2021年1月15日金曜日

フランス全土・夜間外出禁止18時へ 入国制限も強化へ

    


 今週の土曜日(1月16日)から、フランスの18時以降の夜間外出禁止がフランス全土に広がることになりました。18時門限となれば、通勤して仕事をしている人にとっては、なかなか厳しい制限となります。

 この制限は、少なくとも15日間続けられるということです。

 子供を預けて仕事をしている人(フランスでは、ほとんどの人がそうなのですが・・)にとっては、仕事を終えて、子供を迎えに行って、18時までに家に帰るというのは、なかなか大変なことです。

 とはいえ、18時に子供を迎えに行けば、家に着くのも18時を過ぎてしまうわけですが、それに関しては、許可証を携帯すれば許可されることになっています。

 今回のコロナウィルス対策強化に関しては、店舗の営業も18時までということで、日曜日営業に踏み切った店舗などは、この18時以降の外出禁止が全土に渡ることを見越しての対応であったと思われます。

 もっとも、フランスは、共働きが多いので、日用品の買い物は、土曜日にまとめてしている人が多いので、土曜日の混雑具合が増すくらいでしょうか? しかも、日曜にまで買い物ができるとなれば、それも土日に分散されることになるので、買い物問題は、ハードルは低いかもしれません。

 それでも、幼稚園や学校は、閉鎖することはありませんが、学校内、室内でのスポーツ等は禁止され、キャンティーンは、衛生管理、環境をさらに工夫、強化し、お弁当を持ってくることも推奨されるようになるとか・・高校に関しては、クラスを半分の数に規制する条件で開校、学校内では、週30万件のPCR検査を強化することを発表しています。

 また、フランス入国に関しても入国条件を大幅に強化し、EU圏外からの入国者については、入国時に72時間以内の検査による陰性を提示することが必要となり、入国後も1週間の隔離が求められるようになります。

 日本などに比べると、「まだやってなかったんかい!」と思われると同時にEU圏内からの入国者にこれを適用しないのは、ヨーロッパ中が感染の渦の中にいることを考えると、どうにも納得がいかないことでもあります。

 また、多くのことが禁止されている中、高齢者施設への面会が「衛生管理に充分に気を配った上で」という条件は付くものの許可されていることや、18時以降に許可されることの中に動物の散歩という項目があることも(人間の散歩はダメでも動物の散歩はOK)少々、不思議というか、フランスらしいところでもあります。

 特に、最もリスクが高い高齢者施設を最優先にワクチン接種を進めているとはいえ、まだ、充分にワクチン接種が進んでいない中、外部からの人との接触は、避けるべきではないかと思うのです。実際に、再び、高齢者施設でのクラスターも起こり始めているのです。

 高齢者と動物には優しいフランスです。

 18時以降の外出禁止となれば、かなり厳しい生活になりますが、感染症専門家の中には、これでは不十分としている人も少なくありません。

 また、逆に18時以降の外出禁止は、17時から18時の時間帯に余計に混雑状態になると警告を発している人もいます。

 しかし、完全なロックダウンになることを思えば、まだまだ全然、威圧感は違います。

 とはいえ、夜間外出禁止が全国に広まるには、それなりの感染悪化の状況があるわけで、とりわけ、イギリス変異種の広がりは、脅威で、これは、従来のウィルスよりも30%から70%は感染力が強いとされ、潜在的に子供に対する感染力も強く、現在、フランスでは、100件の感染のうち、1〜1.5件がイギリス変異種によるものであり、毎日200件から300件の感染が確認されていることを思えば、これが今まで以上に広がる危険性は充分に考えられます。

 現在の段階で、少しでも感染を抑えるためになんらかの措置を取ることは、やはり必須。

 なんとか、この18時以降の夜間外出禁止で、感染状態が好転し、完全なロックダウン状態だけは、避けられますように・・。

 しかし、ドイツが「少なくとも4月までのロックダウン」を発表していることを考えれば、淡い期待なのかもしれません。


<関連>

「夜間外出禁止に対応する営業時間変更から日曜営業するフランス」

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「フランス人の男性のお買い物」

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「フランス人のダンナはよく働く」

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2021年1月14日木曜日

世界中が警戒しているイギリス変異種   

  


 

 昨年の12月に入った頃からの感染拡大にヨーロッパの多くの国は、非常に警戒し、ロックダウンを始めとした非常に厳しい制限をとっている国が多いのです。12月の段階では、まさかのドイツまでもが感染状況が深刻化し、学校閉鎖や店舗の閉鎖など、クリスマス前にも関わらず、かなり厳しい体制をとってきました。

 その後、イギリスで変異種が検出され、変異種の感染力の速さ、強力さが発表され、実際にイギリスの感染状況も日に日に新規感染者数、重症化するケースの多さ、死亡者数などは、記録を更新し続け、一ヶ月間に4倍以上も膨れ上がってしまったイギリスの医療崩壊の様子がフランスでも毎日のように報道されています。

 フランスでは、2度目の感染拡大のピークを昨年10月に驚異的な数字を記録して以来、10月末からの約1ヶ月間のロックダウンにより、1日の新規感染者数が6万人から1万人近くまでに減少したこともあり、(他のヨーロッパ諸国とは、感染の波の時期がずれている)、充分に危険な状況にも関わらず、どこか余裕で、他国の厳しい制限について語っている奇妙な状況が続いています。

 とはいえ、フランスの12月初旬からのロックダウンの緩和以来、1万人近くまで減少した1日の感染者数は、現在は、2万人を超えています。フランスの感染者の増加は、比較的緩やかではあるものの、結果的に数字から見れば、1カ月間で倍以上に膨れ上がっているのです。

 現在、多くの国が警戒しているのは、元来のコロナウィルス感染はもちろんのこと、イギリスの変異種の威力に警戒している状況が見て取れます。

 イギリスからの入国禁止は、もちろんのこと、イギリスの変異種の特徴の一つである子供の感染率の高さから、イギリスはもちろんのこと、デンマーク、オーストリアー、ドイツ、オランダなどの国は、学校を閉鎖しています。

 フランスでは、あくまで学校閉鎖に踏み切るのは、最終段階としており、現在の制限は、夜間外出禁止、レストラン、映画館、劇場、スポーツジム等の営業停止で感染の悪化している25カ所の地域に関しては、夜間外出禁止が20時から、18時に前倒しになる程度で、他国のようなより厳しい制限には至っていません。

 しかし、フランスの状況は、ある程度、緩やかな上昇とはいえ、確実に悪化していることに変わりはなく、今後、フランス全土で夜間外出禁止が18時になるとか、週末だけロックダウンになるとか、色々、噂が飛び交っています。

 現在、公になっている変異種といえば、イギリスでの危機的状況から、圧倒的にイギリスの変異種が注目されていますが、フランスで変異種についての話題になれば、南アフリカの変異種に加えて、最近は日本の変異種も必ず話題に上がります。

 日本での変異種の検出は、ブラジルからの旅行者から検出されたとのことなので、その変異種を確認し、WHOなどに日本が報告したことから、日本変異種という呼ばれ方をしてしまっていますが、その日本変異種については、世界が注目しているにも関わらず、日本では、大々的には、報道されていない(騒がれていない)ことが、なんだか少し妙な気もします。

 しかし、後に、日本変異種については、イギリス変異種、南アフリカ変異種、ブラジル変異種にかき消されつつあります。

 いずれにせよ、感染拡大の波を10月という他のヨーロッパ諸国とはずれた時期に一度迎えてロックダウンし、一度は、波の高さを抑えたことから、現在のフランスでは、他のヨーロッパ諸国とは一線を画し、どこか余裕の対応を続けていることが、今後、かえって悲惨な状況を生むのではないかと心配しています。

 もともとフランスは、愛国心からか?根拠のないことに関しても、どこか他国を下に見る傾向があり、そんな感じが現在のコロナウィルス対応に現れているような気がします。

 今のフランスは、とても、そんな余裕をこいている場合じゃないんですけどね・・。


<関連>

「他国の感染悪化を余裕で語るフランスに唖然とする」

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2021年1月13日水曜日

夜間外出禁止に対応する営業時間変更から日曜営業するフランス

     

お客様のために2月7日から毎週日曜日午前中営業しますというお知らせ


 コロナウィルス感染対策の一つとして、フランスでは、現在、夜間外出禁止(20時以降禁止・25カ所の地域では、18時以降禁止)の措置が取られています。この夜間外出禁止は、12月のロックダウンの段階的な解除が始まった時点で再開されましたが、夜間外出禁止ということは、事実上、営業時間の短縮ということなのです。

 この夜間外出禁止が開始された直後に、このスーパーマーケットなどは、開店時間を通常の9時から8時に前倒しにしたのには、ビックリしました。さすがのフランスもノエル前のかきいれ時には、頑張るんだな・・度重なるロックダウンにやはり必死に取り返しにかかっているな・・などと思っていたのです。

  

20時に閉店するため、8時開店にしますというお知らせ

 しかし、これは、ノエル前だけでなく、年が明けた現在も、夜間外出禁止の制限が続いているため、開店時間前倒し営業は続いています。

 そして、現在は、イル・ド・フランス(パリ近郊地域)は、夜間外出制限の時間は、20時のままですが、18時に前倒しになっている地域は、どんどん拡大しており、全国的に18時になるのでは・・?という話もちらほら出てきています。

 そんな状況に対応してか、日曜日は休みだった店舗が日曜営業への扉を開き始めました。

 私がフランスに来て、とても不便だと思ったことの一つに日曜・祭日は、基本的にお店はお休みで、買い物に行けないということでした。今では、慣れましたが、多くの人がお休みで買い物に行きやすい日になぜ?営業しないのか?すごく疑問でした。

 パリ市内には、通りによって、日曜日の営業許可が下りる場所と許可が下りない場所があり、場所によっては、日曜営業が不可能な場所もあります。

 また、大規模な店舗などは、組合が強く、従業員が日曜日に働くことを受け入れない会社もありますし、それなら、失業者も多いことだし、日曜日だけ働く人を雇っても良さそうなものですが、フランスの組合は、「自分たちの領域が侵される」という理由で、これさえも受け入れないのが現状です。

 フランスの労働組合の強さは、驚異的です。

 日曜日の営業許可を持っている店舗は、日曜日に出勤する従業員には、ドゥーブル・ペイエ(ダブルペイ)と言って、日曜出勤には、日割り計算で倍近い賃金を支払わなければなりません。(契約時にこのダブルペイはなし(アルバイトなど)としている会社もあり)

 クリスマス前の時期やバーゲンの最初の週だけは日曜営業をしているところもありますが、そんなわけで、フランスの日曜営業は、なかなか広まらないのです。

 しかし、今回は、多分、コロナウィルス感染対策の一環である事実上の営業時間短縮のための特別対策と思われますが、なんとか、これが定着してはもらえないものか?と密かに思っています。

 とはいえ、このスーパーマーケットの日曜営業は午前中だけ、コロナ以前から日曜の午前中だけは営業しているというスーパーマーケットは、ちらほらあったので、その仲間入りをしただけですが、カーフールといえば、フランスでは最大手のスーパーマーケット。他店に与える影響は少なくないと思っています。

 年中無休、深夜営業も珍しくないコンビニのたくさんある日本と比べたら、あまりに次元が違う話で、意味不明かもしれませんが、フランスは、こんな国なのです。


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「フランスの雇用問題」

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「ブリヂストン・フランス・べチューン工場閉鎖 ①」

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2021年1月12日火曜日

フランスでコロナウィルスワクチンが浸透しにくい理由

  


 コロナウィルスのワクチン接種に関して、始動時からつまずいて、同時期に開始したヨーロッパ諸国からも大きく遅れをとったフランス。

 フランス政府は大バッシングを受け、巻き返しに躍起になり、ワクチン接種の拡大を今年のコロナウィルス対策の最優先事項に据えています。

 高齢者施設の居住者を最優先としたことが、(家族の同意書等が必要なことから)想像以上にワクチン接種の拡大にブレーキをかけていたことから、フランス政府は、ワクチン接種を受けることができる人の枠を50歳以上の医療従事者に加えて、50歳以上の救急隊員とホームヘルパーまでに拡大、来週からは、高齢者施設居住者以外の75歳以上の人もワクチン接種が可能になります。

 このワクチン接種優先範囲の拡大により、昨日、フランスは、ようやく10万人にワクチンを接種したこと、月末までには、100万人を達成することを発表しました。とはいえ、先を行くヨーロッパ諸国も前進を続け、ドイツなどは、1月末までに400万人に対しての投与を予定しており、フランスの数字は、遥かに及びません。

 そもそもフランスは、ファションなどの流行の発信地であるようなイメージがあるものの、実のところは、とても保守的な人々で、新しいものになかなか手を出さない傾向があります。

 食べ物などでも、次から次へと新製品が出回る日本と違って、新しいものは、なかなか登場せず、たまに出てきても定着しづらく、また、国民があまりそれを求めていないところもあります。

 全く、いつもいつも同じものをずっと食べていて、よく飽きないな・・と思うのですが、そこがフランス人のプライドとも言える「フランスのものが一番!」という意識が新しい製品、海外からの異なる文化の食べ物が進出しにくい所以でもあります。

 そんな中、フランスで日本食ブームが到来し、特にお寿司がほぼ市民権を得たのは凄いことです。

 ワクチンに関しては、昨年、急に発生した新型コロナウィルス。そんなウィルスに有効であるとされ、治験は済んでいるとはいえ、まだまだ登場して数ヶ月しか経っていない薬に対する懐疑心の強さは、特にフランス人ならば、不思議なことではありません。

 大体、考えて見れば、マスクでさえ、その着用義務化が定着するには、時間がかかったフランスです。未だにマスク着用義務に反抗している人も少なくありません。未だに、公共交通機関等でマスクを着用しないと言い張る乗客と乗務員の間にいざこざが起こったり、マスク義務化反対のデモが起こったりするのです。

 現在は、ワクチン接種は義務化ではなく、そこまで広範囲に拡大していないので、波紋を呼ぶほどの騒動には至っていませんが、これから、広範囲に拡大するとともに、ワクチン接種に関する論争は、激しくなることが考えられます。

 そもそも高齢者施設でのワクチン接種がなかなか思うように進まなかったのも、認知症等で本人が同意書にサインできないケースに関わってくる家族の反対が想像以上に多かったためで、ネット上でもワクチンの安全性を説明するサイトと同時にワクチンの危険性を説明するサイトも多く出回っており、アンチワクチン波の意見や動向は、テレビなどでは報道されませんが、この種のサイトは特に若者を中心に広まっています。

 当初から根強く広まっている「若者安全神話」は、このワクチン接種の拡大にも災いしているようです。しかし、この「若者安全神話」が災いして、絶対的に感染を拡大させているのは、若者であることも事実なのです。

 ただ、他国のワクチン接種が拡大していく様子を見て、ワクチンを受けないと言っていた人のパーセンテージが60%から50%に減少しているという話もあり、今後、他国の様子を見て、また、生活を制限される不自由な生活が長引くに連れて、「やっぱりワクチンを受ける・・」と、世論も変化していく可能性もあります。

 どちらにしても、まだ、大多数の人にワクチン接種が可能ではない状態。幸か不幸か、ワクチン接種に関しては、もう少し考える猶予がありそうです。


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「アメリカのものが嫌いなフランス人の夫」

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2021年1月11日月曜日

日本の2度目の緊急事態宣言とフランスの2度目のロックダウンの共通する緩さ


 日本の感染悪化が進み始めて、1都3県にわたる2度目の緊急事態宣言が発令されて、緊迫している状況の日本の報道をフランスから見ていました。正直、実際には、フランスの方がよほど深刻な状態なのに、何だか日本は、フランスよりもずっと深刻なような感じを受けていました。

 私が知ることができる日本の状況は、日本の報道やツイッターなどで見る情報だけなので、実際の状況とは乖離があるのかもしれませんが、どうやら、今回の緊急事態宣言は、前回のものよりもなぜか緩いという一面があるようです。

 国民が一回目の緊急事態宣言の経験から、この程度なら大丈夫というような、ある程度、その対処法を身につけているために、最初の緊急事態宣言よりもずっと人出が多く、これで大丈夫なのだろうかという意見も少なくないとか・・。

 また、学校なども閉鎖されないことから、やはり、よりこれまでの生活に近い感覚にもなるだろうし、何より、長引く感染回避への対応から経済が逼迫して、生活自体にもどこか必死になっていることから外に出ざるを得ないような状況もあいまっているのかもしれません。

 そんな様子を見て、これは、フランスの2回目のロックダウンの時と似ているな・・(きっと国民の緊迫感や危機感のレベルは桁違いに違うとは思いますが・・)と思ったのです。

 フランスの2回目のロックダウンも10月末には新規感染者数が6万人強、一時は7万人に迫る勢いで、もはや2度目のロックダウンも仕方ないだろうと多くの国民が感じている中での再度のロックダウンでした。

 しかし、いざ、2度目のロックダウンが始まってみると、前回のロックダウンとは、制限の内容も異なり、学校や工場などの職場は閉鎖されることもなく、リモートワークは可能な限り、営業が許可されるお店の範囲も通信機器や家電などにも広げられたこともあり、外出許可証さえ持っていれば、外出は制限時間内、距離も制限範囲内という縛りはありましたが、街中は、何だかいつもとは、変わりないような人出に「これがロックダウンか?」「こんなんで大丈夫なんだろうか?」と不安に感じたのを覚えています。

 それでも日本の緊急事態宣言と違って、一回目のロックダウンより緩くなったとはいえ、大多数の店舗やレストラン、美術館、劇場、映画館は営業時間短縮などではなく営業停止でしたから、その違いは大きいと思いますが、とにかく日中の人出などは、クリスマスを控えていたということもあるのでしょうが、街中は、結構な人出でした。

 これには、国民がこのロックダウンという状況に慣れて、上手く対処する方法を良くも悪くも心得てしまったからで、長く続くロックダウン、ロックダウン解除、そして再びロックダウンという緊張状態とそれぞれに順応していっていることが原因だと思います。

 そもそも人間の極度の緊張状態というものもそうそう長く続くものでもなく、ある程度の緩さは仕方ないのかもしれません。

 ただ、日本の場合は、きっとフランス以上に世間の規範も厳しく、長引くコロナウィルス感染に再び感染悪化のためのロックダウンとはいえ、国の決めた緊急事態宣言以前から、厳しい生活を続け、仕事の上でもプレッシャーも大きく、そこそこの対応を取るしかないのかもしれません。

 何より、日本の営業時間短縮などに対する政府の補償への配慮も国民の不安をさらに大きくしているような気もしています。フランスの営業停止などに対する補償も必ずしも充分とは言えませんが、フランスのロックダウンと補償は常にセットで、前年の売り上げに対するパーセンテージで支払われているので、ある程度は納得しやすいかもしれません。

 そして、ゆるゆるだと思われていた2回目のロックダウンは、約1ヶ月間で驚くほど1日の感染者が減少したので、ある程度緩くはあっても、効果はあるものだ・・とビックリしました。

 日本もこれから緊急事態宣言が拡大される見込みのようですが、緩い緊急事態宣言でも、きっと効果は現れるよ!頑張れ!日本!とそんなことを思ったのです。

 とはいえ、フランスの状況は、日本よりもずっと深刻な状況・・フランスは、下手をすると、現在の夜間外出禁止やレストラン等の営業停止だけでは済まない本格的なロックダウンになる可能性も心配されています。

 昨日、マルセイユでは、イギリスの変異種感染者が50人以上確認されたとか・・しかも、感染経路不明の場合が多く、感染率が高いと言われているだけにとても心配しています。

 また、北東部の他国との国境沿いの地域から感染拡大が広がって、夜間外出禁止前倒し16時に制限される地域も日々、拡大していることから、全く気を許せない状況が続いています。

 今回の日本の緊急事態宣言も緩いと言われながらも、何もせずにはいれない状況のはず。日本は厳しいな・・と思う反面、その厳しさが感染が拡大していると言われている現在でさえ、フランスやヨーロッパに比べては、格段に抑えられている状態なのです。

 この時点で緊急事態で対処する日本は、結局のところ、フランスとは比べものにならないほど、きっちりしているのだと思うのです。

 頑張れ!日本!


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「海外から見る日本の緊急事態宣言」

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2021年1月10日日曜日

フランスのお役所仕事のいい加減さから、娘の帰省の悲劇再び・・

  


 娘のクリスマスの帰省の際に起こった悲劇・・TGV内でスリ被害にあい、お財布を取られたことから、クリスマスイブの思っても見なかった大ハプニングに心穏やかではないクリスマスを過ごすこととなった我が家です。

 お金は大して入っていなかったものの、最も面倒な被害は、IDカードやクレジットカードをもろとも盗られたことで、すぐさま、クレジットカードは、電話でストップし、再発行をしてくれることになり、年末年始のバカンスの時期にも関わらず、10日間ほどで、新しいカードは準備ができましたという連絡が来て、彼女は、これに懲りて、もう一つの海外の銀行の口座を早々に開き、携帯がカード代わりにできる、しかも口座手数料等もかからないシステムを追加したのでした。

 ところが、ことIDカードの再発行に関しては、そう簡単には行きません。まあ、本人を証明するカードですから、本人が自分で申請に行かなければならないのは仕方がありませんが、その書類を提出するには、予約が必要で、その予約も現在、彼女は、ブルターニュでスタージュの真っ最中ゆえ、元来の住所には、住んではいないため、簡単なことではありません。

 平日には、仕事ゆえ、予約が取れるのは、かろうじて、土曜日の午前中のみ。彼女は金曜日の夜にこの予約のためにわざわざ、またTGVに乗って帰省したのでした。

 下手をすると先になればなるほど、もしかしたら、またロックダウンで身動きが取れなくなることも考えられることから、クリスマス(被害直後)から2週間後の土曜日に予約を取っていたのです。

 「どちらにしても、再発行の申請をして、また出来上がった時には、受け取りに来なくちゃいけないね・・」などと、話しながら、彼女は、土曜日の予約の時間、朝9時に市役所に出かけて行ったのでした。

 ついでに銀行に寄って、出来上がっているカードを受け取り、市役所に行くと、「あなたの予約は、今日ではないから、受け付けられない」と言われたそうで、どうやら、電話で予約した日にちが間違って記録されていたようで、先方の落ち度にも関わらず、冷たくあしらわれたそうで・・わざわざ、ブルターニュのど田舎から、そのために来ている娘は、呆気に取られ、また、忙しそうに人が押し寄せているならともかく、暇そうなのに、予約は予約だからと頑として受け付けない様子に彼女から怒りのオーラが湧き出ていたのを察したのか?「一応、書類を見せて・・」と言った担当者。

 しかし、今度は、提出した書類の写真が前回のカードと同じものでは受け付けられないと冷たく却下されて、同じカードを再発行するのになぜ同じ写真ではいけないのか?それならちゃんと書いとけよ!と、結局、また2週間後に予約を取り直して、渋々、彼女は家に帰ってきたのでした。

 そもそも市役所は、自分の住んでいる界隈にあるものなので、足を運ぶこともそれほどの負担ではないのかもしれませんが、(彼女の現在の状況は、特別で、数ヶ月のスタージュのために住所変更するまでもない)それにしても、2度手間、3度手間になることは、気分の良いものではありません。

 フランスは、何かとトラブルの多い、一度で済むはずのことが、何度もの手間がかかることも少なくないのですが、やはり、お役所などの公的機関に関しては、悉く、この種のトラブルが多いような気がします。しかも、感じ悪いことこの上ない!

 何のつもりか知りませんが、人を二度手間、三度手間に追いやることをお役所仕事に携わる人々は何の躊躇いもなく、むしろ、横柄な態度で応対します。ことに公務員、国の組織の場合は、その傾向が強いのです。だって、銀行等はフランスとて、ちゃんとできるのですから・・。

 サービスが悪くても、感じ悪くても、絶対に潰れないお役所、自分は痛くも痒くもない、こんなお役所仕事や国の息のかかった企業がフランスがいつまでも改善されない状況を作っていることをまたまた感じた1日でした。

 しかし、何かと高くつくIDカードの再発行です。

 パリから帰りのTGVでは、マスクをしないと言い張る人と鉄道職員でいざこざが起こり、TGVは、大幅に遅れたそうです。


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「思ってもみなかった娘のクリスマスイブの悲劇」

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2021年1月9日土曜日

ロンドン重大インシデント宣言 英国変異種の脅威

 


 昨年末からイギリスでコロナウィルスの変異種が検出されたことが発表されて以来、その変異種の感染率の高さと悪化の速度の速さの驚異から、多くの国がイギリスからの入国禁止等の制限を取り始めていました。

 フランスも翌日には、イギリスからの入国を禁止し、英国とは、人の流れだけでなく、物流も多いフランスは、配送のトラックがクリスマス直前に足止めを食い、多くのトラックが国境付近で何日も夜明かしを余儀なくされる異常な事態が発生しました。

 その時点では、イギリスの変異種の威力がどの程度であるのかは、具体的には、わかりにくい状況でした。

 しかし、ここ数日のイギリスの感染状況は、かなり深刻な状況になっており、感染拡大が止まらない状況のようです。

 イギリスの感染状況は、日々、記録を更新しており、昨日は、1日の死者が1,325人、新規感染者数は、68,053人を記録し、ロンドンでは、病院での医療体制が崩壊寸前であることから、「重大インシデント宣言」が発令されました。

 すでにロックダウン状態のイギリスで、さらに強い宣言が出されるのですから、その被害状況がいかばかりであるかがわかります。

 フランスでもこのイギリスからの変異種の感染者は出ているようですが、現在のところは、この変異種によるクラスターは、2件。しかし、この変異種がイギリスで発生してから、現在の感染拡大に至るまでは、2ヶ月間かかっており、フランスの場合も決して安心ができる状態ではありません。

 すでに、フランスでのこの変異種の感染者は、イギリスに行ったわけでも、イギリスから来た人に関わったわけでもない感染経路不明の人が多いのです。ということは、すでにフランスにこの変異種がかなり広まっているということなのです。

 フランスの感染状況も数字的には、新規感染者2万人前後のまま、横這い状態ではありますが、北東部を中心に悪化している地域は拡大しており、夜間外出禁止が午後6時に前倒しになる10地域が追加されています。

 フランス全体を見ても、新規感染者数の横這い状態をよそに、昨年の11月23日以来、フランス全土にわたり、感染警戒アラート値を超えてしまいました。

 この不釣り合いな数値(新規感染者が横這い状態なのに警戒アラート値が増加する状態)は、ノエル前に比べて、検査を受けている人数が圧倒的に減少していることから来ているのではないかと私は、思っています。

 12月の感染者数は、ノエル前には、家族との集まりの前になんとか安全にクリスマスを過ごそうと考えていた人たちが最大限検査を受けた結果の数値であり、現在は、一先ず、バカンスにも出かけないし、家族との集まりもないために、検査を受ける人も大幅に減っているわけで、実際の感染者が検査を受けないままに感染者にカウントされていない極めて危険な状況であるような気がしてならないのです。

 現在は、ワクチン接種も急加速して進められる中、ファイザー社やモデルナ社は、イギリスや南アフリカでの変異種に関してもワクチンの有効性は変わらないことを発表しています。

 すでに世界に蔓延しているコロナウィルス、そしてイギリスの変異種の感染拡大、それらを追いかけるように進められているワクチン。次から次へと現れる脅威にワクチンが打ち勝つことができる日は、まだまだ遠い気がしています。


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「イギリスからの入国禁止に踏み切るフランス コロナウィルス変異種警戒」

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「コロナウィルス変異種感染拡大によるイギリスからの入国制限が引き起こした混乱」

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