2021年7月2日金曜日

自分の落としたゴミを拾ったら、びっくりされて、すごく感謝された!

   



 フランス人が日本に行って、びっくりすることの一つに、「公共の場にゴミ箱が少ない」というものがあります。そして、さらに彼らがびっくりするのは、「ゴミ箱が少ないにもかかわらず、街には、ゴミが落ちていない」という点です。

 彼らは言うのです。「あんなにゴミ箱が少ないのに、街にはゴミは落ちていない。一体、日本人はどこでゴミを捨ててるんだろう?」と。

 私自身は、日本にゴミ箱が少ないとは感じませんが、そういえば、パリ市内は、やたらとゴミ箱はたくさんあるような気がします。日本は、地下鉄サリン事件以来、保安上の問題で、確かにゴミ箱は以前よりも減ったようです。

 私自身は、あまり気づいていなかったのですが、最近、ここ数年(といっても、コロナ前の話ですが・・)周囲のフランス人で、日本に行く人が増え、私が日本人だと知ると、日本へ行ったことがある!という人や、知人や家族が日本に行ったことがあるという人が必ずいて、これまで遠い東のアジアの国の一つでしかなかった日本に触れる機会が増え、こぞって日本を褒めてくれるのです。

 日本人の私としては、お世辞が上乗せされていることは分かっていても嬉しいことです。

 おそらく日本人が知っているフランスの情報以上に、フランス人が知っている日本の情報は曖昧なもので、実際に行ってみると、そこは、まるで別世界の新鮮な体験が待っているのです。

 日本の街並みや文化、食事、生活の仕方、眠らない街、時間どおりにやってくる電車、ゴミ箱がないのにゴミの落ちていない街。彼らにとって、新鮮な驚きはたくさんあるのです。

 考えてみれば、私がフランスに来たばかりの頃は、その逆のことに、私もいちいち驚いていたんだと思いますが、今では、もう慣れ切ってしまって、フランスは、こんなもの・・と驚くこともなくなっていました。

 パンデミック以来、スーパーマーケットの入り口には、アルコールジェルや除菌スプレーが備え付けられるようになって、最近、私は、買い物に行くと、備え付けられたキッチンペーパーのようなものにアルコールのスプレーを多めに吹きかけて、買い物の最中にはそれを持ち歩いて、気に掛かるものを触った後には、手を拭くようにするようになりました。

 先日、買い物が終わって、セルフレジに行って、会計を始めようと思った時に、その持ち歩いていた紙をフワッと落としてしまったのに気づいて、その紙を拾ったら、その場を取り仕切っているスーパーマーケットの店員さんに、「ありがとう!」と、大げさに感謝されたのです。

 最初、私は、何に対して、お礼を言われているのか、よくわからなくて、「えっ??」と彼女の方を振り向いたら、「だって、あなたは、落とした紙を自分で拾ってくれたでしょ!そんなこと、滅多にないことよ!」と言われて、さらにびっくりしました。

 私は、自分が落としたゴミを自分で拾っただけなのです。

 このご時世、他人が落としたものを拾うのは、(しかも、他人が使った除菌用の紙などは特に・・)躊躇われるところです。ましてや除菌用に使った紙など、触りたくないに違いありません。

 当初、最初のロックダウンの時から、日常必需品を扱っているスーパーマーケットは、感染がどんなに悪化している状態でも決して閉鎖されることはなく、店員が感染して、死亡したというケースも何件も起こっていました。

 しかし、衛生管理に気を配りながら、きっと、落ちているゴミも拾いながら、彼女は仕事を続けてきたのでしょう。

 ここで、感激してお礼まで言ってくれるのが、フランス人らしいところではありますが、お礼を言われた方は微妙な気持ちになります。

 日本に行ったフランス人が「ゴミ箱がない!」と思うということは、少なくともゴミをゴミ箱に捨てようとしているから、感じることだとは、思うのですが、実際のパリはゴミだらけ。

 パリでの日常の、彼らのゴミに対しての無頓着さと、ゴミ箱がたくさんあるのに、ゴミだらけのパリをあらためて、納得させられる1シーンでした。



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2021年7月1日木曜日

ロックダウン最終ステージから取り残されたランド県でデルタ株感染が拡大した皮肉な理由 日本も危ない

   


 フランスは、いよいよロックダウン解除の最終段階に入りました。しかし、ランド県(ヌーヴェル・アキテーヌ地域圏)だけは、デルタ株感染者の割合が他の地域に比べて、極端に高いために、ランド県知事は、ひとまず、7月6日まで、最後の制限の解除を延期することを決定しました。(前段階の生活制限が維持される)

 デルタ株の影響を最も受けたこの地域は、温泉地やリゾート地が点在し、サーフィンの人気スポットであるオスゴールなどもこの県内で、ビーチに行楽客が押し寄せる前に、ロックダウンの最終解除を1週間延長しました。 

 具体的には、公道での集会は10人に制限され、収容人員制限は、映画館や劇場では65%、レストランやカジノでは50%に維持され、店舗では1人あたり4㎡に設定されています。 

 7月6日の時点で、感染状況を精査し、これらの措置を延長するかどうかを決定します。 



 この地域は、これまでコロナウィルス感染が深刻な状況には陥ってこなかった地域で、このために、集団免疫力が弱く、人々の危機感も比較的緩いことが、今回のデルタ株拡大に繋がっていると見られています。

 これまで、感染者を抑えられていたことが、逆にデルタ株の感染拡大に繋がってしまうとは、かくも皮肉な結果ではありませんか?

 この地域のワクチン接種率は、フランスの中でも58%とかなり高めにもかかわらず、この状況。観光地であると同時に療養地でもあるこの地域は、高齢者施設も多く、高齢者を優先にワクチン接種を進めてきた同地域では、若者のワクチン接種は、滞りがちで、また、これまで感染状況が深刻な状況に陥らなかっただけに、若者の間では、ワクチン接種を急ぐ危機感が欠けていたようです。

 同県では、ショッピングセンター前にワクチン接種バスを配置し、14の予防接種センターの半分での予約なしのワクチン接種、企業または季節限定の農業労働者への的を絞ったワクチン接種をさらに拡大することを発表しています。

 同県内では、これまでに7つのクラスター(企業内(5)、高齢者施設(2))が確認されています。

 しかも、最初にデルタ株が確認された高齢者施設では、ワクチン接種済みの高齢者(既往症あり)が2名死亡しています。ワクチンとて、100%有効なわけではないので、ありえないことではありません。

 デルタ株の蔓延により、この高齢者施設では、重症度のレベルが3〜4倍とはるかに高くなっているということです。

 7月に入り、フランス人は、一斉にバカンスシーズンに入ります。観光地であるこの地域にとっては、ロックダウン解除の最終段階に足止めを食うことは、経済的にも大打撃を受けることになります。

 県知事は、夏にこの地を訪れる観光客のためにも、1回しかワクチン接種が済んでいない観光客にもワクチン接種をして、安心してバカンスを過ごしてもらえるように、ビーチ沿いにもワクチン接種センターを設けることにしています。

 しかし、これまで、ある程度、感染が抑えられてこれたからこそ、今、デルタ株に苦しめられているこの地域の様子を見るにつけ、私は、日本も同じではないだろうか?と思わずには、いられません。

 日本は、医療システムの問題で、世界的に見れば、感染者が驚異的に抑えられて来たにもかかわらず、医療崩壊を起こし、日本は日本でパンデミックに喘ぎ苦しんできたと思いますが、全体の人口からの比率にしたら、ヨーロッパなどとは、比較にならないほどに感染者数が抑えられてきている国なのです。

 つまり、現在、ランド県でのデルタ株の蔓延が集団免疫力が低いことによるならば、日本は、まことに危険な状態であると考えざるを得ないのです。

 検査数の違いはあるかもしれませんが、これまでの感染者数だけを見ても、フランスは、577万件以上、日本は、7万9千件です。(フランスの人口は、日本の約半分)

 つくづく恐ろしいデルタ株です。


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2021年6月30日水曜日

デルタ株が一週間で倍増しているにもかかわらず、ロックダウン解除最終段階に突入するフランス 

   


 フランスは、6月30日から、いよいよロックダウン解除の最終ステージに入ります。

 当初の予定では、この日から夜間外出制限が撤廃されることになっていましたが、想像以上に感染減少が早く進んでいたために、すでに夜間外出制限は解除されています。

 今後は、一般の商店、レストラン、スポーツジム、美術館、映画館など、これまで敷かれていた制限なども解除されます。

 屋内でのコンサート等のイベントは、入場が収容人数の75%までに制限されますが、屋外での制限はありません。屋内外にかかわらず、1,000人以上のコンサート・イベントに関しては、ヘルスパス(2回のワクチン接種をしているか、48時間以内にPCR検査の陰性結果、あるいは、6か月から2週間前に陽性の検査結果の証明書)が必要になります。

 コンタクトスポーツ競技は屋内で再開することができるようになります。

 スタジアムやスポーツアリーナでは、観客全員が着席している場合、収容人数の100%を収容できるようになりますが、立った状態の場合は1人あたり4m²を予約する必要があります。

 フランスのサッカーやラグビーなどのスポーツ観戦をするスタジアムなどの様子を見ていると、大人しく座って観戦している人など稀なので、これが歩き回らなければ良しとするということなのか?と、ちょっと思います。

 このタイミングに6月30日からフランスは、夏のソルド(バーゲン)も始まります。これまで最も警戒されていたディスコやナイトクラブ等の再開は、7月9日からということになっています。

 しかし、現在、世界中で猛威を振るい始めたデルタ株がフランスでも確実に広まり始めており、先週までは、感染者のうちの10%であったデルタ変異種感染者が、今週には20%にまで上昇しています。一週間で2倍に増加とは、恐ろしいことです。

 地域によっては、これが70%を超える地域もありますが、国全体としては、全体の感染者数には、変化は見られず、集中治療室の患者数も減少を続けているため、ロックダウン解除について、現在のところは、変更はせずにこのまま日常生活を取り戻す方向に進んでいくようです。

 現在のところ、このデルタ株に打ち勝つには、なんとしてもワクチン接種を拡大するしかないわけですが、5月以降、ワクチン接種の予約状況は、頭打ち状態で、地域によっては、コマーシャルセンター内にワクチン接種するコーナーを設け、予約なしで買い物のついでにワクチン接種が受けられるところもでき始めました。

 そして、さらに、ワクチン接種を拡大するために、これまでパンデミック開始以来、ずっと無料だったPCR検査を有料化するという話も出ているようですが、これはまだ検討段階、観光客向けにもPCR検査を無料にすると公表しているフランス政府が国民向けのPCR検査を有料化するなどという話は、あまり現実的ではありません。

 このデルタ変異種の拡大のために一時は、劇的に感染者が減少したイギリスも現在は、1日の新規感染者数が2万人超えという状況になり、ロックダウン解除がペンディングになっていますが、一部の専門家の間では、これまでのデータによると、フランスは、イギリスの8週間遅れでイギリスの感染状況を追っている傾向にあり、フランスに比べると格段にワクチン接種が進んでいるイギリスであの状況なのだから、フランスで同じだけ感染者が増加すれば、大変なことになると分析している人もいます。

 デルタ変異種に打ち勝つには、国民の80%が2回のワクチン接種を受けていなければ防ぎきれないと分析されており、まさにウィルスとワクチン接種の速度の競争状態です。

 それでもロックダウン解除の予定を変更しないのは、フランスが3回目のロックダウンになかなか踏み切らなかった時の状況に似ているような気がします。

 それにしても、フランスがようやく3回目のロックダウンに踏み切った時には、イギリス変異種の拡大が原因で、それが停滞してきたと思ったら、今度はデルタ変異種の出現で、世界中が再び、不穏なモードに突入しつつあります。

 次から次へと威力を増して襲いかかるコロナウィルス、イギリス変異種、インド変異種の次には、オリンピック変異種に悩まされることになるかもしれません。


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2021年6月29日火曜日

海外生活でのご近所の騒音トラブル 黙って我慢してたらダメ

   



 ある程度の地域の生活レベルなどで、住居を選ぶことはできても、選べないのが、隣人です。一軒家であれば、かなりプライベートは守られ、余程のことがない限り、騒音に悩まされるということも少ないかもしれません。

 しかし、パリ市内には、一軒家というものは、ほとんどなく、ほとんどがアパートで、旧建、新建に関わらず、上下に隣人があるため、騒音トラブルは少なくありません。

 騒音トラブルが多いだけあって、フランス政府が出しているこんなサイトもあります。(フランス語ですが・・)

ご近所との騒音トラブルについて Service Public France

 ましてやフランス人のこと、大勢が集まって夜通しのパーティーとか、その騒ぎ方も尋常ではない場合もあります。

 我が家はパリに引っ越してきてから、かれこれ20年近く経ちますが、賃貸のアパートゆえ、この20年の間に同じ建物の住民もいつの間にか、ずいぶん入れ替わっています。

 私は、隣人ゆえ、あまり近付き過ぎず、かといって、あまり無愛想なのも何なので、つかず離れずの、顔を合わせれば、少し話をする程度の、ほどほどの関係を保っています。娘と同い年の子供がいるお母さんや、夫と同じ職場の人とかとは、他の人よりは少し余計に話をするぐらい・・そんな感じです。

 フランス人は、親しくなれば、べったりですが、他人にはあまり干渉しないので、こちらがあまり立ち入らなければ、放っておいてくれるので、それはそれで助かります。

 今の住居は、地理的にもわりと便利で、そのわりには静かなところなので、なかなか気に入っているので、できるだけ長く住めるよう、ご近所とはトラブルを起こさないように、それなりに気を使って暮らしています。

 とは言っても、長く暮らしている間には、トラブルも全くなかったわけではなく、上階の住民が家の中の工事が好きらしく、よくもそこまで、いじるところがあるかと思うくらい、頻繁に工事をしていて、まさか夜中に工事をするわけではないのですが、休みの日の昼食時だったりすることが多くて、「またか・・」と、苦虫を噛み潰していました。

 一時、あまりに騒音がひどい上に、上階の家の工事のせいで、何回か続けて、下の階である我が家の電気の回線が壊れたことがあって、何度目かの時には、さすがにブチギレて、上階に駆け上がって、苦情を言いに行ったことがありました。

 その時は、「うちの工事のせいじゃない!」と言い張っていましたが、その後は、そのようなことは無くなりました。

 また、私と娘が日本に行っていて、夫が一人で留守番をしていた時に、上階の人の子供が夜、騒ぐのがうるさいと、最初は、天井を棒で突いて、下から「うるさい!」と怒鳴り、終いには、怒鳴り込んだという話も聞いたことがあります。

 我が家の寝室の天井には、今もその時の傷跡が残っています。

 その時も、「子供を繋いでおくわけにはいかない!」と言い合いになり、夫と上階のご主人とは、ちょっと険悪なムードになったこともありました。

 私たちがいる時には、そんなに気にならない子供がはしゃぎ回る音も、一人寂しく留守番をしていた夫には、必要以上に癇に障ったのではないかと私は思っていますが、それ以来、騒音に悩まされることもありません。

 一応、フランスでは、昼、夜に関わらず、特に22時〜7時までの夜間の騒音については、それなりの手段を踏んで(まずは書留で手紙を本人に送る)、訴えることができることになっています。

 また、極度の騒音などに対しては、通報することもできます。

 そして、騒音被害が認められれば、迷惑行為を犯した人は、罰金を課せられます。とはいえ、そんなことをいちいち警察などの手を借りて、皆が訴えていたら、警察はとても手が足りないのがフランスです。

 まずは自分の否を素直に認めず、謝らないフランス人ではありますが、とりあえず、黙って我慢をすることはありえないことで、往々にして、本人は、どの程度の迷惑をかけているか気がついていない場合も多いので、直接、苦情を言いに行くのが手っ取り早い方法だと思っています。

 直接、話をすれば、その時は、少々気まずくても、隣人とて、四六時中、顔を合わせるわけでもなく、時間が経てば、意外とあっさりとケロッとしていて、それなりに気をつけるようにもなってくれます。

 中には、同じアパート内で誰もが共通に使うエレベーターの中に「騒音について」や、「上からゴミを捨てないでください」「今後も続くようなら通報します!」などという住民の誰かが書いたと思われる苦情が貼られていたりすることもあります。

 我が家は、そんなに広くもないので、それほど大勢の人を家に招くこともないし、そんなに大騒ぎをすることもないので、本当にひっそりと暮らしている方だとは、思っているのですが、私が一番、気を使っているのは、私が時々、気まぐれに弾くピアノです。

 特に防音装置などのない普通のアパートなので、大してうまくもないピアノの音は、聞く人によっては、大変な騒音です。私が育った家庭では、父が幼少期に父の姉(私にとっては叔母)が音大に通っていたために、繰り返し練習していたピアノの音が嫌いになり、私がピアノの練習をしていても、父が家にいる時間は、ピアノを弾かないという決まりだったので、ピアノの音が嫌いな人がこのアパートのどこかにいるかもしれないと、ちょっとした強迫観念があるのです。

 しかし、以前、隣に住んでいたおばさんなどは、その時に隣に遊びに来ていた友人と共にベランダ越しから、私のピアノを聴いて、「ブラボー!!」などと言って、拍手してくれたり、上階の夫と仲の悪いご主人でさえも、エレベーターで会ったりすると、「最近、ピアノの音が聞こえてこないけど、どうして、ピアノ弾かないの? あなたのピアノ好きなのに・・」などと言われたりして拍子抜けしたりもします。

 それでもピアノを弾く時には、食事の時間帯は避けるなど、時間帯には特に気を使い、ましてやロックダウン中などは、みんなが家にいて、閉じ込められてのストレス生活の中なので、さぞかし迷惑ではないかとピアノは、控えていたのです。

 日本人が海外生活をする場合、一般的な日本人の生活習慣から考えれば、迷惑をかけるよりも、迷惑をかけられることの方が多いかもしれませんが、いつどんな形で迷惑をかけてしまっているかもしれないので、ただでさえ、ストレスの多い海外生活、ご近所トラブルは避けたいので、できるだけ気をつけるようにしています。

 しかし、迷惑を被る側になってしまった時も、黙って我慢はせず、まずは恐れずに面と向かって話してみるべきだと思います。「それは私ではない!」とか、「私のせいではない!」などと、その場は言い張りますが、言われた方もそう言い返しながらも、多少は響いています。

 とにかく、はっきりと言わないことには、伝わらないのです。フランスという国は、黙って我慢していることは、ありえない国なのです。

 ほんと、疲れるわ・・。


ご近所トラブル

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2021年6月28日月曜日

フランスの統一地方選挙の記録的な投票率の低下 なぜネット投票を取り入れないのか?

  



 パンデミックのために3ヶ月間延期されていたフランスの統一地方選挙の投票率が記録的に低下したことは、外国人で選挙権のない私にとっても、とても衝撃的なことでした。

 これまでフランス人は、政治の話題が好きで、小さい子供でさえも、家庭内での両親の会話の受け売りであろうとも、いっぱしに政治のことを話題にしたりするのを目の当たりにしてきたので、棄権率65%という(なぜか投票率という言い方ではなく、棄権率という言い方をする)数字に正直、驚いています。

 これは、前回の2015年の41.59%(棄権率)を大きく上回っており、35%しか投票に行っていない・・これで決めていいの?という数字です。特に大都市圏の若い世代に、棄権率が高い傾向にあるようです。

 昨日のテレビのニュース番組などは、それでも各局、一斉に選挙特集を組んで放送していましたが、この投票率の低さでは、さぞかし視聴率も低かったのではないか?などと思ってしまいます。

 フランスの統一地方選挙は、多元比例代表制がとられていて、今回は、6月20日、27日と2回にわたって行われましたが、第1ラウンドでは、投票の絶対過半数を獲得した候補者が過半数のボーナスポイントを獲得し、残りの議席は、選挙の敷居値である5%を超えたすべての候補者の中で最も高い平均のルールに従って比例配分されます。

 絶対過半数を獲得した候補者がいない場合、第2ラウンドは、第1ラウンドで投じられた票の少なくとも10%を獲得したすべての候補者間で編成されます。

 今回の選挙では、例年とは、時期も違い、バカンス間近であることや、ロックダウンから解放されてまもない人々が投票に行くよりも、レジャーや買い物などに流れてしまったことなどが理由に挙げられていますが、若者の政治離れもその一因として挙げられています。

 少なくとも現在のフランスの街の様子を見る限り、コロナウィルス感染を恐れて投票に行かないということは、全く考えられません。

 これには、フランスの若者の政治離れという一面も確かにあるとは思いますが、若者のライフスタイルの変化にも起因しているような気がするのです。

 つまり、ネットです。現代の若者は、何をするのもネットで、買い物から銀行の口座の管理、医者などのあらゆる予約も全てネットで済ませてしまいます。

 我が家の娘などを見ていても、昭和の時代に生まれ育った私などからしたら、娘が鮮やかにネットを使いこなすのに呆気に取られるほどで、そのスピードと有効性を間近に見せつけられて、ついていくのがやっとという感じです。

 それが、選挙の投票となれば、わざわざ指定の場所に出向いて、紙を使って投票という前時代的な方法が若者には、受け入れられていないのだと思うのです。なぜ、なんでもネットの時代に選挙の投票手段にこれが使われないのかが甚だ疑問です。

 若者でなくとも、わざわざ出向かなくて済むネット投票は、多くの人が助かると思うのです。

 マクロン大統領は、来年の大統領選挙に向けての方策もあり、若い世代を取り込もうと、色々な呼びかけをSNSを使って発信しています。

 ソーシャルディスタンスを呼びかけるために、フランスで大人気のユーチューバーに依頼して、自身も彼らとユーチューブで共演したり、先日のカルチャーパスの発表をTikTokで行ったりして、一部からは、「大統領がYouTubeなんかに登場するなんて・・」などと批判を受けたりもしていますが、国全体、政府も、これからますます増えていく若い世代にも受け入れられるように、変化していかなければなりません。

 だいたい、選挙と言えば、莫大な金額がかかり、それに使われる人件費や使われる膨大な紙(選挙前には、候補者のプロフィールなどが書かれたチラシが数回にわたって送られてきます)など、環境問題の観点からしても、全く前進していません。

 無駄な紙の消費を減らすために、一方では、スーパーマーケットのレシートを無くすなどと言っているのに、この選挙に関わる無駄な物資と労力は、全く前時代的です。

 ネット投票にすれば、若い世代の投票率は、格段に上がるでしょうし、それによって選挙の結果も違うものになってくるかもしれません。

 技術的には、決して不可能ではないであろうことなのに、なぜ、投票にネットを使わないのか? ネットを使えない人には、一部、現在の方法は残すとしても、この投票率の低さを機に、ネット投票という方法も可能にしていくようにしたらいいのに・・と、思っています。

 フランスも日本も・・。


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2021年6月27日日曜日

世界中が警戒し始めたデルタ変異種

  


 フランスは、日々、確実に感染者数も減少し続け、今では、ほぼ日本と同レベルの数値にまで達しています。一時は、フランスの感染者数は日本の20倍以上もあったことを考えれば、飛躍的な回復です。

 そんな上向きの状況にフランスは、すっかりウキウキモードです。サッカーのヨーロッパ選手権の試合に熱狂し、昨日は、ラグビーの試合がスタッド・ド・フランス(スタジアム)で行われ、試合開始前には、マクロン大統領まで現れ、マスクはしているものの、選手一人一人と言葉を交わしながら握手。

 これまでは、握手は避けて、肘と肘を付き合わせる挨拶をしていたのに、握手???と、大統領もすっかりリラックスモードになっていることを感じずにはいられませんでした。

 しかし、そんなウキウキモードに忍びよってきているのが、デルタ変異種で、今やフランスの感染者の10%はデルタ変異種によるものに移行しており、フランスでも、とうとうデルタ変異種による2名の死亡者が確認されました。

 デルタ変異種により死亡した42歳と60歳の2人には、感染した場合に悪化するリスクが高いと言われる既往症があり、ワクチン接種は受けていなかったということです。

 この2名が死亡したジェール県や近辺のランド県(フランス南西部)では、デルタ変異種の感染者が大幅に増加していることが確認されています。

 「本格的なバカンスシーズンで多くの人が国内外を行き来し始める前に、この感染性も強く、威力も強いデルタ変異種の感染拡大を止めなければならない」とこの地域の保険機構は、行動制限の強化とスクリーニングとワクチン接種を急ピッチで拡大していくことを発表しています。

 そして、このデルタ変異種を警戒する世界各地のデルタ株対応のニュースが日々、新しく舞い込んできます。

 インドはもちろんのこと、イギリス、ポルトガル、南アフリカ、ロシア、オーストラリア、イスラエルなど、デルタ変異種は、これまでのイギリス変異種に置き換わって、威力を拡大しています。

 南アフリカでは、1日に18,000件を超える新規感染者が報告されており、第3波が第2波のピークを超える可能性が高いと発表しています。

 また、ポルトガルでは新規感染者の51%以上がこのデルタ株によるものになっており、完全なリバウンド状態を起こしています。ポルトガルでは(スペインも)検疫なしでのイギリスとの国境を解放しはじめていたのです。

 そして、これまでのところ、かなりコロナウィルス感染を封じ込めてきたオーストラリア・シドニーでは、このデルタ変異種による感染者が80名以上も発見され、デルタ変異種を封じ込めるために、週末から2週間の再ロックダウンの措置を取ることを発表しました。

 また、ロックダウンです!

 シドニーでは、これまでに感染はほぼ抑えられており、普通の日常生活が戻ってきていただけに、500万人以上のシドニー市民にとって、このデルタ変異種の拡大と再度のロックダウンは、衝撃的なものでした。

 あれだけ飛躍的なワクチン接種率を誇っていたイスラエルでさえも、このデルタ変異種の感染拡大を警戒し、一度は、外されたマスクが屋内の公共施設やオフィス内で義務化が復活されることになりました。

 EU圏内でも、バカンスシーズンが本格的に突入する前に、デルタ変異種をはじめとする衛生対策、制限措置を共有・調整することが決定され、「未だ薄い氷の上を歩いている状態である」とし、共通の認識の上に検疫等の一定の制限措置を置きつつ解放し、パンデミックが再び拡大した場合には、「緊急ブレーキ」をかけるという同意を確認しています。

 世界保険機構(WHO)は、「デルタ変異種は、これまでに特定された変異体の中で最も伝染性が高く、現在少なくとも85か国に広がっている」と警告しています。

 それにつけても、世界中がこんな状態なのに、「東京オリンピック・・・」想像するのも恐ろしくなってきました。


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2021年6月26日土曜日

フランスの家庭内性暴力の犠牲者が起こした殺人事件 ヴァレリー・バコの裁判

 


 フランスでは、今、2016年3月に起こった殺人事件の裁判が大きな話題を呼んでいます。

 この殺人事件を簡単に言えば、夫を銃で撃ち殺して、子供にも遺体を埋めるのを手伝わせたという陰惨な事件でしたが、この殺人に及ぶに至った、それまでの彼女の生い立ちに、世間は震撼とさせられています。

 彼女が殺害した夫というのは、もともと彼女の義父であり、彼女が14歳の時から、この義父による暴力的なレイプが始まり、この事件により、義父は2年半投獄されます。

 しかし、2年半後に釈放されると、この義父は、再び家に戻り、また同じことが繰り返され、彼女が17歳で義父の子供を妊娠、子供ができた時点から、彼の支配的な関係はさらにエスカレートし、彼女は彼の子供を合計4人産んでいます。

 もともとは母親のパートナーであったはずの義父とどのような経緯で彼女が義父と婚姻に至ったのか? 母親は何をしていたのか? その間の確執は明らかにはされていませんが、この性的倒錯者による支配的な家族関係が全ての原因であったと思われます。

 彼女は、夫との婚姻に関して、振り返って、子供には父親が必要だと思ったと語っています。

 それから四半世紀にわたって、彼女は、暴力、レイプに加えて、武器で脅されながら、アルコール依存症で暴力的な夫が用意したライトバンの中で、売春を強要され続け、この夫の食指が彼女の娘に及び始めようとしていたのを察し、この恐ろしい連鎖が永久に続くことを恐れて、犯行(夫を殺害すること)を決意したと語っています。

 彼女の弁護側は、「被害者は、彼女の方だ!」と彼女が約25年間にわたって、性暴力の被害を受け続けてきた経緯を説明し、情状酌量を求めました。

 結果的に、裁判所は、「明らかに彼女は犠牲者である」ことを認め、彼女が危険人物ではないこと、これまでの彼女が受けてきた連続的な暴力などを鑑み、5年の禁固刑、執行猶予4年を求刑、実際には、すでに1年を刑務所で過ごしている彼女は、自由の身となりました。

 自由の身となった彼女は、とにかく虚脱感しかないと語っていました。

 どんなに寛大な判決が下りたとしても、彼女の25年間は、戻ってこないだけでなく、彼女が多感な少女の頃から受けた心身ともに及ぶ傷は消えることはありません。

 最初にこの男が投獄され、2年半後に釈放された後に家に戻ることが可能であったことが何よりも問題です。

 先日、起こったDV男が一度は投獄されたものの、釈放後に元妻を何度となく訪れ、終いには彼女を起きかけまわし、路上で焼き殺したという陰惨な事件が起こっています。

 なぜ、このような危険な人物を釈放し、野に放ち、第2の悲劇を生むことになるのか?フランスの司法は、問題を抱えています。

 DVや性的倒錯者などは、投獄されたからといって、過ちを悔い改めるケースは少なく、たとえ釈放されても、長い間の監察が必要ですが、実際には、フランスにある犯罪者追跡のためのブレスレットは、ほとんど使用されていません。

 フランスでは、毎年13万人の少女がレイプの被害に遭い、そのうちの1万人以上が妊娠しているという調査結果が出ています。

 その中でも、なかなか表面化しにくくもありますが、家庭内のレイプも決して少なくないのです。DV(性的被害も含めて)は、心的外傷を受けた子供が大人になって同じことを行うという連鎖も悲しい事実です。


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