2020年5月6日水曜日

深刻なコロナウィルスの後遺症 求められる早期の段階の治療


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 これまでの、フランスのコロナウィルスの感染者数は、約17万人(169462名・5月4日現在)、死亡者は、25201人に上っています。単純に計算すれば、死亡率は、15%近くなります。

 そんな状況の中、5万人近くの人が回復しています。

 しかし、回復したとはいえ、その後遺症に苦しみ続けている人も少なくありません。特に、集中治療室での治療を受けていた人には、後遺症が残るケースが多いのです。

 集中治療室での治療の際に行われる人工呼吸器を長い期間、装着することが合併症を引き起こします。挿管され、換気され、鎮静されるという事実は、体の代謝亢進を引き起こします。これは、私たちが過剰なカロリーを消費するため、筋肉が溶けることを意味します。したがって、歩行に戻ることが困難になる可能性があります。

 また、動かないことによる腎不全や血管血栓症のリスクもあります。

 病気によって引き起こされる後遺症のほとんどはウイルス自体によるものではなく、肺だけでなく心臓、腎臓、肝臓、または脳にも損傷を与える可能性のある過度に強い免疫反応によって引き起こされる炎症によるものです。

 ですから、コロナウィルスから回復したとはいえ、その他の臓器等の損傷による後遺症が残る可能性が高いのです。

 回復したと言われている人の多くは、脚部の血栓、筋萎縮、疼痛、倦怠感、心臓疾患、呼吸の苦しさの継続に苦しんでいるのです。また、長期にわたる鎮静状態による影響から、認知障害を引き起こすケースも多いと言います。

 コロナウィルスの最も深刻な症状の一つは、急性呼吸窮迫症候群と呼ばれるもので、これが、肺線維症を引き起こし、肺の結合組織の治療不良を引き起こし、呼吸困難に陥ります。

 呼吸困難を起こして、フランスで入院し、その後、人工呼吸器を装着されてからは、意識がなく、目が覚めたら、ドイツの病院で寝ていたという男性は、今は、回復して(コロナウィルスは陰性になり)、フランスに戻り、自宅に戻っていますが、現在も、歩行困難が残り、会話をしているとすぐに息苦しくなってしまう、倦怠感、頭痛などの症状が残っていると言います。彼は、これから長い期間をかけての日常生活へのリハビリ(長時間の歩行と呼吸の訓練)に取り組むことになっています。

 後遺症の残るケースは、重症化してしまった場合に、より、リスクが高くなることから見ても、早期の段階での治療が必要なのであり、つまりは、広範囲にわたる検査の拡大が必要なのです。

 前回のマクロン大統領の演説では、症状のある人のみの検査を週70万人を目標に行うとしていましたが、症状を感じないまま、回復する人も多いとはいえ、コロナウィルスの特徴からも、自覚なしに感染を撒き散らす危険を考えれば、症状の有無に関わらず、検査をするようにしてほしいと思うのです。





2020年5月4日月曜日

コロナウィルス・ロックダウン解除 安全は、保障されるか?


Des passagers dans le métro, le 16 mars.


 フランスの5月11日のロックダウン解除まで、一週間となりました。フランスでは、ウィルスの感染が収まっていない状況でのロックダウン解除に際しての安全の確保について、盛んに語られています。

 テレビでは、正しいマスクの付け方、はずし方を解説したりしていますが、同時に、そのマスクが、手に入りにくい状況も報じています。今週から、一般大衆に向けて発売されるマスクも、まずは、医療機関に廻すべきではないか?との声も上がっています。

 また、人の往来に不可欠な公共交通機関であるSNCF(フランス国鉄)やRATP(パリ交通公団)は、「今の状況では、5月11日の段階での安全を保障できない」ことを発表しています。「リスクがあることを伝えるのは、とても、大切なこと」としています。

 昨年の12月から長期間、続いた公共交通機関のストライキの際などは、間引き運転で、混雑する電車に乗り込もうとする人々で、我れ先に電車に乗り込もうと争う様子に地獄絵図を見るようだと思いましたが、今回は、それに感染の恐怖が加わるのですから、交通機関の混乱は、安易に予想できます。

 そのため、自転車や車で通勤する人が増えましたが、それが可能な人も限られており、交通機関の安全の問題は、ロックダウン解除の際の大きな課題となります。

 また、「防護」「検査」「隔離」と軸としたロックダウン解除の「検査」に関しても、一週間に70万件という目標を掲げていますが、準備も難航しており、すでに、ミッション・インポッシブルなどと揶揄されています。

 ただ、PCR検査の費用の負担に関しては、国民健康保険でカバーされることも同時に発表されていますので、アメリカのように、生活貧窮者が検査費用の負担を案じて、検査を拒否するようなことには、ならないと思います。

 また、「隔離」に関しては、ここ数日間に、海外にいるフランス人の帰国に際して、空港でのチェックが甘いことが指摘されています。現在、飛行機の便数も極端に減っているため、出発地の空港では、人との距離を取るように、うるさく呼びかけられていたのに、実際に、いざ、飛行機に乗ると、満席状態、入国の際の健康チェックも、あまり厳しいものではなく、入国後は、2週間は、行動を控えるようにとは言われるものの、その後の追跡もなく、大勢の人が、そのまま、野に放たれている状態です。

 もともと、衛生観念の低い、モラルに欠ける人々が2ヶ月間のストレス状態から、ある日、解き放たれたら、どうなるか?

 「今回、ロックダウン解除ができなかった地域に関しては、さらに規制が厳しくなる。」としていますが、あと一週間となった今も、課題は、山積みのようです。



 

2020年5月3日日曜日

フランスのコロナウィルスとの戦いーこれまでの軌跡のルポルタージュを見て


https://static.lexpress.fr/medias_12214/w_640,c_fill,g_north/la-tour-eiffel-le-mardi-17-mars-a-paris-alors-qu-un-confinement-generalise-a-ete-mis-en-place-des-mardi-midi_6253956.jpg


  ここ数日、フランスでは、コロナウィルスによる、ここ2ヶ月近くの状況の経過を50分ほどにまとめたルポルタージュがテレビで流されています。BGMや解説もつけられ、ドラマチックに仕上げられていますが、これが、ここ1〜2ヶ月で起こってきたことで、私もニュースで毎日、見てきた場面のごく一部であることに、呆然とさせられます。

 もしも、一年前の私がこの映像を見ていたら、SF映画だったとしても、あまり、リアリティを感じなかっただろうと思う映像ばかりです。

 マクロン大統領のロックダウン宣言、パリから逃げ出す人々で溢れかえるパリ・モンパルナス駅、ロックダウン当日、商店街で買い物を続ける人々に、「家に帰れ!1m の距離を取れ!」と、怒鳴り散らす警官たち。

 きっと、叫んでいる警官たちも、まだ、今ひとつ、理解していなかったのでしょう。マスクもせずに、人々の前で大声で怒鳴り散らしていました。

 次第に、フランス人も(人との距離をとって)並ぶということをするようになります。

 しかし、時すでに遅く、医療崩壊を起こして、病院内、ICUで奔走する医療従事者の様子。増加し続ける死者。3月31日の夜から、4月1日にかけて、救急車で運ばれてきた患者が病院に入れない状態になったと証言するパリの医療統括責任者。

 それから始まったドイツ・ルクセンブルクなどへのたくさんの機械やスタッフが同伴してのヘリコプターでの重症患者の搬送、TGVでの国内の他地域への搬送。

 16歳で亡くなった少女をはじめ、すでにテレビで報道された犠牲者の面々。家に閉じ込められた人々の生活の様子。家族との面会ができずに、個室に閉じ込められた高齢者施設の老人が感情を失っていく様子。

 空っぽになった世界中の街、人のいなくなった街に現れ始めた動物、大気汚染の解消された美しい街。

 これらの映像の記録は、きっと、後世までも残されて、語り続けられる貴重な映像となるでしょう。そして、今を生き続ける人のためにも、この現実を受けとめ、色々なことを感じて、深く考えるテキストとなるでしょう。

 私たちが、これまで、あたりまえのように送っていた日常生活の中で、何が大切なことだったのか、否応なしに考えさせられます。私は、ロックダウンの生活を、残りの私の人生をどうやって生きていくかを考える機会だと思っています。

 リモートワークをしてみて、無駄だと思われていた通勤の時間が、気持ちの切り替えには、必要な時間だったり、UberEatsなどで、宅配をしてみて、外食というものは、単に美味しいものを食べるというだけではなかったこと・・そして、人を避けなければならず、人に近寄れないことが、どんなに不自然で、人をギスギスさせることだったのか? 

 それでも、パリでは、40年ぶりの大気汚染が解消されたと聞かされると、これは、人間が痛めつけた地球を救うためのコロナウィルスという荒療治だったのかもしれないと思ったりもするのです。

 まだまだ、この危機は、当分、収まりそうもありませんが、このルポルタージュを見て、映像の記録というものは、大切なものだな・・と思った次第です。



 このルポルタージュは、全編フランス語なので、わかりづらいところもあるかもしれませんが、映像ゆえ、言語がわからない方にも、ある程度、伝わると思います。
https://www.bfmtv.com/mediaplayer/video/ces-55-jours-qui-ont-change-la-france-revoir-le-grand-reportage-de-bfmtv-1244010.html


2020年5月2日土曜日

ロックダウン解除に向けて、圧倒的にマスクが足りないフランス


Image de masques FFP2, ici vendus à Amsterdam.


 昨日から始まった、ロックダウン解除予報から、解除が見込める地域を始めとして、今、それぞれの地域で頭を抱えているのがマスクの確保です。

 感染が広がり始めた当初は、政府も、「一般人のマスク着用は、意味がない。」と言っていたのに、さすがに、「マスクは、した方が良い。」に変わり、フランスでも、3週間前くらいまでは、ほとんどの人がマスクをしていました。

 ここへ来て、すっかりロックダウン解除気分で、気が緩んでいる人が増え、驚くほどマスクをしている人が減りましたが、実際に解除になった場合は、どうなるのでしょうか?

 ロックダウン以来、主に医療機関などのために、大量に中国等から輸入されたマスクが空港に到着すると、警察や軍の警備の車に先導されて、大仰に運ばれています。マスクの盗難事件が相次いだためです、

 そして、現在は、ルイヴィトン、ディオール、サンローランなどのフランスの大手のブランドを始め、多くの繊維業者がマスクを製造しています。

 それでも、圧倒的に足りないマスク。
 まずは、どこよりも医療機関を優先とされるマスクの分配は、ロックダウンの解除が見込まれる地域でも、全国民に充分に行き渡るほどは、ないのです。どこの市町村も、「これだけの注文をしています。」というばかりで、実際にストックがどれほどあるのか、マスクが到着しても、まずは、医療機関を優先とすると、全ての人にマスクが行き渡るかどうか、明言できない状態です。

 現在のところは、薬局でも、一般人へのマスクの販売は、禁止されています。

 ロックダウン解除後の公共交通機関でのマスクの着用は義務付けられていますが、一般人の外出の際は、「マスク着用を推奨する」ことに留めているのは、マスクの確保ができていないからです。

 市町村によっては、洗って再利用することができるマスクを配布しているところもありますが、(私の住んでいる地域では、11日以降に発送するという通達が届いています。)いくら洗うことができるとはいえ、毎日、通勤するとなると、消耗品ゆえ、充分ではありません。

 ロックダウン解除を一週間後に控えた来週からは、一般人向けのマスクの販売が解禁になり、全国の薬局、タバ(Tabac)(タバコや雑誌などを売っているお店)、スーパーマーケット等でマスクの販売が解禁になります。

 大手スーパーマーケットは、カーフール 225百万枚、ルクレール 170百万枚、インターマルシェ 90百万枚と、それぞれに、すでに販売用に確保しているマスクの数を発表しています。マスクの価格の高騰を恐れて、政府は、サージカルマスクの価格の上限を95セント(約110円)に設定しています。

 しかし、ボジョレーヌーボーの解禁ならぬ、マスク売り出しの解禁とは・・。

 というわけで、来週は、マスクの争奪戦が予想されます。ロックダウン解除になったら、皆の気が緩んで、しばらくは、これまで以上に危険になるだろうと、食料品や薬の買い物は、解除の前の週にしようと思っていた私は、とんだ、見込み違いをしていたようです。

 これまで、マスクを毛嫌いしていたフランス人の間で、まさか、マスク争奪戦が始まるとは・・。

2020年5月1日金曜日

5月11日のパリのロックダウン解除は延期になる? ロックダウン解除予報マップ


Coronavirus : carte des départements, masques, Ligue1… l’essentiel de l’actualité du 30 avril

 フランスのロックダウン解除の判断の指標とされる、ウィルスの循環状況や、コロナウィルス対応の病床の占拠状況などを地域ごとに、色分けされたロックダウン解除予報マップのようなものが、発表されました。

 この発表が、今日から、天気予報のように、毎日、発表されると聞いて、私は、成績表を待つような気持ちで、見ていました。

 ロックダウン解除される地域は、緑、そうでない場合は、赤とされていたのに加えて、オレンジ(オレンジと呼んでいるけど、私には、黄色に見える)=どちらに転ぶかわからない地域の3色に分けられています。

 これは、今後、5月7日までの感染状況や病床状態の変化によって、各地域の色は、変わっていくことがあり得ます。

 日頃のニュースからも、イル・ド・フランス(パリを中心とする地域)や、フランスのオーバーシュートの震源地となったグラン・エスト(フランスの北東部の地域)などは、被害も大きく、ロックダウンになって以来、医療崩壊を起こして、病院に患者が収容しきれずに、廊下に溢れていたり、必死に、重症患者を他の地方に搬送していたりしたので、充分に無理なことは、明白であったのですが、地図を見て、「あ〜〜やっぱり、ダメだった・・」と思った自分に驚いたくらいです。

 実際のところは、今の状況では、私は、ロックダウンの解除はして欲しくないし、怖くてたまらないし、考えてみれば、地域ごとにロックダウンを解除すると言った時点で、パリのロックダウン解除は、あり得ない話だったのです。

 逆に、被害者も医療崩壊の度合いも激しいパリをロックダウン解除するなら、何も段階的にロックダウン解除などという必要はないわけです。

 もしも、パリがロックダウン解除になるとしたら、かなり厳しい制約付きの解除になるだろうし、そのようにしてもらわないと困ります。

 これから、長い間、きっと、毎日、天気予報を見るように、この地図を見るのが習慣化するのかもしれません。これが、この先、将来、ロックダウンが解除された時に、地域ごとに、日本の花粉情報のように、より細かい状況がわかれば、少し、危険な地域を避けられたりすることがあるかもしれません。

 天気予報に加えて、ウィルス予報・・今まで、考えもしなかったことが現実になっています。

 この地図を前もって発表することで、国民の意識が上向きに向かう効果が現れてくれればと思いますが、不安材料が、もう一つあります。

 マラリアの治療薬(予防薬)であるクロロキンを使ったコロナウィルスの治療でフランスでは、一躍、英雄扱いされている、マルセイユ医大の感染症の研究の権威、ラウルト教授がテレビのニュース番組のインタビューで、「コロナウィルスの感染は、落ち着いてきているし、第二波が来ることは、SFのように、信じ難いことだ。」と発言したのです。

 このような影響力が絶大な人の発言が、国民を一気に油断させる一旦にならないかと心配しています。

 彼は、インタビューに対して、感染症研究の視点から言えば、コロナウィルスの致死率は、大したことはないもので、季節的なものも影響しているので春から夏にかけてウィルスは減少するであろうと答えています。

 しかし、感染が少しずつ減少してきたのは、一ヶ月半にわたるロックダウンの効果であるに違いないのです。

 彼の話を聞いていると、彼は、あくまで研究者であることをひしひしと感じます。「治療薬が開発されて認証されるまでに一年かかったとして、その時に、治験対象者がいるかどうか?」などという、ちょっと信じ難いことまで語っています。

 クロロキンの投与に関しては、賛否両論あり、投与のタイミングの難しさ、副作用などもあることから異論も出ていますが、とかく、影響力のある人物の楽天的とも受け取れる発言が、今、綱渡りの状態であるフランス国民の気を緩ませるきっかけとならないことを祈るばかりです。














2020年4月30日木曜日

フランスのロックダウン解除 学校再開には、大多数が反対! 川崎病に酷似した症例の報告






 昨日のフィリップ首相のロックダウン解除に関する発表から、一夜明けて、さっそく、フランス国民の世論が浮き上がってきました。

 「防護(マスク)」「検査」「隔離」を核とした方針で進むこと、また、ロックダウンの解除は、ウィルスの感染状況、地域ごとの病院の受け入れ状態などの推移を分析をして、段階を追って行われること、リスクが一定以上に下がらない地域は、ロックダウンは、続けられること。

 それに際して、100キロ以上の移動が制限されること、公共交通機関や再開される会社のオフィスや店内では、マスクが義務化されることなどなど、大方の提案に関しては、好意的な反応でした。

 しかし、子供の学校再開に関しては、そのリスクに危惧を抱き、反対の意見が多いです。もともと、ロックダウン前から、まず、最初に閉鎖になった学校を、なぜ? 最初の段階で、再開するのか? 何よりも、学校へ登校した場合の子供の安全が保たれることが、信じ難いというのが大きな理由です。

 もともと、フランスの学校は、学校にもよりますが、なかなか、清潔とは言い難く、蚤やシラミが蔓延したり、トイレがビックリするほど汚かったりという状況で、そんな状態の学校が、清潔を通り越えて、四六時中の除菌状態などの充分な衛生的な環境を確保できるのか? 他にも、子供たちの管理、給食など、たくさんのリスクを孕んでいるのです。

 そんなところに、追い討ちをかけるように、フランスでは、ここのところ、14歳以下の子供に、高熱、全身の血管に炎症が表れ、目の充血、発疹、手足や唇や舌が赤くなる、川崎病に非常に症状が似た重篤な集中治療が必要なケースが多発していることが、警告され、学校再開に歯止めをかける一旦を担っています。

 過去3週間にわたり、パリ地域で、この症状で、集中治療を受けて入院した炎症性症候群の子供25人の症例が報告されており、急激な同じ症例の増加に警笛が鳴らされています。

 この症例が出現したのは、コロナウィルスが蔓延がピーク状態に達してから、約1ヶ月後のことです。同様の報告が、イギリス、イタリア、ベルギーなどでも上がっており、コロナウィルスに感染している場合と感染していない場合とがあり、その関連性は、はっきりとはしていませんが、もとより、通常は、ヨーロッパでは、あまり発症例のない川崎病のような症状の発症は、コロナウィルスが原因、あるいは、引き金となっていることが疑われています。

 現在のところは、まだ、フランスでは、この症状に関する死亡者は出ていませんが、子供用のICUの病床は、大人用のICUに比べて非常に少ないために、これ以上、同様の子供の症状が増え続ければ、あっという間に手に追えない状態になることは、必須なため、注意が呼びかけられています。

 コロナウィルスに続いて、この謎の子供の病気の出現に、ロックダウン解除、しかも、学校の再開には、大きな障壁が立ちはだかった感じです。

 しかし、そんな状況の中、学校が再開するかどうかもわからない状態で、学校の夏のバカンスの日程は、予定通りと発表、報道されるフランスがやっぱりな・・と思いつつも、なにか、しっくりこないのです。

 

2020年4月29日水曜日

5月11日のロックダウン解除についてのフィリップ首相の演説 弱者が滅び、強者が生き残る社会


Edouard Philippe évoque le déconfinement à l'Assemblée nationale le 28/04


 5月11日のロックダウン解除についてのフィリップ首相の演説は、何とも歯切れの悪いものでした。

 「今後のコロナウィルスの対応は、「防護(マスク)」「検査」「隔離」を核としていきます。」とし、5月11日までのマスクの確保、検査数の拡大(一週間に70万件を目標としている)、そして、検査の結果、陽性が認められた者は、隔離する方針を発表しました。

 これに関しては、最もなことであり、実現すれば、それに越したことはありません。

 しかし、11日まで、待たずとも、少なくとも、現在も、出勤している人には、マスクを配るべきだし、検査も準備が出来次第、すぐにできる限りの検査を始めたらいいのにと思います。

 公共交通機関を利用する場合、また、再開する商店、会社のオフィスなどは、マスクの着用が義務付けられることになりますが、それ以外の一般大衆に対しては、マスクの着用は、推奨する・・に留まり、強制ではありません。恐らく、強制できるほどのマスクの確保が期待できないのでしょう。

 学校の再開は、小さい子供・幼稚園・小学校から始まりますが(強制ではありません)、教室での人数や、衛生環境を充分に整えること、中学生以上は、マスクの着用が義務付けられます。

 リモートワークが可能な仕事の人には、引き続き、リモートワークが推奨されますが、商店等に関しては、充分な衛生環境の配慮の元での営業が認められるようになります。
しかし、レストラン、カフェ、映画館、劇場等は、引き続き、営業は、できません。

 しかし、それもこれも、5月7日の時点で、地域ごとに感染状況、病院の受け入れ状態などの推移を分析をして、リスクが一定以上に下がらない場合は、地域によって、ロックダウンは、続けられるとのことでした。

 小さい子供から、学校を再開することは、感染のリスクが低いことが理由に挙げられていますが、実際のところは、働かなければならない親を仕事に行ける環境を作るためです。しかし、現在のところは、リモートワークができるような仕事についている親は、子供を学校に行かせることに対しては、とても懐疑的です。

 フランスの小学校は、6月末までですから、それまでの数週間、できる限りの衛生環境を整えて、リスクを侵しながら、10人ずつなどの授業を交代に行うことにどれだけのメリットがあるのかと思うところもあります。

 ロックダウン以来、フランスの学校は、ネットでの授業が続けられていますが、ネット環境がない家庭、パソコンが一人一台ない家庭などは、授業についていくことが難しく、格差が著しくなってきました。

 生活に困窮する家庭では、危険な状態にも関わらず、子供を学校に行かせなければならないし、自分も危険を侵して、仕事に行かなければならない。親が仕事に行かなければならない家庭が必ずしも生活に困窮している家庭とは、限りませんが、フランスの格差社会が、このコロナウィルスの危機により、浮き彫りになっている感が拭えません。

 しかし、具体的な発表に、取り立てて、新しい内容は何もなく、首相、自ら、最悪の選択肢の中からの最もリスクの低い選択をしたと、言わなくても良いことを言うような、トップとしての牽引力の全く感じられない演説でした。

 このような、有事には、国民に対しての説得力、納得させるチカラがとても大切なことだと思いました。

 生中継をしていたテレビのスタジオでは、フィリップ首相の発表は、当日の段階では、不評が多く、「何もはっきりとしない発表は、国民を不安にするばかり、ヨーロッパの隣国でも、こんなにハッキリしない発表をするトップはいない!今日の彼の発表で、ハッキリしている唯一のことは、「まだ、わからない。」という事だけだったと辛口の批評をしています。

 歴史的なウィルスの感染による世界的な危機で、弱い者が犠牲になり、強い者だけが生き残る・・救いようのない状況が、今まさに、起こっていることを、現実として、受け入れなければならないのが、堪らないのです。