2024年7月21日日曜日

オリンピック開会式のセレモニーに登場予定のダンサーたちが当日のストライキを予告

  


 今回のパリオリンピックは、パリ住民はもちろんのこと、それに関わる人々に大きな負担を強いていますが、特に開会式当日のセーヌ川を舞台にした壮大なパレード計画は、ことのほか、この負担を大きくしているように思います。

 このパレードが行われる周辺の通行止めや交通規制は、このセレモニーのために、広大な範囲に及び、パリ市内は、厳戒体制に近い、移動が制限されている状態にあります。

 先日、セーヌ川を200隻のボートが行進するリハーサルが行われたようですが、たしかに、これがとどこおりなく成功すれば、素晴らしいものになるに違いないと思いつつ、その1日のために、これだけ不自由な思いをしなければならないのか?とも思ってしまいます。

 そもそも、この警備にあたっている警察官や憲兵隊なども、もうずいぶんと早い段階で、オリンピック期間中に働くことを盾に様々な要求をつきつけ、ストライキなどを行った結果、賃上げや特別ボーナスなどを獲得し、関係する公的機関などは、すでにほとんど、この手のストライキを伴う交渉は終了しているものと思っていました。

 ところが、ここに来て、舞台芸術家組合(SFA-CGT)は、(オリンピック開会式に出演する予定のダンサーたちのギャラ等の不平等な扱いへの抗議)パリオリンピックの開幕日である7月26日、また8月28日のパラリンピック開会式のリハーサルのためのストライキを通告しています。

 オリンピックまで1週間を切った段階でのストライキに、さすがにこのタイミングで要求を突きつければ、通らないわけはないな・・さすがフランス、すごいな・・と思ったのですが、この労働条件のバラつきは、実際に、なかなか深刻な状態であったようです。

 舞台芸術家組合がAFP(仏報道機関)に訴えた報告によれば、断続的に募集されていた3,000人のダンサーのうち、250人から300人が無報酬で雇われているほか、その報酬は60ユーロから団体交渉の恩恵を受けた人の1,610ユーロまでとバラつきがあり、強い不平等、差別的扱いについても批判しています。

 7月初めに2回の交渉会合が行われたが、目立った進展は得られなかったということで、すでに交渉の機会がもたれていたにもかかわらず、状況は改善されていないという、このままなあなあに進められてしまいかねない、切羽詰まった状態であったことがうかがえます。

 これに対し、2024年パリオリンピック組織委員会は、労働条件の問題を非常に真剣に受け止めており、パナメ24(このセレモニーの舞台のサービスプロバイダー)はダンサーの労働協約を尊重しており、報酬は従来の最低額よりも高くなるだろうと断言。 

「検証の結果、サービスプロバイダーのパナメ24は、ダンサーという職業に適用される労働協約を適用することで、法律を厳格に遵守していることが確認できました」と主催者の代表者は付け加えていますが、ハタから見ている私でさえ、「それができていないから、抗議しているのでは??」と思ってしまいます。

 オリンピック開催にあたっては、巨額の費用が費やされていることは言うまでもありませんが、正直、こんなもの必用、こんなこと必用?ということにも、相当な金額が割かれており、それでも、それで賄えるならばともかく、ダンサーを無報酬で雇う?(無報酬の場合はふつう雇うとは言わない)、末端?の労働者に払うべきものを払わずに費用を削るのは、あり得ない・・もしかして、そのプロバイダー業者の中抜きでは???などと日本のオリンピックの後の騒動を見ていて、想像してしまいます。

 どちらにしても、これだけの騒ぎになれば、実際に彼らがストライキを実施してセレモニーに支障をきたすということはないとは思いますが、声をあげなければ、隙あらば、弱者が痛い目に遭う可能性が高いということが表面化した一例ではないか?と思うのです。


オリンピック開会式セレモニーダンサー 当日ストライキ予告


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2024年7月20日土曜日

エマウス(フランスの慈善団体)の創始者 アベ・ピエールからの性的暴力が発覚

  


 今、フランスはさすがにオリンピック開催まで1週間を切って、オリンピックにまつわる話題が続々と持ち上がっているし、同時に国民議会がどうにもしっくり落ち着かない話題などのニュースに湧いています。

 しかし、そんなニュースの中に見過ごせないニュースがあったので、様々なニュースに埋もれてしまわないように書いておくことにします。

 フランスにいて、おそらく「アベ・ピエール」という名前を知らない人は少ないと思いますが、彼のもともとのルーツはカトリックの司祭でその後、修道院長を経て、現在、フランスでの慈善活動の大きな柱の一つとなっているエマウスやアベ・ピエール財団を設立した人物です。

 彼は、すでに2007年に94歳で亡くなっていますが、この財団は今もフランスの慈善団体の代名詞のような存在で、現在でも、貧しい人々の司祭として多くの人々の共通の記憶に残っている、長い間フランス人に人気の人物であり、ホームレスや劣悪な住居の人々の擁護者という聖人・偉人に相当する人物でした。

 しかし、ここへきて、彼から性的暴行を受けていたという女性の証言が公になり、現在のアベ・ピエール財団の代表がこの事件について発表しています。

 ことの発端は、昨年2月、「ピエール修道院長による女性への性的暴行を報告する証言」の報告書が提出され、この事件を解明するために、暴力防止を専門とする独立系企業が内部調査を依頼されています。

 この調査により、現在7人の女性が証言しており、「1970年代末から2005年にかけてアベ・ピエールが犯した性的暴行またはセクハラ行為」を報告しています。本人がすでに他界していることから、本人からの事情聴取は不可能であることは言うまでもありませんが、この犠牲者たちや周囲の人々の証言から、報告書は、「年齢差、ピエール修道院長の地位、そして一種の「偶像崇拝」によって培われていた支配の一形態、彼と民衆との間の従属的な関係が存在していたこと」、「隠蔽されていた可能性」も指摘しています。

 どこか、日本のジャニーズ事件にも通ずるところがあるような気もするこの事件ですが、彼が貧しい人々、弱い立場の人を救う聖人のような存在であっただけに、その弱者に対して行っていた行為は、余計に許しがたいものです。

 現在のアベ・ピエール財団の代表がインタビューに応じ、沈痛な面持ちで彼に対する怒りと悲しみを語っていますが、独立系企業の内部調査によれば、この問題は、すでに財団の中では既知の事実で、1992年、告発者の一人が当時の指導者らに通報、「秘書たちがピエール修道院長に注意するよう警告されていた」と報告されており、また、この事実に関して、内部職員は、まったく動じず、アベ・ピエールは「年をとり、本能を抑えるのが難しくなった」と本人も認める発言をしていたと記されています。

 1970年代末から2005年にかけての長期間にわたる告発者が存在する以上、犠牲者は、今回証言している7人だけということは考え難く、結果的に周囲も本人に注意できずに、この犯罪が続いてしまっていたことを示しています。

 アベ・ピエールは亡くなる2年前、著書「神様…なぜ?」の中で「自分の人生を神に捧げても、欲望の強さは何も減りません。私はたまたま一時的に欲望の強さに負けてしまったことがある」と意味深な告白をしています。

 神に最も近い存在と思われ、ほぼほぼ絶対的な地位を確立したとき、やはり彼は神ではなく、最も卑劣な人間であったと言わざるを得ません。

 「私たちが特定した被害者たち、そしておそらく名乗り出るであろう被害者たちを全力で支援したい」と現エマウス代表は語っていますが、本当に真剣に彼女たちの支援に取り組んでほしいと思います。


アベ・ピエール エマウス 性的暴力


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2024年7月19日金曜日

特別警戒中のパリ 驚異的な数の警察官・憲兵隊と交通機関の混乱と・・

  


 ここ数日のパリは、驚異的な警察官、憲兵隊の数で、特に通行証がないと立ち入れなくなったセーヌ川沿い近辺だけでなく、いわゆる中心地といわれる地域には、警察官(や憲兵隊)の数が半端ありません。

 それだけの警備隊がいるのだから、当然、警察車両や憲兵隊の車両などの展示会のようで、交代勤務なのか、チラッと中を覗いてみると、これまたけっこうな数の警察官や憲兵隊が待機しており、昼休みだったのでしょうか?けっこう和気あいあいとトランプをしたり、チェスをしていたりして、意外に和やかな雰囲気なんだな・・と思いましました。



 とにかく、中心地を歩いていると、30mおきくらいに7~8人の警察官の軍団とすれ違うし、もちろん、メトロの駅の構内でも、四六時中、警察官が巡回しています。



 昨日、パリ市庁舎の近くで、そんな様子の警察官を半分、おっかないな・・という気持ちで見ていたら、すれ違うときに、警察官の一人がいたずらっ子のように「わっ!」と大声をあげて私を驚かし、まんまと私がそれに反応して、「ひゃ~~!」と叫び声をあげたら、一緒にいた女性警察官が「サバ?マダム?」と手を握って、落ち着かせてくれました。まったく小学生みたいなことをする警察官までいます・・。




 まあ、たくさん警察官がいても、そんな悪ふざけができるくらい平和な感じなんだな・・と思っていたら、たまたま私は、危険な目に遭遇していないだけで、やっぱり、そこそこ色々な事件が起こっているようで、警備が厳しいから危険な人が発見されるのか?過剰反応を起こすのかわかりませんが、昨日もシャンゼリゼ近くのルイ・ヴィトンの警備員が危険人物を見つけて通報したところ、その危険人物が通報されたことで興奮し始め、駆け付けた警察官の耳をナイフで切りつけたというものです。


 あれだけ警察官がいるのですから、そんな中、なにかをやらかそうと思うこと自体、どうかしているとも思いますが、だからこそ凶器などを取り出して攻撃的になる人もいるということで、どちらにしても物騒ではあります。

 また、パリ市内のナション駅で爆発物ベルトを装備した可能性のある男がいるとの通報で警察が出動し、大騒ぎになり、乗降客に避難命令が出て、一時は、交通機関もストップするという事件が起きましたが、約1時間、駅構内での捜索が行われた結果、不審な人物はおろか荷物さえも発見されず、結果的には、腕にギプスを巻いただけの男がいたということだったようで、明らかに過剰反応というか、ピリピリなところもあります。

 また、昨日から閉鎖されているメトロの駅や通行止めとなっている場所が多々ありますが、事前に発表されていた交通機関の閉鎖だけでなく、知らされていなかったバスが運行停止になっていたり、迂回になっていたりするところも多々あるようで、私も思っていたバスに乗れずにエラい目に遭いました。

 違うルートのバスに乗ろうと延々とバスを待っていたら、当然、同じようにバスを待っている人が山ほどいて、皆、くちぐちに、「オリンピックのおかげで・・まったく、やってられない!!」と話していました。

 パリの街中は、今のところは、まだ、むしろ、例年よりは、人が少ないかも?と思うような場所もけっこうあるのですが(まあ、これだけ動きづらければ、当然のような気もしますが・・)、これが、いつ?グワッと増えて、収拾がつかなくなるのか?と思うと空恐ろしい気もします。

 現在のところは、住民でえさえも、具体的なオリンピックによる不便さを実感していなかったままの多少の混乱・・といった感じなのですが、これにオリンピックのための観光客が急激に増えた場合、ちょっと恐ろしいことになるのでは?と懸念しています。


パリ特別警戒中


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2024年7月18日木曜日

約束どおりセーヌ川で泳いだパリ市長とセーヌ川周辺の今

  


 選挙のために延期されたとされていたパリ市長のセーヌ川での水泳デモンストレーションが約束どおり7月17日の朝に行われました。幸い好天に恵まれ、水温20℃という条件の中、パリ市長アンヌ・イダルゴは、パリオリンピック組織委員会会長トニー・エスタンゲ氏らとともにセーヌ川に飛び込み、泳いでいる様子がマスコミに公開されました。

 彼女が「セーヌ川で泳いで見せる!」と公言したとき、妙な話ですが、私は、彼女はどんな水着を着て現れるのだろうか? 水着姿を見せるの?と思ったのですが、彼女が着ていたのは、半そで、膝まであるウェットスーツでした。

 とはいえ、彼女はゴーグルをつけて、顔を水につけてクロールで泳いで見せたりして、また、その泳ぎっぷりもなかなか泳ぎ慣れている感じの泳ぎ方だったのには、水の安全性云々よりも思わず注目してしまった感じでした。


 問題にされていたセーヌ川の水質については、7月に入ってからは、危険とされていた基準値を下回るようになったとのことで、この日は、パリ市長だけでなく、地域の水泳クラブのメンバーが招待されて、一緒に泳いでいました。

 こういうご招待もなかなか受けた方は微妙な気がしそうです。

 その同日に、セーヌ川近くを少し歩きましたが、本当にお天気がよい日のパリはきれいで気持ちよい!と思いましたが、セーヌ川に目を落とすと、天気の良い分だけセーヌ川の濁った水の色が強調される感じで、「彼女は本当にここで泳いだのか・・・」とギョッとする気もちにもなり、まさに、パリ市長として体当たりのデモンストレーションだったな・・と感心させられました。

 セーヌ川沿いは、例年ならば、パリプラージュとなっているところは、ほとんどの場所が通行止めで工事中になっており、遠くから川に向かって歩いていたら、建設中の観客席が見えて、「あんなところに観客席?」何の競技をこんなところでやるんだったっけ?と思ったら、セーヌ川の橋の上にできているセーヌ川で行われる開会式のパレードを見るための客席、また、セーヌ川の川岸にもこのパレードを見るための観客席がたくさん建設中でした。



 橋の上の客席は赤、川岸の客席は白、これでセーヌ川がブルーだったら、もっときれいなのでしょうが、セーヌ川の色はよく言えば、緑、というか深緑??まあ、天気がよければ空はブルーなので、これでトリコロールになるでしょうか?

 しかし、しつこいようですが、安全性が一応、保障される数値に下がったとはいえ、ここで泳ぐのは、なかなかアドベンチャラスな感じ・・開会式はともかく、フランスにはもう少しきれいな川もあるだろうに、トライアスロンをはじめ、ここで泳ぐ選手には、かなり気の毒な気がしてしまいます。

 ところで、マクロン大統領もセーヌ川で泳ぐと公言していたのに、彼の水泳大会はまだ行われていません。現在は、選挙結果のために、内閣が事実上のストップ状態で、それどころではないのかもしれませんが、黙ってスルーするのも何だろな?とちょっと、いじわるに思ってしまいます。


セーヌ川 パリ市長 


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2024年7月17日水曜日

パリ東駅でのナイフによる兵士襲撃事件

  


 オリンピックを目前に控えて、パリ市内及び近郊周辺には、日に日に警察官や憲兵隊の姿が増えている気がします。だいたい、パリでの警察官や憲兵隊の警備は、4~5人で固まって行動していることが多いので、彼らの持っている武器や装備を含めて、かなり威圧感があり、物々しい気配を漂わせています。

 街中でさえも、そういった警察官が増えているので、大きな駅などの人の往来が激しい場所だと、閉鎖空間であることもあり、さらに警戒は厳しくなっているようです。

 先日、パリ東駅で警戒にあたっていた憲兵隊の兵士がナイフを持った男に刺されるという事件が起こり、この厳重な警戒体制にもかかわらず、またオリンピック目前に起こってしまった事件として、大騒動になっています。

 この東駅にいた憲兵隊の兵士たちは、サンチネル作戦と呼ばれるテロ対策を目的とした警備隊で、警察関係者によれば、容疑者は自分はクリスチャンだと主張しており、襲撃時には、「神は偉大だ!」と叫んだとされており、「軍が自国で人々を殺害しているため行動した」と主張していると伝えられています。

 つまり、彼の主張によれば、少なくとも、彼は無差別に人を狙ったわけではなく、軍に対しての制裁を加えようとしたということになります。

 しかし、この男、すでに2018年にパリ市内 RERのシャトレ・レ・アール駅で殺人事件を起こしていましたが、精神疾患のため刑事的に無責任であるとされ、当時は、その時点で精神科に入院、治療を行っていたとされていました。

 精神疾患のために刑事責任に問われないということはともかくとして、殺人事件まで犯してしまう危険な人物であるということには変わりなく、その時点から6年が経過しているとはいえ、その危険人物が結果的に野放しにされていたということには、どうにも承服しかねないところがあります。

 今回も東駅で一人の兵士を刺した後、容疑者はすぐに同行していた他の兵士たちにとり抑えられ、逮捕されていますが、即刻、彼の身元が割れ、過去、殺人事件を起こしていた精神疾患を抱える人物であったことが判明し、すぐに精神科に入院しています。

 これが一般市民ではなく、緊急時に身の処し方を心得ている兵士であったことは不幸中の幸いで、大事には至らず、命の危険はないとのことですが、やはり、そのような危険人物が少なからず野放しになっているということは恐ろしいことです。

 今回の事件では、精神疾患のために殺人事件を起こしていた容疑者がなぜ、入院とはいわないまでも、責任のある監督下におかれておらずに、再び凶悪な事件を起こすに至ったのか? このような人物の医療体制における管理問題や、このような判例に対する管理責任問題が問われています。

 オリンピックの警戒のために、フランスには、欧州31カ国を含む約40のパートナー国から集まった合計1,800人近くの外国からの警察官が警備に加わり、オリンピック競技大会警備国家調整(CNSJ)の監督の下、フランス指令の4万5千人の部隊を支援すると言われています。

 彼らの大部分は鉄道駅、空港、そして39のオリンピック会場やスポーツイベントの周辺に配備される予定ということなので、何もパリだけに4万5千人の警察官が集結するわけではないにせよ、狭いパリ市内、いつもにも増して、相当数の警察官が溢れることになると思われます。

 それにしても、このようなナイフによる襲撃事件は、駅とか空港とかで定期的?に起こるようなのですが、容疑者たちは、より警備が厳しいこのような場所をなぜ選ぶのでしょうか?


パリ東駅 ナイフ襲撃事件


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2024年7月16日火曜日

オリンピックが始まる前からすでに渋滞 PARIS 2024 オリンピック関係者専用レーン

  


 オリンピックを目前に控えているとはいえ、まだオリンピックは始まっていないのに、パリ及び、パリ周辺の道路は渋滞が始まっています。

 少しまえから見かけるようになった環状道路や高速道路上の「PARIS 2024」の表示に、これ?どうなるんだろうか? どういう意味なんだろうか?と思っていたら、7月15日から、この表示のあるレーンは、オリンピックのための特別車両専用のレーンになったようで、当然、一般車両は、このレーンを使うことができなくなったために、オリンピック前からすでに渋滞が起こっていると言います。

 ちなみにこの「PARIS 2024」オリンピック専用レーンは、スポーツ選手、認定ジャーナリスト、公式代表団、緊急車両、警備車両、タクシー、救急車、公共交通機関の輸送に認定された車両のみが通行することになります。

 そもそも、空港からパリに入ってくるような、これらの道路等は、何もない状態であっても、ほぼほぼ、いつもどこかで渋滞にぶつかるわけで、それが1レーンが使えなくなっているとすれば、すぐに渋滞になることは、目に見えています。

 この規制は、オリンピック期間が終了するまで続き、周辺道路 約185㎞が該当します。おかしなことに、これにVTC(タクシーとは区別されている運転手付きの移動車両・日本でいうハイヤーのような位置づけ)が入っていないことに、VTCのドライバーたちは、憤っています。

 利用者側もむしろ、タクシーよりもハイレベルのサービスや快適さを期待しつつ、予約するわけですから、VTCを予約したばかりに渋滞に巻き込まれるという皮肉なことになり、予約が減少するのは、目に見えていると嘆いています。

 ちなみにVTCの場合は、事前に金額が設定されており、諸経費がすべて含まれており、また一般的に車も高級車であることが多く、サービスもドリンクがついたり、ネット環境が整っていたり、ハイレベルのサービスであると同時に値段も高く設定されています。

 ただでえさえ、オリンピックなど、付き合いきれないとパリを脱出するタクシーの運転手が続出していると予想されていたのに、ますます、この渋滞問題は複雑になりそうです。

 本来ならば、この際、荷物だけを送って自分は公共交通機関で移動するというくらいが、この時期、一番スムーズに空港からパリ市内に入る最適な方法かとも思いますが、残念ながら、空港から荷物だけ別送するというサービスをパリでは聞いたことがないし、あったところで、これはまた別にその荷物が無事に到着するかどうかで気を揉みそうです。

 このオリンピック専用ルートを無許可で走行している車両が摘発された場合、135ユーロの罰金が課せられます。また、当然のことながら、監視カメラが休みなく稼働しているため、その時は無事に通過できたとしても、後で罰金の請求が来る可能性もあると言われています。

 しかし、一時は、オリンピック関係車両以外は通行止めになるという話もあったので、それに比べれば、まだマシかもしれませんが、とりあえず、この時期、パリに来られる方は、VTC車両の使用には、気を付けた方がよいかもしれません。


PARIS 2024 オリンピック専用レーン 渋滞


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2024年7月15日月曜日

いつもと違うパリ祭からのオリンピックへの一日

  


 フランス人ではない私ですが、パリ祭のパレードは毎年、けっこう楽しみにしています。とはいえ、実際にシャンゼリゼまで見に行くわけではなく、テレビを見ながら、家の窓から見えるトリコロールの噴煙や飛び去って行く飛行機などをテレビやネットと同時に見ながら、喜んでいるだけなのですが、何回、見ても感動します。

 この種のパレードらしきものを他にあまり知らないということもあるのですが、自分がたまに歩くことのあるシャンゼリゼであんな大規模な美しいパレードが行われているのかと思うとなんかワクワクするという、単なる野次馬というかミーハーな楽しみです。

 今年のパレードはコンコルド広場がオリンピックの競技会場に使われるためのスペースになってしまっているので、シャンゼリゼが使えずにアヴェニュー・フォッシュで行われました。

 数日前にこのパレードの受け皿とでもいうべく客席のようなものを工事しているところを見たばかり、全体的には、シャンゼリゼのパレードよりは若干、縮小されている感じで、この観客席からは、凱旋門が正面にはならずに、若干斜めに見える感じになります。

 この通りも充分に美しい通りではあるのですが、やはり、正直、シャンゼリゼのような圧巻な感じに欠ける気がしました。しかし、今回のパリ祭のパレードはもう目前に迫っているパリオリンピックとの融合を目指すと言われてきたので、どんなふうになるのかが見ものだと思っていました。





 パレードの終盤、パリ祭のパレードのハイライトと言われる騎馬隊が表れたと思ったら、そのあとに聖火を持った騎士が表れたと同時にオリンピックカラーのスポーツウエアを着た人々が入場し、五輪の人文字を描きました。




 パレード自体はこのあたりで終わりなのですが、実にここから、この聖火リレーはまだまだ続き、この日は、グランパレ、リュクサンブール公園、オランピア、ヴァンドーム広場、ルーブル美術館、ポンピドーセンター、パリ市庁舎までを悠々と廻っていきました。

 特にルーブル美術館の中を悠々と歩き、時にはオペラ座のダンサーが聖火を受け取り、著名な絵画の前を聖火を持ちつつ優雅に踊りながら進むというなんとも芸術性の高い聖火リレー、それらを「どうだ!」と言わんばかりの(いや、言っていた・・)解説付きで放映していくのですから、フランス人の美意識の高さと誇りを見せつけられている感じがしました。

 この日の聖火リレーの最終ポイントとなっているパリ市庁舎前では、夕刻からオペラなどのコンサートを開催しており、パリ祭とオリンピックというお祭りを一気に盛り上げる感じが満々です。

 一方、この晴れやかなお祭りのときに、落とすようで何なんですが、パリ祭の日には、あちこちで花火があがるとともに、車が燃やされたりもするパリでもあります。今年は、すでにオリンピックの警戒がかなり厳しくなっているので、そのようなことが起こりにくいとは思いますが、最悪の場合は、オリンピックのために準備している施設などが危険な目に遭う危険もないとは言えません。

 先週あたりは、むしろ、パリがちょっと空いてきた?とも感じることもあったのですが、こうしてお祭り騒ぎになってくると人がちゃんと集まってきて盛り上がっているので、パリ祭からオリンピックが終わるまで、何ごともなく、無事に楽しく過ごせるといいなと思っています。


パリ祭2024 オリンピック聖火リレー


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