2020年4月26日日曜日

フランスは、やっぱりダメだ・・と、絶望した理由 コロナウィルスは、蔓延し続ける




 5月11日のフランスのロックダウン解除の詳細は、4月28日(火)に発表されることになりました。発表される内容に関して、皆、ああでもない、こうでもないと色々と言っていますが、専門家や、政治家が様々なデータや危険性、リスクを考慮しながら、必死にその方法を模索している様子が伝わってきます。

 感染がおさまっていない状態でのロックダウン解除は、ロックダウン以上に難しく、あらゆるところに気を配りながら、慎重に行われなければならないと、私は、息を呑む気持ちで、ニュースで語られていることやSNSなどでの情報収拾をしながら、自分は、どうしたらいいのかを考えていました。
 
 しかし、つい先ほど、目にした、今夜のパリの18区の様子を見て、私は、絶望的な気持ちになりました。それは、大通りに面した広い歩道で、大音量で音楽をかけて、大勢の人たちが集まって、踊っている映像でした。若者だけではありません。白髪の老人までが、音楽に合わせて、女性と手を取り合い、踊っているのです。

 通りかかって、その様子を楽しそうに、写真を撮る人々を合わせれば、悠に100人以上は、いたでしょう。マスクをしている人など、誰もおらず、まるで、コロナウィルスが出現する以前の世界を見ているようでした。

 ただ、違うのは、そこに現れる警察車両が数台見えることです。

 まもなく、警察が取り押さえ、解散させられたとのことですが、この、あまりのフランス人のモラル?の低さには、もはや、言葉もありません。この楽しそうに音楽に合わせて踊る人々の様子から、なんの罪悪感もためらいも感じられないところが、ますます絶望的な気持ちにさせられます。

 今は、まだ、フランスは、ロックダウン中で、死亡者やICUにいる重症患者数も減少してきているものの、これまでの死亡者は、22245名(4月25日現在)に達しており、今も一日に389名も亡くなっており、4870名の人がICUで生死の境をさまよっているのです。

 アメリカなどで、ロックダウンで生活に貧窮している人たちがデモをする様子なども、この状況で、自殺行為だと思って見ていましたが、今夜のパリ18区の様子に比べたら、まだ、ましです。彼らが生活に貧窮して、働きたいと訴えるのは、コロナで死ぬか、生活できなくて死ぬかというギリギリの状態ですから、まだ、わからないではないからです。

 しかし、このパリの歩道で大音量をかけて、踊っている人たちは、微塵も理解ができません。

 ロックダウン解除の日が決まり、私は、ロックダウン解除後にタガが外れるだろうフランス人が出るだろうことをとても心配していました。

 しかし、ロックダウン解除まで、まだ2週間以上あるというのに、今からこの状態では、どんなに、知恵を絞って、対策を練っても、どんなに検査を拡大しても、虚しいばかりです。

 この人たちは、一体、何を考えているのか? 何も考えていないのか? 本当に理解不能です。この状態で、ロックダウン解除の日を迎えれば、その頃には、再び、地獄のような感染爆発は、必須です。

 フランス政府は、ロックダウン解除の仕方以前に、この人たちをコントロールする方法を考えなければなりません。



<パリ18区で楽しそうに踊る人たちを投稿しているツイート>
https://twitter.com/CocoChrist/status/1254125416421437440

2020年4月25日土曜日

コロナウィル感染・自宅隔離の危険性 フランスは、これで失敗した


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 フランスのテレビでは、厚生省が頻繁にコロナウィルスに対する呼びかけのコマーシャルを流しています。

 少し前までは、「もしも、咳が出たり、熱が出たりしたら、家にいてください。他人との接触を避けてください。そして、あなたのかかりつけのお医者さんに電話で相談してください。通常は、病状は、数日、安静にしていることで回復します。しかし、もし、呼吸が苦しくなったり、息切れがするような、深刻な病状が出てきた場合は、すぐに☎️15に電話してください。」という内容でした。
(現在は、違う内容のものが、大半になっていますが・・)

 咳が出たり、熱が出たりしたら・・医者にかかりなさい!ではなく、家にいてください・・というところで、ズッコケそうなところですが、これが、みるみる感染が拡大してして、医療崩壊を起こしてしまったフランスには、あまりの事態の急激な変化と感染拡大の速度の中で、とりあえず、取れる処置だったのです。

 ところが、結果的に、それは、家庭内での感染に加えて、手遅れになり、病院に入る状態に陥った時には、即、ICU行き、呼吸器を必要とするケースに繋がり、致死率を上げて行きました。

 全ては、最初のロックダウンのタイミングが遅く、かなりのウィルスの蔓延状態になってからの後手後手の対応になってしまったことに、端を発しているのですが、今の日本を見ていると、フランスが辿ってきた最悪のシナリオに似ているような気がしてなりません。

 日本では、ホテル業者などが、感染者受け入れを名乗り出ている、感染者の隔離ができる宿泊施設が確保できた・・などというニュースを見ていたので、少し、安心していたのですが、肝心な検査が充分にできない状態は、致命的なうえ、せっかく確保できている宿泊施設を充分に稼働できていないでいることは、とても残念なことです。

 コロナウィルスの性質を考えれば、感染してから悪化するまでのスピードが異様に早く、自宅待機などという悠長なことをしていては、手遅れになる可能性が高いのです。

 コロナウィルスは、無症状のまま感染している状態の人が、感染を何倍にも撒き散らす恐怖と共に、コロナウィルスによって起こる肺炎が、サイレント(無症候性)低酸素症という酸素欠乏を本人が気付かない初期から起こしていることがわかってきています。

 検査もできず、病院にも行けずにいる場合、他に手立てはないわけで、自宅で血中の酸素濃度をチェックできる機械(パルスオキシメーター)が急激に売れています。

 つまり、実際に本人が息苦しさや呼吸困難を感じた時点では、すでに、肺炎は、かなり深刻な状態に進行しており、ICUに直行する事態に繋がってしまいます。

 ですから、フランスは、この観点からしても、「熱や咳が出始めたら、家にいて下さい。息苦しさを感じたら、救急車を呼んでください!」という呼びかけは、結果、多くの重症患者、呼吸器の不足、死者を増加させる結果となりました。そして、一度、ICUに入れば、その治療は、長期化するのもこの病気の特徴です。

 ICUでの治療の長期化は、後遺症の危険も増加させます。

 もちろん、そのまま、状態が落ち着く場合もあるのですが、どちらにしても、熱や咳などの症状が発症した時点で、すぐに、PCR検査をする必要があったと思います。
フランスの場合は、感染爆発に気付くのがあまりにも遅くて、そんな余裕がなかったのですが・・・。

 一番の課題は、PCR検査がもっと、広範囲で容易に行われる環境を作ることです。何でも、フランスの数倍のスピードで、事が運ぶはずの日本に、できないはずは、ないと思うのですが、どうも、政府が絡むと途端に減速するところが、外から見ていて、どうにも歯痒いばかりです。

 そして、このウィルスの進行の経過の仕方を、一番最初に体験してきたはずの中国が、情報を公開してくれていれば、どれだけの世界中の命が救われたかと思うと残念でなりません。

























2020年4月24日金曜日

フランスのコロナウィルスによるロックダウン解除のトリセツ(取説)


La gare Saint-Lazare, le 18 mars 2020, à Paris.


 フランスでは、一ヶ月近く延長されたロックダウンも、ロックダウンの解除問題で、解除に際する準備期間としては、むしろ、短いくらいに、慌ただしい期間となってきています。ハッキリ言って、ゴタゴタしています。

 未だ、コロナウィルスが蔓延している状態でのロックダウンの解除には、たとえ、段階的にとはいえ、地域ごとに進めるかどうか、人々の地域間の移動の問題、交通機関など、あらゆる所に気を配らなければなりません。

 学校の再開に際しては、環境整備から、授業の進め方、給食の問題、子供の指導。

 特に、大量のマスクの手配は必須で、とりあえず、イル・ド・フランス(パリを中心とする地域)の交通機関の利用者には、マスクが無料で配布されることになったようです。(現在のところ、一般市民は、マスクを容易に手に入れることは困難です。)

 レストランやカフェ、映画館などは、一先ず、先送りとされていますが、それ以外の再開される商業施設、商店に関しても、お客様との距離を取りながら、商品を手にとって、試してみたり、試着したりすることにも注意が必要な中の再開は、困難を極めます。

 今は、それぞれの場面で、ロックダウン解除に際しての取説、ロックダウンマニュアルを必死に模索しています。

 しかし、私は、一番、取説が必要なのは、国民(大人)の意識の、衛生観念の教育だと思っています。子供は、教師が指導しますが、大人は、余計に始末が悪いのです。

 マスク一つをとってみても、もともと、フランス人にとっては、馴染みのないもので、むしろ、マスクをしている日本人などを、とても奇妙な目で見ていた人たちで、それを四六時中、自分たちが、つけて歩くというのは、彼らの美意識にも反するうえに、不愉快なことに違いないのです。

 マスクをつけていることが、息苦しいのか、マスクをしているのに、その意味を考えずに、鼻をずらしていたりする人がいるのには、呆れ返ります。正しいマスクの付け方から、教育しなければ、なりません。

 駅や街中で、用を足したり、その道路に平気で座り込んだり、土足のまま家に上がることも、手をこまめに洗うことも、うがいをすることも、一度使ったティッシュは、使わずに捨てることも、まるで、日本の幼稚園で教えるようなことを、何が不潔なのかを教えなければなりません。

 そして、何より、長期間の閉じこもり生活で、精神的にも疲弊している国民が解放された時の歯止めの効かなさが何よりも怖いのです。ダイエット後のリバウンドのような状況になりそうな気がしてならないのです。

 すでに、ここ数日、これまでは、ロックダウンのために、発生していなかった交通事故が発生し始めています。もうすでに、家に閉じこもりきれずに、外出して事故を起こしているのです。

 ICUにいる重症患者は、減少傾向にある(5053人・4月23日現在)とはいえ、これは、コロナウィルスの患者数で、他の病気でICUに入っている患者を加えれば、7500人以上に上ります。これは、大幅に満床状態をオーバーしている状態で、しかも、未だに500人以上の人が亡くなっているのです。

 これまでの一ヶ月半近い、ロックダウンの状況でさえ、おさまらない感染状況で、ロックダウンを解除しての、さらなる感染拡大が起これば、医療関係者とて、疲労困憊の状態ですから、収集がつきません。

 5月11日まで、あと2週間弱、その間に、どうか、賢明な判断で、キッチリとしたロックダウン解除の取説ができることを祈っています。











 

2020年4月23日木曜日

コロナウィルスによる医療崩壊の事実と社会の崩壊の危機に直面するフランス


Les cas graves de Covid-19 sont placés en réanimation (illustration)


 一昨日のテレビのインタビューに答えたパリにある39の病院を統括するマーティン・ハーシュ氏の、今回のコロナウィルスの、感染拡大から、パリの病院が、これまでの歴史上最悪の医療崩壊に至った経緯の話は、実に衝撃的なものでした。

 私自身は、当初は、詳しい記録は、つけていなかったので、正確な日にちは、覚えていないのですが、私は、2月に、日本へ帰国しており、フランスに戻ったのが、2月末、その頃は、フランス人は、ダイヤモンドプリンセスの件もあり、日本の方が危険な状態だと思っており、また、このウィルスが中国から広まったこともあり、とかく、アジア人を十把一絡げにするところがあるフランス人は、アジア人を見ると、コロナウィルス扱いして差別したり、ましてや、マスク=アジア人=コロナウィルスのような目でコロナウィルスを見ていました。それが2月末から3月の初旬の事です。

 それが、3月の1週目の週末あたりから、どうやら雲行きが怪しくなり始め、とりあえず、フランス人でさえ、マスクや消毒ジェルの買い占めを始めました。しかし、マスクを買い占めているというわりには、街中には、依然として、マスクをしている人はおらず、マスクをしていれば、逆に感染している人として扱われるような雰囲気でした。

 マーティン・ハーシュ氏の談によれば、「前例のない異常な危機に直面している。」と
と確信したのは、疫学者からの報告を受けた3月13日(金)だったと振り返ります。恐ろしいほどの患者数と急激に悪化する病状。そして、これが、さらに深刻な状況になっていく事は、明らかな報告でした。

 彼らは、その現実に必死の対応をしましたが、同時に、今回の感染爆発に対する自分たちの準備しているものが、圧倒的に充分ではないことも自覚したのです。

 そんなことを微塵も知らない国民は、翌日の14日(土)は、まだ、年金問題のデモで騒いでいましたし、15日(日)には、選挙も行われていました。そして、ロックダウンになったのが、17日(火)の正午でした。

 次々と運ばれてくる重症患者、足りない病室、足りない呼吸器、足りないスタッフ、足りない防護服にマスク、病院は、苦しむ患者で溢れ、病院の廊下でさえも、満杯になり、トラックに寝かされた病人をどうしたら良いかに頭を抱えたと言います。

 スタッフは、家にも帰れず、足りない防護服の代わりにゴミ袋を着て、動物用の呼吸器を使い、潜水用のマスクを使い、患者の対応に当たっていたと言います。そんな医療崩壊のピーク状態が、3月31日だったと振り返ります。
 フランスでは、このピークを”TSUNAMI"と報道していました。

 以降は、重症患者を国中の余裕のある地方の病院に搬送することを必死に繰り返し、ロックダウンの効果もあり、ピーク状態からは、少し緩和されるようになりました。しかし、それでも死者は増え続け、21000人(21340人・4月22日現在)を突破しています。

 彼は、この壊滅的な危機の中の希望は、医師、看護師、電気技師、ドライバーなどなど、全ての人の連帯だと語ります。そんな彼の口調は、静かで、普段、強い口調で話す人が多いフランス人には、珍しい気もしましたが、その分、余計に、深く、説得力のあるものでした。

 そして、今、ロックダウンが段階的に解除されることが発表された中、失業者は、1000万人増加し、郊外では、あちこちで、外出制限の検問にあたる警察に反発する若者たちが、花火や爆竹を鳴らしたり、車を燃やしたり、建物を壊したりして、暴動を起こし始めています。

 重症患者数は、減少の傾向にあるとはいえ、未だ、満床状態のフランス、医療崩壊に加えて、社会の崩壊の危機が迫ってきています。

 

2020年4月22日水曜日

犠牲者が出ることを覚悟で臨むフランスのロックダウン解除・コロナウィルスとの共存


Il est peu probable que l'école reprenne le 11 mai en Alsace.


 マクロン大統領が、ロックダウンの延長とともに、5月11日にロックダウンを徐々に解除するという発表から、一週間が経ちました。

 ロックダウンの解除は、あくまでも、国民がルールを守り、ウィルスの拡散が現実的に減速した場合という前提であったにも関わらず、国民の関心事や準備は、一気にロックダウンの解除に向けて、動き始めました。

 もう家に閉じこもりの状態にも、限界に感じ始めていた国民には、張り詰めていた糸が緩みつつある状態です。先週までは、ほとんどの人がマスクをしていたにも関わらず、すでに、マスクなしで出かける人が一気に増え始め、外出規制のコントロールをする警官に反抗して、暴動騒ぎになるなど、今まで我慢していたものが爆発しつつあります。

 もちろん、ロックダウン解除に否定的な専門家もいて、これまでにコロナウィルスに感染したのは、全国民の6%に過ぎず、免疫学的には、70%が免疫を持っていない限り、危険な状態であり、現在の段階では、遥かに遠い数字であると発表しています。

 しかし、経済的な状況や、国民の抑圧された生活も緊迫した状況ではあり、これからも長いこと、このウィルスと戦いながら、生活を続けなければならないことは、もはや明白であることを考えると、徐々にロックダウンを解除していく方法を熟考を重ねながら、なんとか、手探りで始めなければならないことは、理解できます。

 すでに、学校の開始も、学年ごとに、ずらして、しかも、クラスは、一人一人の間隔が取れるようにクラスを分けて、一週間おきに授業を受け、残りは、これまでどおりのオンラインでの授業・・というプランを立て始めています。

 ここのところ、一週間近く、僅かずつではありますが、ICUの重症患者が減少してきていますが、依然として、一日、1800人以上の患者が入院しているのです。

 これから3週間の間にどこまで、減少するかは、わかりませんが、現場の医療関係者の話によれば、5月11日の2〜3週間後のウィルス感染拡大の第二波は、避けられないとの見方が強いようで、最も混乱状態であった、3月31日に、救急にかかる電話が鳴り止まず、病室も呼吸器も確保できずに、病院が崩壊状態になった日のようなことにならないようにと、その後に急遽、病院の外に建てられた病室のために建てられたテントは、撤去しない方針なのだそうです。

 ロックダウンの間も、40万人もの国民が外出禁止のルールを守れずに捕まっているフランス人のロックダウンから解放された時の歯止めのきかなさや、元来の衛生観念の薄さ、日常の生活習慣などから、ロックダウン解除の際の国民のコントロールは、ロックダウン時以上に難しいことになると思います。

 半ば、犠牲者が出ることを覚悟で臨むフランスのロックダウンの解除。
これまでのフランスの感染者数は、158050名、死者数は、20796名(4月21日現在)。
検査数が充分ではないので、正確な数字ではありませんが、単純にこの数字から計算すれば、死亡率は、13%以上です。

 私は、今以上にロックダウン解除後が怖いです。


 

2020年4月21日火曜日

コロナウィルス監禁生活でのストレスの矛先 DV・暴動


Police


 平常時でさえも、フランスでは、深刻な問題であるDV(家庭内暴力)の被害は、ロックダウンから約一ヶ月経った今、さらに深刻な問題になっています。フランスでは、家庭内暴力の通報は、119番で相談、通報できるようになっていますが、この家の中に封じ込めの状態で、助けを求めるのは、普段にも増して、難しい状況なのです。

 以前、私の職場にも、DVの被害に遭っている女性がいましたが、最初は、転んだとか、そんな言い訳をしていて、あまりにそれが、頻繁なことから、発覚したのですが、DVの被害者は、なかなか、それを告白したり、通報したりしないのです。

 それでも、平常時には、仕事に行ったり、日常生活は、一日中家にいるわけではないので、まだ、逃げ場がありますが、このロックダウンの状態では、DVが横行する家庭内は、地獄です。

 ただでさえ、慣れない監禁生活で、ストレスが溜まるところを、普段は、平和に生活を送っている人でさえも、精神的な均衡を保つのは、難しいところです。

 フランスでは、119番に加えて、合言葉まで用意して、全国の薬局でのDV被害者の救済に当たっています。

 ところが、やはり、4月に入った頃から(ロックダウンから2週間ほど)DVの通報が増え始め、一週間の通報件数が3000〜4000に増加しています。

 そして、さらにビックリしたのが、ここへ来て、子供に対しての暴力が急激に増加しているということです。狭い空間で、一日中、家族が共に生活していれば、軋轢も生まれるでしょうが、それが、暴力にまで発展することは、ウィルスの感染に加えての恐怖です。

 平常時さえ、フランス人の熱量というものは、デモや暴動などの様子を見ていても、明らかに、日本人とは、違うと感じることもしばしば・・、しかも、クズ男のクズさ加減も桁違いだと感じることが多いので、DV被害というのは、さぞかし恐ろしい状態なのだと思います。

 フランスのテレビを見ていると、しばしば、流されるコロナウィルスへの警告(人との距離をとりましょう、手を洗いましょう、具合が悪くなったら・・などなど・・)とともに、DVに対する救済(被害にあったら、119番に電話してください)というコマーシャルも頻繁に流されるようになりました。

 また、昨日は、パリの郊外の少なくとも5つ以上の地域で、外出のコントロールにあたっている警官と住民の衝突が発生しています。厳しい警官の封鎖に反抗するために、車に火をつけたり、警官に向かって火薬を投げたり、これに対する警察が、これにゴム弾と催眠ガスで応報するという騒動が、このロックダウン中の街中で起こっているのです。

 そんな騒動に周囲の人たちまで集まってくる騒ぎは、2時間近く続いたと言います。

 ロックダウンのストレスの矛先が、ついには、警戒に当たる警察にまで矛先が向き、いつものデモや暴動さながらの状況が繰り広げられる状態は、これまでの監禁生活が水泡に期す危険を孕んでいます。

 良い時は、情熱的、しかし、悪い時は、やたらと血の気の多いと感じられるフランス人のロックダウン、長くなればなるほど、別の問題も起こってきています。

 とはいえ、昨日で、コロナウィルスによる死亡者も20000人を超えたフランス(20265人・4月20日現在)、まだまだ、自由の身になる日は遠いのです。

2020年4月20日月曜日

ヨーロッパのコロナウィルス感染拡大 国の対策の取り方で明暗を分けた理由


Dépistage coronavirus Covid-19


 ヨーロッパは、今回のコロナウィルスの感染爆発の大きな被害を受けました。
アメリカの感染爆発までは、コロナウィルスの世界の中心でしたが、未だに、多くの犠牲者が増え続けていることには、変わりはありません。

 実のところは、2月の段階で、すでに、ヨーロッパにいた、感染していることに気付かずにいた人たちから、感染がさらに拡大し始めていたのです。2月といえば、日本では、ちょうど、ダイヤモンドプリンセスの客船の中での感染が広まったことで、大騒動になっていた頃です。

 ヨーロッパという、いくつもの国が地続きである地域での感染拡大は、それぞれの国のその後の対応によって、大きく明暗を分けることになりました。それぞれの国の政治が、これほど、国民の命に直結していくことを目の当たりにすることは、そうそうあることではありません。

 国の規模も国民性も違う中、一概に比較することは、できませんが、その経過をたどれば、何が良くて、何が悪かったのかは、知ることができます。

 ヨーロッパでの感染拡大が最も深刻になったイタリアでは、イタリア北部が震源地となりましたが、北部の都市がどうやら、ロックダウンになるという噂が流れ出すと同時に、自分が感染していることに気づいていない北部の国民が、一気にイタリア国内の他の地域に流れ出したのです。

 その事実に慌てた政府は、その後、ロックダウンを全土に拡大しました。これは、日本の緊急事態宣言が東京、大阪を始めとした一部の地域だけであったものを一週間後に全国的な緊急事態宣言に広げたのに似ています。

 また、イタリアが失敗した、もう一つの理由は、院内感染を増やしてしまう危険を考慮せずに、数多くの検査を病院内で行ってしまい、院内感染を広げてしまったことです。

 一方、ヨーロッパの中でも桁違いに犠牲者が少ないドイツでは、当初から、院外での徹底したPCR検査を行い、感染者と感染していない人を分けていったのです。ドイツは、一日、50万件の検査を行っていると発表していますが、(フランスの5倍)これを着々と続けることで、他のヨーロッパとは、まるで違う結果になっており、医療施設や医療器具などもしっかり備えていたドイツは、フランスからの重症患者まで、受け入れてくれています。

 結果は、一ヶ月後の数字にハッキリと表れています。(4月19日現在の数字です。)
ドイツは、死者数が桁違いに少ないのに比べて、快復した人の数が桁違いに多いのです。

       死者数合計  4/19死者  ICU     快復    
・イタリア   23660          345              2635         47055
・スペイン        20453             410              7371         77357
・フランス        19718             395              5744         36578
・ドイツ             4548                 2              2889         88000

 日本の近くでは、韓国が、やはり、徹底的な検査をして、感染の封じ込めに成功しています。

 日本は、PCR検査を、未だに、徹底的にしない理由を、その後の受け入れ先が飽和して、医療崩壊を起こしてしまうから・・と言っていますが、フランスも、医療崩壊を恐れて、具合が悪くても、大多数は、家にいて、安静にしていれば、自然治癒するとし、悪化した状態にならなければ、検査もできず、呼吸が苦しくなるくらい悪化した段階にならなければ、検査を受けることは、できませんでした。

 しかし、悪化してから検査をし、治療に当たるのでは、手遅れになるケースも多く、結果、一気に重篤な患者が増加し、医療崩壊を起こしたのです。

 検査を徹底的にすれば、少なくとも、陽性と診断された人が、街をうろつくことも、職場に出ることはなくなります。

 日本には、リモートワークが可能にもかかわらず、未だに、会社の命令により、通勤を余儀なくされている人もたくさんおり、緊急事態宣言が発令されているにもかかわらず、街を出歩く人が後を立たないのです。

 ヨーロッパの国の明暗で、結果は、見えているのです。時間に猶予はありません。
コロナウィルスは、一人の感染者が10人に感染させることも可能なのです。

 フランスも5月11日から、徐々にロックダウンを解除するにあたって、PCR検査を強化していくと発表していますが、検査は、ロックダウン前から全力でやってほしいと業を煮やしています。自分では気づいていない感染者が街に放たれてしまうからです。

 日本は、まだ、毎日の感染者数の発表で、一喜一憂していますが、感染爆発後は、感染者数よりも、毎日の死者数と重症患者数(ICU)の推移を見るようになります。

 世界中にこれだけ死者が出ているのに、日本だけが、例外だと思いますか? 経済の破綻も大問題ですが、これ以上、感染が広がれば、経済的なダメージもさらに広がるのです。

 どうやったら、失敗するのか、どうやったら、被害を抑えられるのか、すでに、周りの国の結果を見れば、充分にわかるはずなのです。