。

 このブランドの特徴は、できる限り仲介業者を省き、生産者と直接取り引きしています。

 例えば、このブランドで扱っているガスパチョなどを例に挙げると、通常は、生産者と流通業者の間に仲介業者が存在するために競合他社の間で6.5ユーロで販売されているものを彼らは「2.50 から 2.95 ユーロの間」で販売することができると説明しています。

 トゥージャストのもう1つの特徴は、利益の一部をサプライヤーに支払うことを約束していることです。これらの製品の大部分は消費者に知られていないホワイトラベルであり、あまり知られていない製品を扱うことは、店舗側にとってはある意味リスキーなことでもあるのですが、その代わりに製品の仕入れをギリギリの低価格に抑え、利益が上がった場合にその一部を支払うという新しいビジネスモデルになっています。

 ホワイトブランドにとっては、何よりも製品が売れて、消費者に少しでも知ってもらう機会にもなり、利益が出た場合に追加の報酬も得られるわけですから、生産にもより、真剣に取り組むことになるでしょう。

 また、日頃、食料品などに関しては、ついつい、決まりきった長いこと慣れ親しんでいるメーカー(ブランド)のものを選びがちなのですが、この止まらないインフレが、あまりこれまで見かけたことがなかったブランドのものに手をのばそうとするきっかけになりつつあるということでもあります。

 これまでフランスでは圧倒的に大きなブランド(認知度が高いメーカー)の製品がかなり独占して出回っているイメージがあって、逆に言えば、よく飽きないな・・と思うと同時に、彼らの好みがかなり保守的であることを感じていましたが、このインフレを機に、より多くの小さなブランドがこのようなお店を足掛かりに進出できるチャンスでもあるのかもしれません。

 このお店は、現在1号店をオープンしたばかりですが、2023年末までには、約40店舗に拡大される予定になっています。

 また、当然?割高なフランス産のものばかりではなく、スペイン産のオレンジ ジュース、ポーランド産の鶏もも肉、イスラエル産のクレマンチン(みかん)、さらにはケニア産のサヤインゲンなど、より低価格を追求するために海外からの輸入品も多く扱っています。

 このインフレを機にホワイトブランドに目をつけて、より低価格で仕入れるかわりに利益が出た場合にその一部をディストリビューターに支払うという新しいビジネスモデルがこの先、どう他のマーケットにまで影響するのかはちょっと楽しみなところです。

 今後、パリにもこの店舗ができるかどうかはわかりませんが、より低価格なのは嬉しい限りですが、それ以上に今まで目にしたことのない製品が並んでいるというだけでも、なんだか楽しそうです。

 これが成功すれば、今後、同等のお店ができていくと思いますが、すでに昨年末にオープンしているスペインのプリマプリ、春にはドイツのTEDi、9月にはカーフールの子会社でアタカドンがフランスに上陸する予定になっています。

 いつか日本の「業務スーパー」がフランスに来てくれるかも?と期待しています。


ハードディスカウントショップ トゥージャスト


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2023年3月1日水曜日

俳優ピエール・パルマードの自動車事故が炙り出した薬物による転落人生

 


 ここのところ、フランスのマスコミは、毎日のように、俳優・ユーモリストであるピエール・パルマードの起こした自動車事故によって明らかになった彼の人生の転落ぶりを報じています。

 この事故が起こったのは、パリ近郊の彼の家からそんなに遠くない場所で起こっていますが、この事故が、車の原型をとどめていないほどのかなり大事故であり、車に乗っていた人々が重症を負ったことや、車を運転していた彼からコカインの反応が出たことで、騒ぎは一層、ヒートアップしていきました。

 彼が運転していた車は、正面からやってきた対向車に衝突し、対向車の損傷は特に激しく、救出のためのヘリコプターも出動したようです。

 対向車に乗っていた男性と6歳の子供は重症で、同乗していた女性は妊娠中で、彼らが病院に搬送された後に、お腹の中の子供は、亡くなったということで、胎児が殺人罪に該当するのかどうかも論争の種の一つになっていました。

 しかし、後日、妊婦は事故後に病院で帝王切開の手術を受け、出産していたことが明らかになり、子供は、その約30分後に死亡宣告を受けていることが明らかになり、殺人罪に該当することが確認されています。

 当の本人も事故のために命に別状はない状態とされつつも、負傷しており、入院状態にありましたが、ある程度、回復した段階でまた、同地方の病院内の薬物中毒ケアユニットに電子ブレスレット(身柄追跡のため)を着装された状態で入院していましたが、後に脳卒中を起こして、その治療中(命の危険はないとのこと)とのことで、事件に関する公聴会も欠席しています。

 さらに問題なのは、彼の薬物中毒がかなり重度なものであったことで、事故を起こした当日もその日の昼頃から、事故を起こす30分前まで(事故は午後7時頃発生)、コカイン、アルコール 2 杯、3MMC(コカインと同様の効果を持つ違法薬物) を 8 回摂取しており、薬物の影響で過去3日間、眠っていなかったことが発覚しており、ほぼ薬漬けのような生活であったことがうかがい知れます。

 当局の自宅捜索で、これらの薬物の痕跡と注射器を発見されており、彼の血液検査の示す数値からも、かなりの量のコカインが認められ、重度の中毒状態であったことは明白で、本人も事実を認めたと言われています。

 こうなってくると、根掘り葉掘り彼の行状が深掘りされていくなか、このほかにも、警察への通報を受けて児童ポルノ画像の所持で捜査が開始され、 彼のパリの自宅とセーヌ・エ・マルヌの家が家宅捜索され、コンピューター機器が押収されています。 

 一昨日、パリ控訴裁判所は、彼を「殺人および不随意傷害」の罪で起訴し、自宅軟禁について検察からの異議の申し立てにより、公判前拘留(裁判の前に投獄)が決定しました。

 彼の投獄に関しては現在のところドクターストップが出ていて、まだ彼は収監されていないようですが、超有名人の投獄ということで、マスコミは、これまでに収監経験のある人の証言をとったりして、彼の刑務所の生活のリスク(フランスの刑務所はかなり怖いところらしい)を明らかにしており、ある程度、刑務所内で保護された状態でない限り(一般の囚人と一緒の場合は彼の命は5分もないと言う人もいる)、彼は塀の中で大きな危険にさらされることになると言われています。

 かねてから薬物問題で苦しんでいた彼は、2年前にコカインと同様の効果を持つ合成薬物 3MMC に出逢い、それ以来、新たな薬物の中毒反応のために、もはや仕事もできない状態に陥っていたと語っているそうです。

 この事故の当日だけを見ても、もはや彼の生活は普通ではなかったのは明らかで、それが薬物のためであることは明白ですが、どう考えても幸せそうではありません。

 世間にも広く認知されていた彼は、俳優・ユーモリストとして、フランスではある程度、成功者であったはずなのに、仕事の上での成功と個人の生活が幸福であるかどうかは、全く別ものであるのだと、つくづく思い知らされてしまうのです。


フランス人俳優 ピエールパルマード薬物中毒 自動車事故


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2023年2月28日火曜日

アヴィニョンでの暴行事件 襲われた57歳の女性 暴行証拠として男の舌を提出

  


 先週末、アビニョンのサンジャン地区で犬の散歩中の女性が性的暴行を受けたという事件がありました。怖い話ではありますが、残念ながら、これだけなら、そんなに珍しい話ではありません。

 しかし、その後の女性の勇敢?な行動が話題になっています。

 犬を散歩させていた57歳の女性を30代の男性が彼女を追いかけはじめ、男は隙を見て、彼女にとびかかり、彼女をつかみこんで、力づくで彼女にキスをし始め、同時に彼女の下半身に手を伸ばし始めていました。

 ところが、この女性、無理やりにキスをされている間に、もがきながら、男の舌を噛み切ったのです。

 思いがけない反撃に男が彼女を放した隙に、彼女は男の舌を口に含んだまま帰宅したのです。その後、彼女は家に帰って口の中にある噛み切った舌を吐き出して保管し、息子に事の始終を打ち明け、息子に付き添ってもらって警察に行き、暴行被害を訴え、証拠として噛み切った舌を提出したのです。

 すぐに現場にかけつけた警察は、口を血まみれにしている男を発見して逮捕しました。

 男は、彼女の方が自分の魅力の虜になり、自分に馬乗りになってきたと言い訳をしたようですが、彼女の証言と証拠により、あっさり却下されてしまったようです。

 私は、幸いにも暴行事件にあったり、襲われたりしたことがないのでわかりませんが、もしも、男性に襲われたら、相手の舌を噛み切るような勇敢?な行動に踏み切れるのか?(無理だと思うけど・・)と思いますが、彼女は、以前にも暴行被害に遭っており、その際に警察に被害を届け出たところ、証拠がないからといって、却下された経験があったのです。

 そのため、彼女は過去に悔しい思いをしたこともあって、もしも、再びそんな目に遭うことがあったら・・と考えることがあったのかもしれません。

 しかし、フランス人女性・・強い・・激しい。泣き寝入りなんてしない!。

 性的暴行ではありませんが、以前、パリで日本人が塩酸を顔にかけられる事件が発生したことがありましたが、被害者は軽傷で済んだために、ことを荒げたくないと被害届さえも出さなかったということがありました。

 気持ちはわからないでもありませんが、かたや舌を噛み切ってまで届け出るフランス人からは、塩酸をかけられてもなお、泣き寝入りをする日本人は理解されないかもしれませんし、性的暴行にせよ、塩酸による暴行事件にせよ、凶悪な犯罪者は野放しにすべきではありません。

 逮捕された男は、30代の住居不定、職業不定のチュニジア人で、フランス領からの強制退去命令が発令される見込みとなっているようです。

 それにしても、襲われた57歳の女性、どんな女性かわかりませんが、そうたびたび襲われるのは、気の毒でもありますが、不謹慎な言い方をすれば、よほど魅力的な女性なのかもしれない・・などと思うのでありました。

 年齢の話をするのは、この女性には失礼かもしれませんが、30代の男性が57歳の女性を襲うとは・・と、正直なところ、私はそこのところもちょっと驚かされたのです。

 しかし、考えてみれば、マクロン大統領夫妻の年齢差もそんな感じなので、そんな年齢差は全然、タブーではないのかも・・とも思ったのです。

 それにしても、女性は襲われた場合には、なんらかの証拠を提出しなければならないということを初めて知りました。


アヴィニョン57歳女性暴行事件 舌かみ切り証拠提出


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2023年2月27日月曜日

パリのバラバラ殺人事件 真犯人は被害者の夫だった・・

  


 パリ19区のビュット ショーモン公園でビニール袋に入れられた女性のバラバラ死体の一部が発見されたのは、2月半ばのことでした。発見したのは、公園職員で、公園内の植木などの廃棄物置き場の下に隠されていたのは、ビニール袋に入った切断された女性の骨盤部分と太ももでした。

 人間のバラバラ遺体の発見で、これは、直ちに殺人事件としてパリ司法警察の捜査が開始されました。遺体発見と同時に公園は立ち入り禁止で閉鎖され、死体の残りの部分の捜索が行われ、公園の池の中まで探した結果、残りの遺体は同じ公園内で発見されました。

 遺体の指紋から、身元が確認され、その遺体は2月の初旬に夫によりモントルイユ (セーヌ サン ドニ) にあるアパートから妻が行方不明になったと捜索願いが提出されている女性のものであることが判明しました。

 その後も捜査が続けられていたのでしょうが、犯人が確定された報道もないまま、他の事件に紛れて、忘れかけていたところ、昨日になって、あのバラバラ事件の犯人は夫だったことが発表されました。

 この男性、妻の行方不明をSNSで発信しており、その後、行方不明の妻の捜索がすでに別に行われていました。遺体の指紋とこの行方不明の妻の照合が可能であったのもこのためだと思われます。

 結果としては、彼が出した捜索願いを出したことは、彼にとっては墓穴をほったことになりますが、その後、今度はバラバラ遺体の殺人事件の被害者の夫としての証言があまりに支離滅裂であったことから、警察の疑惑を引き起こしたと言われています。

 最も決定的であったのは、この男が1月30日から31日かけて妻が外出したという証言に反して、アパートの監視カメラにこの女性の姿が写っていなかったこと、また、妻の捜索願いを出しながら、この男が全く妻の消息を探していなかったことなどが挙げられています。

 この女性の遺体は2月半ばに発見されていますが、すでに彼女は1月の段階で夫によって殺されていたのです。

 結局、身柄を拘束されたこの男は、すぐに妻を絞殺して、キッチンで妻の体を切り刻み、バラバラにした遺体をゴミ袋に入れ、ショッピング カートに入れ、バスでパリに行き、パリ19区のビュット ショーモン公園に捨てたと自白しています。

 理由は数年間にわたる夫婦間の恨みの感情と発表されていますが、これが計画的なものであったのかはわかっていませんが、突発的に激情にかられての殺人だったとしても、その後、遺体を切り刻むというのも猟奇的だし、その間、捜索願いを出して妻を探すふりをしたり、また、簡単に見つかりそうなパリ市内の公園に遺体を捨てるなど、不可解なことも多いです。

 暴かれてしまえば、あまりに稚屈なアリバイで推理小説にもならないような話です。

 フランスでは、女性殺害の事件が前年度比で20%も増加しており、そのうち配偶者または、元配偶者による殺人事件も少なくないようです。

 配偶者殺人は単なる殺人事件とは異なるカテゴリーの罪に問われるようで、この男、「配偶者殺人罪」「死体損壊」「死体遺棄」で裁かれるようです。

 そして、フランスで、バラバラ事件、猟奇的な事件が発生するたびに過去の例として登場するのは、いまだに日本人留学生が起こした「佐川くん事件」なのです。


パリ19区バラバラ殺人事件


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2023年2月26日日曜日

国際農業見本市に訪れたマクロン大統領に物申す人が続出

  


 毎年、パリで行われる国際農業見本市は、毎年、多くの人を集める一大イベントの一つです。今年は2月25日から3月5日までポルト・ド・ヴェルサイユの大きな会場で行われています。結構、地味に人気のあるイベントで、今年は50万人の人出が見込まれています。

 フランスは自国の食糧に誇り高きプライドを持つ農業大国でもあり、フランス各地から見事な牛、馬、豚、羊などとともに、地方名産のチーズやバター、またハムやサラミなどの肉製品など、様々な食料品も集結し、農業にまつわるアクティビティなども用意され、子供連れで訪れる人も少なくありません。

 私は、行ったことがないのですが、近くなってくると、牛が全面に載せられたポスターなどの広告が出てきて、いつか、このポスターの牛を見て、「美味しそうな牛だ・・」という夫のつぶやきにギョッとして、「この人は肉ではなく、牛を見て、美味しそうだ・・牛が美味しそう?と思うのだろうか?」とびっくりしていると、「日本人だって、魚を見て、美味しそうだって思うでしょうに・・」と言われて、フランス人というのは、こういうものか?と誤解しそうになりましたが、これは、一般的なフランス人の話ではありません。

 昨日は、この国際農業見本市が初日ということで、マクロン大統領が見本市の様子を見て歩き、生産者たちと触れ合い、対話の時間を持ったのでした。


 

 ただでさえ、人が多く集まるところに、グングンと入っていき、ごくごく近くで生産者たちや、来場客などと気軽に話をする様子は、一見、すごくオープンな感じで親しみが持てる感じもするのですが、今回は特に、年金問題などで政府が国民の反感を買っている時期でもあり、大統領を捕まえて、物申す人が続出し、かなり過激な言い合いになっている場面や、乱暴を働こうとしたのか、その場で取り押さえられる人まで出たりして、ちょっと話題になっています。

 わりとよく見かける光景ですが、マクロン大統領は、大勢の国民のいる場所にグングン歩いていき、危険はないのか?と思いますが、いざ、危険な場面に直面して、その場に居合わせた人がSNSにアップして(今どきな感じ)、その時の様子を見ることになるのですが、一人でグングン歩いているように見えるマクロン大統領の周囲には、イカつい男性のSPがびっしり固めており、いざ、暴漢が・・などという話を聞いて映像を見ると、どちらがSPなのか暴漢なのかよくわからないようなガードの仕方でフランスのSP怖い~~(日本のSPもよく知りませんが・・)と思います。


 

 このような場面で思い出すのは、やはり安倍元首相が襲われた事件での警護の問題ですが、現職ではなかったにせよ、あれだけの大物にSPらしき人がいたのか?いなかったのか?いたのに、事件が起こったとしたら、まことにお粗末な話でもあります。

 しかし、この映像で見るSPは、暴漢?の髪をひっつかんで、なんかすごいですよね・・まじまじと見なければ、髪の毛をひっつかんでいる人の方が暴漢なのかと思ってしまいました。

 きっと、これが日本だったら、このような場所に首相が入っていく場合は、あらかじめ道があけられ、一般の人は近寄れないような体制を作ってしまうのでしょうが、こんなふうに、国民と直に対話する場所を作って見せるということもあってもいいのではないか?とも思います。

 まぁやったにしても、ポーズだけで、本当の対話とはなりそうもありませんが・・。


SALON INTERNATIONAL de l'AGRICULTURE

Porte de Versaille 75015 Paris


パリ国際農業見本市


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2023年2月25日土曜日

「赤い3月」3月にはさらに値上げ 2月のうちに買い物をしていた方がよいのか?

  


 今年に入って、すでに2ヶ月が過ぎようとしていますが、今、フランスでは、来たる3月を「mois de mars rouge」レッドマーチ(赤い3月)などと名付けられ、これまで続いてきたインフレがさらに悪化すると見る向きが多く、「2月のうちに買い物をしておいた方がよいのか?」などという話題が上がってきています。

 これに対し、財務相は、このレッドマーチ(赤い3月)のリスク(特にスーパーマーケットなどでの食料品や日用品に関して)を否定する心強い言葉を表明してくれてはいますが、彼が否定しようとしまいと、すでに、もう2月の段階で価格はかなり上昇しています。

 これまでに、食料品に関しては、この1年で平均13.2%の値上がりしていることが明らかにされていますが、これも、品物によって、かなり差も大きく、大きいものだと、小麦は40%、砂糖45%、ステーキ肉33%となっており、特に小麦を原料とするパンやパスタなどは、そこまで値上がりしているかというと、現在のところそこまでの印象はないものの、今後もこのままで据え置きになることは考え難く、徐々に値上がりすることはやむを得ないかもしれません。

 大手スーパーマーケットチェーンなどは、おおよその年間の仕入れ価格をできるだけ抑えるように交渉を進めるとしているものの、それ以上の努力は難しく、当然のことながら、仕入れ価格に見合った値上げは致し方ないものと半ば開き直っている感じで、品物により、10%~30%の値上げが予想されているようです。

 すでに、かなりの値上げに直面している国民は、4人に1人が食料品の買い物を抑えていると言われており(特に若い世代)、また、価格を抑えるために、これまでよりも食品のランクを下げて買い物しているために、必然的に身体によくないものを摂取する傾向にあり、健康問題にまで発展することが懸念されています。

 私も昨日、たまたまスーパーマーケットに買い物に行って、あまりの値上がりぶりにびっくり! これまで1ユーロで売っていたサラダ(レタス)が1.5ユーロになっていました。そもそも、そんなに高いものではないとはいえ、非常にわかりやすい1ユーロから1.5ユーロという1.5倍の値段に、せこいと思いつつも、なんとなくバカらしい気がして、手を引っ込めてしまったのでした。

 それで注意深く、他の野菜をチェックすると、どれも似たり寄ったりの値上がりぶりで、思わず、ため息が出てしまいました。

 野菜の値段は、これまでもシーズンに左右されることもあったものの、サラダとか、じゃがいも、玉ねぎ、にんじんなどの、比較的、あまり季節感がなく、いつでもお手頃価格なイメージの野菜がこんなに値上がりしているし、(私が今まで気が付かなかっただけで、いつからこの値段になっていたのかはわかりません)これよりさらに、赤い3月などと値上げが続くのかと思うと、この値段の上昇に気持ちもお財布も慣れていくのは大変かもしれません。

 気付いてみれば、コマーシャルセンター全体が低迷していて、テナントの店舗が次々と撤退して、空きスペースも目立っていたところ、さすがに食料品や生活必需品を扱うスーパーマーケットはかろうじて生き残っているものの、こうインフレが進んでは、厳しい状況になっていくかもしれません。実際、価格が上昇しているために売上高は増加しているものの、販売量は減少しているということで、これがインフレによる買い控え、消費低迷ということなのだと身をもって感じています。

 そんなインフレの影響からか、コマーシャルセンター内の撤退した店舗の空きスペースに新たにオープンするのは、2ユーロショップとか、Action(アクション)などのハードディスカウントショップなどの日本でいう100均のようなお店(100円ではないけど・・)で、これが、さすがに安いだけあって、けっこう人も入っていて、結構、売れているのです。

 とはいえ、このようなお店では、さすがに食料品もスナック類やお菓子、せいぜいジャムや乾物のインスタント食品で、生鮮食料品は扱っていません。

 長いこと、日本の100均のようなお店がフランスにも出来たらいいなぁと思っていた私ではありますが、こう続々と登場し、パリらしいお店が消えていくことはそれはそれで、寂しくもあり、まったく常にないものねだりなのかも?とも思うのでした。


mois de mars rouge レッドマーチ 赤い3月 インフレ


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