2023年4月11日火曜日

マルセイユでの大規模な爆発事故 夜中にこんなことあり得る?

 


 土曜日から日曜日の夜の午前 12 時 46 分、マルセイユ市内中心部で激しい爆発事故が起こり、この爆発のあった建物1棟は完全に崩壊したとともに、がれきの下で火災が発生し、その両隣にあった建物が午前7時頃になって、引きずり倒されるようにして倒壊するという大惨事が起こっています。

 爆撃でも受けたのかと思うほどのちょっと目を疑うくらいの惨事です。

 近隣住民の証言によると、爆発当時から朝にかけて、強いガスの臭いがしたという声が多数あがっており、少なからずガスが起因しているとは考えられているものの、爆発の具体的な原因については、現段階では不明と発表されています。

 この事故がおこった地域は、旧市街で、建物自体も老朽化の監視対象になっていた建物ではなく、一体、なぜ、こんなに悲惨な事故が起こったのか疑問でもあります。

 今回の事故では、消防隊、救急隊が非常に迅速に駆けつけて、救助作業にあたり、それからは昼夜たがわずに救出作業が継続されていますが、少なくとも、おおもとの爆発が起こった建物は、映像を見るにつけても、もうほとんど粉々の状態で、がれきをさらに崩さないように、警察犬を使いながら、下に人がいないかどうか確認してからの作業になっているとのことで、非常に時間がかかっているということです。

 この事故が起こった時間帯(午前1時近く)からしても、爆発から建物が倒壊するまでの時間がどの程度あったかわかりませんが、いずれにしても、寝ていた人も多いであろうし、迅速に避難することが可能であったとは思えません。

 月曜日の夜の段階までで、遺体は6体発見されていると報告されてはいますが、この惨状を見ても犠牲者が6人で済んでいるとは、とても思えないほどの倒壊ぶりです。

 しかし、実際の爆発から、朝になって隣の建物が倒壊するという長時間にわたる事故は、考えるだけでも恐ろしく、近隣の200人が学校や体育館などに避難している状況です。

 結局、爆発のあった建物と両隣の建物がほぼ、全壊しているわけで、パック(イースター)の祝日のまっさ中のこの悲惨な事故はマルセイユ市民を震え上がらせています。

 このような救出作業は1時間遅れるごとに、生存者を発見する可能性が低下するといわれていますが、2日経った現在は、どうやら犠牲者を探す段階に入っているようです。

 遺体の身元確認も簡単なことではなく、どうにか命からがら避難した人でさえも、自分を証明するIDカードも何もない状態で、生きていても、自分の証明ができないとパニック状態に陥っている人もいます。

 また、倒壊した建物の中には、Airbnbとして貸し出されていた部屋もあったと言われており、犠牲者が外国人の場合は、その身元確認は一層、困難になると言われています。

 この手の災害になると、必ず引き合いに出されるのが日本の災害に対する対応で、このような事故は、長いことトラウマを引きずることになり得る、日本の災害対応に学ぶことがたくさんあるなどと述べているジャーナリストもいます。

 また、悲惨な現場の状況や救出作業、避難状況などが多く伝えられているものの、その原因については、深く掘り下げられてはいませんが、この皆が寝静まっている時間帯になぜこんな爆発事故が起こるのかは、とても疑問であり、この事故がテロのような、故意におこされたものであったのか、全く不慮の事故であったのかどうかの検証には至っていませんが、一応、検察は「故意ではない傷害事件」として捜査を開始しているようです。



 先週は、麻薬密売がらみの銃撃事件で3名死亡という事件が起こったばかりのマルセイユには、どうにも穏やかではない事件続きです。マルセイユの教会の追悼ミサには300名が集まり、犠牲者に祈りを捧げ、マルセイユ市庁舎には、3日間、半旗が掲げられています。

 私自身も地震のない国に住むようになって、避難する場合は・・などと考えることがなくなっていたのですが、いざと言うときに避難する際に持ちだすものを用意しておかなければ・・などと思ったのでした。


マルセイユ爆発事故


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2023年4月10日月曜日

12歳の少女を襲ったパリのメトロの痴漢は、あっさり釈放

  


 もうずいぶん前の話になりますが、日本の電車では、痴漢に遭ったことがありました。日本で通勤していた頃の話で、あの日本のギューギュー詰めの満員電車の中では、身をかわすのも大変で非常に嫌な思いをした覚えがあります。

 それに比べれば、パリのメトロで日本ほどの満員電車というのは、非常時(ストライキで間引き運転になったりしている時など)を除いて、経験したことがなく、きっとパリのメトロには、そんなに痴漢行為に及ぶ人はいないんじゃないかな?と勝手に思っていました。

 それほどギューギュー詰めに混んでいるわけでもなかったら、周知される可能性も高く、痴漢行為に及ぶ側もハードルが高いわけで、また、こちらの女性は、黙って我慢しているとも思えないし、周囲の人々も気付いたら、黙っていなさそうです。

 それでもなお、痴漢行為に及ぶ場合は、もっと暴力的になってしまうのではないかという気がして、さらに恐ろしい気もしていました。

 それが、最近、たまに耳にする痴漢の被害者は未成年、しかも12歳~13歳とかの少女に対しての痴漢行為で、つい最近も被害者の母親の訴えにより、犯人が捕まったと聞いて、また、さらに、その逮捕後の措置などを聞いて驚いているところです。

 パリの地下鉄内で太もも、臀部、胸を触られたという被害者の母親の訴えにより、容疑者(55歳男性)がパリ北駅で逮捕されたのまでは、よかったのですが、一度、容疑者は警察に拘留されたものの、その後、精神状態に障害がある(状況の認識ができない)として、病院に収容され、数日間の入院後、容疑者の精神状態を考慮して、パリ検察庁はそれ以上の措置を講じることなく事件を終結させたと伝えられています。

 つまり、あっさり釈放です。

 ところが、この容疑者、数日の間に再犯を繰り返していたようで、彼が逮捕されたのは、少なくとも3回目の犯行だったようです。

 にもかかわらず、精神障害のために、再び彼は罪を逃れ、野に放たれてしまっているわけです。性犯罪者というものは、とかく再犯率が高いと言われていますが、特に彼のような場合、再び、犯行に及ぶであろうことは、ほぼ確実で、なぜ捕まえてくれないのか?と思います。

 大人の女性ではなく、12歳の少女であったからこそ、その場で声をあげられなかったということも十分に考えられることで、彼女にとっては、恐ろしいトラウマになってしまった可能性も考えられます。

 以前、買い物中に万引き集団の逮捕劇に遭遇したことがあり、抵抗する容疑者たちとのけっこうな捕り物長の末、警察は仰々しく、後ろ手に手錠をかけたりして、逮捕していたのですが、「この人たち、どうなるの?」と警察官に聞いたら、「調書をとったら、家に帰す・・」と言われて、目を丸くしたら、「それ以上、どうしてほしいの?」と聞かれて逆にもっと驚いたことがありました。

 痴漢行為が軽犯罪かどうかはわかりませんが、とかく軽犯罪に関しては、一旦、逮捕するとはいえ、意外と簡単に釈放してしまうフランス。再犯確実な容疑者たちが街に容易に戻されている事実がパリの犯罪の多さに加担していることもあるかもしれません。

 犯罪が多すぎて、犯罪者の面倒を見きれない・・のかもしれませんが、みすみす再犯が確実視される相手をなんだかんだと理由をつけては野放しにしてしまうのには、勘弁してもらいたいなと思うのです。

 しかし、この男の55歳という年齢と相手が12歳の少女という気味悪さ・・そういえば、つい最近、「12歳の娘を70歳の老人に売る親」の話が話題になったばかり、変質者のターゲットは、低年齢化しているのでしょうか?


12歳を襲うパリのメトロの痴漢


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2023年4月9日日曜日

フリマサイトVinted(ヴィンテッド)(フランス版メルカリ)でコカインの転売をしていた男逮捕

  


 インフレが続く中、フランスでは、ディスカウントショップが急成長し、ともに業績を伸ばしているのは、Vinted(ヴィンテッド)というフリマサイト(日本でいうメルカリのようなサイト)で、ここ数年、フランス国内だけでなく、利用者はベルギー、スペイン、イタリアなどの国の人々とも取引ができるようになり、ますます業績を伸ばしています。

 例にもれず、私もこのサイトをもう数年にわたって、利用しており(私の場合、もっぱら家の不用品を売るだけで買いませんが・・)、以前は提携店に荷物を届けに行っていたものが、多くの場合は、人を介することなく、指定のロッカーで、バーコードを読み込んで、荷物を置いてくるだけで済むようになり、より簡単で便利になりました。

 私にしてみれば、断捨離の一環で、それを写真に撮って、載せておくだけで、売れたと通知が来れば、梱包して送るだけで、ちょっとしたお小遣い稼ぎになるので、大変、喜ばしいサービスで、日本のメルカリのように手数料なども取られないので、メルカリよりも割が良い気がしています。

 もともと、中古品に対してあまり抵抗がなく、倹約家(ケチともいう)でもあるフランス人の間では、このようなサービスにはもともとポテンシャルがあり、ルボンカンというサイトも有名ですが、最近は、ヴィンテッドのサイトの方がサイト自体が簡潔で便利にできているので、こちらの方が圧倒的に人気になってきている気がしていました。

 このように、時代の潮流にのって、利用者が拡大していけば、必ずよからぬことに利用する人が出てくるものですが、案の定、このヴィンテッドのサイトを利用して、コカインを販売していた男が逮捕されたというニュースを聞いて、なるほど・・と思ってしまいました。

 たしかに直接、人と会って荷物を渡すわけでもなく、しかも広範囲の人に物が売れ、料金は、自動的に自分の口座に振り込まれるのですから、他のものとセットにして転売すれば、かなり発見されるリスクは少ないわけです。

 どのようにして、この男の犯行に目がつけられたのかはわかりませんが、逮捕後の家宅捜索では、様々な薬物(コカイン300g、大麻樹脂315gなど)が押収されたほか、4,300ユーロの現金、拳銃、ライフル、12個のカートリッジが押収されたと言われています。

 この男は、1年半にわたってVinted(ヴィンテッド)でコカインの転売を行っていたと自供しているようですが、自宅で発見された薬物に加えて、普通、家に置いておくにしては、高額の現金や拳銃やライフルなどの武器まで発見されたということは、Vintedでの販売は彼の商売の一端に過ぎなかったような気もしています。

 それにしても、薬物と武器は、ここでもセットで、薬物の密売には武器が不可欠なものとなっていることを認めざるを得ないような気がしています。

 当然、現在、彼のサイトはすでにクローズされていますが、他のものに紛れて、コカインの販売を行っていたことは間違いなく、現段階では、サイト上で彼と取引のあった10人が尋問を受けたと言われています。

 1年半にわたる販売履歴はサイトでは確認できるものの、そのどれにコカインが含まれていたのかを特定するのには、かなり時間がかかることになりそうです。

 Vintedには、一応、取引の際に相互に評価をつけるシステムになっていて、自分が取引する相手が信用に足る人であるかどうかの判断基準の参考にできるようにはなっていますが、顧客側とて、まさかこの評価にコカインのことを明記するはずもなく、たとえ他のものを買ったとしても、他にヤバいものを売っている人だった場合は、大変なことになってしまうこともあり得るということです。

 まあ、特別なケースだとは思いますが、買い物をする場合は、注意しなければならないかもしれません。

 便利になると、何かそれを利用して悪事を働く人がでてくるのは、これに限ったことではありませんが、私としては、けっこう身近に利用しているサービスなだけに、(今日もいらないTシャツが売れてロッカーに置きに行ったばかり)なんだか、ざわざわする感じがしたのです。


Vinted(ヴィンテッド)コカイン販売


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2023年4月8日土曜日

マクロン大統領とボルヌ首相の不協和音

  


 年金改革問題は一向にけりがつかないどころか、迷走状態のまま、反発がやまない状態の中、マクロン大統領は、中国を訪問するため、3日間フランスを離れていました。出発前に、彼はマスコミの取材の前に側近を通じて「フランスの民主主義の危機」を否定し、年金改革には、明確な権限があることを強調し、止まない暴力行為に懸念の意を表していました。

 引き続き、高圧的な態度を全く崩さないうえに、相対する国民の暴力を非難するという最悪のシナリオです。

 もはや、彼の発する言葉にいちいち腹を立てるというよりは、もうすでに怒りは頂点に達している感じで、彼の発する一言一句に怒らないまでも、どうにも彼の発言はいちいち神経を逆なでするようなことばかりで、あれだけ「口が上手い」というか、お話が上手だった以前の彼からしたら、最近の彼から出る発言は、まるでシナリオライターが変わったのではないか?と思ってしまうほどです。

 それに対して、マクロン大統領の留守を守るボルヌ首相は、ここにきて、「物事を急がないように細心の注意を払う必要があり、物事を休ませる必要があり、組合の面目を潰すべきではなく、 国は宥和する姿勢を必要としています・・」と、語り始めました。

 とかく、今回の問題では、損な役割を被って、矢面に立たされてきたボルヌ首相ですが、このマクロン大統領とは全く異なったトーンの発言に、二人(大統領と首相)の間に不協和音が流れ始めたのではないかという噂まで流れ出しました。

 首相の軟化した発言に対して、組合側は、「彼女はおそらく、この国で何かが起こっていること、社会的危機があること、それが市民の感情であるということを認識している・・」、そして、現在は、宥和の言葉を言う方が良いことを認識している・・」と彼女の言葉を歓迎し、同時に、「国民感情を全く理解せずに高圧的な言葉を浴びせ、国民を非難する言葉を浴びせる大統領とは大違い!」と付け加えました。

 首相に対して「過半数を拡大し、国民議会でのテキストを前進させ続けるよう指示して    中国に出かけたマクロン大統領とは、溝を感じるところですが、彼女は「大統領とは頻繁に話をしており、マクロン大統領とは完全に意見が一致している」と強調しています。

 しかし、訪中先での報道陣の問いに答えたマクロン大統領は、「もしも人々が60歳で引退したいのなら、大統領に選出されるべきなのは私ではなかった・・」などと、述べており、大統領を辞めるつもりはなかろうに、自分に投票したかぎりは、自分のやり方に」従え!とでも言いたいのか?、ちょっと理解に苦しむような言葉を発しており、苦しい状況ゆえ、発言に余裕がなくなることはわからないではありませんが、最近は、ことごとく、言うべきことを言わず、言わない方が良いことしか言わない最近のマクロン大統領。

 訪問先の中国では、中国の外交問題について、「対立よりも協力を進める考えを強調」していたそうですが、フランス国内の問題に関しても、同じように考えてはもらえないだろうか?と思ったのでした。


マクロン大統領とボルヌ首相


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2023年4月7日金曜日

マクロン大統領ゆかりのレストランが燃やされる! 11回目の年金改革反対デモ

 


 今年に入ってから、公式には11回目のデモが、色々な意味で盛大に行われました。CGT(全国組合連合)の発表によると 200 万人、当局の発表によると 74万人の人がデモに参加しました。

 パリだけでも、少なくとも11,500人の警察、憲兵隊がデモの警備にあたる中、今回はプラスイタリー(イタリア広場)が集結場所として選ばれました。集結場所はプラスイタリーでも、そこに到達するまでにデモ隊は、抗議の声を挙げながら、パリ市内をあちこち行進していくわけで、その途中で、様々な摩擦が生まれるのは毎度のことです。

 今回は、パリ6区にある有名なブラスリー「ラ・ロトンド」付近でデモ隊の一部と警察の衝突が起こり、レストランの赤いテントに発火筒が投げつけられ、赤いテントが燃え上がる火災が発生しました。



 火災が起こったのは午後15時半から16時頃のことで、昼時の混雑時間帯ではなかったにせよ、観光客の多い場所、お店にはお客さんも少なからずいたはずで、負傷者が出なかったことは、不幸中の幸いでした。

 消防隊の介入により、比較的早い段階で鎮火しましたが、レストランにとったら、大変な惨事に違いありません。

 このブラスリーは、2017年にマクロン大統領が大統領選挙に最初に当選した際に祝勝会に使われた、いわば彼のお気に入りのお店、いわば大統領御用達のお店で、そのために標的にされたものと見られています。

 レストランに行くと、有名人がここを訪れましたとばかりにその人がお店で撮った写真やサインなどが飾られていることがありますし、このブラスリーも2017年マクロン大統領当選直後は、大統領が祝勝会に使ったお店として、誇らしい出来事として捉えていたに違いありません

 しかし、それから6年後、年金改革問題により、反マクロンの勢いが強烈になり、とうとう攻撃の標的にまでされてしまうとは、このブラスリーにとっては、とんだもらい火に違いありません。

 これから先にマクロン大統領が外の場所で祝勝会を行うようなことや一般のレストランで食事をする機会があるかどうかはわかりませんが、こんなことが起こるのでは、彼は招かれざる客になってしまったことに違いありません。

 パリだけでなく、あらゆる街での破壊行動は止まることはなく、次回のデモは憲法評議会の決定が下される日の前日4月13日であると発表されています。

 恐らく、次回の山場は、この法案に対する「憲法評議会の決定」であることは間違いなく、どうにか少し回収され始めたパリ市内のゴミの山が復活しそうな気配で、ゴミ収集業者の組合が4月13日から、ゴミ収集ストライキ・シーズン2を予告しており、今度は「この年金改革が撤回されるまで、パリの街中を公共のゴミ捨て場に変える!」と宣言しており、憲法評議会の決定がGOサインを出せば、また、パリの街は手が付けられない状態になることは必須のようです。


ブラスリー レストラン ラ・ロトンド火災


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2023年4月6日木曜日

23年間務めたエリゼ宮の職員が突然の解雇で投身自殺未遂

 


 今回の事件が起こるまでは、私はエリゼ宮(大統領官邸)の職員には組合がないことを知りませんでした。とかく、組合が強すぎる傾向のあるフランスで、エリゼ宮というフランスの象徴的な場所に組合がないとは、びっくりです。

 逆に私の中のイメージとしては、エリゼ宮など、どこよりも組合が強いような気がしていたくらいです。

 一般人は容易に足を踏み入れることはできないエリゼ宮は、大統領をはじめ、政府の首脳や外国からの要人が招かれるたびに、しばしば、その中の様子をテレビなどで映し出され、その煌びやかな様子や、そこで供される食事や軽食などをチラッと垣間見ることはできますが、なんと300人の憲兵を含む825人がフルタイムで働いているのだそうです。

 組合がないとはいえ、民間企業がエリゼ宮の管理を行っているはずはないのですが、場所が場所だけに、常に緊張を強いられ、時間的にも不規則になることも多い、しかし、職員にとっては、大統領をはじめ、フランスの中枢にある宮殿のようなところにお仕えするという厳しさと誇りを持っているに違いなく、かなり特別な場所であることには違いありません。

 そのエリゼ宮で、23年間、銀食器の管理を担当していた50代の男性が突然、解雇を言い渡され(解雇といっても、管轄の文化省に戻されるという話)、そのうえ、エリゼ宮の従業員としての住居を取り上げられるという通告を受けたショックでRER(パリ郊外線)の線路に身を投げるという悲惨な事故がおこっています。

 この男性が解雇された理由は報道されていませんが、解雇や異動などに関して、組合があれば、組合に訴えれば、ここぞとばかりに組合が掛け合ってくれるであろうところですが、文化省への異動としても、23年間のキャリアを持つ職員に対しては、突然の事実上の解雇の宣告、しかも、住居まで取り上げられるなど、フランスの・・しかもエリゼ宮で起こるとは、ちょっと信じがたい話です。

 長年エリゼ宮で銀食器を担当していた彼には、おそらく、その仕事に対する特別なプライドがあったに違いありません。

 それに追い打ちをかけるように、住居まで召し上げるなどということは、嫌がらせ以外のなにものでもないような気がします。

 この男性の自殺は未遂に終わったようですが、彼は深刻な容態のまま入院中ということで痛ましい限りですし、彼の一件で、エリゼ宮内の他の職員も心穏やかではないでしょう。

 ここまで人を追い詰めるには、その通告の仕方などにもハラスメント的な側面があったとも思われますが、この事件に対するエリゼ宮の声明は発表されていません。

 このような解雇がまかりとおるということは、エリゼ宮という職場はかなり封建的な場所なのではないか?という疑惑が沸き起こりますが、現在の年金改革問題・49.3条問題で思いっきり国民の反感を買っている政府の本拠地で起こった事件としては、まさに、国民の意見を無視する政府をさらに非難する材料が増えたような気もします。

 この事件を受けて、マスコミは、「大統領府が社会対話を維持できていないのは、年金改革だけではないようだ・・」と書き立てています。

 幸いにも彼は一命をとりとめましたが、彼のおかげでエリゼ宮の過酷な現実が公になりました。彼が線路に飛び込んだ時、彼はエリゼ宮のバッジの他には、何の身分証明書も持っていなかったそうです。

 

エリゼ宮の職員


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2023年4月5日水曜日

マルセイユ麻薬密売組織による銃撃事件で一晩で3名死亡

  


 日曜日の夜にマルセイユで一晩に3名死亡、12名が負傷する銃撃事件が起こり、世間を震撼とさせています。しかも、標的になったのは14歳、15歳、16歳の未成年だというのですから、さらに驚きです。

 実は前日の土曜日の夜にも銃撃事件は起こっており、20代の男性4人が負傷し、警察は通報を受けて、現場にかけつけていますが、翌日の銃撃事件では死亡者が出たために、大きく報道され、前日の事件も併せて公になったと思われます。

 日曜日の夜(日曜日から月曜日にかけての夜)、午前0時20分頃、3人のティーンエイジャーが銃撃され、そのうち1名(16歳)は現場で死亡、他2名(14歳と15歳)のティーンエイジャーは重体で入院、他21歳と23歳の男性が死亡しています。

 この銃撃事件は麻薬密売組織の縄張り争いだそうで、麻薬密売組織の縄張り争いでなぜ?14歳・15歳・16歳の少年が撃たれて死ななければならないのか?標的にされるということは、この年齢で麻薬の密売にかかわっていたということで、麻薬やドラッグの取り引きにこんな年齢の子供が加わっている現状には、ちょっとため息も出ない感じがします。

 たしか、2年前にも同様の事件がマルセイユで起こっており、その時に事件を受けてマルセイユ市長が発表した声明の中に、「マルセイユではパン・オ・ショコラを買うようにカラシニコフを買うことができる。この現実はなんとしても止めなけらばならない・・」という部分があって、衝撃を受けたことを記憶していますが、残念ながら、その状況は改善されていないようです。

 麻薬密売組織=銃器などの武器を確保という図式は定番というか、もうセットになってしまっているのが現状のようで、麻薬密売組織の拠点を追跡すると麻薬やドラッグだけでなく、銃などの武器が押収されるという図式になっているようで、武装してまで守りたい縄張り争いとは、恐ろしいことです。

 フランスは欧州一の麻薬消費国と言われていますが、彼らにとっては最高のマーケットとなってしまっている現状をフランスはなんとかしなければなりません。

 この事件を受けて、内務相ジェラルド・ダルマナンは秩序維持に特化した部隊である CRS 8 の派遣を発表しています。

 内務省によって 2021 年に創設された CRS 8 は、都市内暴力などの公共秩序の乱れの状況に対応するために特別に訓練された 200 人の男性で構成されるエリート部隊であり、このユニットの目的は、「公の秩序と都市の暴力の深刻な混乱が発生した場合に、半径300キロメートル以内に15分で配備される」ことであるとされています。

 具体的には、CRS 8 は麻薬密売に関連する暴力の影響を最も受けている地域を占拠し、密売人を妨害し、隠蔽されている薬物や武器を探すことで、この部隊は、マルセイユの 14 区にあるラ パテルネル市で 2 月にすでに配備されていたとのことですが、この現状からは、何か起こってからではなく、彼らは常駐してもらう必要がありそうです。

 それにしても、14歳~16歳という年齢の子供までもが、麻薬売買にかかわっているというのは、そんな子供がこんな深夜に出かけることだけでも、保護者は何とも思っていないのかと理解に苦しみます。

 しかし、死亡した子供の両親が現場近くにいたという目撃証言もあるため、家族ぐるみで麻薬売買にかかわっていたという疑いも持たれています。

 その後の捜査の過程で、犯人が現場に移動した際に使用した車両と思われる車両が燃やされた状態で発見されたと検察のプレスリリースでは発表されており、どうにも激しいこの事件は、組織化されたギャングの犯行によるものと見られています。

 麻薬密売組織は市場シェアを維持、拡大するために犯罪を犯すことをためらわない人身売買業者、他の若者を殺害するために若者を勧誘することを躊躇しない人身売買業者と結びついていると見られており、マルセイユでは、薬物密売という 1 つの原因による悲劇的なサイクルが続いているようです。

 2022年には、麻薬関連の銃撃事件で32人が死亡、33人が負傷していますが、2023年に入ってからは、わずか 3 か月で 14 人が死亡し、43 人が負傷という急激な増加の気配が顕著に表れています。


マルセイユ銃撃事件


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