2020年5月3日日曜日

フランスのコロナウィルスとの戦いーこれまでの軌跡のルポルタージュを見て


https://static.lexpress.fr/medias_12214/w_640,c_fill,g_north/la-tour-eiffel-le-mardi-17-mars-a-paris-alors-qu-un-confinement-generalise-a-ete-mis-en-place-des-mardi-midi_6253956.jpg


  ここ数日、フランスでは、コロナウィルスによる、ここ2ヶ月近くの状況の経過を50分ほどにまとめたルポルタージュがテレビで流されています。BGMや解説もつけられ、ドラマチックに仕上げられていますが、これが、ここ1〜2ヶ月で起こってきたことで、私もニュースで毎日、見てきた場面のごく一部であることに、呆然とさせられます。

 もしも、一年前の私がこの映像を見ていたら、SF映画だったとしても、あまり、リアリティを感じなかっただろうと思う映像ばかりです。

 マクロン大統領のロックダウン宣言、パリから逃げ出す人々で溢れかえるパリ・モンパルナス駅、ロックダウン当日、商店街で買い物を続ける人々に、「家に帰れ!1m の距離を取れ!」と、怒鳴り散らす警官たち。

 きっと、叫んでいる警官たちも、まだ、今ひとつ、理解していなかったのでしょう。マスクもせずに、人々の前で大声で怒鳴り散らしていました。

 次第に、フランス人も(人との距離をとって)並ぶということをするようになります。

 しかし、時すでに遅く、医療崩壊を起こして、病院内、ICUで奔走する医療従事者の様子。増加し続ける死者。3月31日の夜から、4月1日にかけて、救急車で運ばれてきた患者が病院に入れない状態になったと証言するパリの医療統括責任者。

 それから始まったドイツ・ルクセンブルクなどへのたくさんの機械やスタッフが同伴してのヘリコプターでの重症患者の搬送、TGVでの国内の他地域への搬送。

 16歳で亡くなった少女をはじめ、すでにテレビで報道された犠牲者の面々。家に閉じ込められた人々の生活の様子。家族との面会ができずに、個室に閉じ込められた高齢者施設の老人が感情を失っていく様子。

 空っぽになった世界中の街、人のいなくなった街に現れ始めた動物、大気汚染の解消された美しい街。

 これらの映像の記録は、きっと、後世までも残されて、語り続けられる貴重な映像となるでしょう。そして、今を生き続ける人のためにも、この現実を受けとめ、色々なことを感じて、深く考えるテキストとなるでしょう。

 私たちが、これまで、あたりまえのように送っていた日常生活の中で、何が大切なことだったのか、否応なしに考えさせられます。私は、ロックダウンの生活を、残りの私の人生をどうやって生きていくかを考える機会だと思っています。

 リモートワークをしてみて、無駄だと思われていた通勤の時間が、気持ちの切り替えには、必要な時間だったり、UberEatsなどで、宅配をしてみて、外食というものは、単に美味しいものを食べるというだけではなかったこと・・そして、人を避けなければならず、人に近寄れないことが、どんなに不自然で、人をギスギスさせることだったのか? 

 それでも、パリでは、40年ぶりの大気汚染が解消されたと聞かされると、これは、人間が痛めつけた地球を救うためのコロナウィルスという荒療治だったのかもしれないと思ったりもするのです。

 まだまだ、この危機は、当分、収まりそうもありませんが、このルポルタージュを見て、映像の記録というものは、大切なものだな・・と思った次第です。



 このルポルタージュは、全編フランス語なので、わかりづらいところもあるかもしれませんが、映像ゆえ、言語がわからない方にも、ある程度、伝わると思います。
https://www.bfmtv.com/mediaplayer/video/ces-55-jours-qui-ont-change-la-france-revoir-le-grand-reportage-de-bfmtv-1244010.html


2020年5月2日土曜日

ロックダウン解除に向けて、圧倒的にマスクが足りないフランス


Image de masques FFP2, ici vendus à Amsterdam.


 昨日から始まった、ロックダウン解除予報から、解除が見込める地域を始めとして、今、それぞれの地域で頭を抱えているのがマスクの確保です。

 感染が広がり始めた当初は、政府も、「一般人のマスク着用は、意味がない。」と言っていたのに、さすがに、「マスクは、した方が良い。」に変わり、フランスでも、3週間前くらいまでは、ほとんどの人がマスクをしていました。

 ここへ来て、すっかりロックダウン解除気分で、気が緩んでいる人が増え、驚くほどマスクをしている人が減りましたが、実際に解除になった場合は、どうなるのでしょうか?

 ロックダウン以来、主に医療機関などのために、大量に中国等から輸入されたマスクが空港に到着すると、警察や軍の警備の車に先導されて、大仰に運ばれています。マスクの盗難事件が相次いだためです、

 そして、現在は、ルイヴィトン、ディオール、サンローランなどのフランスの大手のブランドを始め、多くの繊維業者がマスクを製造しています。

 それでも、圧倒的に足りないマスク。
 まずは、どこよりも医療機関を優先とされるマスクの分配は、ロックダウンの解除が見込まれる地域でも、全国民に充分に行き渡るほどは、ないのです。どこの市町村も、「これだけの注文をしています。」というばかりで、実際にストックがどれほどあるのか、マスクが到着しても、まずは、医療機関を優先とすると、全ての人にマスクが行き渡るかどうか、明言できない状態です。

 現在のところは、薬局でも、一般人へのマスクの販売は、禁止されています。

 ロックダウン解除後の公共交通機関でのマスクの着用は義務付けられていますが、一般人の外出の際は、「マスク着用を推奨する」ことに留めているのは、マスクの確保ができていないからです。

 市町村によっては、洗って再利用することができるマスクを配布しているところもありますが、(私の住んでいる地域では、11日以降に発送するという通達が届いています。)いくら洗うことができるとはいえ、毎日、通勤するとなると、消耗品ゆえ、充分ではありません。

 ロックダウン解除を一週間後に控えた来週からは、一般人向けのマスクの販売が解禁になり、全国の薬局、タバ(Tabac)(タバコや雑誌などを売っているお店)、スーパーマーケット等でマスクの販売が解禁になります。

 大手スーパーマーケットは、カーフール 225百万枚、ルクレール 170百万枚、インターマルシェ 90百万枚と、それぞれに、すでに販売用に確保しているマスクの数を発表しています。マスクの価格の高騰を恐れて、政府は、サージカルマスクの価格の上限を95セント(約110円)に設定しています。

 しかし、ボジョレーヌーボーの解禁ならぬ、マスク売り出しの解禁とは・・。

 というわけで、来週は、マスクの争奪戦が予想されます。ロックダウン解除になったら、皆の気が緩んで、しばらくは、これまで以上に危険になるだろうと、食料品や薬の買い物は、解除の前の週にしようと思っていた私は、とんだ、見込み違いをしていたようです。

 これまで、マスクを毛嫌いしていたフランス人の間で、まさか、マスク争奪戦が始まるとは・・。

2020年5月1日金曜日

5月11日のパリのロックダウン解除は延期になる? ロックダウン解除予報マップ


Coronavirus : carte des départements, masques, Ligue1… l’essentiel de l’actualité du 30 avril

 フランスのロックダウン解除の判断の指標とされる、ウィルスの循環状況や、コロナウィルス対応の病床の占拠状況などを地域ごとに、色分けされたロックダウン解除予報マップのようなものが、発表されました。

 この発表が、今日から、天気予報のように、毎日、発表されると聞いて、私は、成績表を待つような気持ちで、見ていました。

 ロックダウン解除される地域は、緑、そうでない場合は、赤とされていたのに加えて、オレンジ(オレンジと呼んでいるけど、私には、黄色に見える)=どちらに転ぶかわからない地域の3色に分けられています。

 これは、今後、5月7日までの感染状況や病床状態の変化によって、各地域の色は、変わっていくことがあり得ます。

 日頃のニュースからも、イル・ド・フランス(パリを中心とする地域)や、フランスのオーバーシュートの震源地となったグラン・エスト(フランスの北東部の地域)などは、被害も大きく、ロックダウンになって以来、医療崩壊を起こして、病院に患者が収容しきれずに、廊下に溢れていたり、必死に、重症患者を他の地方に搬送していたりしたので、充分に無理なことは、明白であったのですが、地図を見て、「あ〜〜やっぱり、ダメだった・・」と思った自分に驚いたくらいです。

 実際のところは、今の状況では、私は、ロックダウンの解除はして欲しくないし、怖くてたまらないし、考えてみれば、地域ごとにロックダウンを解除すると言った時点で、パリのロックダウン解除は、あり得ない話だったのです。

 逆に、被害者も医療崩壊の度合いも激しいパリをロックダウン解除するなら、何も段階的にロックダウン解除などという必要はないわけです。

 もしも、パリがロックダウン解除になるとしたら、かなり厳しい制約付きの解除になるだろうし、そのようにしてもらわないと困ります。

 これから、長い間、きっと、毎日、天気予報を見るように、この地図を見るのが習慣化するのかもしれません。これが、この先、将来、ロックダウンが解除された時に、地域ごとに、日本の花粉情報のように、より細かい状況がわかれば、少し、危険な地域を避けられたりすることがあるかもしれません。

 天気予報に加えて、ウィルス予報・・今まで、考えもしなかったことが現実になっています。

 この地図を前もって発表することで、国民の意識が上向きに向かう効果が現れてくれればと思いますが、不安材料が、もう一つあります。

 マラリアの治療薬(予防薬)であるクロロキンを使ったコロナウィルスの治療でフランスでは、一躍、英雄扱いされている、マルセイユ医大の感染症の研究の権威、ラウルト教授がテレビのニュース番組のインタビューで、「コロナウィルスの感染は、落ち着いてきているし、第二波が来ることは、SFのように、信じ難いことだ。」と発言したのです。

 このような影響力が絶大な人の発言が、国民を一気に油断させる一旦にならないかと心配しています。

 彼は、インタビューに対して、感染症研究の視点から言えば、コロナウィルスの致死率は、大したことはないもので、季節的なものも影響しているので春から夏にかけてウィルスは減少するであろうと答えています。

 しかし、感染が少しずつ減少してきたのは、一ヶ月半にわたるロックダウンの効果であるに違いないのです。

 彼の話を聞いていると、彼は、あくまで研究者であることをひしひしと感じます。「治療薬が開発されて認証されるまでに一年かかったとして、その時に、治験対象者がいるかどうか?」などという、ちょっと信じ難いことまで語っています。

 クロロキンの投与に関しては、賛否両論あり、投与のタイミングの難しさ、副作用などもあることから異論も出ていますが、とかく、影響力のある人物の楽天的とも受け取れる発言が、今、綱渡りの状態であるフランス国民の気を緩ませるきっかけとならないことを祈るばかりです。














2020年4月30日木曜日

フランスのロックダウン解除 学校再開には、大多数が反対! 川崎病に酷似した症例の報告






 昨日のフィリップ首相のロックダウン解除に関する発表から、一夜明けて、さっそく、フランス国民の世論が浮き上がってきました。

 「防護(マスク)」「検査」「隔離」を核とした方針で進むこと、また、ロックダウンの解除は、ウィルスの感染状況、地域ごとの病院の受け入れ状態などの推移を分析をして、段階を追って行われること、リスクが一定以上に下がらない地域は、ロックダウンは、続けられること。

 それに際して、100キロ以上の移動が制限されること、公共交通機関や再開される会社のオフィスや店内では、マスクが義務化されることなどなど、大方の提案に関しては、好意的な反応でした。

 しかし、子供の学校再開に関しては、そのリスクに危惧を抱き、反対の意見が多いです。もともと、ロックダウン前から、まず、最初に閉鎖になった学校を、なぜ? 最初の段階で、再開するのか? 何よりも、学校へ登校した場合の子供の安全が保たれることが、信じ難いというのが大きな理由です。

 もともと、フランスの学校は、学校にもよりますが、なかなか、清潔とは言い難く、蚤やシラミが蔓延したり、トイレがビックリするほど汚かったりという状況で、そんな状態の学校が、清潔を通り越えて、四六時中の除菌状態などの充分な衛生的な環境を確保できるのか? 他にも、子供たちの管理、給食など、たくさんのリスクを孕んでいるのです。

 そんなところに、追い討ちをかけるように、フランスでは、ここのところ、14歳以下の子供に、高熱、全身の血管に炎症が表れ、目の充血、発疹、手足や唇や舌が赤くなる、川崎病に非常に症状が似た重篤な集中治療が必要なケースが多発していることが、警告され、学校再開に歯止めをかける一旦を担っています。

 過去3週間にわたり、パリ地域で、この症状で、集中治療を受けて入院した炎症性症候群の子供25人の症例が報告されており、急激な同じ症例の増加に警笛が鳴らされています。

 この症例が出現したのは、コロナウィルスが蔓延がピーク状態に達してから、約1ヶ月後のことです。同様の報告が、イギリス、イタリア、ベルギーなどでも上がっており、コロナウィルスに感染している場合と感染していない場合とがあり、その関連性は、はっきりとはしていませんが、もとより、通常は、ヨーロッパでは、あまり発症例のない川崎病のような症状の発症は、コロナウィルスが原因、あるいは、引き金となっていることが疑われています。

 現在のところは、まだ、フランスでは、この症状に関する死亡者は出ていませんが、子供用のICUの病床は、大人用のICUに比べて非常に少ないために、これ以上、同様の子供の症状が増え続ければ、あっという間に手に追えない状態になることは、必須なため、注意が呼びかけられています。

 コロナウィルスに続いて、この謎の子供の病気の出現に、ロックダウン解除、しかも、学校の再開には、大きな障壁が立ちはだかった感じです。

 しかし、そんな状況の中、学校が再開するかどうかもわからない状態で、学校の夏のバカンスの日程は、予定通りと発表、報道されるフランスがやっぱりな・・と思いつつも、なにか、しっくりこないのです。

 

2020年4月29日水曜日

5月11日のロックダウン解除についてのフィリップ首相の演説 弱者が滅び、強者が生き残る社会


Edouard Philippe évoque le déconfinement à l'Assemblée nationale le 28/04


 5月11日のロックダウン解除についてのフィリップ首相の演説は、何とも歯切れの悪いものでした。

 「今後のコロナウィルスの対応は、「防護(マスク)」「検査」「隔離」を核としていきます。」とし、5月11日までのマスクの確保、検査数の拡大(一週間に70万件を目標としている)、そして、検査の結果、陽性が認められた者は、隔離する方針を発表しました。

 これに関しては、最もなことであり、実現すれば、それに越したことはありません。

 しかし、11日まで、待たずとも、少なくとも、現在も、出勤している人には、マスクを配るべきだし、検査も準備が出来次第、すぐにできる限りの検査を始めたらいいのにと思います。

 公共交通機関を利用する場合、また、再開する商店、会社のオフィスなどは、マスクの着用が義務付けられることになりますが、それ以外の一般大衆に対しては、マスクの着用は、推奨する・・に留まり、強制ではありません。恐らく、強制できるほどのマスクの確保が期待できないのでしょう。

 学校の再開は、小さい子供・幼稚園・小学校から始まりますが(強制ではありません)、教室での人数や、衛生環境を充分に整えること、中学生以上は、マスクの着用が義務付けられます。

 リモートワークが可能な仕事の人には、引き続き、リモートワークが推奨されますが、商店等に関しては、充分な衛生環境の配慮の元での営業が認められるようになります。
しかし、レストラン、カフェ、映画館、劇場等は、引き続き、営業は、できません。

 しかし、それもこれも、5月7日の時点で、地域ごとに感染状況、病院の受け入れ状態などの推移を分析をして、リスクが一定以上に下がらない場合は、地域によって、ロックダウンは、続けられるとのことでした。

 小さい子供から、学校を再開することは、感染のリスクが低いことが理由に挙げられていますが、実際のところは、働かなければならない親を仕事に行ける環境を作るためです。しかし、現在のところは、リモートワークができるような仕事についている親は、子供を学校に行かせることに対しては、とても懐疑的です。

 フランスの小学校は、6月末までですから、それまでの数週間、できる限りの衛生環境を整えて、リスクを侵しながら、10人ずつなどの授業を交代に行うことにどれだけのメリットがあるのかと思うところもあります。

 ロックダウン以来、フランスの学校は、ネットでの授業が続けられていますが、ネット環境がない家庭、パソコンが一人一台ない家庭などは、授業についていくことが難しく、格差が著しくなってきました。

 生活に困窮する家庭では、危険な状態にも関わらず、子供を学校に行かせなければならないし、自分も危険を侵して、仕事に行かなければならない。親が仕事に行かなければならない家庭が必ずしも生活に困窮している家庭とは、限りませんが、フランスの格差社会が、このコロナウィルスの危機により、浮き彫りになっている感が拭えません。

 しかし、具体的な発表に、取り立てて、新しい内容は何もなく、首相、自ら、最悪の選択肢の中からの最もリスクの低い選択をしたと、言わなくても良いことを言うような、トップとしての牽引力の全く感じられない演説でした。

 このような、有事には、国民に対しての説得力、納得させるチカラがとても大切なことだと思いました。

 生中継をしていたテレビのスタジオでは、フィリップ首相の発表は、当日の段階では、不評が多く、「何もはっきりとしない発表は、国民を不安にするばかり、ヨーロッパの隣国でも、こんなにハッキリしない発表をするトップはいない!今日の彼の発表で、ハッキリしている唯一のことは、「まだ、わからない。」という事だけだったと辛口の批評をしています。

 歴史的なウィルスの感染による世界的な危機で、弱い者が犠牲になり、強い者だけが生き残る・・救いようのない状況が、今まさに、起こっていることを、現実として、受け入れなければならないのが、堪らないのです。

 

































2020年4月28日火曜日

コロナウィルス対応 日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、衛生観念はやっぱり凄いなと思う


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 フランスがロックダウンになった頃、日本は、まだ、「オリンピックをやるかどうか?」なんていうことを言っていて、「なに言ってるの? 日本は大丈夫? 世界中は、大変なことになっていて、オリンピックなんて、とんでもない話なのに・・」と、とても、心配していました。

 なんだか、外から見ていると、悠長な日本の政府の対応を見ながら、ヨーロッパの悲惨な状況を鑑みるに、日本とて、とてもただ事では、済まされないと、ヤキモキしながら、フランスのニュースとともに、日本のニュースも見守っていたのです。

 日本は、緊急事態宣言という、ロックダウンとは、違う形をとりましたが、完全なロックダウンの状態を取っていないにもかかわらず、かなりの割合で、人の行き来が減り、危なっかしい感じもありますが、大多数の国民のモラルに支えられて、今のところは、ヨーロッパのような悲惨な状態には、至っていません。

 日本でも、中には、なんとか、隙をついて出かけようとしている人もいるようですが、これは、あくまで、ロックダウンには、なっていない状態でのことで、一体、世界中のどこで、ロックダウンせずにこれだけ、国民が自粛できる国があるでしょうか?

 例えば、それが、フランスだったら、まるで収拾のつかない状態になって、壊滅的な状況を産んでいたに違いありません。(今でさえ、充分に悲惨な状況ですが・・)

 フランスでは、4月13日にロックダウンの延長と5月11日にロックダウンを徐々に解除することが発表されて以来、国民の意識は、一気に緩み始めました。報道の大部分は、ロックダウン後の話題になり、段階的な解除がどのように行われるか?という議論から、夏のバカンスは、どうするのか?などと言う話題まで持ち上がっています。

 そんなマスコミの報道を反映するように、世間は、未だロックダウン中にもかかわらず、すっかり解除モードに移行しつつあります。

 まず、一番に驚くのは、マスクをしている人が極端に減り始めたことです。ロックダウン後は、マスクの着用を義務化するべきではないか? などという検討をされているにも関わらず、世間の解除モードは、もはや歯止めが効かない状況です。これだけの危機を経験したにも関わらず、この危機感の薄さ、モラルの低さには、呆れ返ります。

 念のため、今も救急車のサイレンが一日に何度も聞こえ、一日の死者が437人(4月27日現在)これまでに23293名が亡くなっている状態でのことです。

 それにひきかえ、日本では、ロックダウンでもないにも関わらず、大半の国民は、自粛して、外出を控え、皆、マスクをし、健康管理に気を配り、清潔を心がけています。フランスがロックダウン状態で、手を洗えとか、一度使ったティッシュは捨てましょう!とか呼びかけていることは、平常時でも、日本人は、当たり前のこととして、やっていることなのです。

 先日、たまたま、日本のネットショッピングのサイトのランキングを見たら、「パルスオキシメーター」という、血中の酸素濃度を測る機械が一位になっていました。マスクや除菌ジェルなどなら、いざ知らず、一位が「パルスオキシメーター」という、ある意味、通常の日常生活では、使わないものです。この機械が有効に使えるか否かは別として、この自分の健康を真剣に考え、何とかしようとしている日本人に、改めて、感心したのです。

 これは、多分、テレビ番組か何かで、報道されたりしたのだと思いますが、コロナウィルスが急激に悪化するのは、実は、症状の悪化は気付かないうちに進行していて、実際に呼吸困難を感じた時には、手遅れになるという話から、そのために、その予兆を血中の酸素濃度をチェックして変化を自分で見逃さないようにしようと考えた人々なのだと思います。

 以前、私は、フランス人は、災害に慣れていないから、もし、ことが起こったら、パニックを起こして大変になる・・という内容のブログを書いたことがありましたが、まさに、そのとおりでした。パニックを起こさないように、ロックダウンを強行し、警察や軍が取り締まり、まさに、ばったりと封じ込めの状態になりました。

 フランス国民を封じ込めるには、軍まで動員しなければならないのです。

 そして、ロックダウンなしに、フランス人は、ウィルスの蔓延を抑えることはできなかったでしょう。(今でも抑えきれていませんが・・)ロックダウン下の厳しい制約の下で、たとえ、罰金が課せられても、外出する人は、後を絶ちません。

 あくまでも、国民がルールを守り、ウィルスの拡散が現実的に減速した場合という前提で発表されたロックダウンの解除も、今の国民の雰囲気からすると、さらにロックダウンの延長などということになれば、暴動でも起きかねない雰囲気です。

 まだ、ウィルスが静まりきれていない状態でロックダウンを解除しようとするのですから、これまでの監禁生活のストレスも合間って、大変なことになるのは目に見えています。この解除を強行するということは、政府もさらなる犠牲者が出ることは、覚悟の上での解除なのだと思っています。

 そんな、フランスと比べると、日本人の一般的なモラルの高さ、清潔さ、真面目さ、辛抱強さ、規律の正しさ、健康管理の意識の高さは、世界中に誇れるものだとつくづく思うのです。

 私は、今、フランスにいるからこそ、日本人のそんな国民性を、改めて、尊いものだと感じています。

 フランスでは、日本は、マスクをする習慣があるから、感染者が少ない(ヨーロッパと比べて)などと言っていますが、それは、決して、マスクだけのおかげではないのです。


<関連>
「災害に免疫のないフランス人がパニックを起こして、アジア人全体を傷つけている」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/02/blog-post.html


 

 












2020年4月27日月曜日

ロックダウン中でも恋愛を求め続ける恋愛大国フランス マッチングアプリの成功


 


 コロナウィルスの蔓延で、多くの犠牲者が出て、多くの国がロックダウンや自粛規制を余儀なくされ、世界中が経済危機に直面しています。

 フランスでは、ロックダウン解除に向けて、少しでも、業績回復に向けて、再開への準備を始めた会社が多くあります。TOYOTA FRANCE の工場が再開に向けて、いち早く、準備にかかり始めたという報道がありました。しかし、今、車を急いで生産したところで、誰が車を買うのかと思ってしまいます。

 しかし、多くの産業が停滞しても、この機に応じて、確実に業績を伸ばしている会社も確かにあるのです。医薬品・医療機器、衛生用品関係、パスタ・小麦粉等の食品などは、急激に売り上げを伸ばしています。

 そんな中で、フランスで、意外なところで、驚くべき成功を収めているのが、出会い系サイトのアプリです。ソーシャルライフが最小限に抑えられたことで、出会い系アプリサイトは、これまでにないブームが起こっています。

 実際に、すぐに会うことが不可能にもかかわらず、フランス人は、新しい出会いを求め、登録者は、増加の一途を辿り、登録者が増加しているからこそ、見逃されないように、プロフィール写真を工夫して、撮り直し、ラブストーリーを構築していきます。

 実際に在宅勤務や失業している人など、一人暮らしの独身者は、出会いを求めて、多くの時間をこのために費やしていると言います。

 ロックダウンで外出できない中、工夫を凝らして写真を撮り、プロフィールの説明に何とか、相手を魅了する文言を考え尽くします。私自身は、マッチングアプリは、やったことがありませんが、それをのぞいてみるだけでも、けっこう、楽しめるかもしれません。

 実際にすぐには、会えないことから、会話の場は、FaceTimeやスワイプ(SWIPE) に置き換えられ、会えない分だけ、アクセス回数は多くなり、会話時間も長くなります。会えないからこそ、会いたくなる衝動にかられながら、彼らは、ロックダウン中も恋愛を楽しむことを忘れないのです。

 ロックダウンの最中でさえも、恋愛大国のフランスは、健在しているのです。

 フランスのマッチングアプリは、意外にも、かなり広い年齢層の間に広がっています。以前、主人の友人のけっこうな年齢のおじさまがマッチングアプリで出会った女性とデートした話を聞いたことがありましたし、つい先日、娘の義理のお兄ちゃんが、マッチングアプリで出会った女性と、付き合い出したと思ったら、あっという間に婚約!結婚式は、ロックダウンのために延期になりましたが、身近なところでもけっこう聞く話です。

 一度も会ったことのない人と2ヶ月近くもの、現実の世界から遠ざかっているロックダウン状態で、恋愛して、ロックダウン解除になった際に、急に現実に戻り始めた世界で、実際に会ったら、すっかり冷めてしまう・・なんていうことも、大いにあり得る話ではあると思いますが、そこは、懲りないフランス人、また、新しい出会いを求めて、新たな恋愛を探し始めることでしょう。

 Tinderというアプリケーションソフトウェアは、3月29日に、一日のスワイプ(SWIPE)のアクセス数、30億回を記録しています。
(これは、フランスだけでの数字ではありません。)