2020年3月29日日曜日

イル・ド・フランスの病院は、コロナウィルスのために飽和状態

          
厚生省の画像


 フランスのフィリップ首相は、前日の外出禁止延長(4月15日迄)の発表に続いて、昨日も、今後のコロナウィルス対策について、さらに詳しく政府の対応を説明しました。

 それもこれも、感染者はもちろんのこと、重篤な患者の数が増え続け、死亡者も毎日、300人以上(これまでに2314名・3月28日現在)という状態が続いていることによる、国民の不安への対応でもあります。

 事態は、非常に厳しい事態ではあるが、政府は、全力で対応しているということ、特に、医療用品(マスク、呼吸器等)の調達について、(海外への十分な数の注文をし、続々とそれらが届く予定になっているということ)また、今後のPCR検査の実施について、4月、5月と長期的な計画で、その検査数を増やしていくということ、また、最も深刻な重篤な患者のための集中治療室の確保を国内の比較的、余裕のある地域だけでなく、海外のフランス領にも用意することを発表しました。

 2月には、5000床であったフランスの集中治療室のベッドは、3月には10000床にまで増加しましたが、4月には14000〜14500床までに増やすことを目標と発表しています。しかも、フランス国内だけでなく、フランス領とはいえ、海外にまでというのです。

 というのも、イル・ド・フランス(パリを中心とするフランスの中心都市の地域)の病院は、すでに飽和状態で、すでに満床状態以上で、他に容易に動かせない、緊急を要するにも関わらず、受け入れ先もない重篤な患者は、病院の廊下で酸素に繋がれて夜を明かすという深刻な状況に陥っているのです。

 このウィルスの怖さは、病状が悪化(特に息苦しさを訴え始めてから)が、驚くほど早く重篤な状態になることで、迅速な対応をしなければ、致命的な状態に陥ってしまう点なのです。

 そして、ここまでの急な展開に、満足なスタッフの数も、マスクも医療器具もギリギリの状態で働いている医療従事者自身も疲弊し、感染するケースも出てきているのです。

 現在でも、すでに、ドイツやルクセンブルクなどのヨーロッパの他国が幾らかの重篤な患者を引き受けてくれたりしていますが、残念ながら、それでも亡くなってしまう方も出ています。

 ですから、現在、フランスのテレビでは、厚生省が時間毎にコロナウィルスに対する呼びかけのコマーシャルも流しています。

「もしも、咳が出たり、熱が出たりしたら、家にいてください。他人との接触を避けてください。そして、あなたのかかりつけのお医者さんに電話で相談してください。通常は、病状は、数日、安静にしていることで回復します。しかし、もし、呼吸が苦しくなったり、息切れがするような、深刻な病状が出てきた場合は、すぐに☎️15に電話してください。」

 咳が出たり、熱が出たりしたら・・医者にかかりなさい!ではなく、家にいてください・・というところで、ズッコケそうなところですが、これが、現在のフランスの状況なのです。咳が出たり、熱が出たりしても、まず、かかりつけの医者に電話して、相談してください・・というところから、現在の混乱状態、フランスの医療の飽和状態、危機的状態を示しています。

 


2020年3月28日土曜日

4月15日まで延長されたフランスのコロナウィルス外出禁止 

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 フランスのコロナウィルスのための外出禁止の期間が4月15日までに延長されました。現在のフランスの状況から考えると、当然で、この報道を聞いて、驚いた人は、おそらくいないと思います。

 私は、4月15日までの外出禁止・・を聞いて、「えっ??それだけなの??」と思ったくらいです。まあ、少なくとも4月15日までと、言っているので、更なる延長も確実だと私は、思っています。

 それくらい、今のフランスの状況は、深刻で、死者が2000人に迫り、日々、重症患者が増え続けている、先の見えない、悲惨な状況なのです。

 昨日は、これまでで、最年少の16歳の、何の既往症も持っていなかった、ごくごく普通の生活を送っていた少女が、咳から始まり、あっという間に一週間で亡くなってしまったという事例まで、起こり、衝撃的なニュースとして、報道されました。

 当初、若年者は、致命的なことにはならないと言われていたのは、全くの間違いだったと言わざるを得ません。

 現在、フランスでは、3787人(3月27日現在)が集中治療室に入っていると発表されており、その多くは、70才以上でありながら、42人は、30歳以下という状況なのです。

 これまで、ほとんどが高齢者、もしくは、既往症のある人がほとんどであった死亡者、もしくは、重症患者が日々、若年層のごくごく健康に生活していた人々にまで及んでいるのです。

 今、フランスは、そうして亡くなった人も、感染の危険回避のために、最期の時に、家族と面会することもできず、お葬式さえできない状況で、ご遺族の方々の心痛は、計り知れません。

 そんな中、ここのところ、フランスで、一気に注目されているのは、マルセイユの大学病院で、感染症専門医として研究を続ける Prof.DIDIER RAOULT(ディディエ・ラウルト教授)が、マラリアの治療薬であるCHLOROQUINE(クロロキン)の投与がコロナウィルスの治療に一定の成果をあげたことを発表し、一躍、希望の光、スターのように取り上げられています。

 私がこのニュースに「えっ??」と思ったのは、「クロロキン」という名前に聞き覚えがあったからです。思い起こしてみれば、アフリカ(コートジボアール)にいた際に、マラリアの予防薬として、主人も服用していたことがあったからです。

 しかし、一般的には、まだ、クロロキンのコロナウィルスへの効用は、その投与のタイミングや、患者の容態にもより、効用、有効性がしっかりと確認できていないことから、クロロキンの増産を決定しながらも、その使用には慎重な態度を取っています。

 今やフランスでは、ニュースに必ず登場すると言ってもいいラウルト教授。68歳という年齢ながら、金髪(白髪?)を肩まで伸ばし、口髭、あご髭を蓄えながら、赤いギンガムチェックのシャツに赤い腕時計をした様相の、見るからに、変わり者の彼が、世界を救ってくれるのを皆が祈るように見守っているのです。

 クロロキンの製造元であるフランスの製薬会社サノフィ(フランス在住の方には、Doliprane(ドリプラン)の会社と言えば、誰もがご存知だと思います。)は、30万人分のクロロキンをフランス政府に贈与すると発表しています。

 
 






















2020年3月27日金曜日

フランスのコロナウィルス医療従事者の悲痛な叫び

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 一昨日、マクロン大統領がミュルーズの軍の設置する野営病院を訪問し、夜、テレビを通じて、国民に向けて、コロナウィルスの対応に疲弊している医療を中心とした支援のため、軍を動員する方針を発表しました。

 実際に、この時代に、フランスに野営病院という映像も十分にショッキングですが、酸素吸入器や医療機器の設置されたTGVが用意され、重篤な患者が移送され、薬品や患者が国内、あるいは、国を超えて行き来する様子にも、言いようもない気持ちにさせられます。

 フランスの高級ブランドのLVMHは、香水の工場で、消毒用ジェルを作り、サンローランでは、マスクの生産を始めました。これをコロナウィルスとの戦争というならば、まさに、LVMHもサンローランも軍事工場のようです。

 それでも、増え続ける感染者の対応にあたる医療従事者用に充分なマスクや防護服は足りておらず、この危険なウィルスの最前線で、毎日、時間超過で働く医療従事者は、「これ以上危険にさらされるなら、もう働けない!」と、ストライキが一部の病院では、起こっています。
(マスクの不足で危険を訴えているのは、外出規制の検問に当たって、犠牲者も出ている警察官からも声が上がっています。)

 それにも関わらず、マスクの盗難は、止まないのです。

 足りないのは、マスクや防護服だけではなく、医療機器、医療用ベッドなどの生産もギリギリの生産体制で、臨んでいますが、部品の一部は、通常は、イタリアから輸入しているため、在庫切れで、生産が追いつかない状態だという工場もあります。

 そして、最も大変なのは、医療従事者の不足と、病床の不足です。特に、集中治療室の需要が急激に増えている中、残念ながら、亡くなってしまった人の病床は、すぐに次の人で埋まり、受け入れが不可能で、他の病院へ回されるという現状に、第一線で働く医者も、「もしも、自分の親がコロナウィルスにかかったら、他の遠い国に送る。」というほどに、第一線の現場は、緊迫しており、政府関係者の発言とは、温度差が感じられます。

 その上、当初は、アジア人差別だったコロナウィルス差別が、心ない人から、医療従事者がまるで、ウィルスを街中に持ち込むような人のような扱いを受けるという信じられない現象もおきています。

 まさに、命がけで、医療にあたっている人に夜8時には、市民が窓辺から拍手を送っているという美談と同時に、現場では、街では、悲惨なことが起こっているのです。

 テレビのそんな悲惨なニュースの合間に流される、見慣れたパリの街は、からっぽで、ひたすらに静かで、あちこち、歩いているのは、警官だけです。そんな静かで、やたらと美しく感じられるパリの街には、悲惨な医療現場の様子の気配も見えないのが、余計に悲しく感じられるのです。

 

2020年3月26日木曜日

コロナウィルスによるロックダウンは、別の混乱も生み始めた・・




 コロナウィルスが拡大し続ける中、フランスは、何よりも人命優先で、感染の拡大を防ぐために、いわゆる「ロックダウン」の状態にあります。

 来週は、交通機関もさらに縮小され、シャルルドゴール空港は、ターミナルもわずかとなり、オルリー空港(主に国内線やヨーロッパ便)は閉鎖という局面から、駆け込み移動でバタバタ。

「とにかく、家にいろ!」と外出禁止を強いられて、街には、警察が巡回し、外出の際にも外出許可の用紙を持ち歩き、検問に合った時に備えています。

 やたらとうるさい地域では、アパートの外にちょっとだけゴミを捨てに行った際に、「外出許可の用紙を持っていない!」と135ユーロを取られたとか、買い物に行く道すがら、ちょっと知り合いに会って、間隔を取りつつ、少し話していたら、「話をするんじゃない!」と怒られたとか、体を動かすために散歩(時間制限と距離制限がある)に出たら、「立ち止まるな!」と怒鳴られたとかいう話を耳にします。

 入ったことはありませんが、刑務所みたいだなと思います。

 どうやら、私の友人たちからの情報では、自転車で出かけると、検問で、止められる場合が多いそうです。(自ずと移動距離が広がることもあるかもしれません。)

 そうやって、検問にあったからと言って、「ハイ、すいませんでした。」と引き下がらないのが、フランス人で、大声で怒鳴り合いの口論になっている場合も少なくないようです。その怒鳴り合いの方がよっぽど、飛沫感染しそうな感じですが・・。

 もはや、そうして、少しでも罰金を稼ごうとしているような感じにも受け取れてしまいますが、どちらも、異常な事態にイライラしていることだけは、間違いありません。

 そうして、再度、違反とされた場合は、1500ユーロ、3回以上、止められると、3700ユーロ(約45万円)の罰金の上に、投獄されるという厳しい法令。フランスでは、簡単な窃盗などでは、なかなか投獄にまで至らないのに、どれだけ、この外出禁止を徹底させようとしているのかがうかがえるものだと思っていました。

 ところが、ここへ来て、刑務所内での感染を恐れて、すでに留置されている受刑者5000人を釈放することになったとか。

 テロリストや、凶悪殺人犯などは、除外とされてはいますが、これは、コロナウィルスとは、別の意味での恐怖が街に放たれることになります。

 もともと、フランスでは、生半可なことでは、投獄されないのですから、その人たちを釈放というのは、それはまた、別の意味での恐怖です。

 投獄するとか、釈放するとか、こうして、厳戒令の中、社会は、別の混乱も生んでいくのか・・と、ますます外出するのが怖くなっているのです。

 日毎、コロナウィルスによる死者が200人、300人、400人と増えているフランス。この混乱は、まだまだ、収まりそうにありません。

 日本のテレビなどを見ると、ロックダウンなどという状況が、「想像もつかない!」と言っていますが、私だって、こんな状況は、全く想像つかなかったです。まさか、フランスで、こんな事態が起こるなんて・・。
 でも、フランスだけでなく、世界中で起こっているのです。

 せめて、日本は、何とか持ちこたえて、こんな状態に陥らないようにと、心から祈るばかりです。

 

 

2020年3月25日水曜日

コロナウィルス被害で、日本へ帰る人、帰らない人、帰れない人、それぞれの決断




 コロナウィルスがヨーロッパで、これだけ蔓延してしまった今、日本への帰国は、既に、容易なことではなくなってしまいました。

 当然ではありますが、今、フランス(ヨーロッパ)から、日本に入国するのには、空港でのチェックに加えて、空港からの公共交通機関利用の禁止、ならびに2週間の自宅待機、あるいは、ホテルでの監禁生活が義務付けられています。ですから、家に帰るのにも、家族に空港まで車で迎えに来てもらうか、レンタカーを借りて、帰らなければなりません。

 しかし、来週からは、JAL、ANA、エアフランスともにパリ発の日本への直行便は、欠航となってしまうため、また、フランスでも、さらなる外出禁止の延長が確実視されているため、駆け込みで帰国しようとする人も多いようです。

 特に留学生などは、学校閉鎖に伴い、奨学金等も打ち切りになってしまう人もいるようで、まさに、折角の限られた留学期間を泣く泣く帰国せざるを得ないのは、本当に残念なことでしょう。

 しかし、ご両親にとったら、ここまで、危険と騒がれている国(実際に危険な状態であると思いますが・・)に、学校も閉鎖されている今(しかも、学校再開の見通しも当分つきそうもない・・)、まったく、フランスに残る必要もなく、1日も早く日本に帰ってきてほしいと思うのは、当然のことだと思います。

 私が、もしも、日本に住んでいて、フランスに娘が一人でいるとしたら、さぞかし心配で、「日本に帰ってきなさい!」と言っていたと思います。

 私には、もう両親もなく、逆に、もしも、自分が感染していたらと思うと、周囲の人をはじめ、日本の人に迷惑をかけたくないので、今は、パリで引きこもり生活をしている方が良いと思うのです。

 しかも、私には、猫もいるので、置き去りには、できないし、此の期に及んで、一緒に連れて帰るために、予防接種等を受けさせたり、猫用の書類を集めることもできないので、日本への帰国は、考えていません。

 たまたま、私は、先月、日本に帰国しており、2月の末にパリに戻ってきました。一年ぶりの帰国で、久しぶりに友人や親戚にも会うことができて、美味しいものもたくさん食べて、山ほどの日本食を持って、まさに、ギリギリのタイミング?でした。

 パリに帰ってくるのが、もう少し遅い予定を組んでいたら、日本から、ヨーロッパの悲惨な状況の報道を見て、もしかしたら、「このまま、日本に留まって、もう日本で暮らそうか・・」とか、考えていたかもしれません。

 人生は、少しのタイミングの差で、思ってもみない別れ道に遭遇することもあるのだと思っています。

 まさか、フランスから日本に帰るのがこんなに大変な日が来るとは、夢にも思っていませんでした。日本へ帰る人、帰らない人、それぞれに事情があり、どちらにしても、苦渋の選択をしていると思います。その全ての人々が、この苦難を乗り越えられますように。

 1日も早く、このウィルス騒ぎが終息し、気軽に日本と行き来できる生活になる日が来ることを祈っています。



2020年3月24日火曜日

コロナウィルスに対する各国首脳のスピーチ




 ヨーロッパ(フランス)に居を移して、もう20年以上になりますが、私は、滅多に、フランスを褒めることは、ありません。日常の生活でも、日本なら当たり前にスムーズに行くことが、いちいちすんなりとは行かず、不便なこと、不快なことが当たり前です。

 コロナウィルスの蔓延にしても、周囲からの警笛に耳を貸さない市民が、いつまでも予防をせず、ロクに手も洗わず、マスクもせず、大勢の人が集まる場所を避けずに、外出禁止令が出るギリギリまでデモで騒いでいたことも、爆発的な感染に繋がった要因になっているとも思っています。

 ただ、コトが非常事態になってからの政府の対応、マクロン大統領の毅然としたスピーチや対応は、なかなかなものだと、感じています。若いのに頼もしいな・・と。

 外出禁止令を発表した際の彼のスピーチは、落ち着いて、理路整然と、また毅然としたものであり、まっすぐ目を見据えて、自分たちの置かれている危機を「これは戦争である」という言葉を使って真摯に訴え、外出規制をせざるを得ないこと、また、同時に、それに伴う社会保障を約束しました。

 外出禁止令から、一週間が経ち、それでも、その規制を守らない市民のために、規制は、さらに厳しくなっているものの、この規則を守りたがらないフランス人が大方、おとなしくしているのも、社会保障の約束がされていることによります。

 また、ドイツのメルケル首相のスピーチも、さらに見事なものでした。

 私は、ドイツ語は、わからないので、訳されたものを読んだだけですが、印象的だったのは、「ドイツには、この危機を乗り越えるために必要なものを投入できる能力がある国であり、それを実行すると断言して、国民を安心させたこと」、そして、さらに印象的だったのは、スピーチの中の「開かれた民主主義に必要なのは、私たちが政治的決断を透明にし、説明すること、そして、私たちの行動の根拠をできる限り示して、それを伝達することで、理解を得られるようにすることです。」という部分でした。

 そして、民主主義社会は、強制ではなく、知識の共有と協力によるもので、皆が思いやりを持って、力を合わせることでしか乗り越えられないという彼女を通じての言葉は、彼女自身の温度が伝わるものでした。

 日本は、規律のある、皆が勤勉に働く、安全で、清潔で美しい国ですが、国のトップにこのような真摯な、説得力のある、体温を感じられるようなスピーチを期待できるでしょうか?

 メルケル首相が仰っていた「政治的決断を透明にし、説明して、私たちの行動の根拠をできる限り示して理解を得られるようにすること」は、何よりも国民を納得させ、意識を強固にするために何より大切なことのように思います。

 現在の日本は、まだ、ヨーロッパのような深刻な状況にはなっていないものの、充分に危険を孕んでいる状態です。権限の範囲に違いはあるにせよ、もっと、説得力のある発言するべきところを、いつまでも、ただ、「自粛要請」などとしか言わず、色々なことに関しても、不透明なことが多すぎて、あまりにも、情けなく感じます。

 もしも、日本に、ヨーロッパのような危機が訪れた場合、果たして日本のトップが、マクロン大統領やメルケル首相のような、説得力のあるスピーチができるのかは、大いに不安を感じるところです。

 非常事態ほど、その国の本質が現れるものだと、今、私は、実感しています。

 

 












2020年3月23日月曜日

コロナウィルス外出禁止から1週間のフランスの変化




 コロナウィルスによる外出禁止の戒厳令状態になって、1週間が経とうとしていますが、状況は、日々、変化しています。

 フランスは、これまでに死者が674人出ており、昨日から、1日で、112人も増え、さらに一日経って、200人近く増え、現在は、860人となっています。重篤な患者は、余裕のある地方の病院に、軍の飛行機で移送されたり、新たな、テントを立てて、病室のような施設を作ったりと、緊急の対応に追われています。

 こんな状況の中で、必死でマクロン大統領が、「とにかく家にいろ!」と、繰り返し訴えているにも関わらず、91824人の人が、罰金を払っている状況です。ここまでの状況になって、罰金が課せられるとわかりながら、こんなにたくさんの人が外出していることには、驚きです。

 そんな、状況を深刻に考えているフランス政府は、さらに、外出禁止に関する処罰に投獄が追加しました。1回目の違反は、罰金135ユーロ、15日以内に再度の違反の場合は、1500ユーロに増加、3回目以上のルール違反は、犯罪と見なされ、6ヶ月の投獄と3700ユーロの罰金で処罰されることになりました。

 日常のフランスでは、生半可なことでは、投獄という措置は、なかなかない中、事態の深刻さが読み取れます。

 だいたい、フランス人というのは、規則に従うということを、とても苦痛に感じる人々なのです。


 数日前に、書留を届けてくれた郵便配達の人も、アパートの階下まで、書留を受け取りに行くと、距離を置いて、手渡しをしてくれ、「サインは、自分が代理でするけど、良いですか?」と、懸命に、人との接触を避けていました。

 フランスでは、マスク不足が深刻な状態で、限られたマスクは、軍の管理下にあり、医療従事者を優先に配布されており、しかも、そのマスクが盗まれたりしているため、このような状況の中でも、働いてくださる郵便配達員の人には、マスクはなく、それに反発する職員が増え、とうとう、郵便配達も滞る状態になってしまいました。

 その後の書留は、不在通知が入れられていただけで、受け取る事はできず、(在宅にも関わらず、不在通知が入れられている事は、普通の日常でもパリではよくあることではありますが・・)、今は、受け取りに出かけることもできずに、困っています。

 毎晩、夜、8時には、医療従事者を始め、この状況の中で働いてくださる方々に感謝の意を込めて、ベランダや窓から、拍手を送ることが広まり、日々、その拍手は、大きくなっています。

 始めは、なんとなく違和感があった私も、昨夜は、かなり大きな拍手になっていたので、ベランダに出てみると、感謝というよりも、家に缶詰になっている人々の不思議な連帯感のような励まし合いのような雰囲気があり、意味合いが変わってきている感は、あるものの、こんな分かち合いの時間も悪くないかもしれないなとも思いました。

 私は、普段、あまりテレビを見ないのですが、やはり、フランスの状況を知っておかなければと思い、夜のニュースを見る習慣がつき、内容は、ほぼ、コロナウィルスの現状ばかりですが、やはり、オンタイムの生のニュースで現場のお医者様などのお話もあったりするので、見逃せない気持ちです。

 昨日は、「とにかく、検査、検査、検査、フランスは、この道を行きます。」と前日に厚生大臣から発表があったとおりに、さっそく、ドライブスルーのような検査が開始された模様が報道されていました。

 私は、買い貯めたままになっていた本を読んだり、野菜の種を撒いたり、ネットを覗いたり、1日1日は、あっという間に過ぎていきます。

 日頃から、ストックのストックがないと気になるくらい、備蓄をしている我が家は、食料の買い足しなしにも、おそらく、数ヶ月は、持ちこたえられるくらい食料もあり、運動不足もYouTubeなどで、動画を見ながら身体を動かしたりと、あまり、不便もありません。

 ネットのおかげで、友人や家族とも連絡が取れるし、これが、インターネットのある時代で、本当に良かったと、つくづく思っています。

 しかし、海外で生活をしていて、こんな状況もなかなかないわけで、そんな時に感じることや、考えることも、なかなか貴重だなと、そんな風にも考えています。

 何より、ご機嫌なのは、猫のポニョで、私がどこにも行かないので、どこか、満足げに悠々としています。

 当初は、最低でも15日間と言われていた、この外出できない生活、この調子だと、さらに延長されるのではないかと感じています。