子供を食い物にする親というのはいるもので、フランスの場合、子供に対して結構、補助金が出て、親が低収入の場合は住宅手当まで出たりもするので、子供にお金をかけずにいれば、それなりにその補助金で家族もろとも生活をしているような人もいるのです。
子供にかける費用というのは、それこそピンキリで、とても補助金どころでは足りないと私などは思うのですが、公立の学校に子供を行かせて、特別に他の教育をせずに、あらゆる補助金の伝手を辿って、それを手繰り寄せていけば、なんとかやっていけてしまうのも事実なようです。
そんな風に、やたらと子供で生活しているような人の話は聞いたことがあったのですが、今回の事件は、ちょっとそれを上回る、親が12歳の子供にパパ活のようなことを無理強いしていたという事件でしかもその相手が70歳の年金生活者というのに、言いようもない不快感を覚えました。
先週、パリ12区の映画館で老人が10代の少女の「胸を愛撫」し、「唇にキス」している不審な行動に映画館の従業員が気付いたことから、この事件が発覚していきました。
従業員はその後、同じ列に座っていた少女の父親と母親に警告しようとしましたが、両親は老人の行動に驚きもショックも受けていないことにさらに驚き、少女の母親も、老人は単に「友達」であると従業員に話しました。
ますます不審に思った映画館の従業員は警察に通報し、警察は小児性愛者の老人と被害者の母親を逮捕しましたが、父親は娘を連れて逃亡、警察に拘留された老人は事実を認めましたが、それは「愛情のしるし」に過ぎないと語ったと言われています。
ところが、その後の捜査の結果、この老人はこの少女の両親に、その代償として年間90,000ユーロ(約1,300万円)を支払っていることが発覚。身柄を拘束された老人と母親は「15歳の未成年者への性的暴行と未成年者に対する人身売買」の罪で起訴されています。
子供を売るようなことをしていながら、両親揃って、その場に立ち会うというのも解せない話ではあり、また、なぜ、映画館のような場所を選んでいたのかも疑問ではありますが、考えようによっては、年間90,000ユーロを稼ぐ娘はその両親にとっては金の卵、しっかり監督する必要もあったのではないかとも考えられ、また少女本人がこの金銭のやり取りを知らなかった場合に、老人の行状には両親は気づいていないことを装っていたとしたら、映画館という場所を選んだことも頷けないでもありません。
それにしても異常な大人たちに食い物にされていた少女がどれだけ傷ついていたかと思うといたたまれませんが、父親が彼女を連れて逃亡中ということは、彼女はまだ苦しみから解放されていないのです。父親は、指名手配されています。
フランスは児童保護については、なかなか厳しいを態度をとっていると思われ、私も一度、全然、見当違いに「子供を学校に行かせていない」などとでたらめの通報されて、児童保護団体が家に調査にやってきたりして、ビックリしたことがありましたが、そんなことは娘の学校を調べてもらえばすぐわかることで、学校に行かせていないどころか、休みの日には、お稽古事のハシゴの送り迎えでヘロヘロなのに・・とあきれ返りましたが、実際に、そんなめちゃくちゃな通報をする人がいることの方が不気味で、児童保護団体には、誰が通報したのか聞きましたが、結局、教えてもらえませんでした。
しかし、児童虐待にしても、家で子供に暴力をふるったり虐待をしたりするやり方とはまた異なる、このような子供を売り物にするやり方は、なかなか表面化することは難しいと思われます。
この老人は、小児性愛者で、若い女の子のTikTokアカウントに頻繁にアクセスしていることがわかっていますが、これがTikTokへのアクセスだけにとどまっていないところが、恐ろしいことで、不特定多数の人がアクセスできるSNSがこのような犯罪の入口にもなりかねないのです。
国民議会は昨日、TikTok や Snapchat などのプラットフォームがユーザーの年齢を確認する義務を確立することを可決しました。 この条文によると、15 歳未満の子供の登録には保護者の同意が不可欠であり、違反した場合は罰則が課されるとされています。
もっとも、この事件の両親のような場合、保護者の同意は逆に恐ろしいのですが・・。
12歳の娘を売る親
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